聴くと感情が強く揺さぶられる“エモい曲”。TikTokをきっかけにここ数年でバズった曲もあれば、カラオケで人気なもの、懐かしの名曲などなど、数多ある楽曲の中から厳選。あらたな楽曲と出会うきっかけとして、エモい気分になりたい時の参考にしてほしい。
“エモい曲”で人気の20曲
「栞」クリープハイプ
「カイト」嵐
「カブトムシ」aiko
「Permission to Dance」BTS
「正解」RADWIMPS
「melt butter」さとうもか
「春を告げる」yama
「グッドな音楽を」ねぐせ。
「W/X/Y」Tani Yuuki
「なんでもないよ、」マカロニえんぴつ
「ホワイトキス」鈴木鈴木
「虹色の戦争」 SEKAI NO OWARI
「Cure For Me」AURORA
「Sweetness」Jimmy Eat World
「今夜はブギー・バック」小沢健二 featuring スチャダラパー
「花降らし」n-buna
「拝啓、少年よ」Hump Back
「キンモクセイ」オレンジスパイニクラブ
「青春日記」リュックと添い寝ご飯
「難破船」中森明菜
「栞」クリープハイプ
元々は、『FM802 × TSUTAYA ACCESS!』キャンペーンソングとして、尾崎世界観が作詞作曲し、尾崎自身も参加しているRadio Bestsellers名義で発表された同曲。クリープハイプver.は、2018年9月リリースのアルバム『泣きたくなるほど嬉しい日々に』に収録。歌詞は、文才が光る比喩が巧みに織り交ぜられており、恋愛のみならず、様々な別れと旅立ちに当て嵌めることができる。これぞ青春と思える、つんのめるようなビート感も秀逸。
「カイト」嵐(あらし)
“NHK2020ソング”として、アスリートたちが繰り広げた数々の名シーンを彩った。2019年1月に、2020年末をもって活動休止することを発表していた嵐。それもあって、「カイト」が初披露された2019年末の『第70回NHK紅白歌合戦』は、番組屈指の名場面として、多くの人の記憶に残ることとなった。リリースは2020年7月。作詞作曲を手がけたのは米津玄師で、過去・現在・未来へと思いを馳せることができる、壮大なナンバーに仕上がっている。
「カブトムシ」aiko(アイコ)
1999年11月にリリースされてから20年以上がたった今もなお、“エモいラブソング”として世代を越えた人気を誇っている。2020年2月に井口 理(King Gnu)がパーソナリティをつとめる『オールナイトニッポン0(ZERO)』のゲストにaikoを招いて、この曲を共に歌ったことでも再注目された。人生や四季、表情や情景の鮮やかな描写と、“生涯忘れることはないでしょう”という決定的なフレーズのリフレイン。伸びやかながら重みもあるバラードで、永遠に余韻を残し続ける。
「Permission to Dance」BTS(ビーティーエス)
エモい曲が多いBTSの中でも、2021年にリリースされた『BUTTER』収録曲である、こちらをセレクト。“私たちが踊るのに許可はいらない”という歌詞と、コロナ禍の終息を知らせるストーリーを描いたMVは、世界中に希望を届けた。国際手話が取り入れられたダンスも大きな話題に。国や立場や生き方が違っても、同じ歌とダンスを楽しむことができる――世界的アーティストとなったBTSだから届けることができるメッセージだ。
「正解」RADWIMPS(ラッドウインプス)
元々はNHK『RADWIMPS 18祭 2018』で制作された楽曲であり、その後アルバム『ANTI ANTI GENERATION』に収録。ライブでも、RADWIMPSだけではなく“みんなの歌”でもあることを象徴するように、シンガロングが巻き起こる。聴けば、リアルタイムで卒業シーズンを迎える世代はもちろん、その時期を越えてきた世代にとっても、様々な思い出を重ね合わせることだろう。いつまでもたどり着けない“正解”を、ひとりきりでも探し続けるための、温かな号砲のような名曲。
「melt butter」さとうもか
岡山県出身のシンガーソングライター・さとうもかが2020年にリリースした楽曲。2022年にTikTokでバズり、動画が20億再生を突破したことで、さらに広く知られるようになった。何気ない日常の思い出と、別れを選んだ今の対比が、痛みを感じるほどに切々と歌われる。それでいて、曲調や歌い方は、どこか平熱なところがリアルで、リスナーも自己投影しやすい。“運命だと信じてた日々よ/さようなら”と、バッサリと終わる潔さもエモーショナルだ。
