入学や就職といった、新生活が始まる心躍る出会いの季節であり、それと同時に卒業や次なる目標へ進むための別れの季節でもある、春。そして、そんな春ならではの心境を表しているのが“桜ソング”だろう。桜を見ると思い出す名曲から最新曲まで盛りだくさんの桜ソング20曲をお届けする。
▼桜、別れと出会い、門出…10代に刺さった卒業&春ソング TOP50
■桜ソング人気20曲:出会い、旅立ちを飾る歌
「さくら(独唱)」森山直太朗
「桜」コブクロ
「さくら」ケツメイシ
「桜が降る夜は」あいみょん
「春泥棒」ヨルシカ
「ひらりと桜」Snow Man
「SAKURA」いきものがかり
「桜坂」福山雅治
「SAKURAドロップス」宇多田ヒカル
「千本桜(feat. 初音ミク)」黒うさP
「栞」クリープハイプ
「桜の時」aiko
「桜色舞うころ」中島美嘉
「はなびら」back number
「サクラ色」アンジェラ・アキ
「Lovin’ Life」FUNKY MONKEY BΛBY’S
「SAKURA BURST」Cö shu Nie
「サクラウサギ」川崎鷹也
「桜恋」もさを。
「10年桜」AKB48
「さくら(独唱)」森山直太朗(もりやまなおたろう)
今や、合唱曲や卒業式・入学式といった式典にも選ばれる、日本を代表する桜ソングのひとつ。2003年楽曲発表以降、多くの人の心を奮わす名曲だ。学生時代の思い出の一曲として記憶に残っている人も多いだろう。2019年には、夢を実現しようと突き進む主人公を高畑充希が演じたドラマ『同期のサクラ』の主題歌として「さくら(二〇一九)」を、コロナ禍の受験生を応援するストーリーのカロリーメイトCMソングとして「さくら(二〇二〇合唱)」をリリースしており、困難に立ち向かう曲としても広まっている。
▼「さくら(二〇一九)」 Music Video
▼カロリーメイトCM|「見えないもの」篇 フルバージョン 森山直太朗 – さくら(二〇二〇合唱)
「桜」コブクロ
インディーズ時代に作られ、コブクロ結成のきっかけにもなったという同曲は、叶わない思いをも大切な瞬間として心に残し、力強く生きていこうというコブクロの優しいメッセージが込められている。言葉一つひとつを際立たせるような曲に対し、ふたり包み込むようなハーモニーが映える。また、“桜”を“咲く love”と表現する、彼ららしい言葉遊びも。耳で、目で、そして心で楽しむ、桜ソングである。
「さくら」 ケツメイシ
萩原聖人と鈴木えみによるドラマ仕立てのMVが印象的な、2005年2月16日リリースの「さくら」 。鍵盤とケツメイシを語るうえで外せない人気曲のひとつでもある。満開の桜をきっかけに、いつでも鮮明に蘇る“ふたりで過ごしたあの頃”。今は隣にいない恋人との日々に思いを馳せる同曲は、年齢を重ねるほどに味わい深くなる。2021年には、久間田琳加と、『ケツノポリス4』を車でかけていた父親の影響で同曲のファンになったという伊藤あさひによって令和版の新MVが公開。ピアノとストリングスによる、春を感じさせるイントロも必聴だ。
▼ケツメイシ「さくら」(2021年 ver.)
「桜が降る夜は」 あいみょん
2021年2月17日に配信リリースされた、ABEMAオリジナル恋愛リアリティーショー『恋とオオカミには騙されない』主題歌でもある同曲。満開の桜はとても美しいが、そのぶん散る儚さや寂しさもあり…そんな桜に純真な恋心を重ねた、甘酸っぱさのあるラブソングだ。実は22~23歳頃に作詞作曲したもので、改めて楽曲と向き合った際に思わずあいみょん本人も驚いたほどにまっすぐな想いが綴られている。そのまっすぐさが曲の雰囲気にもマッチし、全体としてかわいらしさを感じさせるのだろう。
「春泥棒」 ヨルシカ
2021年1月9日にリリースされた「春泥棒」 は、作詞作曲をつとめたn-buna(Gu、Composer)によると、“桜”を命、“風”を時間に見立てることで“春風”を表現し、春風が吹くと桜は散ることから“春泥棒”と、桜をきっかけに着想を広げて完成させたという。美しい旋律、口ずさみたくなるポップさで聴き手に満開の桜をイメージさせる巧妙さはさすがのひと言。MVでは、この命の物語を咲き誇る桜の美しさとともに楽しむことができるので、楽曲と合わせて堪能してほしい。
「ひらりと桜」Snow Man(スノーマン)
