何気ない授業風景、部活に明け暮れることもあれば、大恋愛したことも…かけがえのない日々が詰まった場所からの旅立ちを彩る“卒業ソング”。長年愛されてきた名曲や新定番となりつつあるフレッシュなナンバーまで、全20曲をセレクト。門出を祝して、心に深く刺さるこの楽曲たちを聴いてほしい。
■思い出とともに胸に刻まれる、卒業ソング人気20曲
「3月9日」レミオロメン
「サクラ咲ケ」嵐
「ラストソング」Official髭男dism
「ハルカ」YOASOBI
「沈丁花」DISH//
「サザンカ」SEKAI NO OWARI
「部活」神門
「楓」スピッツ
「僕らまた (Us, again)」SG (ソギョン)
「青春フォトグラフ」Little Glee Monster
「正解」RADWIMPS
「YELL ~エール~」コブクロ
「さくら(二〇二〇合唱)」森山直太朗
「Best Friend」西野カナ
「ありがとう」FUNKY MONKEY BABYS
「YELL」いきものがかり
「道」EXILE
「僕のこと」Mrs. GREEN APPLE
「空に笑えば」wacci
「サヨナラの意味」乃木坂46
「3月9日」レミオロメン
フジテレビ系ドラマ『1リットルの涙』挿入歌。元々は、友人の結婚を祝福するために書いた曲であり、タイトルも結婚式の当日が由来。“新たな世界の入口に立ち/気づいたことは 1人じゃないってこと”が結婚をイメージさせつつも、歌詞の多くの部分は春の穏やかな風景、大切な人と過ごしてきた日々、これから迎える未来を描写している。様々な人生の門出のイメージと重なるからこそ、この曲は幅広い世代に愛され続けているのだろう。
「サクラ咲ケ」嵐(あらし)
2005年3月23日リリース、メンバーの櫻井 翔出演『城南予備校』CMソング。夢や目標を叶えるために一歩を踏み出すリスナーの背中を優しく押す応援歌。爽やかに広がるメロディ、熱い闘志を伝えてくれるラップパート、軽快なビートなど、サウンドを通しても力強いエネルギーをキャッチできる。励ましたい身近な誰かに贈るのはもちろん、自分の心を鼓舞したい時に聴くのもおすすめ。桜が咲き誇る風景にもぴったり。春の行楽シーズンのBGMとして聴いても、過ごす時間を明るく彩れるはずだ。
「ラストソング」Official髭男dism(オフィシャルひげダンディズム)
2019年10月9日発売、ヒゲダンのメジャー1stアルバム『Traveler』収録曲で、楽しい時間が終わってしまうことへの寂しさが描かれている。どれだけ幸せを噛み締めたとしても、時間が過ぎ行くことからは誰も逃れることができない。学生時代の終わりを意味する卒業だけでなく、友達と遊ぶ時間、恋人とのデートなど、幅広い場面で味わう寂しさとも鮮やかに重なるこの曲は、“まだ遊びたりないよ もっと歌いたいのにな”というフレーズに深い実感がこもっている。
「ハルカ」YOASOBI(ヨアソビ)
放送作家・鈴木おさむの小説『月王子』を原作に書き下ろされた一曲で、タカラトミー『ぷにるんず』CMソング。売れ残っていたマグカップと持ち主の出会い、共に過ごした日々を描いたこの曲は、全編がとても温かい。つらい体験を乗り越えながら幸せを掴んでいくヒロイン“遥”の姿をマグカップの視点で捉えているが、大切な誰かを見守るすべての存在が抱く愛情が歌われている。人生の岐路を迎えた際、両親、教師など、支えてくれた人の気持ちを想像しながら耳を傾けることもできると思う。
「沈丁花」DISH//(ディッシュ)
日本テレビ系土曜ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』主題歌。母親に対してなかなか素直に伝えられない感謝の気持ちを描いたこの曲は、人生の大事な一歩を踏み出した際に親に贈ることをおすすめしたい。“「選ぶ道より、選んだ勇気じゃない?」/そう言ってくれたあなた”というフレーズは、子供の意志を尊重しながら見守る親の気持ちを感じさせてくれる。卒業式の後に友達とカラオケに行き、この曲を共に歌いながら密かに涙するのも、素敵な思い出に繋がるはず。
「サザンカ」SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)
