いまやグローバルアーティストであるBTSのメンバーVが、9月8日に初のsolo Album ‘Layover’をリリースした。iTunesやYoutTubeなどのグローバルチャート上位にランクイン。世界中が彼に注目しているのはなぜなのか、その魅力を紐解きたい。
■V、キム・テヒョン、テテ…多彩な顔を持つアーティスト
・生年月日:1995年12月30日
・ソロデビュー:アルバム『Layover』(2023年9月8日発売)
・Instagram https://www.instagram.com/thv/
・OFFICIAL SITE(BTS)https://ibighit.com/bts/jpn/
・X(Twitter)(BTS公式)https://twitter.com/BTS_bighit
・X(Twitter)(BTSメンバー)https://twitter.com/BTS_twt/
・Instagram(BTS)https://www.instagram.com/bts.bighitofficial/
・Facebook(BTS)https://www.facebook.com/bangtan.official
・YouTube (BTS) https://www.youtube.com/user/BANGTANTV
Vが所属するグループBTSは、バン・シヒョク氏がプロデュースするボーイグループとして2013年6月13日に韓国でデビュー。
BTSはパフォーマンス性の高さやコンセプトの新しさから徐々に注目されていき、2015年にリリースした3rdミニアルバム『花様年華 Pt.1』のタイトル曲「I NEED U」で韓国の音楽番組で初の1位を獲得。
▼[MV] BTS(방탄소년단) _ I NEED U
その後、韓国内でのさまざまなアワードでアルバム賞や歌手賞などを獲得し、2018年には韓国政府から史上最年少で花冠文化勲章を受章する。いっぽうで米ビルボード200へのランクイン、2017年から2019年までビルボード・ミュージック・アワードでトップ・ソーシャル・アーティスト賞を獲得するなど、世界的な人気も確実なものになっていく。
2020年にリリースしたデジタルシングル「Dynamite」はMV公開24時間で1億回以上再生され、2021年には第63回グラミー賞でアジア人歌手として初めて最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス部門にノミネートされ、単独でのパフォーマンスを披露した。
▼BTS (방탄소년단) ‘Dynamite’ Official MV
▼BTS (방탄소년단) ‘Dynamite’ @ 63rd GRAMMY Awards Show
彼らがこれだけ多くの人に支持されたのは、その音楽性の高さやさまざまな解釈や考察ができる世界観、またデビュー当初からメンバー自身が制作に携わり、そのときどきの等身大な心情が楽曲に反映されていることが大きいだろう。Vも『花様年華 pt.1』収録の「Hold Me Tight」で初めて作詞作曲の両方に参加し、2ndスタジオアルバム『WINGS』にはソロ曲「Stigma」が収録。その後も自作曲やメンバーとの共同制作曲を発表している。
▼BTS (방탄소년단) WINGS Short Film #3 STIGMA
また彼はKIM TAEHYUNGとして2016年にはドラマ『花郎』に出演。近年では、ドラマ『梨泰院クラス』『その年、私たちは』のOSTを担当したことも記憶に新しい。
▼[MV] V(BTS) – Sweet Night [梨泰院クラス OST Part.12(ITAEWON CLASS OST Part.12)]
■Vが世界中から愛される理由
◎唯一無二の歌声と圧倒的なパフォーマンス
まずVの魅力として上がるのは、その曲の奥深くへ誘い込まれるような美しい低音だろう。例えば2017年発表の「DNA」ではイントロから蠱惑的なVの歌い出し、その約30秒のあいだに一気に心を掴まれてしまう。
▼BTS (방탄소년단) ‘DNA’ Official MV
3オクターブの音域を持つと言われ、ソロ曲「Stigma」のようにパワフルな、また「Blue&Grey」のように繊細な高音も彼のボーカルの持ち味のひとつ。そしてどんな音域でも彼の温かさや優しさが滲み、安心感を与えてくれるのだ。
