■約半年ぶりのフィジカル昨品
miwaが約半年ぶりのフィジカル作品となるニューEP『バレンタインが今年もやってくる』を2月8日にリリースした。タイトルが示すように、本作には2月14日にやってくるハッピーなイベント“バレンタイン”をコンセプトにした4曲が収録されている。
本作の詳しい内容に触れる前に、2022年後半のmiwaの動きをざっと振り返っておこう。まず9月25日には約半年ぶりの単独公演となる『miwa special concert 2022 “REVIVAL”』が東京国際フォーラム ホールCで開催された。この日はmiwa、音楽プロデュサー・NAOKI-T、ギタリスト・オバタコウジの3人によるデジタルユニットとして、2022年6月3日(現地時間)に出演したサウジアラビア・ジェッダの国民的イベント『Jeddah Season 2022』内のアニメエリア「Anime Village」でのパフォーマンスを再現するという大きな試みがあった。さらにデビュー10周年を迎えた2020年からの約2年間、コロナ禍を通して感じてきた様々な思いをあらためて総括する狙いも。海外ライブの“再演”と、あらゆる制限による抑圧から“生き返る”という意味が、タイトルの“REVIVAL”には込められていたのだろう。
■2022年は、たくさんのライブを通して歌をしっかりと届ける1年になったことは間違いない
その後、11月と12月には横浜、大阪、東京のビルボードライブを巡るツアー『miwa Billboard Live Tour 2022 “miwa CLASSIC Ⅱ”』を開催。2021年に続き、2度目となったこのツアーは、弦楽器を交えた編成による生音の響きに寄り添ったmiwaの柔らかな歌が、ラグジュアリーな空間の中で存分に堪能できるもの。自身の手ごたえも大きいようなので、このスタイルでのライブは今後も定番になっていくのではないだろうか。ワンマン以外にも、年末の12月31日には『COUNTDOWN JAPAN 22/23』への出演もあった。約5年ぶりのアルバム『Sparkle』のリリースから始まった2022年は、たくさんのライブを通して歌をしっかりと届ける1年になったことは間違いない。
そんなmiwaが2023年一発目に用意したのがEP『バレンタインが今年もやってくる』になる。昨年8月に自身初のEPとしてリリースされた『君に恋したときから』は、“恋”と“愛”をテーマにした4編の楽曲を収録するコンセプチュアルな内容となっていた。そのスタイルを受けて、今作では寒い冬の時期にマッチする、ごく身近なイベントである“バレンタイン”をテーマに1枚のEPとして編むことを決めたのだろう。初回生産限定盤のジャケットでは、オレンジ色のコートを着たmiwaが後ろ手にプレゼントを隠している写真が使われている。木漏れ日のような光の加減があたたかな印象を与える仕上がりだ。一方、通常盤のジャケットでは雪景色の中、白いマフラーを巻いたmiwaがたたずんでいる。初回生産限定盤とは対称的とも言える、しんとした空気を感じさせるシチュエーションだが、宙を見つめるmiwaの視線の先に何が写っているのか…といったストーリーを想起させてくれる写真になっている。こだわりのアートワークにもぜひ注目してほしい。
■EPのコンセプトをストレート表現した楽曲は、バレンタインデーをより色鮮やかな一日に彩ってくれるはず
そして収録曲。EPのオープニングを飾るのは1月18日から先行配信されていた「2月14日 feat.川崎鷹也」。作詞・作曲をmiwaが手がけ、アレンジにはNAOKI-Tがクレジットされている。昨年8月に山形・やまぎん県民ホールで開催されたイベント『TIMELESS SESSIONS in 山形 2022』でmiwaと共演している川崎は、この曲ではフィーチャリングボーカリストとして甘い歌声を披露している。アコギをメインとしたシンプルながらもあたたかなサウンドの上で、思いを交し合うように歌を重ねるふたり。1コーラス目は女性目線、2コーラス目は男性目線で歌詞が紡がれているため、その歌いわけをmiwaと川崎が担うことで、恋人未満なふたりのストーリーがよりリアルなものとして聴き手の胸へ響いてくる。EPのコンセプトをストレート表現した楽曲は、ドキドキした気持ちで迎えるバレンタインデーをより色鮮やかな一日に彩ってくれるはず。バレンタインに向けてチョコとカップケーキを手作りするmiwaのキュートな姿が収められたMVも必見の仕上がりだ。
