島根県出身のピアノトリオバンド、Omoinotake。10年以上の活動歴を誇るが、新曲「幾億光年」がTBS系 火曜ドラマ『Eye Love You』主題歌に抜擢され、現在Spotify急上昇チャートや、Apple Music・LINE MUSICにおける国内ストリーミングチャートでTOP10にランクインし、注目度が急上昇中だ。今回はバンドの成り立ちやメンバーのプロフィールをひも解き、人気曲を考察する。
▼Omoinotake | 幾億光年 【Official Music Video】
■Omoinotakeの由来とは?注目のピアノトリオバンド
◎Omoinotake(読み:オモイノタケ)
・結成:2012年
・メジャーデビュー:2021年11月17日
・メジャーデビュー作品:1st EP『EVERBLUE』
・メンバー:冨田洋之進 / ドラゲ(Dr) 、藤井怜央 / レオ(Vo&Key) 、福島智朗 / エモアキ (Ba)
・OFFICIAL SITE:https://omoinotake.com/
・YouTube:https://www.youtube.com/@Omoinotake
・Instagram:https://www.instagram.com/omoinotake/
・X(Twitter):https://twitter.com/Omoinotakey
Omoinotakeは藤井怜央(Vo&Key)、福島智朗(Ba)、 冨田洋之進(Dr)、から成るピアノトリオバンド。全員が島根県出身だが、結成されたのは、全員が進学をきっかけに上京した後のこと。バンド名の由来は、福島がいちばんが好きな言葉“思いの丈”を、漢字だと重すぎるから、という理由で英字表記にしたのだという。
2012年に結成。ライブハウスで活動するだけではなく、渋谷を中心にストリートライブも行い、幅広い層に知られるようになる。
オーディション『RO69JACK 2016』入賞を果たし、2017年に1stフルアルバム『So far』、1stミニアルバム『beside』をリリース。2018年には2ndミニアルバム『Street Light』をリリースする。
2020年2月19日リリースの3rdミニアルバム表題曲「モラトリアム」が、映画『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』主題歌に決定。2020年11月に4thミニアルバム『Long for』をリリースし、2021年11月、アニメ『ブルーピリオド』のオープニングテーマ「EVERBLUE」収録のEP『EVERBLUE』でメジャーデビューを果たす。
▼Omoinotake – モラトリアム | With ensemble
▼Omoinotake – EVERBLUE | With ensemble
2022年12月には2nd EP『Dear DECADE,』を、2023年9月にはメジャー1stアルバム『Ammolite』をリリース。本作には映画『チェリまほ THE MOVIE~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』主題歌「心音」や、NHK松江放送局 開局90周年記念テーマソング「オーダーメイド」、アニメ『ホリミヤ -piece-』オープニングテーマ「幸せ」、ドラマ『彼女たちの犯罪』主題歌「渦幕」などが収録され、大きな話題を呼んだ。
▼Omoinotake / 心音 [Official Music Video]
▼Omoinotake | オーダーメイド [Lyric Video]
▼Omoinotake | 幸せ【Official Music Video】
▼Omoinotake | 渦幕 【Official Music Video】
そして2024年1月24日TBS系 火曜ドラマ『Eye Love You』主題歌として書き下ろした新曲「幾億光年」をデジタルリリースし、2月28日にはシングル・パッケージをリリースする。さらなる飛躍が期待されている。
▼Omoinotake | 幾億光年 【Official Music Video】
■メンバープロフィール
藤井怜央(読み:ふじい れお)
・通称:レオ
・ポジション:ボーカル、キーボード
・出身地:島根県
・Instagram https://www.instagram.com/leo_omoinotake/
・X(Twitter)https://twitter.com/Leo_Omoinotake
島根県でバンド活動をしていたときはドラマーだったが、コーラスがうまいと評判だった。キーボードはピアノを習っていた経験があり、中学生の頃にはピアノを弾きながら歌って遊んでいたという。
ルーツは、Omoinotakeに直接つながるブラックミュージックやシティポップのみならず、学生時代まで遡ると銀杏BOYZ、HAWAIIAN6、WRONG SCALEなども愛聴していた。