「春を告げる」yama(ヤマ)
YouTubeをベースにカバー曲を公開していた中で、2020年に自身初のオリジナル曲としてリリース。“深夜東京の6畳半 夢を見てた”という、半径1m以内の世界から、遥かまで思いを馳せる世界観と、軽やかなサウンドが時代とマッチし、SNSを席捲した。のちに『THE FIRST TAKE』や『With ensemble』でストリングスやピアノと共に歌ったバージョンも大きな話題に。素顔やプロフィールなどを隠したミステリアスな存在だが、だからこそ、リスナーが感情移入できる楽曲になっている。
▼yama – 春を告げる / THE FIRST TAKE
▼yama – 春を告げる | With ensemble
「グッドな音楽を」ねぐせ。
2022年に、“ホットでグッドな音楽を”のフレーズがTikTokでバズった、名古屋出身の4人組ロックバンドねぐせ。の3rdミニアルバム『ワンダーランドに愛情を!』収録曲。心身に浸透するダンサブルなサウンドながら、いかにもロックバンドなスタイルで、音楽の尊さを歌っており、TikTok世代にライブハウスへの扉を開く楽曲になった。“最低だって思うのは自分が最高だからだ”という結末は、すべての人を自己肯定と笑顔へ導いてくれる。
「W/X/Y」Tani Yuuki(たに ゆうき)
リリースから約半年をへてSNSでブレイクし、ロングヒットを記録。TikTokでの総再生回数が6億を突破した、新世代アーティスト・Tani Yuukiの代表曲。お互いの“愛してる”を信じあうふたりの“年老いるまで笑っていたいね”というフレーズが、ソフトな歌声と穏やかなビートに乗って染みわたる。その物語の中で光る、効果的な韻の踏み方などの巧みなスキル。歌詞と曲調が溶け合っているからこそ、ここまで愛される楽曲になったのだろう。
「なんでもないよ、」マカロニえんぴつ
2021年末に日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。さらに2022年末には、日本レコード大賞優秀作品賞を受賞し、お茶の間にも浸透したことを証明した。シンプルなアレンジの中で響き渡るのは、“僕より先に死なないでほしい”という深い思い。世代を超えて愛されているところも頷ける。つい口から出がちな“「何でもないよ」”というキャッチーな言葉をフックに持ってきたところも秀逸だ。2023年1月に出演した『THE FIRST TAKE』でも、その魅力が味わえる。
▼マカロニえんぴつ – なんでもないよ、 / THE FIRST TAKE
「ホワイトキス」鈴木鈴木(すずきすずき)
兄弟ユニットの鈴木鈴木が2021年にリリースした楽曲。瞬く間に、TikTokなどの冬のカップル動画で流れるスタンダードナンバーとなり、広くカラオケでも歌われるようになった一曲。クリスマスや雪景色を想起させるようなキラキラ感と、甘すぎるほどの歌詞の世界観。恋愛ど真ん中にいるふたりには、たまらなく共感できるはず。兄弟ならではの息の合ったハーモニーも聴きどころで、全編にわたって溢れる温かみは、彼らならではのものだと思う。
「虹色の戦争」 SEKAI NO OWARI(せかいのおわり)
元々は、2010年にリリースされたインディーズ時代の1stアルバムに収録。それが2022年、TikTokでバズり、再び注目されることとなった。振り付けも広まっているほどポップな曲調ではあるが、歌詞は当時から、昨年レコード大賞を受賞するほど大ヒットした「Habit」に至るまで貫かれている、彼らの真骨頂ともいえるシリアスなもの。“貴方が殺した自由の歌は/貴方の心に響いてますか?”という切実な問いかけは、時代を越えて心に刺さる。
「Cure For Me」AURORA(オーロラ)
ノルウェー出身のシンガーソングライターAURORAが、2021年にリリースした楽曲。MVで彼女が踊る姿が“ペンギンダンス”と話題になり、TikTokでバズを巻き起こした。もちろんダンスもキュートなのだけれど、歌詞も深堀りしていくと“私のための救済はいらない”という意味を掲げたタイトルを含めて、社会の窮屈な定義から心身を解き放ってくれるものになっている。自然に対する神聖なる思いをポップに昇華した、新時代を象徴する名曲。
「Sweetness」Jimmy Eat World(ジミー・イート・ワールド)
