M!LK(ミルク)がメジャーデビューする──。彼らを知るひとりとして、この一文がどれだけ喜ばしいことか。
俳優業で注目を集めるなか、どんなことがあってもM!LKを続けると強い覚悟を見せる佐野勇斗。客観的に物事を捉えられることで現実の厳しさを知るいっぽうで、だからこそ“一瞬”にすべてをかけようとする塩﨑太智。グループの一員として自分は何ができるのか? 自問自答することで成長を続ける曽野舜太。グループにかける熱い気持ちゆえにM!LKの成功を強く願っている山中柔太朗。5人の個性を最大限活かす場所であり、5人全員が自然体でいられることを大事にしたいと思う吉田仁人。
今まで歩んだ軌跡を忘れず、これまでの出会いで育んだ思いをすべて持って、5人があらたなスタートラインに立つ。
INTERVIEW & TEXT BY 真貝 聡
PHOTO BY 伊藤 圭
■僕たちとみんなとのRibbonがいつまでも解けないように
──今日は懐かしいものをお持ちしました!
一同 何これ!?
──中学時代の皆さんが載っている雑誌『EBiDAN』です。
佐野勇斗(以下、佐野) 懐かしい!
吉田仁人(以下、吉田) えげつい懐かしいなぁ~よく持ってましたね。
塩﨑大智(以下、塩﨑) こんな小さい頃から事務所にいて、所属した時期も出身地も違う5人が今こうやって同じグループで活動しているんだから考えたらすごいよ!
吉田 その当時は自分がグループを組んで、こんなにいろんなことを経験するとは想像してなかったし、ましてやメジャーデビューするなんて夢にも思ってないもんね。
──そんなM!LKのメジャーデビューシングル「Ribbon」は7年間の想いが色濃く反映されてますね。
吉田 メジャー1発目ということで、どんな楽曲が来るのか楽しみにしていました。1曲目「Ribbon」は王道な恋愛ソング。しかも、歌詞をじっくり聴けば、僕たちの想いもちゃんと入っていて。僕らからすればメッセージソングで、初めて僕たちの曲を聴く人には恋愛ソングというふたつの側面を持っている楽曲です。
佐野 仁人の言った通り、王道の恋愛ソングというのが最初の聴こえ方だと思うんですけど、僕らの心情としては、ファンの方に“今日までついてきてくれてありがとう”と“これからもよろしくね”って気持ちを込めています。“僕たちとみんなとのRibbonがいつまでも解けないように”という想いで歌いました。
山中柔太朗(以下、山中) キラキラした世界観ですが、切なさがある歌詞や曲調だったり、そういうのをM!LKは意外とやってこなかったので、個人的にも好きなテイストです。勇斗くんと同じく、歌っていてすごく気持ちが入りますね。
曽野舜太(以下、曽野) 今の僕たちだからこそ歌える歌詞ですし、よりファンのみんなに届きやすい曲になっています。
塩﨑 あとは人間関係の大切さを曲中で表現しているので、大事な人と聴いてもらえたらうれしいです。
■一歩踏み出そう、頑張ろうと感じてもらえるんじゃないか
──通常盤収録の「夜明け」は出だしから駆け抜けるようなロックサウンドです。
塩﨑 聴いている人に勇気を与えたり、背中を押せるような曲ですね。今のご時世、何かやりたくてもできないことが多いじゃないですか。そんな時に「夜明け」を聴くと、一歩踏み出そう、頑張ろうと感じてもらえるんじゃないかなって思います。
佐野 僕たちもみ!るきーず(M!LKファンの通称)と会えない状況が続いていたので、“いつか夜明けは来るから、その時まで前を向いて頑張ろう”と、みんなの背中を押してあげたいし、僕ら自身の背中も押してもらえる曲になっています。
曽野 僕の状況にもぴったりハマるんですよね。今年三重から上京してきて、夜中に家でやることがないから寝ればいいのに、なぜか胸はざわめいて…出だしの“夜明け前 午前3時”と同じ心境。今19歳なんですけど、同世代には間違いなく響く曲ですね。
山中 あとはレコーディングしてる時から、みんなと一緒に手を振ってる映像が浮かんできたんです。“盛り上げソングが来たな”って。
吉田 うんうん。ペンライトよりも、拳を突き上げるのが似合うんじゃないかな? 胸が高鳴る曲調で、爽快感もありつつ、バンドサウンドならではの熱さもある。音に導かれて自然と歌も熱くなれたというか、すごい熱量を持ってレコーディングができました。
■メンバーの言葉だからこそ刺さる、“もう一度ここで踏ん張ってみるよ”
──初回限定盤A・B収録の「夢路」はメンバー全員による作詞曲で。
山中 まず、夏合宿(『M!LK LIVE in 夏合宿~おれらメジャーデビューするってよ~』)で僕と太智くんが“歌詞を書いてみないか”と言われて、ふたりでベースを作詞しました。そこからみんなの考えた言葉を踏襲して、最後は全員で集まって丸2日間ほど会議をし、やっと出来たのが「夢路」です。歌詞全体の内容は、ずっと目標に掲げているドームツアーについて。1番が僕たちで完結すること、2番がみ!るきーずの話、3番がいろんな視点から見た想いを込めました。あと、舜太の案でドームに立った僕らの目線で歌詞を書いてみようということになり、最後のサビだけは未来の僕らからのメッセージになっています。
