「リカ」を筆頭に、その歌詞がSNSで話題を呼んでいる3ピースバンド・SIX LOUNGE。恋愛などをエモーショナルに描写した歌詞を、正統派ロックンロールで響かせるバンドである。今回は「リカ」をはじめとした人気曲を考察するとともに、そのプロフィールも紐解いていく。
■話題のバンドSIX LOUNGEとは?
SIX LOUNGE(読み:シックスラウンジ)
・メンバー:ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)、ナガマツシンタロウ(Dr/cho)、イワオリク(Ba/cho)
・OFFICIAL SITE https://six-lounge.com/
・YouTube https://www.youtube.com/@sixlounge6824
・Instagram https://www.instagram.com/sixloungeofficial/
・X(Twitter) https://twitter.com/lounge666
・TikTok https://www.tiktok.com/@sixlounge_offcial
SIX LOUNGEは、ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)、 ナガマツシンタロウ(Dr/cho)を中心に2012年に大分県で結成。2015年にはイワオリク(Ba/cho)が加入し、現在のメンバーとなった。
“SIX LOUNGE”というバンド名は、ヤマグチが高校生の頃によく聴いていた、ザ・ローリング・ストーンズが1994年にリリースしたアルバム『Voodoo Lounge』に由来する。当時16歳だった彼らは“16”と『Voodoo Lounge』の“Lounge”という単語を合わせ、“SIX LOUNGE”と命名したのだという。16歳なのに、なぜ“SIXTEEN”にならなかったのかというと、当時の彼らは“16=SIXTEEN”ということがわからず、“SIX”になったそうだ。
大分・T.O.P.S BittsHALL、CLUB SPOTを拠点にライブ活動を重ねていき、2016年3月に1stアルバム『東雲』を、インディーズレーベルTHE NINTH APOLLOよりリリース。さらに2018年4月、ミニアルバム『夢うつつ』で、ユニバーサルミュージックよりメジャーデビューを果たす。そして2022年10月、ソニー・ミュージックレーベルズへ移籍し、EP『ジュネス』をリリースした。
2023年9月には、フルアルバム『FANFARE』をリリース。2023年10月から2024年1月にかけて全国ツアー『SIX LOUNGE TOUR 2023-2024″FANFARE”』を行う。
■メンバープロフィール
ヤマグチユウモリ
・ポジション:ギター、ボーカル
・生年月日:1996年12月5日
・出身地:大分県大分市
・影響を受けたアーティスト:斉藤和義
無骨なロックンロールに影響を受けながらも、艶やかな色気や繊細な歌心まで表現できるボーカリスト。ソロの弾き語りでライブを行うこともある。メインソングライターであり、作曲もギターの弾き語りからはじめることが多かったが、近年ではピアノなど、幅広いスタイルに取り組んでいる。ライブでは、フロントマンとして熱く煽りながらステージを引っ張りつつも、オーディエンスの感情を受け止めるスケール感を見せるパフォーマンスが魅力。
イワオリク
・ポジション:ベース、コーラス
・生年月日:1997年6月18日
・出身地:大分県大分市
・影響を受けたアーティスト:フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、
SIX LOUNGEのなかでは後から加入したメンバーであり、ヤマグチとナガマツの後輩でひとつ年下。とはいえ、いい意味で大人しくない、3ピースバンドの重要な一角を担う、挑戦の精神を感じさせるベーシストだ。「リカ」from “Northwind”Streaming Studio SessionのMVではウッドベースを披露。そのすべてを演奏に込めるかの如く、耳を惹きつける音色を轟かせる。これまで「カナリア」「切り裂く風」「SWEET LITTLE SISTER」の作曲も担当。
▼SIX LOUNGE「リカ」from “Northwind”Streaming Studio Session
ナガマツシンタロウ
・ポジション:ドラム、コーラス
・生年月日:1996年9月4日
・出身地:大分県大分市
・影響を受けたアーティスト:ロジャー・テイラー(クイーン)
・Instagram:https://www.instagram.com/sintarow0904/
タトゥーが映えるグラマラスなビジュアルと、激しいだけではない、しなやかなドラムが印象的。加えてナガマツは、作詞という重要な役割も担う。日々の喜怒哀楽や恋愛にまつわる率直な感情、さらにライブハウスで育ってきたバンドらしい、オーディエンスに寄り添う想いがパッケージされた歌詞は、SIX LOUNGEを進化させてきた。ロックンロールでありながら日本語詞、というSIX LOUNGEの最大の特徴のカギを握るキーマン。
■人気曲3選!歌詞を徹底解説
「リカ」
・発売日:2016年3月23日発売アルバム『東雲』収録曲
2023年8月2日 再録バージョンリリース
・作詞:ナガツマシンタロウ
・作曲:清田尚吾
▼SIX LOUNGE「リカ」from “”Northwind””Streaming Studio Session
▼「リカ」SIX LOUNGE Music Video/Illustration by ますだみく
2016年にインディーズでリリースしたアルバム『東雲』収録曲ながら、TikTokでバズを起こし、改めてSIX LOUNGEの名と音を知らしめることになった「リカ」。テレビ番組でaikoが“凄い!と思った恋愛ソングの歌詞”として紹介したことも話題となった。肩の力が抜けたような、それでいてまったくブレない歌声が映えるミドルチューン。ひとつひとつの楽器の音色も甘く、お酒を飲みながら聴きたくなる心地よさがある。それでいて歌詞は、狂気的と言われるほど女々しい。総じて“素直”な楽曲なのだと思う。
わぁあああああああああ超格好良い🔥 https://t.co/2rB6l4isYF
— aiko official🥔 (@aiko_dochibi) March 12, 2023
100円のホットコーヒー
一息ついた君
世界の終わりを待ってる
僕と君はリカリカ 君が見た
12月寒い冬
ストーブの前2人で
平和を歌う夢リカ 僕は何度世界の愛を教えて
キスをしたんだっけ
明日は何か食べよう
大丈夫さリカ リカ リカ明日いつもの学校
朝早く集まって
世界の終わりを待とう
2人だけでリカ 君だけは幸せにさせないよ
一緒に地獄をみよう
2人だけリカ 僕は何度世界の愛を教えて
キスをしたんだっけ
明日も君をなぐさめる
大丈夫さリカ
君は僕のものリカアザだらけの顔
すごく愛しているよ
悪魔になった僕を
愛してくれるかい?
