「“チェンソー寄りのバンド”をずっとやって来たので、『チェンソーマン』は自分にナチュラルに入り込んでくる感じがあって、スッと曲が出来ました」(TK from 凛として時雨)
音楽の最深部に光を当てることで、気づかなかった魅力が輝きだす。音楽を嗜好品のように味わう、最深音楽コンテンツ『FUKA/BORI』。谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)がホストを担当し、音楽が生まれた裏側にあった物語、その音楽を生んだミュージシャンを作った音楽を、ゲストアーティスト自身が掘り下げていく、この番組。DIG 7となる12月26日公開の『FUKA/BORI』に登場したアーティストは、TK from 凛として時雨。SIDE Aでは、自身のターニングポイントとなった曲である「first death」を深掘り。
「ターニングポイントっていうと、結果的にそれが自分にとって大きな意味を持ったかどうか?って意味合いが強いと思うのですが。作ってる側の気持ちとしては、『この曲をみんなに聴かせた時、何かが変わるんじゃないか?』とか、『聴く人が衝撃を食らう、何かになるんじゃないか?』というのを毎回、夢を見ながら作ってるところがあって。『これでも世界は変わらなかったか!』と思いながら、やってるんですけど(笑)、(「first death」は)まだ、楽曲自体がリリースしたてなので、『これからターニングポイントになればいいな』という感じですね」と、この曲を選んだ理由を説明したTK。
■「first death」が生まれた瞬間
アニメ『チェンソーマン』の第8話EDテーマとして書き下ろされた「first death」から、タイアップ作品への向き合い方について聞かれると、「僕、もともとアニメとか漫画とか、ほとんど見なくて。(タイアップの)お話をいただいてから、ストーリーを頭に入れるという感じなので。逆にゼロの状態からなんの前情報もなしに没頭して、何回も繰り返し見て」と話し、「僕、最初は物語が全然入ってこないんです。本も読めないんですよ、文字が飛んでっちゃうんですよね」と告白。
「だからインプットするのに、ものすごく時間がかかるんですけど。もっともっと深いところに行きたいから、自分的には『入ってきてない』と思っちゃうんだと思うんです」と自身を分析し、「『この人とこの人がどう思って、こういう背景になって』とか、『監督さんはここに対して、どういう音楽をつけたいのか?』ってことを考えたりしてるんで、なかなか先に進まなかったりするのですが。『チェンソーマン』は漫画があったり、アニメ化するというのが早い段階で公開されてて、ティザー映像もあったので。“スピード感”っていうのは、ものすごく分かりやすかったんです」と、「first death」制作時の裏話を語り始めたTK。
「『チェンソーマン』に関しては、作品が求めているものを自分の中で勝手に想像して作れたので。あまり考える必要がなかったっていうのがありますね」と話し、「“チェンソーマン”って実在しないですけど、自分の中ですごくナチュラルに入り込んでくる感じがあって。『自然に出来た』っていうと、違和感を覚える人も多いかも知れないですけど。わりと、“チェンソー寄りのバンド”をずっとやって来たので(笑)。自然にギターを弾いて、『これをチェンソーにしてやる!』みたいな感じで作ったので、スッと出来ました」と制作秘話を明かした。
歌詞に関しては、「“チェンソー”ってところから、どれだけ飛躍させられるか? 何言ってるんだろう?って面白さも入れたいなと思っていました」と話し、“完全無欠のデイジーチェーン”という印象的なフレーズについて聞かれると、「直訳すると“数珠繋ぎ”とかそういう感じで、音楽用語でもいろんなものを繋ぎ合わせる時に使うんですが。チェンソーだけでなく、そこからいろんなものを想像して。自分が書いたものを見ても、『どうやって書いたんだろう?』という感じでした」と振り返り、歌詞が生まれる瞬間、音楽が生まれる瞬間について深掘り。
■楽曲制作で大事にしていること
自身をさらに深掘りした番組終盤は、「「first death」を作る時は、記憶がなくなるくらい作り込んでるんですけど。いざライブってなると、『あれ? これどうしよう?』みたいなところから始まって。あまり再現性みたいなことを考えていないんです」と話し、「僕、結構、作りながら録ることが多くて。自分の言葉をメロディに乗せた時の感触として、それが作りたい物になってるのか? とか、それがストーリーと合ってるのか? とか考えて、整合性を取りながらやってるので、何回も録り直したりして」と、独特なレコーディング方法について語ったTK。
「それこそ深掘りですけど、自分の作ったものを深く深く掘っていって、『これカッコいいかもな』と思って、欠片みたいなものが出来て。スタジオから出て、スーパーとか買い物行って。イヤホンとかで聴くと、さっき深いところにいた状態から、地上に上がってきてるんで。『いま聴くとそうでもないな』ってことが結構、連続して起きるんですよね」と自身の経験を話すと、「それって自分としてはすごく危ないなと思ってて。バンドで作ってる時は、“マジックタイム”みたいなもので完成させちゃった方がいいものってあると思うんですけど。一人で作ってる時は、自分がゾーンに入ってる時の魔性な時間で作り上げたものに騙されたくないなっていうのがあって。深く掘っていたところで作った音を、通常の自分に戻った時にカッコいいと思えるかどうか?っていうのを、一番大事にしてるかも知れないですね」と、自身の考えと楽曲制作において大事にしていることを明かした。
自身が“ターニングポイントにしたい”と語る「first death」の話題で始まり、楽曲制作秘話や独特なレコーディング方法など、自身の音楽について広く深く語ったSIDE A。1月10日公開のSIDE Bでは、TK from 凛として時雨が影響を受けた楽曲について深掘り。詳しくはYouTubeのFUKA/BORIチャンネルをチェックして欲しい。
■楽曲リンク
『FUKA/BORI』
TK from 凛として時雨
SIDE A:「first death」
1/10(火) 22:00 公開予定
SIDE B:TK from 凛として時雨が影響を受けた楽曲を深掘り
『FUKA/BORI』
https://www.youtube.com/playlist?list=PLi1F8vriz0_WL3yKBwFfP68Mkx7f8Y4KV
『THE FIRST TIMES』OFFICIAL YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCmm95wqa5BDKdpiXHUL1W6Q
TK from 凛として時雨 OFFICIAL SITE
https://tkofficial.jp/s/n150/?ima=4138
谷中 敦 OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/a_yanaka