佐野 個人的にも“このステージで包まれ輝く姿は また誰かの夢になれる”は好きですね。
塩﨑 ここはめっちゃ話し合ったよね。
佐野 1番と2番は“あのステージ”なんですけど、最後だけ“このステージ”にして、先ほど話したようにドームに立っている時の視点にしました。それと“また誰かの夢になれる”は、俺らがドーム公演を追いかけている姿を見て、後輩たちにも“俺らもM!LKのようになりたい”と思ってもらいたい。そんな願望も込みで、この歌詞は本当に良いなと思います。
曽野 太ちゃん(塩﨑)の考えた“もう一度ここで踏ん張ってみるよ”の歌詞も刺さりましたね。“もう一度”という言葉が入ることで、いろんな意味を思い起こさせる。いつも明るい太ちゃんが、このひと言を書いたことが余計に感動しました。
吉田 “共に泣いたあの日を忘れない”も良いよね。
塩﨑 “この一瞬を全力で生きていたい”の“一瞬”を“とき”と読ませるのも好きで。何事にも言えますが、本当に何がいつ終わるかわからないじゃないですか。だからこそ、一瞬一瞬を大切に過ごしたいですし、メジャーデビューという一瞬のチャンスを全力で掴みたい! という、今の気持ちと重なります。
■乗り越えてこれたのは、このふたりがいたから
──メジャーデビューを発表した『M!LK BEST L!VE TOUR ~Thank you for your smile~』のツアーファイナル(Zepp Tokyo公演)について。デビュー報告直後、佐野さんは涙を流していましたよね? あの時、どういう感情だったのかなと。
佐野 メジャーデビューもうれしかったんですけど、“この5人で良かった”が大きいですね。“ここまで頑張ってきて良かった”という気持ちもあるし、もっと大きなところへ行けると思えて出た涙でした。
──佐野さんにつられて、山中さんと曽野さんも涙を流してましたが。
山中 面と向かって「M!LKに入ってくれてありがとう」と言われることってないじゃないですか。佐野さんがM!LKのことを想ってくれていると「まっしろサンライズ」を歌ってる時に、改めて感じていたんですよ。そんなタイミングで言われたから、余計にぐっときました。
曽野 勇斗くんの気持ちを聞けた瞬間、5人で過ごしてきたシーンが頭の中に浮かんで…こみ上げてくるものがありました。正直、客席を見れずに自分の世界に入っちゃいましたね。
──あの日、佐野さんは「吉田さんと塩﨑さんに支えられて」と話していましたけど、どんな時に支えられていると感じますか?
佐野 ピンポイントで答えるのは難しいんですけど…「ふたりに支えられている」で言ったら7年間ずっとそうなんです。やっぱり俺と仁人と太智は、今でもM!LKにいるわけで。しんどかった時も一緒にいたし、いろんな山や谷を乗り越えてこれたのは、このふたりがいたから。柔太朗と舜太は、今でこそ僕らと同等以上にMCやダンスをやってくれてますけど、加入当初は正直足りないことは多かったと思う(笑)。そのフォローを俺のぶんまでふたり(吉田・塩﨑)はしてくれたし、俳優の仕事でレッスンに参加できなかった時も支えてくれた。すべてにおいて、仁人と太智がいなかったらグループは成り立っていなかったです。
──ちょっといじわるな聞き方になるかもしれませんが…例えば、俳優とM!LK、どちらかに絞って専念しようと考えたことはないですか?
佐野 んー、それはないです。M!LKを辞めてお芝居に専念することも、俳優を辞めてM!LKだけに絞ることも…。
曽野 これは難しい質問だね。
佐野 お仕事をいただけるのであれば、自分にできることを全力でやりたい。いつかアーティストと俳優の点と点が結びついて、両方に良い作用が生まれたら良い…だから、どちらかに絞ろうという考えには至らなかったですね。間違いなく言えるのは、M!LKを辞めようと思ったことは1回もないです。
曽野 それはずっと言ってくれてます。
──「M!LKは帰る場所」という表現を度々されていますよね。帰る場所があるからこそ、個人の仕事も頑張れているのかなと。
佐野 “帰る場所”とひと言でまとめたら簡単ですけど、それだけじゃなくて。正直言って、意地でもありますよね。“絶対にM!LKを成功させてやる”っていう。
山中 それは俺らにもあることだからね。
佐野 何クソ! という気持ちは多いにあります。
■手放しで喜べる報告をプレゼントできることの幸せ
──Zepp Tokyo公演の話に戻すと、吉田さんも涙を流す場面がありましたね。
曽野 あの涙は何だったの?