Oh, oh
Oh, oh, oh リカ
“リカ”と何度も名前を呼ぶ主人公からは、“リカ”を愛していることが伝わってくる。そのいっぽうで、しょっぱなから“世界の終わりを待ってる”という不穏なフレーズが。それでも1番では“ストーブの前2人で/平和を歌う夢”“僕は何度世界の愛を教えて/キスをしたんだっけ/明日は何か食べよう/大丈夫さ”と、“リカ”を励ますような姿勢が感じられる。
それが2番では“明日いつもの学校/朝早く集まって/世界の終わりを待とう/2人だけで”と、日常のなかに絶望がちらつきはじめる。そして“君だけは幸せにさせないよ/一緒に地獄をみよう”“アザだらけの顔/すごく愛しているよ”と、主人公は“リカ”を愛するがあまり、バイオレンスな方向性に進んでいないか?と不安になるようなフレーズが畳みかけるのだ。それでも“君は僕のものリカ”と断言し、“悪魔になった僕を愛してくれるかい?”と問いかける主人公。小説のように盲目的な愛が表現されている。
「キタカゼ」
・発売日:2023年3月22日発売
・作詞:ナガツマシンタロウ
・作曲:ヤマグチユウモリ
▼SIX LOUNGE「キタカゼ」Music Video
2023年3月にリリースされたシングルで、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』6期第2クールEDテーマとして、新しい層へSIX LOUNGEの音楽を届けるきっかけにもなった。“突き抜けろ”にはじまり“突き抜けろ”に終わる、疾走感満点のナンバー。楽曲のスケール感を押し広げるようなヤマグチの、ハイトーンまでナチュラルに行き来するのびのびとした歌声も素晴らしい。3ピースらしい、シンプルにして一人ひとりのプレイが光るバンドサウンドにも惹き込まれる。ライブハウスもお茶の間も熱狂させる可能性を内包した振れ幅を感じる。
突き抜けろ
僕らはいつでも孤独の側で正直なんだな
涙をこらえて笑顔を無くしてた
ほんの少しの恐怖で心砕けてしまいそう立ち上がって走り出せ 前にしか進めないんだ
傷つけない傷つかない その手はもう離さない
いつでも奇跡は起こせると信じていたい悲しみにサヨナラをするのさ
ほら、怖くはない孤独じゃないよ僕たちは
北風が吹いて切り開け運命を今
突き抜けろ泣き虫な僕に君がその手を
差し伸べてくれた
強くて優しい心なくさないように
忘れないように守りたい突き抜けろ確かめろ
風向きが行き先だろう
追い風を味方につけても
僕はもう一人じゃない立ち上がって走り出せ 前にしか進めないんだ
傷つけない傷つかない その手はもう離さない
この先いつまでも僕たち一緒にさ笑ったら幸せじゃないから
ほら、怖くはない孤独じゃないよ僕たちは
北風が吹いて切り開いた未来へ今
突き抜けろ
アニメに寄り添うだけではなく、SIX LOUNGEのバンドストーリーや、リスナーの状況に重ね合わせることができる歌詞になっている。そして、何度か出てくる“突き抜けろ”というワードは、出てくる場所によって感情が異なって聴こえてくる。冒頭の“突き抜けろ”は、“僕らはいつでも孤独の側で正直なんだな/涙をこらえて笑顔を無くしてた/ほんの少しの恐怖で心砕けてしまいそう”というフレーズが繋がることから、自らを奮い立たせているようだ。
また締め括りの“突き抜けろ”は、“ほら、怖くはない孤独じゃないよ僕たちは/北風が吹いて切り開いた未来へ今”というフレーズが前にあることで、堂々と胸を張る姿が見えてくる。この一曲のなかで、楽曲の主人公の心情が移り変わっていく物語が読み取れるのだ。「キタカゼ」という困難の象徴を冠しながら、 “前にしか進めないんだ”“僕たち一緒にさ”とポジティブに畳みかける、そのバネのようなパワーに勇気をもらえる。
「エバーグリーン」
・発売日:2023年9月20日発売アルバム『FANFARE』収録曲
・作詞:ナガツマシンタロウ
・作曲:ヤマグチユウモリ
▼evergreen