Snow Manがメインキャストの舞台『滝沢歌舞伎 ZERO』で開幕を告げる曲であり、ファンにとっても思い入れ深い「ひらりと桜」。大量の桜吹雪のなか、和を取り込んだ曲に合わせてしなやかに歌い踊るメンバーが見もので、視覚的にも楽しめるエンターテインメント性の高い桜ソングだ。日本人の琴線に触れる曲もさることながら、Snow Manの気負いに満ちたパフォーマンスも圧巻。所作や表情、歌声やハーモニーで、逞しくも、凛々しくも、色っぽくもみせている。大きく枝をのばす立派な桜を前にすると、力をもらった気がするように、同曲を耳にすると自然と力が湧き上がってくる。
「SAKURA」 いきものがかり
2006年3月にリリースされた、いきものがかりのメジャーデビューシングル。シンプルな歌詞とまっすぐに想いを届ける吉岡聖恵の歌声に心を掴まれた人も多いだろう。作詞作曲をしたギターの水野良樹は、元々失恋ソングとして書いた歌詞を“恋愛だけではなく、聴く人によって幅広い捉え方ができるように”と30パターンも書き直したのだとか。こういったこだわりの積み重ねにより、現在も世代関係なく愛される、春の名曲となったのだろう。2008年に初出場した『第59回NHK紅白歌合戦』でも「SAKURA」を披露し、その人気は揺るがぬものとなった。
「桜坂」 福山雅治(ふくやままさはる)
バラエティ番組内のいち企画ながら、大きな反響を呼んだ恋愛リアリティ企画『未来日記』シーズンVのテーマソングであり、2000年4月にリリース 。ふたりで歩む未来はなくても…今も変わらず思い続ける“愛しき人”の幸せを願う、淡く切ない恋心が綴られている。曲名のモデルとなった、東京都大田区にある桜坂は、『未来日記V』のロケ地であり、デビュー前の福山自身も近くに住んでいたというエピソードも有名だ。
「SAKURAドロップス」 宇多田ヒカル(ウタダヒカル)
「Letters」と両A面で2002年5月9日に発売された、宇多田ヒカル11枚目のシングル楽曲。江戸時代の画家・伊藤若冲にインスパイアされた映像美で織りなすMVも楽曲発売当初から大きな話題に。“舞い落ちる桜の花びら=SAKURAドロップス”とし、恋愛の美しさと切なさを歌っている。どこかオリエントな、幻想的な雰囲気を醸し出す同曲だが、“秋のドラマ再放送”といった日常のなかでの時間経過を感じさせるワードチョイスも宇多田ヒカルならではといえるだろう。
「千本桜 (feat. 初音ミク)」 黒うさP(くろうさピー)
“和を感じる春ソング”として、海外でも人気の高い「千本桜」 。制作サークル“WhiteFlame”を率いる黒うさPが作詞・作曲・編曲を行い、ボーカロイドの初音ミクが歌唱する同曲は、トヨタCMソングで起用されるなど、ボカロ曲が世間一般に広まったきっかけを作った楽曲のひとつ。近年では、Ado、すとぷりなどがカバー。また、和楽器バンドによる生楽器・生歌唱でより和アレンジが効いた「千本桜」のMVは、YouTube再生回数1億5千回を超える(2023年1月31日現在)。
▼和楽器バンド / 千本桜
「栞」 クリープハイプ
2018年の『FM802 × TSUTAYA ACCESS !』キャンペーンソングとして尾崎世界観が作詞作曲した「栞」を、クリープハイプver.として同年9月26日発売のアルバム『泣きたくなるほど嬉しい日々に』に収録。『祐介』『母影』など、小説家としても活躍する尾崎世界観の文学的な歌詞が光る、春の物悲しさを疾走感溢れるバンドサウンドで昇華。“「ちょっといたい もっといたい ずっといたいのにな」”と素直に言い出せない気持ちを心に閉まったまま終わってしまう恋はどこまでも切なく、卒業など別れの季節でもある春にハマる一曲だ。
「桜の時」aiko(アイコ)
2000年2月17日にリリースされた、aiko5枚目のシングル。憂鬱なことでも楽しいことだと思えるように、物事を見方を変えてくれる存在に出会い、そんな相手へ尽きることのない愛情を高らかに歌う同曲は、“こんなふうに誰かを愛したい!”という人はもちろんのこと、恋を始めたばかりの人にぜひ聴いてほしい。“幸せなキスをするのがあなたであるように”と春の暖かな陽気にうってつけな、幸せな気持ちにさせてくれるポップナンバー。
「桜色舞うころ」中島美嘉(なかしまみか)
日本語の美しさを感じさせてくれる「桜色舞うころ」は2005年2月にリリースされた。中島自身初の桜ソングとなったこの曲は、彼女の華奢で儚いイメージとハスキーな歌声が見事に曲とマッチし、楽曲の奥深さを増幅させている。歌詞に四季を取り入れることで、時間経過だけでなく、その季節ごとの“ふたり”の距離感や心理描写がつかみやすい。旋律の美しさもあって、森山良子や徳永英明といったアーティストにもカバーされるほど、多くの人に愛されている。
「はなびら」 back number(バックナンバー)
