*高地優吾の「高」ははしごだか正式表記
“超攻撃型”と銘打ったHIP HOPチューンからエモーショナルなロックチューン、6人の軌跡、リアル、未来への願い──。SixTONES 9th Single「ABARERO」が4月12日にリリース。6人の“モンスター”が音の世界を縦横無尽に駆け巡る。
■まるでモンスターたちが檻から飛び出して暴れまわるようなパワーに溢れる「ABARERO」
今年1月、冒頭から目の覚めるような歌声で驚かせた3rdアルバム『声』。自らハードルを上げるようにして、続く9thシングルで聴かせる音楽もまた“Introから飛ばす”のごとく、のっけから引き込まれた。
“媚びは売らねーMy style”“アンチと半端は論外”──「ABARERO」は、彼らの強い意思を歌詞と音に託し、まるでモンスターたちが檻から飛び出して暴れまわるようなパワーに溢れる。YouTubeで公開されたMVでは、音の迫力に加えて、爪痕を残すかのごとく尖ったコレオグラフが視線を誘い、音だけでは想像もつかなかったストーリーが広がる。TikTokやInstagramへの動画投稿も盛んで、歌唱だけではないSixTONESのパフォーマンスや世界観が発信されているのも印象的。
本楽曲は4月に控えるSixTONES初の単独ドーム公演『慣声の法則 in DOME』に向けて制作された。SixTONESという存在を知らしめる“かます”一曲。アンチは論外、6人がいれば無敵と言わんばかりに噛みつくような獰猛さ、機敏さもあれば地に足をつけて意思を持って進む力強さもある。10代から活動をスタートし、デビューから3年超。後ろ盾に甘んじることなく、暴れまわるようにして挑戦を続けるSixTONESならではの楽曲だ。
本楽曲を手がけたのはTOMOKO IDA(作曲)とTSUGUMI(作詞)。2020年11月リリースのシングル『NEW ERA』のカップリング曲のひとつ「So Addicted」で与えた鮮烈な衝撃。他にも「love u…」(『NAVIGATOR』収録)、「Coffee & Cream」(『1ST』収録)、「Bella」(『僕が僕じゃないみたいだ』収録)を手がけ、SixTONESの音楽の輪郭を形作ってきた。彼らの歌声がパズルのピースのようにカチッとハマり、リスナーを揺さぶり魅了してきた彼女たちの作品が表題曲として君臨するのも感慨深い。ドームに響く「ABARERO」。本作が加わったセットリストやパフォーマンスを想像しただけでワクワク…ゾクゾクさせられる。
■66番の奇跡、カップリング曲
今作も期待を裏切らないカップリング曲。通常盤、初回盤A・Bそれぞれに合わせて4曲の新曲が発表された。
通常盤には「PARODY」と「Drive」。「うやむや」や「人人人」のような胸の内を吐き出すような“リアル”を歌うのもSixTONESの特徴の一つ。「PARODY」も同様に、生きづらい世の中や、“PARODY”のような世界に疑問を投げかける。歌詞に込めたメッセージとスピード感が痛快でクセになる。Chill系ドライブソング「Drive」もこのところの定番になりつつある開放感に満ちたテイスト。同系統を集めたプレイリストと共にドライブに出かけたくなる。
「ABARERO」とは対照的に、エモーショナルなHip Hop「Hello」。時にカッコよく、強く出るけれど、それだけじゃない。素直に気持ちを吐き出すのもまた強さ。過去作でも“自分らしく”、“主人公だよ”と背中を押してきたSixTONESらしく“どんな時も 朝は来る”と励ます。そして未来へ“Hello”と声をかけるのがなんとも彼ららしい。
そっと差し込まれた王道「彗星の空」。派手さや賑やかさのある並びで、別の角度から存在感を放つ。ラジオ番組でジェシーが「『NEW WORLD』もいいけど、大人になったSixTONESが『彗星の空』で表現されてる」と話していたように、今作に敷かれた「原点回帰」「現在地」「未来への展望」でいう“原点”で、彼らにしか歌えない楽曲だ。6人の出会いに始まり、偶然にもパッケージ品番が66番であることまでを含めて軌跡が生んだ奇跡。
傍から見れば煌びやかな道を歩んできたように見えるかもしれないが、夜空に星を探すように、揺らぐなかでもこの道を選び、共に歩んできた6人。彼らの軌跡を歌うのと同時に、グループ結成前からデビュー以降も増え続けるteamに宛てて書き綴った手紙のようにも思える。
シングル作品であっても表題曲からカップリング曲を含めてストーリー性があり、ドーム公演前に必聴のラインナップ。光と影、楽曲のコントラストは相変わらず。様々なアプローチの楽曲を前に、彼らが音楽と向き合ったうえで重ねた歌声や歌唱技術にそれぞれのセンスが光る。
勇ましくエネルギッシュな歌声を響かせるジェシー。美声の印象をそのままに、時に咆哮するかのように声を張り上げる京本大我。曲によってがらりと声を変え、芝居をするかのように歌う松村北斗。時に素直に、時に底から持ち上げるようなパワフルさを発揮する高地優吾。強さに甘さ、優しさをまとわせた声色で一気に音の世界へ引き込む森本慎太郎。抜群の音ノリの良さを誇り、挑発するように畳みかけ、爪痕を残すかのように歌う田中樹。これまでに聴いてきたものとはまた違った歌声が方々から響いてくる。6つの音色が織りなすマジックのような心躍る作品だ。
■リスナーとしてもじんわりと体感している音楽は“裏切らない”
ジェシーは時折、さらりと「音楽は裏切らない」と言う。彼らの歌声を聴いて、パフォーマンスを観て…リスナーの琴線に触れ、インストールするようにして記憶された音楽は、体の一部となり、様々なタイミングでフレーズやメロディが支えとなる。つらいときもうれしいときも、大抵はなんでもない日かもしれない。それでもSixTONESの音楽は、リスナーのその時々の気分や境遇に馴染んで、パワーを与えたり彩りをもたらしたり。気軽に音の海にダイブしても、探求心を持って接しても受け止めてくれる。田中がラジオ番組で「曲については魂注いで命かけてやってますから」と語った彼らの音楽を通じて、その“裏切らない”をリスナーとしてもじんわりと体感している。
SixTONESのエネルギーを注ぎ込んだ既成概念にとらわれないクリエイション、「ABARERO」を携えて迎える初の単独ドーム公演。彼らが所属するジャニーズとは縁深い場所でありながら、望んだ誰もが立てる場所ではないのも事実。目の前に広がるはSixTONESを渇望するように集まったteamだ。「彗星の空」で“また夢が輝けますように”と歌ったように、この先も道を切り拓いていくのだろうが、まずは6人で掴んだステージで大いにABARERO、SixTONES!!!!!!
TEXT BY 柚月裕実
リリース情報
2023.4.12 ON SALE
SINGLE「ABARERO」
SixTONES OFFICIAL SITE
https://www.sixtones.jp