近年は、様々な音楽や状況に対して“エモい”という言葉が使われているが、音楽においての“エモ”はひとつのジャンルとして存在する。そのバンドの代表格が、アメリカのJimmy Eat World。彼らの楽曲の中でも、ビールのCMソングに使われたこともあり、日本で最も知られているのがこの楽曲である。2001年にリリースされた4thアルバム『ブリード・アメリカン』収録。切ないメロディと弾けるビートに、“元祖エモ”を感じてほしい。
「今夜はブギー・バック」小沢健二 featuring スチャダラパー(おざわけんじフューチャリングスチャダラパー)
リリースされたのは1994年。しかし、その後も宇多田ヒカルをはじめとして数々のアーティストがカバー。2022年にはサントリー“ほろよい”のCMで、tofubeats水星とのマッシュアップアレンジ楽曲が流れたことにより、再び注目されることとなった。原曲が発表された当時は、歌とラップが混じり合う革新性に驚かされたが、長く愛されることによって、ノスタルジックな世界観と心地よいビート感という、曲調そのものが際立ってきていると思う。
▼水星 × 今夜はブギー・バック nice vocal
「花降らし」n-buna(ナブナ)
コンポーザーとして、ヨルシカでの活動も行うn-bunaが、ボカロP時代の2016年に発表した楽曲。“花びらが宙に浮いた/舞った一足のサンダル”という印象的な歌い出しから、色や匂いや温度が体感できるような、鮮やかな情景描写が続く。初音ミクらしいハイトーンボイスが切ないメロディで活かされており、楽曲に息づくエモーションをかき立てる。サウンドの沸点は長尺のギターソロ。別れの季節に辛さだけではなく美しさを感じてしまう心に寄り添ってくれる。
「拝啓、少年よ」Hump Back(ハンプバック)
大阪出身のロックバンドHump Backが2018年にリリースした、旅立ちに似合う歌。3ピースならではのシンプルなアンサンブルから、“夢はもう見ないのかい?/明日が怖いのかい?/諦めはついたかい?”と、まっすぐな歌詞が問いかけてくる。躓くたびに奮い立たせてくれるメッセージは、青春真っただ中の10代だけではなく、どんな世代にも響く。最後、“遠回りくらいが丁度良い”と、不器用な生き方を受け止めてくれるところもいい。
「キンモクセイ」オレンジスパイニクラブ
4人組ロックバンド・オレンジスパイニクラブが2019年にリリースした1stシングル『敏感少女』に収録。まさしく金木犀が香るような臨場感のある歌詞に、“最高 あんた最高/グッときた心臓バンっと割れる”などと感情そのものみたいなフレーズが織り交ぜられ、胸をときめかせる。心身がほっこりと温かくなるようなメロディやアレンジも秀逸。“握ってたいのはスマホじゃない あんたの右手だ”は、この時代における最強フレーズだ。
「青春日記」リュックと添い寝ご飯(リュックとそいねごはん)
平均年齢21歳の4人組ロックバンドリュックと添い寝ごはんが、2020年にリリースした1stミニアルバム『青春日記』に収録。歌い鳴らしているバンドが当事者の世代だからこそ“僕らの青春はここからだ”というフレーズが、あまりにもリアルに響く。青春を遠くすぎた世代も、脳内で“あの頃”が再生されてしまう。焦燥感を覚えるほど疾走している曲調も、ロックバンドらしくて最高だ。卒業と入学の季節を迎える人に、花束の代わりに贈りたい。
「難破船」中森明菜(なかもりあきな)
1984年に加藤登紀子が作詞作曲し、自身の楽曲として発表。さらに1987年に中森明菜がカバーし、大ヒットしたのが「難破船」である。ポップでキュートなアイドルが大多数を占めた80年代、お茶の間に驚きと感動を呼んだ楽曲。自身を難破船に例えるという、加藤登紀子らしい文学的な歌詞を、中森明菜が情感たっぷりに歌い上げる。改めて考察すると、なんと上質な“エモさ”だろうか。この感覚は、日本の音楽に脈々と受け継がれてきたものであると再認識せずにはいられない。
■エモい曲とともに、日常を音楽で彩ろう
“エモい曲”とひと口に言っても、音楽のジャンルも、描かれたテーマも、浮かび上がってくる情景も様々。ここでは幅広い楽曲をセレクトしたので、その時の自分の心情に嵌るものを探して、日常を彩ってほしい。
THE FIRST TIMES 編集部
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