■闇を切り裂きながら走り抜ける6人の軌跡が光になって浮かび上がる
SixTONESの通算11枚目のシングル「CREAK」が8月30日にリリースされる。メンバーの松村北斗がなにわ男子・西畑大吾と共に主演を務めるミステリードラマ『ノッキンオン・ロックドドア』(テレビ朝日系)の主題歌としてドラマを彩っている、ダークでミステリアスな雰囲気のナンバーだ。前作「こっから」からわずか2ヵ月というタームで、また新たな音楽性を提示し、その“幅”のダイナミックさを改めて伝えてくれる。
オープニングはノックの音で始まり、ドラマとつながりを感じさせてくれ、すぐにストリングスが不穏な空気を作るというインパクト。そして攻撃的なサウンドと歌、ラップが作り出すダークで無機質な感じと激しさが全体を包むが、そこに浮かび上がってくるのはやはりクールさ。闇を切り裂きながら走り抜ける6人の軌跡が光になって浮かび上がり、それが強さとなって聴き手に向かってくる。
変調もアレンジの展開も、楽曲構成がとにかく目まぐるしく変わる繊細かつ大胆なサウンド。細かなマイクリレーと、凛とした歌詞の意味と空気感を伝える、一人ひとりの表情豊かな歌が相まって疾走感が生まれる。サビ前のドロップで感情を高めるだけ高め、そしてサビで撃ち抜き生まれる高揚感は圧巻だ。一番は“WHY?”二番は“HOW?”と対になった歌詞は、ミステリードラマのキーワードでもあり、『ノッキンオン・ロックドドア』と通底している部分だ。
■SixTONESというグループが持つ限りない可能性を改めて感じた視聴者が多かった
8月14日に出演した『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)で、「CREAK」を初めてフルサイズで披露した6人のパフォーマンスに注目が集まった。そのワイルドで情熱的なパフォーマンスについてオンエア後、SNS上では「いい意味で期待を裏切るのではなく超えてくる」など絶賛するコメントが飛び交っていた。この日は「PARTY PEOPLE」も披露したが「この2曲歌ってるの同一人物の方々ですか?ギャップがマジでカッコ良すぎる」「美しいし力強いしあやしいし美しい… 6人全員が強すぎる」「攻めてくる誘い感…ドキドキさせられた」など、SixTONESというグループが持つ限りない可能性を改めて感じた視聴者が多かった。
前々作「ABARERO」はヘヴィなビートがうなりを上げて襲い掛かってくる、ドープなヒップホップ・チューン、前作「こっから」は、ブレイクビーツに乗せたファンクチューンで溌剌としたラップと前向きなメッセージを届けてくれた。そして「CREAK」では2作とはまったく違う“ミステリアスダンスチューン”を作り上げ、より深い表現力を見せ、聴かせてくれる。
通常盤のカップリングは、メンバーが出演したロート製薬「目薬はロート」のCMソングになっているポップソング「Eye to Eye」が収録されている。一度聴くと忘れられない強烈な頭サビのポジティブソングだ。「WHY NOT」は、女性の思わせぶりな態度に振り回されて、深みにはまっていくもどかしさを描いた、思わず体が動くダンスナンバー。オートチューンを取り入れたトラップサウンドと、温もりのあるメロディが融合し、絶妙なポップさを作り上げている。さらに「こっから -Old School Breakin’ Remix-」が収録されている。オリジナルバージョンとはガラッと変わった表情を見せ、この曲が持つミクスチャーなサウンド感がさらに増幅しているような印象だ。
■デビュー以来初となる、多くのファンが待ちに待ったメンバーソロ楽曲が収録
今回のシングルの初回盤A・Bにはデビュー以来初となる、多くのファンが待ちに待ったメンバーソロ楽曲が収録されている。初回盤Aでは、松村北斗、高地優吾(「高」は「はしごだか」が正式表記)、ジェシーが自分の内面、仲間への感謝、人への愛情など広義の“愛”を歌う楽曲、初回盤Bでは、京本大我、森本慎太郎、田中樹が相手への想いや、うまくいかないもどかしさ、苦しさなど、“恋”を描いた楽曲を歌っている。
