いま、現役タイル職人にして無名の新人アーティスト、虎鷹が歌う、「そんな人生を堪能したい」が大きな話題を集めている。
同曲の“幸せなら手をたたけ!”のフレーズが、TikTokやSNSを中心にバイラルヒット。無名の新人アーティストながら、『THE FIRST TAKE』への出演が決定し、11月3日に公開されたパフォーマンス映像は12月17日時点で、70万回視聴を突破している。
▼虎鷹 – そんな人生を堪能したい / THE FIRST TAKE
虎鷹とはいったい何者なのか? 「そんな人生を堪能したい」はなぜバズったのか? この記事では、本人のコメントを交えながら、その謎や理由を解き明かしていきたい。
■タイル職人として仕事しながら、年間100本に及ぶライブ活動
・名前:虎鷹(読み:こたか)
・生年月日:1998年3月30日
・血液型:A型
・活動拠点:大阪
・X(Twitter)https://twitter.com/kotaka03301
・YouTube https://www.youtube.com/@kotaka0330
・TikTok https://www.tiktok.com/@kotaka0330
・Instagram https://www.instagram.com/kotaka0330/
大阪を中心に活動する、無名の新人アーティスト・虎鷹。虎鷹のアーティスト名は、「よく芸名だと思われるんですが、本名です」と明かした虎鷹。親が“陸でも空でも、どこにいても強く生きて欲しい”という意味を込めて付けたらしいんですが、名前負けしてますね(笑)」と名前の由来について語ると、「子供の頃は、“こた”とか“こっちゃん”とか呼ばれてました」と話す。
友達の影響で17歳で音楽を始めると、作詞・作曲・編曲を自身で行うようになり、2019年頃からSNSで楽曲を公開。「子供の頃からよく親に歌わされてて、歌うことは昔から大好きでした。あの頃は“やれば売れるだろう”と、音楽のことをめちゃくちゃナメてましたね」と、軽い気持ちで音楽を始めたことを明かした虎鷹。当時、影響を受けたアーティストに玉置浩二や清水翔太を挙げたことから、個性的かつ圧倒的歌唱力への憧れが見える。
SNSでの楽曲公開と同時に、オリジナル曲を掲げてライブ活動を行うようになると、「自身の歌を聴いて泣いている人がステージから見えたことがあって。“こうして、感情を届けられる職業って素晴らしいな”と思った」という体験をキッカケに、“これを仕事にしたい!”と強く思うようになり、音楽活動に本腰を入れるようになったそう。普段はタイル職人として外壁施工等の仕事を行いながら、ライブハウスや路上などで、年間100本にも及ぶライブ活動を行っている。
仕事と音楽の両立について聞くと、「日曜日しか休みがなくて、ライブ以外の日はフルで仕事に出ている状態なので。仕事から帰って来て、寝るまでの時間を全部音楽に費やしています」と話し、「ご飯を食べる時間ももったいないので、帰りにコンビニで食べ物を買って、帰路で歩きながら食べて。帰宅後は睡眠時間を削って、制作活動をしてます」と日常を語った虎鷹。仕事中も音楽のことを考えており、浮かんだアイデアを休憩時間にまとめることもあるそうで、「仕事も行けなくなるくらい音楽活動が忙しくなって、24時間音楽のことだけ考えられるようになるのが目標です」と、現在の生活を支える仕事の重要さも理解しながら、決して現状に満足してるわけではないことを強調した。
そんな音楽と仕事と両立を続ける中で生まれた、「そんな人生を堪能したい」のライブパフォーマンスをTikTokにアップしたのは今年7月。「この曲に勇気をもらった」という反響がユーザーから続々と届くと同時に、同楽曲を使用した“幸せなら手を叩けダンス”がブームに。上ノ堀結愛や向井怜衣といったインフルエンサーによるバズ投稿も続々発生し、関連動画は2万投稿越え、1億再生に迫るバイラルヒットを記録する。
@kotaka0330 こんな自分じゃないといけない!と 凝り固まってしまうくらいなら はみ出して笑われても 楽しめる人生を送りたいって曲です そんな人生を堪能したい/虎鷹 #そんな人生を堪能したい#悩んでる人へ #邦楽 #作詞作曲 #楽しめ#おすすめにのりたい
@yua.u__ 幸せなら手を叩けぇぇ👏🏻🧡
@rei_toy625
@rei_toy625
