第2期放送も決定した、人気アニメ『【推しの子】』エンディング主題歌「メフィスト」で話題を集める4人組バンド、女王蜂。年齢・性別・国籍を超越し、ただひたすらに心のままに音楽を鳴らす女王蜂の軌跡や魅力、人気曲を紹介していきたい。
■圧倒的個性を持った“音楽”を放つ、女王蜂とは?
女王蜂(英表記:QUEEN BEE/読み:じょおうばち)
・結成日:2009年3月31日
・メンバー:アヴちゃん(Vo)、やしちゃん(Ba)、ルリちゃん(Dr)、ひばりくん(Gu)
・メジャーデビュー:2011年9月7日(アルバム『孔雀』)
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2009年3月31日、兵庫県神戸市にて女王蜂は結成された。翌2010年7月には『FUJI ROCK FESTIVAL 2010』“ROOKIE A GO-GO”に選出され、音楽ファンの注目を集めた。
2011年3月に1st アルバム『魔女狩り』をリリース、同年9月には2ndアルバム『孔雀』でメジャーデビューを果たす。さらに、映画『モテキ』メインテーマ「デスコ」を担当し、本人役で映画にも初出演。これは、この後に続く映画やアニメといった数々の作品に愛されるバンドの萌芽となった。
▼女王蜂『デスコ』
2012年5月、3rdアルバム『蛇姫様』をリリースするも、同月末にギギちゃん(Gu)が、腕の治療のために“降板”。その後も精力的な活動を続けるも、2013年に東京・SHIBUYA-AXでの単独公演『白兵戦』で活動休止。やしちゃん(Ba)がバンド脱退の意向をメンバーに伝えるなど、当時の状況は混沌としていたという。
しかし、2014年2月、同会場で行われた単独公演『白熱戦』で活動を再開。
2015年1月には、それまでサポートメンバーとして参加していたひばりくん(Gu)が正式加入。3月に4thアルバム『奇麗』を、2017年に5thアルバム『Q』をリリース。さらに2018年にはTVアニメ『東京喰種:re』にエンディングテーマ「HALF」を提供、2019年1月にはTVアニメ『どろろ』オープニングテーマ「火炎」をリリースし、リスナーの層を広げていくことに。
▼女王蜂 『HALF』Official MV
▼女王蜂 『火炎(FIRE)』Official MV
2019年5月にリリースした6thアルバム『十』の収録曲「Introduction」も、映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』の主題歌に決定。2020年2月に7thアルバム『BL』をリリースし、2021年2月には初の日本武道館単独ライブ2DAYS開催と、コロナ禍でも果敢に活動を続けていく。
▼女王蜂 『Introduction』Official MV
2022年3月にも日本武道館公演を成功させたが、同年9月にはルリちゃん(Dr)が体調不良による休養を発表。それでも女王蜂は止まらず、2023年2月に8thアルバム『十二次元』をリリースし、収録曲「バイオレンス」がTVアニメ『チェンソーマン』エンディングテーマ、「MYSTERIOUS」がTVアニメ『後宮の烏』エンディングテーマに起用された。そして、5月にTVアニメ『【推しの子】』エンディング主題歌「メフィスト」をリリース。勢いは増すいっぽうだ。
▼女王蜂『バイオレンス(VIOLENCE)』Official MV
■女王蜂メンバー
アヴちゃん(Vo)
・Twitter @qb_avu
・Instagram @qb_avu
やしちゃん(Ba)
ルリちゃん(Dr)
ひばりくん(Gu)
■独自の世界観を持ちながらタイアップ多数!その魅力とは?