Omoinotakeでは、ほとんどの楽曲において作曲を担う。
福島智朗(読み:ふくしま ともあき)
・通称:エモアキ
・ポジション:ベース
・出身地:島根県
・Instagram https://www.instagram.com/emoaki_omoinotake/
・X(Twitter)https://twitter.com/Emoaki05
そもそも、先に上京した福島と冨田がバンドをやろうとしていた経緯もあり、現在の音楽性に至る前は、福島がメインコンポーザーだった。ほとんどの楽曲の作詞を担当しており、自身のInstagramでエッセイも執筆し、文才を発揮している。2024年1月からは山陰中央新報で『Omoinotake 心の詩(うた)』を連載中。
中学生の頃に聴いていたのは銀杏BOYZやウィーザー。飲み屋でアルバイトをしていたので、バンドの打ち上げでも飲み担当の顔を持つ。
冨田洋之進(読み:とみた ひろのしん)
・通称:ドラゲ
・ポジション:ドラム
・出身地:島根県
・Instagram https://www.instagram.com/hironoshin_omoinotake
・X(Twitter) https://twitter.com/pironokin1
学生時代はドラムを習っていた(ちなみに、藤井も同じ教室に通っていた)。その頃に好きだったバンドは、ORANGE RANGEや凛として時雨。その後上京し、尚美ミュージックカレッジ専門学校のジャズ・ポピュラー学科で学ぶ。福島と一緒に様々なメンバー候補者とスタジオに入るなか、最終的に藤井の上京を待ってOmoinotakeが結成された。
冨田が好きなロバート・グラスパーや、冨田がceroのアルバム『Obscure Ride』を聴いて衝撃を受けたことが、Omoinotakeの音楽性に大きな影響を与えた。
■Omoinotakeの魅力
◎強さと儚さを合わせ持つ歌声
Omoinotakeの飛躍を語るうえで、最も欠かせないのは藤井怜央の歌声だろう。高く柔らかい声質は、幅広い趣向のリスナーの耳を掴み、あらゆる世界観の歌詞、様々なジャンルの曲調にフィットする。さらに、まっすぐに歌う芯の強さと、ハイトーンで表現する儚さを合わせ持ち、楽曲をドラマティックに彩るのだ。楽器が織り成すテクニカルでタフなアンサンブルにも対峙できる、バンドのボーカルらしい存在感。そして、アカペラでも通用するような個の才能。どちらの角度から見てもすぐれたシンガーといえる。藤井の歌が、楽曲や演奏を解析できるディープなミュージックラバーに留まらない層へOmoinotakeを届ける原動力となっていることは、間違いない。
◎日本語を美しく響かせる歌詞
魅力的な歌声やテクニカルな演奏という音色の素晴らしさを誇りながら、それでもOmoinotakeは“歌詞のバンド”と言いたくなる。そもそもOmoinotakeというバンド名にも、福島が好きな“思いの丈”という言葉に由来しており、歌詞には並々ならぬこだわりが感じられる。ほとんどの作詞をボーカルの藤井ではなくベーシストの福島が担当しているということで、福島が文才や思いがあるからというだけではなく、歌わないメンバーとしての距離感も、時に振り切れる歌詞に結びついているのだろう。“感情の胎動”(「産声」)などといった、ハッとするような言葉の組み合わせも、いい意味で耳を休ませない。
▼Omoinotake / 産声 [Official Music Video]
◎ギターレスが生み出す新たなグルーヴ
多種多様なバンドが存在する今も、やはりバンドといえばボーカル、ギター、ベース、ドラムがいるというイメージがある。そんななかでOmoinotakeは、ピアノトリオバンドというギターレスのスタイルを貫いている。“この3人でバンドをやりたかった”結果、ギターレスになったという経緯もあると思うが、3人のルーツを探ると、スタンダードなスタイルのバンドも多い。そういったルーツからバンドならではのグルーヴを学び、ピアノトリオバンドというスタイルに落とし込んだことで、Omoinotakeはオリジナリティを得たのではないだろうか。ボトムを支えるだけではなく、時に彩りともなるリズム隊、そして主役にも伴奏にもなれるピアノという変化自在のしなやかさが、Omoinotakeのグルーヴの肝だ。
■『THE FIRST TAKE』での「幾億光年」
▼Omoinotake | 幾億光年 【Official Music Video】
これまで、数々のタイアップとタッグを組んできたOmoinotake。今回は、二階堂ふみ主演 TBS系 火曜ドラマ『Eye Love You』の主題歌を書き下ろした。歌はじまりの爽快な、それでいてメロディはエモーショナルなポップチューン。編曲には、ライブでのホーンアレンジを手がけた小西遼(CRCK/LCKS、象眠舎)を迎え、ホーンやコーラスがスケール感に拍車を掛ける仕上がりになっている。“どれだけの時が流れても 永遠に過去形にならない「I Love You」”など、キラーフレーズも満載。