『ピョンチャンオリンピック・パラリンピック』NHK放送テーマソング。歌詞の1番をFukase、2番をSaoriが手がけた。スポーツに打ち込んだ体験がなかったFukaseは歌詞を書く際に悩んだそうだが、「夢を追う人を応援する気持ちは、あらゆる分野に共通するものがあるのでは?」という旨の助言を母から受けて、イメージを掴めたのだという。“ここで諦めたら今までの自分が可哀想だと/君は泣いた”は、真剣に何かを追い求めた体験がある人の心に強く響くだろう。
「部活」神門(ごうど)
コロナ禍の学生の部活を描いている『カロリーメイト』のWebムービーシリーズから生まれた楽曲。学生たちへのインタビューを読んで制作と向き合ったラッパー・神門のポエトリーリーディングが激しく胸を打ってくる。“自分達には コロナのない中で過ごした学生時代がないのではない/コロナ禍で過ごした学生時代があるのだ”は、様々な制約を課された中で懸命に何かに打ち込んだ学生の想いそのもの。今まさに学生生活を送っている者たちへの力強いエールが伝わってくる。
「楓」スピッツ
1998年7月7日にリリースされた両A面シングル「楓/スピカ」の表題曲のひとつ。2017年に『午後の紅茶』のCM内で上白石萌歌が歌っていたのを記憶している人もいるだろう。何らかの事情によって別の道を歩くことになった“君”と過ごした日々を思い出している歌詞が印象的。リスナーそれぞれの解釈の形がありそうだが、寂しい気持ちを抱きながらも自分が選んだ道へと進む卒業の風景にも重なる。幅広い受け止め方ができるのも、愛され続けている理由だと思う。
「僕らまた(Us, again)」SG (ソギョン)
YouTubeやTikTokを中心に活動する、韓国人の父と日本人の母を持つシンガーソングライター・SG(ソギョン)。2021年4月にリリースされたこの曲は、若いリスナー層を中心として、卒業ソングの新定番としてのポジションを確立しつつある。学生からの「卒業式で歌いたい!」というリクエストに応えて、混声4部とピアノ伴奏の合唱用楽譜が公式YouTubeに無料公開されている。再会を約束し合いながら仲間とこの曲を合唱するのは、学生生活の素敵な思い出のひとつになること間違いなし。
「青春フォトグラフ」Little Glee Monster(リトルグリーモンスター)
2015年3月4日に両A面シングルの表題曲のひとつとしてリリースされた。モータウンサウンドのテイストを感じる躍動感、仄かな切なさを含むメロディが気持ちいい。Little Glee Monsterならではの美しい歌声のハーモニーも要注目。そして、写真をモチーフとしながら卒業式を迎えた時の心情を綴っている歌詞が、まっすぐに胸に迫って来る。“ありふれた 毎日は 全部 記念日だった”など、学生生活を終えようとしているリスナーが共感できる表現が満載だ。
「正解」RADWIMPS(ラッドウィンプス)
RADWIMPSと1000 人の18 歳世代が共演したNHKの番組『18祭』のために書き下ろされた曲。アルバム『ANTI ANTI GENERATION』には、「正解(18FES ver.)」が収録されている。正解を導き出すことをひたすら求められる学生時代を経て、正解が明確ではないことばかりの世の中へと飛び出していく若者の心情が歌われている。公式サイトで「オリジナル」「女声三部」「混声三部」の楽譜が無料ダウンロードできるので、卒業式で歌うこともおすすめしたい。
「YELL~エール~」コブクロ
2001年3月にリリースされたメジャーデビューシングルの表題曲。人生の門出を迎えている幅広い人の胸に響くはずのこの曲は、卒業式の風景にも美しく重なる。あらたな道を進もうとしている人を“誇り高き勇者のよう”と表現しているのが印象的。未来へと向かう足取りを力強いものにできるエネルギーで満ち溢れているのが、この曲の大きな魅力だ。応援歌のスタンダードナンバーでもある「YELL~エール~」は、これからも若者たちに勇気を与え続けるに違いない。
「さくら(二〇二〇合唱)」森山直太朗(もりやまなおたろう)
2003年3月にリリースされた「さくら(独唱)」を2020年に再アレンジして新レコーディング。『カロリーメイト』CMへの起用も話題となった。心置きなく歌うことが許されなくなったコロナ禍を踏まえて生まれたこの合唱曲には、つらい日々を乗り越えてきた学生や教師たちへのエールが込められている。卒業式シーズンを彩る力を強く帯びた仕上がりだ。“さらば友よ 旅立ちの刻 変わらないその想いを 今”など、素晴らしいフレーズの数々が改めて心に響く。
「Best Friend」西野カナ(にしのカナ)