◎心をえぐる“絶叫”。その言霊に救われる
女王蜂の世界観の中枢を担うのは、こだわり抜いた歌詞である。
例えば、「火炎」では“燃やしちゃうぜ yeah”というノリの良さや“全部燃やせ八百屋お七”という和風の歌詞(なお「八百屋お七」とは、江戸時代、恋人に会いたい一心で放火事件を起こし、火刑に処された八百屋の少女の名前)を、“party is over/それでも踊りたかった”という切なさでサンドイッチしている。3分半の中で軸を貫きながら、喜怒哀楽のドラマを巧みに展開させているのだ。
他にも、韻を踏むリズムの良さがクセになる「催眠術」や、“白紙に沈め墨たち/固い水面 泳ぐ髪”など文学的な表現が光る「MYSTERIOUS」など、琴線に触れる歌詞ばかりだ。
▼女王蜂 – 火炎 / THE FIRST TAKE
▼女王蜂 『催眠術(Hypnotize)』Official MV
▼女王蜂『MYSTERIOUS』Official MV
◎しなやかさと艶めかしさある歌声
七色の声をしなやかに使い分けるアヴちゃん。
ドスの効いた低音を轟かせたかと思いきや、ガラスのようなハイトーンボイスを響かせたり、艶やかな色気ある歌声で誘惑したり、素朴な人間味ある歌声を披露したり…自身が作り上げたカラフルな楽曲の世界観の主役を、見事に表現する。
その声の魅力は女王蜂だけに留まらず、アニメ映画『犬王』(2022年)では、主演の犬王役として声優にも挑戦。さらに、『ロッキー・ホラー・ショー』(2017年)、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2019年)といったミュージカル作品に出演、中村達也・KenKen・長岡亮介というスーパープレイヤーが名を連ねるバンド獄門島一家のボーカリストとしても活躍している。
◎耳に残る楽曲の強さ
女王蜂の楽曲は、非常に中毒性がある。
ヒューマンな温度感を持ちながらも、ビートやリフ、メロディなど、それぞれのフレーズは“グッとくる”ところに正確に配置されていて、聴く人の心身に染み渡る。
ソングライターであるアヴちゃんの、クレバーさやある種の冷静さの表れだろう。また、女王蜂はバンドのスタイルであり、そのダイナミズムを存分に活かしながらも、エレクトロニックなダンスミュージックを大胆に取り入れた楽曲も多い。これは、“どんなジャンルを行き来しても女王蜂の表現はブレない”という自信が成せる技だと思う。
なお、アヴちゃんはHey! Say! JUMPの「狼青年」やLiSAの「GL」で楽曲提供も行っている。
▼Hey! Say! JUMP – 狼青年 [Promotion Video (Short Ver.) ]
▼LiSA-GL
◎没入感高い、魅せ方
元々、圧倒的なライブパフォーマンスでシンパを広げていったバンドである。
楽曲を細やかに表現するべく、衣装や演出も含めてアヴちゃんがディレクションするシアトリカルな世界観は、ロック好きのみならず、舞台好きをも魅了している。
それでいて、みんなで踊れる楽しさがあるのも、女王蜂のライブの特徴。必携アイテムは“ジュリ扇”(80年代のバブル時代、ジュリアナ東京などディスコでお客さんが振っていた扇子)。
最近では、やしちゃんとひばりくんが「火然ぇるミ毎」でパラパラを踊るダンスプラクティス動画を公開し、様々な形で私たちを没入させてくれる。
▼女王蜂『火然ぇるミ毎』-Dance Practice-
◎海外での人気
女王蜂は海外でも人気を博しており、2016年6月にバンド史上初の海外公演をフランスの祭典『音楽の日 La Fête de la Musique』で行い、併せて世界35か国2地域で楽曲配信をスタート。その評価は高まるいっぽうで、MVにも様々な言語のコメントが届くようになった。
今年の4月にもアメリカ・シアトルで『Sakura-Con 2023』に出演。そして、ロサンゼルスでは『QUEEN BEE Live in Los Angeles』を開催。
また、前回出演時の『THE FIRST TAKE』で披露した「火災」の再生回数が中国では1億回を突破。このように、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、地域を問わずに支持を広げている。
▼女王蜂 – 火炎 / THE FIRST TAKE
◎TikTokでのバズ
ダンサブルな女王蜂の楽曲はTikTokとの相性も良く、2019年には「催眠術」がバズを起こした。“これは催眠術 いわゆるダイビング”という、ノリの良い韻を踏んだ歌詞と、ミステリアスなビートとメロディは、癖になるフレーズとしてTikTokで多くの動画に使われた。
@sonymusicjp #女王蜂 「#催眠術 」独特の世界観で今注目されている女王蜂の人気楽曲✨🌀日本武道館公演2DAYS映像商品が本日発売‼️#これは催眠術
その後、2021年にリリースされた「KING BITCH」もTikTokをきっかけにバズを起こし、人気急上昇チャートにランクインするとともに、各種プレイリスト入りを果たした。“お座り お手 おかわり/自ら焚きつける犬のお回り”という印象的なフレーズと、ゆったりと踊れるビートがやみつきになる。「KING BITCH」でINIがTikTok動画を投稿したことでも話題を呼んだ。
@qb_official_ 『KING BITCH』発売記念 Acoustic Live、もうご覧いただけましたか?🐶 #女王蜂 #QUEENBEE #KINGBITCH
@official__ini