▼Omoinotake – 幾億光年 / THE FIRST TAKE
『THE FIRST TAKE』でも披露されており、まずは藤井が、ひと言ずつ噛みしめるように歌い出す。そこから弾き語りに、そして福島と冨田、コーラスやホーンが加わるという、原曲とは違ったアレンジを聴くことができる。白バックで映える藤井の表情からは、歌と全身全霊で向き合っていることも伝わる。演奏終えた後に湧き上がる拍手、そして冨田の「フゥー!」と盛り上がる声は達成感に満ちているが、視聴者も胸がいっぱいになるはずだ。
■Omoinotakeを知るなら!人気曲5選をチェック
「渦幕」
ドラマ『彼女たちの犯罪』主題歌として、2023年7月にリリース。2023年9月リリースのメジャー1stアルバム『Ammolite』にも収録された。「渦幕」と書いて“うずまく”と読む。渇望を抱える女性たちが繰り広げるスリリングサスペンス・ドラマの主題歌として書き下ろされたこともあって、ひんやりするメロディとゾクゾクするビート、そして“運命に抗うように もがいて渦の中”などといった、名状しがたい苦しみを表現した歌詞が印象的。それでいて、“愛しいだから哀しい”と、あらゆることに通じるようなフレーズも盛り込まれている。
「幸せ」
アニメ『ホリミヤ -piece-』オープニングテーマとして、2023年9月にリリース。同月にリリースされたメジャー1stアルバム『Ammolite』にも収録されている。“超微炭酸系スクールライフ”を描いたアニメのために書き下ろされたために“飲み干した 甘いサイダー”なんて歌詞も粋に混ぜ込みながら、キラッキラの青春ソングに仕上げている。ボトムをしっかりと固めつつ、シンセやハイトーンボイス、コーラスといった音色をシュワッと弾けさせる展開がドラマティック。“宇宙が終わっても 君を愛すよ”という究極まで連れていってくれる。
「EVERBLUE」
アニメ『ブルーピリオド』のオープニングテーマで、2021年11月リリースのメジャーデビューEP『EVERBLUE』に収録。歌、ピアノ、ベース、ドラム、一つひとつ楽器の音色がはっきり聴こえてくる、一人ひとりの演奏技術が発揮された、メジャーデビューの名刺代わりにぴったりなナンバー。美大を目指して青春を燃やすアニメのストーリーと、音楽を創造するOmoinotakeの、“アート”の円が重なったからか、とてもエモーショナルに響いてくる。『With ensemble』で披露されている、流麗且つ温かいオリジナルアレンジのオーケストラ演奏も聴き応えたっぷり。
▼Omoinotake – EVERBLUE With ensemble
「心音」
映画『チェリまほ THE MOVIE~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』主題歌として2022年4月にリリース。2023年9月リリースのメジャー1stアルバム『Ammolite』にも収録された。“バラバラで生まれた僕らなのに 同じリズムを刻む 二つの心音”“二つの心で 一つの未来を選ぼう”など、『チェリまほ』のみならず、様々な境遇の恋愛や、一筋縄ではいかない時代に重ね合わせられるフレーズが、まばゆい曲調にちりばめられている。こちらも『With ensemble』で披露されており、華やかなストリングスに包まれる中、いつも以上に一言一言を噛みしめるように歌う藤井のボーカルが印象的。
▼Omoinotake – 心音 With ensemble
「One Day」
2020年5月にリリースされ、2020年11月にリリースされた4thミニアルバム『Long for』及び、2023年9月にリリースされたメジャー1stアルバム『Ammolite』にも収録された。2021年放送の『関ジャム 完全燃SHOW』でプロデューサー・蔦谷好位置がピックアップしたことでも広まった、グルーヴ感がクセになるナンバー。コロナ禍の2020年5月に公開された『THE HOME TAKE』バージョンでは、メンバー3人の体温が伝わるようなシンプルなアレンジのなかで響く“だから僕は灯火が消えないように今歌うから”“再会を誓い合いたい”というフレーズが、それまで以上に心に染みたことが忘れられない。
▼Omoinotake – One Day / THE HOME TAKE
■Omoinotakeの最新情報に注目
3月には東名阪をまわる『春の大三角ツアー 2024』、4月28日には大阪城野音公演『Omoinotake SPECIAL LIVE 2024 “エアレンデル”』など、ライブも目白押しのOmoinotake。ぜひ、目と耳を離さないでほしい。
TEXT BY 高橋美穂
▼Omoinotakeの最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/1119/