松村が歌う「ガラス花」は今年10月公開予定の映画『キリエのうた』で松村と共演し、松村が「予てから憧れていたアーティスト」アイナ・ジ・エンドが楽曲提供したバラード。名手・河野圭の手によるアレンジは、ストリングスが切なさを連れてきて、松村の生々しい歌と交差すると、得も言われぬ感動に胸が締め付けられる。“僕”と“君”の想いが一番と二番で対比的になる歌詞から浮かび上がる心模様は、どこまでも儚く美しい。松村の声、そして雰囲気とピッタリだ。「こんなにも人間味のある、真っ透明な音楽に僕は出会ったことがありません」(松村)。
「歌詞がいいポジティブソングが好きで、そういう曲をファンの人にも届けたかった」と高地が「MUSIC IN ME」のメイキング映像で語っているように、この曲は高地のルーツミュージックのひとつでもある、ポップで温かなラップミュージックだ。「等身大の自分の思いを、しっかり届けられている」という歌詞は、“夢果たすため来たFrom港町”という歌詞に象徴されるパーソナルな部分と、SixTONESとteam SixTONES(ファン)に向けた愛情深いメッセージが込められている。メンバーを含めたチームを、まるで家族のように思う高地の優しさで包まれたエールソングだ。
ジェシーの「Never Ending Love」は「ずっと待っていた」堂本剛の作詞・曲の作品。堂本といえば、ENDRECHERI名義でファンクを追求しているイメージがあるが、この曲はグルーヴが心地いいサウンドではなく、そこに漂うエネルギーと大きな愛、感情の揺れをいかに歌で表現し、聴き手の心の真ん中に届けるかと向き合っているように感じる。ピアノに導かれ歌うジェシーのボーカルは、堂本のボーカルのような空気感と肌触り、繊細さとエモーショナルさを纏い、ひと筋縄ではいかない、大きな世界観を描いたこの曲を見事に歌い切っている。「尊敬する人に俺のイメージを作ってもらえるはありがたい」とジェシーにとって忘れられない一曲になった。
今回のソロ楽曲企画の中で「自作曲で勝負したいと真っ先に思い」、7年前に制作した「We can’t go back」をバージョンアップさせ歌ったのが京本大我だ。バンドと10人を超えるオーケストラが作り出す豊潤な音と、京本のハイトーンボーカルが重なる、壮大で美しい、せつないロックバラードだ。「メロディは完全に当時のまま、歌詞も9割はそのままです」というこの曲は、7年前の熱量や思いがそのままパッケージされた“強い”楽曲ともいえる。京本のソングライターとしての才能を改めて感じることができる。「失恋ソングではなく敢えてラブソング」と語る大人になった京本が歌う、7年前の“蒼さ”が眩しく輝やいているようにも感じる作品だ。
森本慎太郎「Love is…」は、「高校生の時から憧れていた」という平井大が手がけたラブソング。平井が作る音楽は、そのライフスタイルと音楽が密接に繋がっている、自然体でオーガニックなものだ。この「Love is…」もそう。「自分らしい日常を歌詞に散りばめてもらった」という歌詞は、日常に潤いを与えてくれるようで、まさに思いやり溢れる優しいイメージの森本そのものだ。「この曲を聴いて笑顔になってもらうことを意識したからこそ、よりナチュラルに歌うように心がけた」というコメントからも優しさが滲み出ている。平井も森本のナチュラルな部分を感じ、そこに光を当て作り上げたのではないだろうか。ふたりのカラーと雰囲気が重なり、“いい薫り”の曲が生まれた。
田中樹の「Sorry」は3~4年前からSixTONESのデモ楽曲として存在していて、田中が「この曲やりたい」とずっとアピールしていたという、光を放っていた曲だ。ようやく“出番”がやってきた、このスモーキーでメロウなトラックが印象的な、R&Bとヒップホップが融合し楽曲はこれまで「love u…」などを制作してきたTSUGUMIと共作するスタイル。「自分が歌う事の説得力が持てるよう」田中自身がラップ詞を書いた。
■毎回新鮮で斬新で驚きを与えてくれる、SixTONESクオリティ
6人6色、個性が詰まったこのシングルは、ミニアルバムといってもいい内容だ。毎回新鮮で斬新で驚きを与えてくれる、このSixTONESクオリティこそが、ファンへの最大のサービスになっている。
TEXT BY 田中久勝
リリース情報
2023.8.30 ON SALE
SINGLE「CREAK」
SixTONES OFFICIAL SITE
https://www.sixtones.jp/