ヒットの要因として、まずは“幸せなら手を叩け”の耳馴染みのあるワードやキャッチーなメロディ、真似して踊りたくなる明るくリズミカルな曲調というのがあるが、この曲が生まれた経緯について、「日々のストレスから絞り出した部分もあるかも知れない」と虎鷹が語るように、ただ明るく楽しいハッピーソングでなく。日々の生活にある辛さやしんどさも踏まえた上で、「そんな人生を堪能したい」と明るく歌うところにこそ楽曲の真意があり、そこを感じ取り、共感したリスナーが多くいたことも、ヒットの要因となっている。
■分かりやすく、誰にでも寄り添える音楽を届けたい
「そんな人生を堪能したい」が、TikTokでバイラルヒットしての感想を聞くと、「僕の歌をたくさんの人に届けるのが目的だったので、とにかく嬉しかったですね。何万投稿とか、数字にはあまり実感がないですけど。電車で隣に座ってる高校生が僕の動画をスマホで見ているのを見た時は、変な感覚になりました。横にいるのが本人だってことは気づかれなかったんですけど、心の中で“俺、俺!”と思ってました(笑)」と笑った虎鷹。
さらに「そんな人生を堪能したい」のSNSやTikTokでのビッグバズを受けて、11月には同曲を引っ提げて『THE FIRST TAKE』に登場。無名の新人アーティストとしては異例となる、『THE FIRST TAKE』の出演だったが「この曲を聴いてくださるみなさまの心に、少しでもお邪魔出来たらなと思って。一生懸命歌いますので聴いて下さい」の挨拶から始まる、たっぷり気持ちを込めた歌とパフォーマンス、笑顔で本当に楽しそうに歌う姿が見る者の心を動かし、現段階で70万回視聴を記録。
▼虎鷹 – そんな人生を堪能したい / THE FIRST TAKE
『THE FIRST TAKE』出演の感想を聞くと、「出演する前はちょっと疑ってたんですけど、本当に一発録りだったことにびっくりしました!」と笑って答え、「撮影現場では、本番が始まる少し前から現場がピリピリし始めたのと、ミスが許されないというところで、これまで経験したどんなライブよりも緊張して。歌い終えた後に『緊張した~!』と言葉が漏れてしまったのは本音です(笑)。いざ歌い出すと、いつも通りで気持ちを込めて歌うことが出来たんですが。“伝えたいところを抑えておきたい”と思って喋った、前後の喋りの部分が一番緊張しました」と、とにかく緊張したことを繰り返し話した虎鷹。
『THE FIRST TAKE』出演後の反響やリアクションについては、「やっぱり『THE FIRST TAKE』ですから。公開後は周りから一目置かれてる感覚はあって、TikTokでバズった時とはちょっと違った気持ちです」と返答。周囲の反響ということで、仕事仲間からのリアクションについて聞くと、「知ってるとは思うんですけど、あえて触れないみたいなところはありますね」と話した虎鷹。仕事仲間の気遣いなのか、照れもあるのか。その関係性は本人にしか分からないが、職場での何気ない会話が「そんな人生を堪能したい」の誕生に大きく関わっていたことは、職場仲間も知り得ないはず。
「そんな人生を堪能したい」に限らず、曲を作る際は“分かりやすく、誰にでも寄り添えること”をもっとも大事にしているそうで、「年齢性別問わず、聴く人全てに届けることを意識しています。届ける相手が人なので、どんなに考えてもそこに正解は無いし、同じ曲でもその時の感情によって良く聴こえたり聴こえなかったりもするんですけど。だからこそ、音楽を作るのは楽しいし、やりがいがあるんです」と話す虎鷹。TikTokでのビッグバズや『THE FIRST TAKE』への出演によって、自身の楽曲が多くの人に届いたという事実により、虎鷹は確かな手応えと強い自信を手に入れた。
■リスナーとの距離感をグッと縮める“馬鹿ばっか”の表現
そんな人生を堪能したい
作詞/作曲:虎鷹何も知らないから
賢くもないから
何故かもどかしいから
寄り道をしたのさ楽しんでもいいかい?
少しずれてもいいかい?
間違ってもいいかい?
そんな人生を堪能したい迷える子羊ちゃん
ねぇ聞いてる?
ねぇ聞こえてる?
安全ポジション 不完全燃焼
飽きたでしょ?そこの犬のおまわりさん
最近笑ってる?
ねぇ疲れてる?
無視されてばっかじゃ寂しいじゃん一度きりの life 楽しみたい
明日仕事なんて言いたくない
でもなんだかんだしんどくない?
