■『THE FIRST TAKE』で「メフィスト」の人気が爆発
「私たちは近いうち、もっと上に行くので。楽しみにしておいてください」
7月初旬に敢行したあるインタビューの終了間際、女王蜂のボーカルであるアヴちゃんは、少し不敵に、しかしながら確信に満ちた笑みを浮かべながら、このように宣言してくれた。その本人の揺るぎない自信と、バンドの充実ぶりを裏付けるような結果が、その直後に公開された『THE FIRST TAKE』でのパフォーマンスをはじめ、目に見える形ですでに表れはじめている。女王蜂に本来、用意されるべきステージがもっと別の次元にあることを指し示すかのように――。
7月14日、女王蜂としては「火炎」以来、約3年5ヵ月ぶりに『THE FIRST TAKE』に登場した。アヴちゃんとは親友という地獄のアイドル“ぁゔち”が歌唱し、メンバーのひばりくん(Gu)とストリングスが参加したアコースティック版の「メフィスト」は、公開以来、凄まじい勢いで再生回数を増やし、2週間で700万回再生を突破。2023年、多数の話題曲が配信されている『THE FIRST TAKE』でも上位の再生数を記録している他、公開週に集計されたオリコンYouTubeランキングでも見事4位にランクインした。また、動画は日本だけにとどまらず、アジア圏、北米、ヨーロッパでもビビッドなリアクションが得られており、その人気は世界規模へと拡大しつつある。
■「メフィスト」が注目を集める、ふたつの絶対的な理由
この「メフィスト」が大きな注目を浴びる要因となったのは、赤坂アカ×横槍メンゴによる漫画を原作としたアニメ『【推しの子】』のエンディング主題歌として起用されたことだろう。アイドルをテーマにしながらも、主要キャラクターが巻き込まれる事件の真相や転生も絡めたミステリー要素、芸能界の裏側描写など複数のポイントを持つ『【推しの子】』は、人間の業を描き続け、現実に対する鋭い目線を絶やさなかったアヴちゃん&女王蜂とまさに“相思相愛”のタッグであったと言える。事実、漫画原作のときから『【推しの子】』のファンだったアヴちゃんは、タイアップが決まった際、感激のあまり涙を流してしまったそうだ。そんな作品への強い想いが起点となり、願いの悪魔「メフィストフェレス」をモチーフとした本楽曲が生まれた。
また、一発録り、生の質感を大切にする『THE FIRST TAKE』によって改めて証明された、ぁゔちの圧倒的な歌唱力も、これだけの支持を集める理由となっているのは間違いない。低音からファルセットまで、ジェットコースターさながらのメロディを巧みに乗りこなすピッチの安定感だけでなく、そこにほとばしる“剥き出し”の感情は、視聴者の心を鷲掴みにするのに十分なものとなっているのだ。
■秋からは全国ホールツアーも。あらたな代表曲「メフィスト」とともにさらなる高みへ
この『THE FIRST TAKE』でのパフォーマンスと、YouTube上でのショート動画の公開を経て、約2ヵ月前から配信されている「メフィスト」のオフィシャルMVもついに1,000万回再生に迫っている。また、女王蜂として生で「メフィスト」を披露したライブ映像や、『【推しの子】』のエンディングアニメーション(ノンクレジット)、さらにストーリー仕立ての『メフィスト発売記念! ぁゔち地獄のワンマンライヴ』といった関連動画も視聴回数は伸びており、勢いはとどまることを知らない。
■数多のメディア出演、ライブ活動を通じて唯一無二の存在に
畳み掛けるように、女王蜂の中でも人気の高い楽曲「鉄壁」の『THE FIRST TAKE』での配信が開始された他、8月4日には、地上波の音楽番組『ミュージックステーション 3時間半スペシャル』への初出演も決定。そこでも披露される「メフィスト」がさらに大きな現象に発展し、バンドが既存のJ-POPシーンに楔を打ち込む存在になることも十分に考えられる。それだけのポテンシャルをバンドが有しているのは、これまでの楽曲やメッセージに触れた者であれば、誰もが賛同していただけることだろう。
春にはアメリカでも公演を行い、全世界から注目を集めている女王蜂。夏には『SUMMER SONIC 2023』など複数のフェス出演、そして今秋11月から2024年にかけては、全国ホールツアー『十二次元+01』を全国15ヵ所で開催することが決定している。そんな彼女たちにとって「メフィスト」は、結成14年目に誕生した、あらたな代表曲と言えるだろう。それだけでなく、バンドがさらなるステップアップを実現するための唯一無二の礎として、眩く妖艶な光を未来に向けて放っているのである。
TEXT BY 森樹
リリース情報
2023.05.17 ON SALE
SINGLE「メフィスト」
2023.09.13 ON SALE
Blu-ray&DVD『女王蜂 単独公演「バイオレンス」 -2023.03.02 東京ガーデンシアター-』
女王蜂 OFFICIAL SITE
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