▼BTS (방탄소년단) ‘Blue & Grey’ @ MTV Unplugged
軽やかで、余裕を感じるパフォーマンスも印象的だ。あるときはどっぷりと楽曲へと入り込み、眼差しだけで何もかもを表すかのようなステージを見せ、またあるときは音楽の楽しさをそのまま体現するかのようにコロコロと表情を変え、舞台に立つたびに新たな表現を見せてくれる。
▼[입덕직캠] 방탄소년단 뷔 직캠 4K ‘작은 것들을 위한 시 (Boy With Luv)’ (BTS V FanCam) | @MCOUNTDOWN_2019.4.25
◎世界を魅了する美しさ
彼が目を引くのはステージングの素晴らしさはもちろん、やはりそのルックスも理由のひとつだ。パフォーマンスに入りこんでいるときは憂いと熱を併せ持った、まさに芸術作品のような近寄りがたい麗しさがあるが、メンバーと自然体で過ごすときの無垢で愛らしい笑顔やいたずらっ子のような表情もファンを惹きつけている。
“彫刻のよう”と称されるほどの彼の美貌は万国共通で愛され、アイドルとしてだけでなく、ファッション業界からも支持が厚い。今年3月にはCELINEのグローバルアンバサダーに就任し、ショーやポップアップに登場。7月にはカルティエのアンバサダーに就任したことも発表された。ブランドが持つ力はもちろん、彼が身に着けることでそのアイテムがより一層パワーを持ち、洗練された輝きを増すように見える。そしてその美しさに甘んじることなく努力し、ディテールにまでこだわり抜くからこそ、みなが彼を求め続けるのだろう。
◎飾らない人柄とギャップ
あまりにも整った顔立ちから一見クールな印象を受けるが、メンバーや親しい人たちといるときの彼はふわふわと柔らかい雰囲気だ。そしていつだって素直で、決して芯は揺るがない。歯医者で治療を受ける姿をVlogで見せるなど天真爛漫さやステージとのギャップからも目が離せない。
▼[BTS VLOG] V l DRIVE VLOG
彼とファンとの関係も唯一無二だ。先日YouTubeで公開されたファンと1日を過ごすという動画では「ARMYと1日遊んでみることが夢だった」と話したり、ファンが抱える悩みに自身の経験を交えて真摯に答える。楽しいことを共有したり、好きな音楽を教えてくれたりと、親しい友人のように感じさせてくれるフラットさも彼が愛される理由のひとつだろう。
▼好きな芸能人がありがとうと私を抱きしめてくれたら? #V | 頼っていいよ2023
■ソロ活動で見えたあらたな魅力
BTSのメンバーたちはこれまでもソロで制作した楽曲を発表していたが、昨年のJ-HOPEのリリースから各々での活動がスタートし、Vも満を辞してsolo Album ‘Layover’を発表した。これまでソロでの制作に関しては何度か触れており、“誰もがいいと思うものを”とこだわりの強さを見せていた。だからこそ驚かされたのが、NewJeansのプロデューサーであるミン・ヒジン氏が音楽からダンス、プロモーションまでを指揮することだ。
「Rainy Days」「Love Me Again」ではVの少年性と無邪気さにフォーカスを当てたような雰囲気、また強烈な存在感とノスタルジックさを感じるビジュアルという対極な見せ方で、私たちを幻想的な色彩に引き込んでいく。
▼V ‘Rainy Days’ Official MV
▼V ‘Love Me Again’ Official MV
また今回のアルバムは1曲目から順に聞くことが推奨されている。これは彼が愛する映画のような世界であり、ミン・ヒジン氏のフィルターを通しているからこそ、“Vというファンタジー”が紡がれているように思う。
そしてファンのあいだで話題になっているのは、彼の愛犬・ヨンタンが参加していること。パッケージやコンセプトフォトにも登場しており、またアルバムの発売日はヨンタンの誕生日の翌日だ。作り込まれたコンセプトとパーソナルな表現を両立できることは、ソロアルバムならではだ。
■『THE FIRST TAKE』で披露した「Slow Dancing」
▼V ‘Slow Dancing’ Official MV
V solo Album ‘Layover’のタイトル曲「Slow Dancing」は1970年代ソウルサウンドにVのロマンチックさと平静さのあいだにあるようなボーカル、そこに軽やかなフルートが加わり、悠々とした時間の流れを感じる一曲だ。先日、日本の音楽番組で東京タワーをバックにパフォーマンスしたことも大きな話題を呼んだ。