あぁアラームが聞きたくない日常的に楽しみたい
人目気にせずに叫びたい
はみ出したい抜け出したいのなら
俺に続いて笑え!we like to party
さぁ胸を張れ everyday晴れ晴れ
どうしようもない僕らは顔見合わせて笑って
we like to party
さぁ胸を張れ everyday晴れ晴れ
馬鹿ばっかな世界には笑顔が似合うんだ幸せなら手を叩け!
ねぇ叩いてる?音鳴らしてる?
本気でやんなきゃこういう遊びは意味ないし
腹の底から声を出せ!
ねぇ叫んでる?声枯らしてる?
周りの目なんてどうでもいいね好きなあの子と結ばれたい
出来ることなら告られたい
あの子のタイプを知りたくない?
うん…知りたくない。能天気に生きていたい
ガラスのハートは割りたくない
勇気を出して告って振られても
笑ってれば good day!we like to party
さぁ胸を張れ everyday晴れ晴れ
救いようのない僕らは
腹を抱えて笑って
we like to party
さぁ胸を張れ everyday晴れ晴れ
馬鹿ばっかな僕らこそ笑顔の元なんだwe like to party
さぁ胸を張れ everyday晴れ晴れ
救いようのない僕らは
友のために泣けるんだ
we like to party
さぁ胸を張れ everyday晴れ晴れ
似た物同士ばっかりなら
ほら馬鹿ばっかwe like to party
さぁ胸を張れ everyday晴れ晴れ
どうしようもない僕らは
顔見合わせて笑って
we like to party
さぁ胸を張れ
everyday晴れ晴れ
馬鹿ばっかな世界は笑顔になるのさ何も知らないから
賢くもないから
何故かもどかしいから
寄り道をしたのさ楽しんでもいいかい
少しずれてもいいかい
間違ってもいいかい
そんな人生を堪能したい
「そんな人生を堪能したい」は、どんなキッカケで出来た曲だったのか? と聞くと、「現場でよく一緒になる職人さんに、『まだ音楽やってるのか?』と聞かれることが多くなって。自分自身も“25歳、年齢的にもどこかで見切りを付けて、辞めなきゃいけないのかな?”と考えていた時期で…」と、楽曲制作に至った背景やその時の心境を語り始めた虎鷹。
「そこで、“ここで一歩も前に進まなかったら、音楽を諦めよう”くらいの気持ちで、ライブ活動を休止して、楽曲制作に専念して。最近の流行りとかサウンドもたくさん聴いて曲作りをして、自分の思ったことを詰め込んで出来た曲が「そんな人生を堪能したい」でした」と制作秘話を話すと、「世間一般でいう“ちゃんとした大人”にならなきゃいけないとか。音楽を辞めなきゃいけないとか。そういうのって邪魔だよなと思ったんですけど。迷惑かけないなら楽しんでやりたいのに、周りの目ばっかり気にしちゃうという気持ちもよく分かるので。そんな境遇の人たちの第一線に立てるように、歌詞を書きました」と、楽曲に込めた思いを熱く語った。
「そんな人生を堪能したい」に、“日常的に楽しみたい/人目気にせずに叫びたい/はみ出したい抜け出したいのなら/俺に続いて笑え”と、虎鷹が語ったことをそのまま表したフレーズがある。“歌手になりたい”とか、“YouTuberになりたい”とか、世間一般の常識からはみ出した夢を語ると、笑われたりバカにされたりしがちだけど。そんな人の夢を全肯定してあげたいし、自分が率先して笑うことで夢を追う人の背中を押したい。それは自身が同じ経験をしたからこそ書けるフレーズだし、だからこそリスナーにリアルに響く。
さらに歌詞について聞くと、「この曲でしつこく使っている“馬鹿ばっか”という表現があるんですが。“お前ら、みんな馬鹿なんだから。とにかく楽しめ!”という表現には、“俺らみたいな世の中のピラミッドの底辺にいる、道をはずしてるヤツらが笑ってるから世界が成り立ってるんだぞ”ってメッセージが込められてて。子供っぽいワードなんですけど、一番意志を込めたワードでもあるんです」と、この曲の鍵を握る“馬鹿ばっか”のキーワードについて語った虎鷹。
楽曲冒頭、“何も知らないから/賢くもないから”と始まる歌詞から、“馬鹿ばっか”が人を小馬鹿にしてワードでなく、“俺もそうだけど”という仲間意識から発せられている言葉であることが良く分かり、リスナーとの距離感をグッと縮めてくれる感覚があるが実際、虎鷹は「むしろ、自分が“馬鹿ばっか”の一番前にいる感覚ですね」と、“馬鹿ばっかの最前線”になる覚悟を込めたフレーズであることを語ってくれた。
■“幸せなら手を叩け!”のフレーズに込めた真意とは?