なお、アヴちゃんの公式Twitterのフォロワーは25万人越え、公式Instagramフォロワーは18万人越え。あらゆるSNSで人気を席捲している。
■アニメ『【推しの子】』で注目を集める新曲「メフィスト」
▼【推しの子】ノンクレジットエンディング|女王蜂「メフィスト」
4月20日に先行配信し、5月17日にCDが発売された新曲「メフィスト」。テレビアニメ『【推しの子】』エンディング主題歌として、音源初解禁のアニメティザーはYouTube急上昇ランク7位に入り、その注目度の高さを見せつけた。
▼TVアニメ『【推しの子】』本予告2【2023年4月12日より放送開始】
アヴちゃん本人も『【推しの子】』に対しての思い入れがあり、原作を深く読み込んだ末に制作された同曲。
よりリアルに「メフィスト」の世界観が味わえるMVも見もので、ストリングスが荘厳な雰囲気を漂わせつつ、サビになると一気に音割れするという、映像とシンクロした音像になっている。“あなたに命が戻るなら 届くなら”と、切実に祈るハイトーンボイスなど、歌声の使い分けも見事である。
▼女王蜂「メフィスト」MV
「メフィスト」はLive Clipも存在し、こちらでは楽曲のすごみがむき出しで感じられる。さらに、リリースを記念して『ぁゔち地獄のワンマンライヴ』も配信。女王蜂のアイドルとして活動中の“ぁゔち”が「メフィスト」を歌う、プレミアムな映像だ。
▼女王蜂「メフィスト」Official Live Clip
▼メフィスト発売記念!ぁゔち地獄のワンマンライヴ
リリース後も、Apple Musicのトップ100(デイリー)、トップソング(リアルタイム)で40位前後にランクイン中。さらにSpotifyでは、トップ50(デイリー)、トップソング(リアルタイム)で20位前後にランクイン中。これらは、女王蜂史上最高のチャートアクションとなっている。
そんななか、再び『THE FIRST TAKE』に出演する女王蜂。
▼女王蜂-メフィスト / THE FIRST TAKE
「火炎」「BL」に続き、3度目の登場だ。
ストリングスとアコギの演奏に包まれて、全身全霊の歌唱を響かせるアヴちゃん。鬼気迫るような表情から、余さず伝えたいというような身振り手振りから、すべてから目と耳が離せない。息を吸う瞬間さえも芸術にしながら、さらに進化したパフォーマンスで魅せてくれる。
▼女王蜂 – 火炎 / THE FIRST TAKE
▼女王蜂 – BL / THE FIRST TAKE
■女王蜂に溺れたい!人気5曲
「バイオレンス」
各エピソードに用意された、TVアニメ『チェンソーマン』エンディングテーマの第11話を飾った「バイオレンス」は、ビートの効いたダンサブルでエッジィな曲調で、中毒性の高い仕上がりに。アヴちゃんが噛みつくように迫ってくるボーカルもエモ―ショナルだ。巨大化したアヴちゃんの眼下に山がそびえ立ちビルが林立するMVも、楽曲のインパクトに拍車をかける。
「回春(Rejuvenation) feat.満島ひかり」
アヴちゃんがキャラクターごとに歌い分けるデュエットソング「回春」をアヴちゃんと親交の深い満島ひかりをパートナーに迎えた“Rejuvenation”バージョン。透明感ある満島の歌声を、芯の強いアヴちゃんの歌声が包み込むような、耳に心地よくも心に切なく棘を刺すバラードになっている。お互いが会話するように掛け合って歌う場面は、息が合っていてドキッとするほどナチュラルだ。
「火炎」
2019年1月にリリースされた、TVアニメ『どろろ』のオープニングテーマ。ハンドクラップをしたくなるダンスミュージックの中に、和のテイストからラップ、うねるギターまで盛り込みながら、美しくまとめ上げているところが見事である。3年前には、この楽曲で『THE FIRST TAKE』にも出演。ナチュラルな歌声と、低く力んだ歌声、そして澄んだハイトーンボイスを華麗に行き来するその実力を、マイクの前で遺憾なく発揮した。
▼女王蜂 – 火炎 / THE FIRST TAKE
「Introduction」
アヴちゃんと親交が深い漫画家・石田スイが原作を手がける映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』主題歌だけに、作品の世界観を理解しながらも、女王蜂の“節”が全開で鳴っている。クセになるギターリフとダンサブルなビートは、洗練されていながらもポップで、すぐに心身を踊らせる。ラストの囁きまで聴き応えたっぷりだ。白のポップでキュートな世界観と、黒のダークでゴシックな世界観が交錯するMVも秀逸。
「催眠術」
2018年10月にリリースされた、完全生産限定シングル「催眠術」表題曲。TikTokでもバズを巻き起こした。ナイヤビンギとエレクトロニクスを融合させたサウンドが、ロックバンドのダイナミズムをもって響いてくる。歌詞も“狂っている? わかっている”のリフレインを筆頭に、それこそ催眠術のように効いてくるフレーズばかり。メンバー4人のチャーミングな表情や迫真のパフォーマンスが観られるMVも、ぜひチェックしてほしい。
■女王蜂の今後は?最新情報をチェック
8月8日、東京・Zepp DiverCityにて『単独公演「蜂月蜂日~ファウスト降臨~」』、11月からは『全国ホールツアー2023-2024「十二次元+01」』を開催する女王蜂。楽曲もライブも進化し続ける女王蜂の動向は今後も見逃せない。
TEXT BY 高橋美穂
▼女王蜂の最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/796/