2010年2月24日にリリースされたシングルの表題曲。NTTドコモ『ガンバレ受験生』キャンペーンソング。“君がいてくれて本当よかったよ” “私たちBest Friend 好きだよ、大好きだよ”など、飾らない表現の数々が光る。学生と音楽活動の両立の中で友人に支えられていた西野カナの想いが込められているのだという。様々な卒業ソングの中でも、ひとりの友人に向けての気持ちが描かれているのがこの曲の独自性。親友のことを思い浮かべながらぜひ聴いてほしい。
「ありがとう」FUNKY MONKEY BABYS(ファンキーモンキーベイビーズ)
2013年6月に解散したFUNKY MONKEY BABYS。同年2月にリリースされた「ありがとう」が、この名義でのラストシングルとなった。解散を間近に控えた中で制作されたので、歌詞のテーマは支えてくれたファンへの感謝だが、卒業ソングとしても心に響く普遍性を帯びている。“いつだって 君だけは 僕の光だった” “いつもそばにいて 支え合えた日々と 温かな君の笑顔にありがとう”などは、大切な友人との関係性を重ねながら耳を傾けることができるはずだ。
「YELL」いきものがかり
『第76回NHK全国学校音楽コンクール』中学生の部・課題曲、NHK『みんなのうた』2009年8~9月のうた。年月を重ねる毎に卒業ソングのスタンダードとしての存在感を増している。“サヨナラは悲しい言葉じゃない それぞれの夢へと僕らを繋ぐ YELL”は、各々の道へと進むことになる卒業式の本質を見事に捉えた表現。この曲を噛み締めながら夢を追い求め、未来のどこかで友人たちと再会した際に称え合うことができたら、とても素敵な人生ではないだろうか。
「道」EXILE(エグザイル)
2007年2月リリース。穏やかなテンポで展開するメロディが、胸に温かく沁みてくる。“君”との出会いによって成長することができたことへの感謝を描写した歌詞は、幅広い人間関係に当てはめられるが、卒業式の風景を思い浮かべながら聴く人も多いはず。夢や希望を語り合い、互いに励まし合いながら同じ空間を過ごす学生生活は、人生の中でも本当に特別な時間だ。そんな風景も鮮やかにイメージできるからこそ、この曲は長年にわたって支持され続けているのだと思う。
「僕のこと」Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)
2019年1月リリース。2022年11月からオンエアされたカロリーメイト受験生応援CM『狭い広い世界で』篇のために新レコーディングした「僕のこと(Orchestra ver.)」は、2023年1月9日に配信リリース。“努力も孤独も 報われないことがある だけどね それでもね 今日まで歩いてきた”という一節に代表されるように、毎日を精一杯に生きている人を心から祝福している。部活動などで苦楽を共にした友人との思い出をまとめた動画のBGMとしてもおすすめしたい。
「空に笑えば」wacci(ワッチ)
2018年7月に配信リリース。中高生を中心としてTwitter、TikTokの自作動画のBGMとして使用されるようになったことにも表れている通り、青春時代の様々な風景と重なる。スポーツに熱中した日々を思い浮かべながら聴く学生も多いはず。“誰かのために 自分に勝ちたい/初めて思えた 場所だった” “君がいたから 君といたから/どんな苦しみも乗り越えられた”など、悔しさも共有したチームメイトとカラオケで一緒に歌いたくなるフレーズが満載されている。
「サヨナラの意味」乃木坂46(のぎざかフォーティーシックス)
2016年11月リリース。センターポジションを務めた橋本奈々未の卒業を飾る曲となった。当時の乃木坂46メンバーやファンが抱いた寂しさを温かく包み込んだ歌詞は、あらゆる人間関係に当てはめて聴くことができる。“サヨナラに強くなれ この出会いに意味がある”は、別れの時が来たとしても共に過ごした日々は永遠に尊いものであり、この先の未来を作る力になっていくことを示してくれる。友人たちとの別れとなる卒業式の風景にも、まさしくぴったりな曲だ。
■卒業ソングを胸に、次なる一歩を踏み出そう
今回紹介した20曲は、卒業式シーズンはもちろん、今後も人々に長く愛されていくはず。門出の思い出とともに胸に刻み、大切な人の踏み出す一歩を祝福できる曲たちだ。
一生大切にできる曲たちと、ぜひ出会ってほしい。
TEXT BY 田中大