TikTokのビッグバズに繋がった“幸せなら手を叩け!”のフレーズは、そんな仲間のような近しさを感じさせる虎鷹が呼びかけるからこそ受け入れられるし、思わず笑顔になってしまうし、一緒に手を叩きたくなるが。虎鷹にはこのフレーズにもうひと捻りした、ひねくれた発想があった。
「このフレーズには“手を叩かないから、お前らは幸せじゃないんだぞ!”って気持ちがあって。聴いたことのある“幸せなら手を叩こう”のフレーズに、“いや、幸せじゃないから手を叩けないし…”とか思ってしまう人に、“いいから、黙って手を叩け! 手を叩けば幸せになれるから”という気持ちがあるんです」
“幸せなら手を叩け!”のポジティブなフレーズをネガティブに捉えてしまう人、素直になれない人に対して、虎鷹は笑顔で誰より大きな音で手を叩く。そして、そんな一人ひとりに問いかけるように歌う“ねぇ叩いてる? 音鳴らしてる?”のフレーズに続く、“本気でやんなきゃこういう遊びは意味ないし”のメッセージに込めた思いについて、「ちょっと大人になってスカしちゃう部分もめくるというか。なんでも本気でやったら楽しいから、“本気でやらないから楽しくないんだよ”ってことを伝えたかったんです」と語った虎鷹。さらに「笑う時だって“笑い方がダサいから”なんて思わずに、大口開けて笑うくらいがちょうどいいんです」と話すと、虎鷹は大きな口を開けて笑った。
聴いたことのあるフレーズというところで、“そこの犬のおまわりさん/最近笑ってる? ねぇ疲れてる?”の歌詞について聞くと、「おまわりさんって、いつも怖い顔してるイメージがあるんですけど。子供と笑いながら喋ってるおまわりさんを見たことがあって、笑顔の方が良いなと思ったんです」と話し、「おまわりさんだからって、怖い顔してなきゃいけないというルールは無くて。ちゃんとみんなを守ってくれれば、普段は笑ってても良いと思うんで。聴いたことあるフレーズや分かりやすい比喩として、“犬のおまわりさん”のワードを使って“みんな笑顔になろうよ”というメッセージを込めました」と解説。
さらに、“一度きりのLife楽しみたい/明日仕事なんて言いたくない”と歌い、“あぁアラームが聞きたくない”と誰もが抱える憂鬱を描くことで、どんな時も笑顔であることの重要さを説くこの曲。「この曲を朝、仕事に行く前と仕事から帰ってきてから聴いてもらいたいですね。仕事に行く前に“ほら、笑って今日も頑張って!”って背中を押してあげて、仕事から帰って来たら“今日も一日頑張ったね”って声をかけてあげて。“上手くいかないこともあったけど、これも自分の人生だから堪能しよう”と思ってもらえたら、この曲を書いた意味もあると思いますし。誰かの生活のBGMになれば嬉しいです」と虎鷹は語った。
■夢は京セラドームワンマン!一人ひとりに生で歌を届けたい
「そんな人生を堪能したい」のビッグバズで、自身の名前や存在と楽曲を多くの人に知ってもらう機会を得た虎鷹。
アーティストとしての今後の目標や展望について聞くと、「SNSやネットでの発信は変わらず土台にしながら、会いに来てくれる場所をもっと作りたいと思ってて。ライブに来てもらった一人ひとりに生で歌を届けたいので。めちゃめちゃ有名になって、京セラドームでワンマンライブをやりたいです。あと、大阪城ホールは必ずやりたいですね」と、大きな夢を照れることなく語ってくれた。
『THE FIRST TAKE』で心から楽しそうに歌うパフォーマンスを観た視聴者からは、「この人の優しさがめっちゃ伝わってくる」、「歌ってる姿が楽しそう。こっちまで笑顔になる」といったコメントが多く寄せられた虎鷹。生で歌う姿が観たいという人も多いだろうし、もっと虎鷹を知りたいという人も多いだろう。
その声が届けば、ここからライブやイベント、フェスなどで観る機会も増えることは間違いない。さらなる高いモチベーションを持って、ここから経験する様々な出来事や新たな挑戦を楽曲に反映した虎鷹が、さらなるヒット曲を生み出し、めちゃめちゃ有名になることだって十分考えられる。
現役タイル職人にして無名の新人アーティストが、ひとつの楽曲のヒットをキッカケにどんどん成長していってドーム会場でワンマンライブを行うビッグアーティストになるまでの夢みたいな物語を、虎鷹にぜひ見せてもらいたい。
TEXT BY フジジュン
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