▼V – Slow Dancing / THE FIRST TAKE
『THE FIRST TAKE』では、アルバムにも収録されている「Slow Dancing」のピアノバージョンを披露。Vはヘッドフォンを着けると日本語で「よろしくお願いします。いこっか」と話し、リラックスした雰囲気で歌唱をスタートする。その姿からは、普段の彼と歌うことが地続きにあることを感じさせる。
ピアノバージョンではイントロの音の響きがより神秘的に聞こえるが、彼の歌声がのると、心地よくありながら揺るぎない、一本の筋が通ったかのような強さが加わる。そしてボーカルにフォーカスするからこそ、ふとした瞬間のアレンジやブレスのひとつひとつ、甘いザラつきのある声質がよりリアルに聞こえ、楽曲の深みも増していく。
またこの「Slow Dancing」という曲の特徴のひとつは、アウトロの部分だろう。これまで披露したステージではダンサーたちとコミュニケーションを取り、フルートの音と戯れるかのような軽やかなステップが印象的だったが、今回のピアノバージョンではピアノが聞こえてくるとリラックスして一音一音に身を任せていく姿がじっくりと見られる。楽曲が終わると、満足気に微笑みながら「ありがとうございます」と囁くV。ボーカリストとしての実力からチャーミングな一面まで、彼の魅力をたっぷりと堪能できる4分間だ。
■Vの世界観に浸る。ソロ曲解説
Rainy Days
『Layover』で1曲目に収録されているのが、この「Rainy Days」。懐かしさが香るピアノの繰り返しや雨の音、そこにスマホのフリック音やメトロノームのような機械的なノイズが重ねられ、そこに染み渡っていくのが離れた相手を思い、一緒にいた日々を辿るような歌詞を淡々と、しかし豊かに歌うVのボーカルだ。その穏やかで儚げな調和は、リスナーの日常にも自然と溶け込んでいくようだ。
Love Me Again
先行曲として最初に公開された「Love Me Again」では、“もう一度愛してほしい”“君なしでは生きられない”と募る恋しさを歌う。しかしその歌声に悲しみはなく、むしろ安らぎを与えてくれる。少ない音数でボーカルにフォーカスしながら、甘い夢をもたらすような1曲だ。彼のクローズアップを中心に展開していくMVは、スペインの洞窟で撮影。アンバーな照明やスパンコールの反射、ブラウン管の映像と、ロマンチックな光の演出もムードを盛り上げる。
Snow Flower
Vの親友で、ラッパー・シンガーソングライター・プロデューサーとして活動するPeakboyと制作した「Snow Flower」は、クリスマスに公開されたファンにとってプレゼントのような一曲だ。ホリデーな雰囲気をスローなテンポに詰め込んだ、心の芯まで温めてくれるようなこの曲では、中間の掛け合いでのVとPeakboyの声色の対比や重なり、後半の哀愁漂うトランペットの音が印象的。優しい願いが込められた歌詞は、Vの愛らしさを改めて感じさせてくれる。
Winter Bear
2019年に発表された「Winter Bear」。弦楽器に乗せたボーカルは子守唄のようで、幸せな夢を運んできてくれるかのような柔和さだ。終盤ではドラムやエレキギターが加わり、盛り上げながらも甘い余韻を残し、私たちの心を癒やしてくれる。この曲ではジャケット写真の撮影、MVの演出もV自身が行っており、窓の外を眺めてあくびをし、食事を楽しむ姿、彼を通して見る各国の街並みと、彼の感性が隅々にまで詰め込まれた曲としてファンに愛されている。
■進化するアーティストVに今後も注目!
今回のソロアルバムリリースで、その表現力や音楽性に改めて注目が集まるV。また発売に合わせさまざまなコンテンツに出演し、日本の音楽番組でもパフォーマンスが話題を呼んだ。彼にとってアーティストとしての大きな一歩となる今の姿を、ぜひ目に焼き付けたい。
TEXT BY 東海林その子
▼Vの最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/6945/
▼BTSの最新情報はこちら
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