2023年9月にリリースされたフルアルバム『FANFARE』のリード曲であり、TikTokで先行公開されると、たちまち累計150万回以上再生された。彼らにしては珍しく、歌詞から制作されたという。それによって、歌詞が注目されることが増えている今のタイミングで、より歌詞が際立った楽曲が誕生した。ストリングスが導入されたバラードで、アレンジャーは「キタカゼ」と同じくCarlos K.。華やかさもありながら、それでいてSIX LOUNGEらしい実直さは失われていない。進化と不変を同時に感じられる楽曲。
@sixlounge_offcial
ねえ、もしも世界が終わるなら
好きなものたくさん食べておきたいな
あぁ行きたいとこだって、たくさんあったし
会いたい人もたくさんいるのさあぁもしも世界が終わるなら
たくさんズルをしておけばよかった
あの時の喧嘩まだ仲直りしてないし
もっと素直でいられたらよかった「じゃあ、あと3分で世界が終わるなら?」
なんて突然つぶやいた君が悲しそうだから3分間ただ君を抱きしめるよ
目の前の君をずっと抱きしめるよ
大好きな君をずっと抱きしめるよ
世界が終わるまで君を抱きしめるよああ、校舎の屋上から見える夕焼けが
なんだかいつもより赤く染まっていた
もっと沢山の歌詞は ※ Mojim.comありのまま生きていたい
恥をかいたって構わない
笑われたっていいんじゃない
特別じゃない日を特別に
きっと想いを伝えたら3分間ただ君を抱きしめるよ
目の前の君をずっと抱きしめるよ
大好きな君をずっと抱きしめるよただ僕は君を抱きしめてたいよ
もう全てが終わるまで離れないでいよう
大好きだよただそれだけ伝えるよ
世界が終わるまで君を抱きしめるよ「あと3分で世界が終わるなら?」
なんて君が言うからふたりはさ
あぁ夕焼けの空、ぎゅっと手をつないで
せーの、さんにいちで
飛び出した
“ねえ、もしも世界が終わるなら”という、誰もが一度は考えたことがある“壮大なたられば”からはじまる歌詞。まずは“好きなものたくさん食べておきたいな”“会いたい人もいっぱいいるのさ”という欲望の吐露。
次に“あの時の喧嘩まだ仲直りしていないし/もっと素直でいられたらよかった”という後悔の吐露。でも最後は、“「じゃあ、あと3分で世界が終わるなら?」/なんて突然つぶやいた君が悲しそうだから/3分間ただ君を抱きしめるよ”“世界が終わるまで君を抱きしめるよ”と、いちばん大切なものが浮き彫りになってくるのだ。
さらに、世界の終わりを思い描いたからこその“ありのまま生きていたい/恥をかいたって構わない”という素直な想いも導き出される。“特別じゃない日”にも訪れる一日の“終わり”を象徴する“夕焼けの空”の美しい描写を織り込みながら、心の奥底に眠る究極の感情を揺り起こす、やさしくも強い力を感じる。
■『THE FIRST TAKE』での「リカ」
▼SIX LOUNGE – リカ / THE FIRST TAKE
ヤマグチの「大分からSIX LOUNGEです。よろしくお願いします!」というライブ前のような挨拶から、伸びやかに歌い出す。シンプルなバンドサウンドのなかで際立つ、ブルージーな深みを感じさせる歌声。ナガマツが歌いながらドラムを叩く様子も映し出される。サビではイワオのコーラスが加わり、メロディが分厚く進化。ハイライトは、“悪魔になった僕を/愛してくれるかい?”でアカペラになった場面だ。そこから、スッと軽やかなバンドサウンドに戻り、3人でタイミングを合わせて演奏をフィニッシュ。「緊張したぁ」と口にするヤマグチ、手を広げて達成感を見せるイワオ、そしてほほ笑むナガマツ。とてもバンドらしい『THE FIRST TAKE』だ。
■SIX LOUNGEの最新情報に注目
SNSの注目度の高まりだけではなく、9月にはニューアルバム『FANFARE』をリリースし、10月から2024年1月にかけては全国ツアー『SIX LOUNGE TOUR 2023-2024″FANFARE”』を開催と勢いに乗るSIX LOUNGE。今後の動向から目を離さないで欲しい。
TEXT BY 高橋美穂
▼SIX LOUNGEの最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/2017/