佐野 俺も聞いてみたかった。仁人は俺たちの前でも泣かないんですよ。
吉田 悲しいとか悔しいという感情なら、今までも泣けたんです。あの日、ステージ上で“あ、今めっちゃ幸せだわ”と思ったら…なんか、生まれて初めてうれし涙が出てきちゃって。
──M!LKはメジャーデビューに至るまでに、本当にいろんなことがありましたもんね。メンバーの卒業、加入、そして二度目の卒業…体制を変えながら、変わらず前進し続けてきたから今があって。
吉田 はい。これまでのことも経験値としては良かったんですけど、やっぱり心の豊かさとか幸せ度合いで言ったら、あの時(Zepp Tokyo公演)がグループをやってきたMAXだったんですよ。今までグループを続ける選択をし続けてきて、本当に良かったと思えた瞬間でした。
──今までの苦労が報われた瞬間というか。
吉田 そうですね。もちろん、メジャーデビューはゴールではありませんが…ずっとハッピーな報告ばかりでもなかったし、手放しで喜べる報告を皆さんにプレゼントできたこと、そしてこの5人で進む道がかっちり決まった瞬間だなと思って。それがすごく幸せというか“やっとだな”って気持ちになりましたね。
佐野 何よりここまでついてきてくれた、み!るきーずがいたから、僕らデビューできたので、みんなの顔を見ると涙が出てくるよね。
──何があってもM!LKを応援しようと必死についてきてくれた存在ですもんね。
佐野 今回のツアー中、福岡公演かどこかの会場ですごい暗い雰囲気になったタイミングを感じて。オンラインでお話し会をした時に、その真相を教えてくれたんですけど、みんな今回のツアーで解散を告げられると思っていたらしいんです。「集大成」「絶対に来て」と僕たちが言ってるし、“もしかしたら…解散?”という気持ちがあったらしくて。心配ごとを多くさせているグループなんでそう思わせてしまったのは本当に申し訳ないなと思ったのと同時に、だからこそこうやってようやく! 良い報告ができてうれしかったです。
吉田 やっとだね、本当に。
■“踏ん張り続ける”じゃなくて“進化し続ける”
──そもそも、メジャーデビューを聞いた時の心境はどうでした?
曽野 「舜太、この日に会社へ来てくれ」と5人それぞれ事務所へ呼ばれてたみたいで。いざ会議室に入ったら重たい雰囲気で「うわ、何だろう…」と不安がってたら「メジャーデビューするよ」と(笑)。
──そこで喜びと安堵の気持ちになって。
曽野 ただ、その前に覚悟を問われたんです。「これから先もM!LKでやっていく覚悟はあるか?」と。改めてそこで気が引き締まったというか、これから自分の進んでいく道に責任を持って走っていかないとダメだなと決意が固まりました。
塩﨑 正直に言えば…うまくいかずに伸び悩んでいたんです。自分としてもM!LKが良い方向に進むための転機がほしいなとずっと思っていて。メジャーデビューの話を聞いた時、M!LKにとってこれ以上ないチャンスが来たなと。この機会を逃したら、もう次がないと思うんですよね。だからこそ、今本当に頑張らなければいけないんです。
吉田 …かなり真面目な空気ですね。
曽野 真面目って(笑)。
吉田 いや、太智がここまで芯に迫った話をするのが、ちょっと意外だったからさ。でも、それだけM!LKにかけてる想いがあるってことでもあって…いろんな形式にM!LKは変わってきて…と細かい波があると、前に進んでるつもりでも自分たちは後退してるんじゃないか? と感じることもあったので、やっと前を向けるというか、この5人で進むべき道を走れるなって。
──それだけ充実感に満ちているんですね。
吉田 あらたにスタッフさんが加わって、いろんな方にアドバイスをもらうたびに、ありがたさを感じています。ようやく“踏ん張り続ける”じゃなくて“進化し続ける”にシフトチェンジできました。ここからなんです、僕らは。
プロフィール
ミルク/佐野勇斗、塩﨑太智、曽野舜太、山中柔太朗、吉田仁人。スターダストプロモーションに所属する5人組ボーカルダンスユニット。
M!LK OFFICIAL WEBSITE
http://sd-milk.com/
M!LK OFFICIAL YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCHqQCpqvSOcHQr6Oqa4_5wg
M!LK OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/milk_info
M!LK OFFICIAL Instagram
https://www.instagram.com/milk_official_2014/
リリース情報
2021.11.24 ON SALE
SINGLE「Ribbon」
ライブ情報
M!LK LIVE 2022 NEXT WINNER
02/13(日)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール