新生活のスタートで不安な気持ち、仕事や勉強で挫けそうなときなど、音楽で気持ちを上げ「よし!頑張ろう!」と気合いを入れた経験はないだろうか。今回は様々なシチュエーションにあう“聴くだけで勇気がもらえる”応援ソングを定番から最新まで20曲を紹介。
プレイリストをお守り代わりに“いざ!”というときは、力をもらってほしい。
■背中を押してくれる人気応援ソング20曲
「ケセラセラ」Mrs. GREEN APPLE
「タイムパラドックス」Vaundy
「ichiban」King & Prince
「栄光の架橋」ゆず
「ワタリドリ」[Alexandros]
「地球儀」米津玄師
「晴る」ヨルシカ
「残響散歌」Aimer
「TOMORROW」岡本真夜
「♡人生♡」コレサワ
「最高到達点」SEKAI NO OWARI
「希望の轍」サザンオールスターズ
「アドベンチャー」YOASOBI
「オレンジ」SPYAIR
「紅蓮華」LiSA
「のびしろ」Creepy Nuts
「君に捧げる応援歌」HIPPY
「僕らまた」SG
「廻廻奇譚」Eve
「うっせぇわ」Ado
「ケセラセラ」Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)
テレビドラマ『日曜の夜ぐらいは…』主題歌。“なるようになるさ”という意味のスペイン語“ケセラセラ”が、まるで不安を和らげてくれる魔法の呪文のよう。様々な角度から温かな言葉を投げかけてくれる歌詞を受け止めると、抱えている悩みを理解してもらえたような感覚になる。ドラマチックな曲の展開、ドリーミーなメロディ、絶妙なポイントで繰り出されるファルセットなど、音楽的な聴きどころも満載。2023年リリースの曲だが、不朽の応援ソングとしてこれからも愛され続けるに違いない。
タイムパラドックス」Vaundy(バウンディ)
『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』主題歌。「タイムパラドックス」とは、“タイムトラベルによって過去を改変した際に生じる矛盾”という意味。過去の自分が抱いた心の痛みを誰よりも理解している存在=未来の自分の言葉を伝えるこの歌は、矛盾を越えて届けられる温かなエールだ。過去の自分を思い出したり、未来の自分に想いを馳せたりするのも一種の時間旅行。つらい日々を乗り越えて現在に至り、未来への進もうとしている自分を肯定したくなる気持ちを、Vaundyの歌が穏やかに掻き立ててくれる。
「ichiban」King & Prince(キング アンド プリンス)
立ち止まることなくナンバーワンを目指し続ける不屈の向上心を歌い上げている「ichiban」。この曲に含まれているリスナーを鼓舞する要素は、歌詞の言葉の意味だけではない。音の響きによっても心を熱く掻き立てる力が醸し出されている。作詞作曲を手掛けたのはKREVA。ラッパーである彼ならではの圧倒的な押韻=ライミングが絶大な昂揚感を生んでいる点にぜひ注目しながら聴いていただきたい。聴覚を心地よく刺激するサウンドでも心に膨大なエネルギーをチャージすることができる応援ソングだ。
「栄光の架橋」ゆず
「栄光の架け橋」は、孤独な戦いを繰り返しながら前に進むあらゆる人々にエールを贈る。2004年のNHKアテネオリンピック放送テーマソングだったのを鮮烈に記憶している人もいるだろう。団体競技だったとしてもアスリートの日常は、各々の地道な努力の連続だ。注いだエネルギーに見合った結果を得られるとは限らず、ひとりで挫折を噛み締めることもたびたびある。試練を乗り越えてオリンピックに出場した選手たちを見守ったこの曲は、仕事や学業などで奮闘している人々への讃歌としても響き渡る。
「ワタリドリ」 [Alexandros](アレキサンドロス)
2015年にリリースされたメジャーデビューシングルのタイトル曲。激しい風雨にさらされながらも一心不乱に羽ばたいて旅を続ける渡り鳥をモチーフとすることで、傷つきながらも挫けることなく夢や目標に向かって進む人の姿を浮き彫りにしている。アイリッシュフォークを彷彿とさせる牧歌的ムード、叙情性が心地よい。UKロックへの敬愛を反映しつつ、英語と日本語が絶妙に連なり合う歌で独特なグルーヴを醸し出している点も要注目。[Alexandros]ならではの表現スタイルも再確認させられる曲だ。
「地球儀」米津玄師(よねづけんし)
スタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』主題歌。この曲には“応援”としてストレートに迫るフレーズは登場しない。それでもリスナーの心を鼓舞するのはなぜなのか? その理由とは、“この世にちっぽけな存在として生れて、出会いと別れを繰り返しながら生きる魂の描写が大きな力を放っているから”なのだと思う。じっくり向き合うと、どんな人生にも何か意味があるのだと実感できる。 “この道が続くのは 続けて願ったから”という歌詞は、今こうして生きているすべての人を静かに讃える素敵な言葉だ。
「晴る」ヨルシカ
テレビアニメ『葬送のフリーレン』第2クール オープニングテーマ。降りしきる雨、晴れ渡った空、咲き誇る花などの描写が印象的。全体的に穏やかなトーンだが、刻々と表情を変える自然の風景が様々な出来事が起こる人生とリンクしているのを感じた瞬間、この曲はすがすがしいエネルギーの結晶と化す。“降り止めば雨でさえ 貴方を飾る晴る”“降り頻る雨でさえ 雲の上では晴る”は、強く心に響く一節だ。言葉のダブルミーニングに気づくと一際深みを増すので、歌詞をじっくり読むのもお勧めしたい。
「残響散歌」Aimer(エメ)
テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編オープニングテーマ。炭治郎たちの姿を思い浮かべながら繰り返し聴いている人がたくさんいるはず。高らかに吹き鳴らされるブラス、躍動するピアノ、パンチの利いたAimerの歌声など、あらゆる音が心を熱く掻き立ててくれる。和的情緒を感じさせる言葉を散りばめた歌詞も、困難を乗り越えて前に進む気持ちを後押しする表現の連続だ。“光も痛みも怒りも全部抱きしめて 選ばれなければ選べばいい”など、勇気を貰えるフレーズとたくさん出会える。
「TOMORROW」岡本真夜(おかもとまよ)
1995年にリリースされて以来、幅広い世代に愛され続けている王道の応援ソング。岡本真夜の歌声の透明感が素晴らしい。テレビドラマ『セカンド・チャンス』の主題歌だったので、印象的だったシーンを思い出す人も多いのでは?“涙の数だけ強くなれるよ”は、繰り返される毎にリスナーの心を温める。そして、終盤で現れる“涙の数だけ強くなろうよ”は、この曲の説得力を一際高める一節だ。ファイティングポーズを感じる力強い意志表示によって歌詞に込められたメッセージの深みが増している。
「♡人生♡」コレサワ
ポジティブなメッセージを投げかける歌ではなくても、表現されている何かが共鳴を誘う力を帯びているならば、それはリスナーの心を上向かせる応援ソングと化す。コレサワの「♡人生♡」は、まさにこの類型に該当するのだと思う。他の誰のものでもない自分の人生をとことん謳歌する姿勢が大きなメッセージへと繋がっている曲だ。“好きなこと”を羅列する歌が、自分という存在を全力で肯定しているのを感じる。「私なんて取るに足らない人間だ」と落ち込んでしまったときは、この曲をぜひ聴いてほしい。
「最高到達点」SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)
2023年にテレビアニメ『ONE PIECE』主題歌となった「最高到達点」。SEKAI NO OWARIの真骨頂ともいうべきドリーミーなサウンドとともに展開する歌は、人生に迷ったときに心に響くフレーズの宝庫だ。物事がうまくいかないとき、人はどうしても自分自身を責めて、否定してしまう。そんなときに必要な視点をこの曲はたくさん届けてくれる。歌い出しの“弱さを味方につけた僕は 誰よりも高く飛べるのだから”を聴いた瞬間、あなたの凍えた心は蘇生し始めるはず。聴きながらたくさんの光を見つけてほしい。
「希望の轍」サザンオールスターズ
1990年に公開された桑田佳祐の監督作品、映画『稲村ジェーン』のサウンドトラックに収録されたあと、“サザンオールスターズの曲”として広く知られるようになった。湘南の海沿いをイメージさせるワードを交えながら車窓から見える風景を描写しているので、ドライブソングとして聴いても最高に気持ちいい。移り変わる景色が、人生という旅と重なりながらすがすがしいエネルギーを生んでいる。郷愁を誘うメロディに乾いたフィーリングを添えるソウルフルな歌声も味わい深い。
「アドベンチャー」YOASOBI(ヨアソビ)
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのキャンペーン『ユニ春』テーマソングとして書き下ろされた「アドベンチャー」。思い描いていたような新生活を過ごせない息苦しさから抜け出して、気の合う仲間とテーマパークで楽しい時間を過ごす姿が、穏やかに躍動するサウンド、瑞々しい歌声によって表現されている。悩みが募り続ける日々が延々と続くと、どうしても人間の思考は凝り固まってしまいがちだ。この曲を聴いて束の間の開放感を味わうひと時は、厳しい現実と戦う力をよみがえらせてくれる。
「オレンジ」SPYAIR(スパイエアー)
自信を失くして前に進めなくなったときの対処法はいろいろあるだろうが、何かに一生懸命取り組んだ過去の自分を思い出してみるのは非常に有効だ。学生時代に部活動に打ち込んだ経験がある人ならば、その頃に立ち還ることによって大切なものをたくさん取り戻せるのでは? 『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』主題歌となった「オレンジ」は、そんなことを考えさせてくれる。共に目標を目指した仲間からの言葉のような歌に触れると、かつての自分が抱いた熱い心を取り戻すヒントを得られるはずだ。
「紅蓮華」LiSA(リサ)
アニメ『鬼滅の刃』竈門炭治郎 立志編 オープニングテーマ。非情な現実に立ち向かう炭治郎の姿と鮮やかに重なる「紅蓮華」は、たくさんの人々を勇気づけてきたに違いない。絶望を乗り越えて未来へ向かう姿が、この曲には刻まれている。敗北を味わったとしても、次に勝利できる自分になれれば、過去の痛みは意味のある糧となる。そんなことを心の底から思わせてくれる歌詞だ。ビートを華麗に乗りこなしながら躍動する歌の表現力も素晴らしい。活き活きとしたエネルギーが声にみなぎっている。
「のびしろ」Creepy Nuts(クリーピーナッツ)
悩みや迷いが生じたならば、ときには肩の力を抜くことも必要なのだと気づかせてくれる「のびしろ」。 “衰える”とほぼ同義語とされがちな“加齢”を前向きに捉えて、“俺らまだのびしろしかないわ”と高らかに歌う姿は、ある程度の年齢を重ねたリスナーを勇気づけるのはもちろん、将来の不安でいっぱいの若者の未来も優しく照らす。人生がずっと成長期なのだと確信できれば、日々の暮らしは未知の出来事とたくさん出会える素敵な旅であり続ける。そんなこと思わせてくれる曲だ。
「君に捧げる応援歌」HIPPY(ヒッピー)
いつの時代も応援ソングが世の中から求められるのは、夢に向かって進む人が根本的には孤独だからなのだと思う。絶望の淵に立ったときにイヤホンから聴こえてくるメロディ、ふと口ずさむ大好きな一節は、孤軍奮闘する自分の追い風になってくれる。「君に捧げる応援歌」が届けるエネルギーも、ひたすら温かくて力強い。思い描いていた結果を得られない状況が続くと、焦る気持ちがどんどん膨らんでいく。“立ち上がろうとする君に捧ぐ”と歌うHIPPYの歌声は、そんなときのあなたの理解者だ。
「僕らまた」SG (ソギョン)
2021年のリリース直後から大反響を呼び、“令和の卒業ソング”として高い支持を集め続けている「僕らまた」。一緒に食べたアイスの味、夕方の帰り道、雨でびしょ濡れになって笑い合った顔など、共有している思い出を噛み締めながら再会の約束を交わす姿が歌われている。社会に出てから数年経った人にとっては、大切な友から届いたエールのように感じられる歌なのかもしれない。卒業ソングでありつつも、ある程度の年齢を重ねたリスナーにとっては応援ソングにもなり得る魅力がこの曲にはある。
「廻廻奇譚」Eve(イブ)
テレビアニメ『呪術廻戦』第1クールオープニング主題歌。登場するキャラクターやストーリーを踏まえつつ、リスナー各々が抱えている心情ともシンクロできるのがアニメソングだが、襲いかかる困難と格闘する姿を伝える「廻廻奇譚」もそういう力を帯びている。様々な困難と向き合わざるを得ない我々の日常は、化け物や呪霊と戦う『呪術廻戦』と相似形と言っても過言ではない。平熱で歌っているようでいながら膨大なエネルギーを渦巻かせているEveの歌声も含めて、闘志を掻き立ててくれる曲だ。
「うっせぇわ」Ado(アド)
元気を取り戻したいときに応援ソングの温かなメッセージを受け止めてひび割れた心を潤すのも素敵だが、思いっきり毒を吐く音楽を聴きながらモヤモヤした感情を吹き飛ばすのも即効性が高いのでお勧め。現実の生活の中ではなかなか言葉に出して言えない苛立ちを鮮やかに言語化して歌い上げる「うっせぇわ」は、心の洗濯をしてくれる曲だ。多彩なニュアンスを交えながら表情豊かに歌い上げるAdoの歌声が、我々に代わってストレスの原因を討伐する雄々しい戦士と化している。
■聴くだけで励まされる名曲が盛りだくさん
定番の曲から最新曲まで、一度は耳にしたことのある名曲揃いだったのではないだろうか。元気がないとき、挫けそうなとき…、耳から入ってくるワンフレーズが心に響き“まだまだやれる”と自分を鼓舞することができる応援ソング。
仕事や学業を頑張っている人も、スポーツや部活に励んでいる人も、自分にぴったりの一曲をぜひ見つけてほしい。
TEXT BY 田中大