先月のチャート紹介で“Ado旋風もひと段落”と書きましたが、今度は「私は最強」のMr.GREEN APPLEによるセルフカバーが13位に登場するなど、引き続き『ONE PIECE FILM RED』の余波が残る11月のランキング。年末の紅白歌合戦にはウタの出演も決まっており、同作が2022年を代表する映画となったことは間違いなさそうです。
映画などとのタイアップによる楽曲は、いつの時代も多くの人たちに記憶に残りやすいもの。11月のランキングにも、作品との相乗効果で魅力を高めている楽曲が複数登場しています。まずはそんな話題からどうぞ。
■RADWIMPS、8LOOM:映画・ドラマとの幸福な関係
実は先月と同じ顔ぶれのトップ3ですが、1位のOfficial髭男dism「subtitle」がドラマ『silent』の主題歌、3位の米津玄師「KICK BACK」がアニメ『チェンソーマン』のオープニングテーマというように、映像作品とのコラボレーションはリスナーにとって楽曲の記憶を強めると同時にアーティストのインスピレーションも刺激します。
▼Official髭男dism「Subtitle」
▼米津玄師「KICKBACK」
そんな好例と呼べるのが、7位にランクインしているRADWIMPS「すずめ (feat. 十明)」。新海誠の最新作、アニメ映画『すずめの戸締り』において印象的に使われている一曲です。
▼RADWIMPS「すずめ feat.十明」
新海誠作品とRADWIMPSのコラボレーションは、『君の名は。』『天気の子』に続いて3作目。まるで楽曲のMVのような形で映像とシンクロする相性の良さもあり、このコンビもすっかり広く知られるものとなりました。今回初めて東日本大震災と明示的に向き合った『すずめの戸締り』のシリアスで落ち着いたトーンともリンクする「すずめ (feat. 十明)」は、美しいアニメーションとともに鳴り響くことで、映画と楽曲の世界を同時に深みのあるものにしています。
RADWIMPSがアニメ作品をフィルターとして自身の楽曲の魅力を高めているいっぽうで、“映像作品からそのまま飛び出した”という形で人気を博しているのが8LOOM(ブルーム)。ドラマ『君の花になる』発の期間限定ボーイズグループでもある彼らの発表した楽曲が50位以内に3曲ランクインしています。
8LOOMのケースは、Adoが“ウタ”として楽曲をリリースしているのと形としては同じと言えるかと思いますが、こういったフィクションと現実の境目がなくなるタイプのコラボレーションはファンとしても楽しむ余地が広がって良いですね。今回ランクインした楽曲だと、特に「Melody」が韓国のインディーポップ風味のサウンドをボーイズグループらしいきらめき感とともにパッケージしていて、なかなか面白いなと思いました。
▼8LOOM 「Melody」
■HoneyWorks、Jung Kook(BTS):今の話題の震源地
ポップミュージックはその時代の流行っているものと自然と繋がって支持を拡大していきます。先ほどはテレビや映画との繋がりの深い楽曲を紹介しましたが、今この文脈で語るのであれば、TikTokの存在は欠かせません。
ヒット曲が生まれるプラットフォームとして完全に定着した感のあるTikTokですが、最近のTikTokのチャート上位をひた走るのが12位にランクインしたHoneyWorks「可愛くてごめん (feat. かぴ)」。HoneyWorksの手がけるプロジェクト『告白実行委員会 〜恋愛シリーズ〜』の一曲で、わかりやすく明るいポップソングです。
▼HoneyWorks「可愛くてごめん (feat. かぴ)」
また、“その時代の流行っているもの”と言えば、ちょうど今のタイミングだとやはりワールドカップでしょう。試合時間が深夜になることが多く、またテレビで放送される試合が一部に限られるなど不利な要素は多々ありますが、日本チームの躍進やABEMAでの全試合中継などを通じて大きな盛り上がりを見せています。
そのワールドカップの開会式にて、カタールのアル・バイト・スタジアムでパフォーマンスを行ったBTSのJung Kook。その時の楽曲「Dreamers」が、今月20位にランクインしています。
▼Jung Kook「Dreamers」
開会式では大勢のダンサーを引き連れてのステージでしたが、そんな場面が似合うスケールの大きなポップソングです。グループとしての活動は一旦少なくなるようですが、先日リーダーのRMがソロアルバムをリリースするなど個々の動きは引き続き活発。それぞれの角度からどんなふうに音楽シーンを盛り上げていくか楽しみです。
以上、11月のLINE MUSIC『10代トレンドランキング』についてお届けしました。来月のチャートもどんな動きがあるのか楽しみです!
TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)
■楽曲リンク
■2022年11月 LINE MUSIC 10代トレンドランキング
01.「Subtitle」Official髭男dism
02.「Overdose」なとり
03.「KICK BACK」米津玄師
04.「Melody」8LOOM
05.「カナタハルカ」RADWIMPS
06.「本当はね、」ヤングスキニー
07.「すずめ (feat. 十明)」RADWIMPS
08.「W/X/Y」Tani Yuuki
09.「もう一度」Tani Yuuki
10.「ウエディング」音田 雅則
11.「Come Again」8LOOM
12.「可愛くてごめん (feat. かぴ)」HoneyWorks
13.「私は最強」Mrs. GREEN APPLE
14.「クリスマスソング」back number
15.「CASE 143」Stray Kids
16.「Soranji」Mrs. GREEN APPLE
17.「アイラブユー」back number
18.「Life Is Still Going On」NCT DREAM
19.「XOXO」Repezen Foxx & SPRITE
20.「Dreamers [Music from the FIFA World Cup Qatar 2022 Official Soundtrack] [feat. FIFA Sound]」Jung Kook, BTS
21.「ANTIFRAGILE」LE SSERAFIM
22.「スターマイン」Da-iCE
23.「君の花になる」8LOOM
24.「祝福」YOASOBI
25.「日常革命」ねぐせ。
26.「新時代」Ado
27.「Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ)」Bar Yahman
28.「紋白蝶 feat. 石原慎也 (Saucy Dog)」東京スカパラダイスオーケストラ
29.「幸せの花束を」マルシィ
30.「最後の一本 (feat. J-REXXX)」ジャパニーズ マゲニーズ
31.「ヒロイン」back number
32.「愛とか恋とか」Novelbright
33.「錠剤」TOOBOE
34.「We don’t talk together (Feat. Giriboy) (Prod. SUGA)」Heize
35.「紫苑」Saucy Dog
36.「サウダージ」ポルノグラフィティ
37.「HIKARI」8LOOM
38.「未来図」マルシィ
39.「クリスマスイブ」優里
40.「刃渡り2億センチ(TV edit)」マキシマム ザ ホルモン 一部のアニメテーマ専用仮設チャンネル
41.「ミックスナッツ」Official髭男dism
42.「私は最強」Ado
43.「最低」れん
44.「DREAM」SEVENTEEN
45.「ノールス」シンガーズハイ
46.「Stardom」King Gnu
47.「バニラ」きゃない
48.「VERY NICE」Seventeen
49.「花束」back number
50.「Daydreamin’」Ariana Grande
51.「残機」ずっと真夜中でいいのに。
52.「Crayon」ZOT on the WAVE & Fuji Taito
53.「死ぬのがいいわ」藤井 風
54.「ダンスホール」Mrs. GREEN APPLE
55.「Why So Lonely」Wonder Girls
56.「Run BTS」BTS
57.「いつか」Saucy Dog
58.「シンデレラボーイ」Saucy Dog
59.「チグハグ」THE SUPER FRUIT
60.「結」Saucy Dog
61.「魔法にかけられて」Saucy Dog
62.「愛言葉」Tani Yuuki
63.「Way Back Home (feat. Conor Maynard) [Sam Feldt Festival Mix]」SHAUN
64.「NIGHT DANCER」imase
65.「grace」藤井 風
66.「Blue Moon」NiziU
67.「Talking Box (Dirty Pop Remix) 」WurtS
68.「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ( feat.花譜 & ツミキ)」MAISONdes
69.「色彩」yama
70.「Santa Tell Me」Ariana Grande
71.「CHAINSAW BLOOD」Vaundy
72.「1999」羊文学
73.「おかえり」Tani Yuuki
74.「LIKE I LOVE YOU feat. Ninety6miles」JP THE WAVY
75.「napori」Vaundy
76.「Angel」ちゃんみな
77.「なんでもないよ、」マカロニえんぴつ
78.「怪獣の花唄」Vaundy
79.「All I Want for Christmas Is You」MARIAH CAREY
80.「After LIKE」IVE
81.「スウェット」ねぐせ。
82.「フロリジナル」Mrs. GREEN APPLE
83.「Wherever you are」ONE OK ROCK
84.「ドライフラワー」優里
85.「DIE (feat. KZHI)」KOTA
86.「君じゃない誰かの愛し方 (Ring)」TOMORROW X TOGETHER
87.「SOUVENIR」BUMP OF CHICKEN
88.「Paradise」NOA
89.「それを愛と呼ぶなら」Uru
90.「福沢諭吉」Ninja We Made It.
91.「ちゅ、多様性。」ano
92.「今更だって僕は言うかな」Saucy Dog
93.「1番近くで」鈴木鈴木
94.「silent」SEKAI NO OWARI
95.「Bye」YRD Leo
96.「あぁ、もう。」Saucy Dog
97.「グッドな音楽を」ねぐせ。
98.「Talk that Talk」TWICE
99.「瞳惚れ」Vaundy
100.「Never Grow Up」ちゃんみな