2011年4月リリースのback numberメジャーデビュー曲。エモーショナルなラブソングに定評のある彼らが作ったのは、“君ともう一回出会って/ もう一回恋したいんだって”と、もう巻き戻せない過去に抗おうとする春ソング。思い出にするにはあまりに想いが強すぎて、春になって桜を見るたびに疼く、心の痛みと笑顔の“君”…桜が美しいほど、想いが溢れて胸が苦しくなる一曲だ。
「サクラ色」アンジェラ・アキ
自身初の日本武道館公演(2006年12月)へ来場したファンのためにと密かに制作、武道館での初披露後に2007年3月リリース。青春時代を過ごした、アンジェラ・アキにとって第2のふるさとでもあるワシントンでの何もかもがうまくいかなかったという時期を思い返しながら、過去の辛い経験や悔しさをポトマック河畔の桜に託した歌だという。“”否定の言葉に押しつぶされても/這い上がり戦い続けた”という歌詞からもわかるように、ミュージシャンになる夢を諦めなかった彼女の不屈さは同曲を通じて私たちリスナーを強く鼓舞する。
「Lovin’ Life」FUNKY MONKEY BΛBY’S(ファンキーモンキーベイビーズ)
サビ後半の“さくら さくら さくら 咲くよ”が耳に残る、FUNKY MONKEY BΛBY’Sの「Lovin’ Life」。2007年1月リリース当初のチャート21位だったが、徐々に順位を上げ、6週目にTOP10入りを果たした。その後も春になると聴きたくなる、口ずさみたくなる曲として長く愛されるように。ファンモンらしいまっすぐなメッセージが胸に響く、珠玉の一曲。
「SAKURA BURST」Cö shu Nie(コシュニエ)
2018年6月にデビューした2人組ロックバンド・Cö shu Nieの「SAKURA BURST」は2022年1月リリース。TVアニメ『15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ』第2クールEDテーマである同曲について、メンバーは「大切な人を亡くした時に制作していたので、心から溢れ出るようにあっという間に出来上がりました」とコメント。気持ちの高ぶりを表すようなドラマチックな展開、コードギアスの主人公・ルルーシュの思いと重なるような歌詞と美しい高音が響く、中村未来の歌声が刺さる。
「サクラウサギ」川崎鷹也(かわさきたかや)
日常を切り取った親しみやすい音楽性が魅力のシンガーソングライター・川崎鷹也の2021年1月リリースの「サクラウサギ」は、学生生活で3年間恋をした人に思いを伝えられない自分を“臆病で弱虫なウサギ”と例えた桜ソング。この曲を作った経緯について「“好き”という気持ちを相手に伝えられない、そんなサクラウサギ”な皆さんの背中を押すきっかけに、この曲がなればいいなと思って作りました」と語っている。今抱いている、その気持ちを大切に。この曲を聴いて勇気をもってほしい。
「桜恋」もさを。
女性目線のラブソングが人気のシンガーソングライターもさを。がLINE MUSICとコラボし、女子高生の恋のエピソードをもとに作成した、2021年2月リリースの“卒恋”ソング。いちばん多くエピソードが集まった話題が、卒業を迎えても結局思いを伝えられないままの“叶わない恋=卒恋”にだったこともあり、その心情に寄り添った叶わない恋を引き立てるバラードに仕上がっている。
「10年桜」AKB48(エーケービーフォーティエイト)
2009年3月にリリースされた、AKB48の11thシングル楽曲。学校などの集団から羽ばたいて、ひとりで歩き出す時。先が見えない不安、ひとりでやるしかないという孤独、本当にやっていけるのかという焦り…誰もが経験するであろう、旅立ちの負の感情を拭い去るほどのエネルギーに満ちた桜ソング。一歩踏み出せずにいる時、この曲が背中を押してくれるに違いない。それは、それぞれの次なる夢へと羽ばたいていく彼女たち自身にも言えることで、そう考えると、より感慨深いエールソングでもある。楽曲リリースから10年後(2019年)に各メンバーがSNSなどでコメントを残すなど、彼女たちにとっても思い入れのある曲のようだ。
■出会いや別れの季節にぴったりの名曲が盛りだくさん
次世代に受け継がれていく名曲からあらたな視点や価値観から生み出された最新曲まで、ひと言に“桜ソング”といっても、それぞれの趣がある。
新生活に向けて誰かに背中を押してもらいたい人も、悲しい別れを経験して癒されたい人も春を迎えるすべての人に自分にぴったりな桜ソングを見つけてほしい。
TEXT BY 日谷仁美
▼桜ソング人気20曲:出会い、旅立ちを飾る歌