2曲目は作詞・作曲をmiwaとher0ismが、アレンジをher0ismが手がけた「一番会いたい人」。軽快なサウンドとビートがダンサブルに弾けるトラックは、“会いたい”と願う大切な相手へのワクワクとした気持ちを加速させてくれる。ラップっぽいフロウを感じさせるBメロを筆頭に、メロディへの言葉の乗せ方が洋楽っぽい雰囲気を感じさせるのが印象的だ。1曲目同様、バレンタインをキーワードにした甘い気持ちが詰め込まれているが、その中にほんの少しのビターな感情を織り交ぜているのが、楽曲をよりリアルな聴き心地にしていると思う。サウンドに寄り添った輝度の高いmiwaの歌声が聴き手の笑顔を誘う。
「一番会いたい人」と同じ布陣で制作された3曲目「Love me」は一転、ピアノをメインに据えたせつないラブバラード。思いを強く募らせることで生まれる苦しい感情と、苦しいからこそ再認識する強い愛情を、感情に直結した感動的なボーカリゼーションで歌い上げる。平メロ終わりでグッとトーンが低くなるボーカルは聴き手をハッとさせるものであり、そこに続く英語を多用したサビではふくよかなハーモニーが重なることで、主人公の思いが痛いほどに聴き手の心に突き刺さってくる。バレンタインというイベントの裏にある、言葉にできないほどの思いを描き切ったこの曲が収録されることにより、EP全体の聴き心地はよりエモーショナルで奥深いものになったと思う。
■片想いのせつなさという普遍的な感情を瑞々しい筆致で紡いだ歌詞は、バレンタインに行動を起こす大きな原動力に
そしてEPのラストには、miwaが2012年2月にリリースしたシングル曲であり、ファンからの絶大な支持を集める「片想い」の“A.Guitar ver.”が収録されている。今回のアレンジは小倉博和が手がけた。片想いのせつなさという普遍的な感情を瑞々しい筆致で紡いだ歌詞は、バレンタインに行動を起こす大きな原動力になるものだろう。曲の最後に用意されている“本気なんです 本気で好きなんです”のフレーズを、チョコと一緒に渡したらきっと相手はグッとくること間違いなしだ。アコギサウンドとの相性の良さをあらためて実感させるmiwaの情感に満ちたボーカリゼーションが光る本作。NAOKI-Tがアレンジを手掛けたオリジナルバージョンと聴き比べるのもまた楽しい。
また、本作の初回生産限定盤には、昨年開催された「miwa special concert 2022 “REVIVAL”」の模様を収録したBlu-rayも同梱される。普段とは違う、レアな編成で行われたライブをぜひ堪能してほしい。
そして、EP『バレンタインが今年もやってくる』に続く動きもすでに決まっている。3月8日の“miwaの日”には、本作のリリースを記念したスペシャルイベントがタワーレコード渋谷店で開催される。さらに同日には2021年開催の『miwa“ballad collection”live 2021 ~decade~』を収録したBlu-ray&DVDもリリースされることになった。ここからも様々な動きを見せてくるであろう、2023年のmiwaの活動に大きく期待したい。
TEXT BY もりひでゆき
楽曲リンク
リリース情報
2023.2.8 ON SALE
EP『バレンタインが今年もやってくる』
ライブ情報
miwa acoustic live tour 2023 “acoguissimo 5”
4/14(金) 福岡県・スカラエスパシオ
4/15(土) 熊本県・DRUM Be-9 V1
4/21(金) 新潟県・新潟LOTS
4/29(土) 青森県・Quarter
4/30(日) 宮城県・仙台darwin
5/3(祝・水) 愛知県・Zepp Nagoya
5/4(祝・木) 大阪府・Zepp Osaka Bayside
5/12(金) 東京都・Zepp Haneda
5/19(金) 岡山県・CRAZYMAMA KINGDOM
5/20(土) 愛媛県・Wstudio RED
5/27(土) 北海道・旭川CASINO DRIVE
5/28(日) 北海道・PENNY LANE24
miwa OFFICIAL SITE
https://www.miwa-web.com