TVアニメ『ゴールデンカムイ』第四期オープニングテーマ「NEVER SAY GOODBYE feat. Mummy-D」を発表したALI。
▼TVアニメ「ゴールデンカムイ」(第四期)ノンクレジットOP/OPテーマ:ALI「NEVER SAY GOODBYE feat. Mummy-D」
TVアニメ『呪術廻戦』エンディングテーマ「LOST IN PARADISE feat.AKLO」の大ヒットでも知られるALIだが、音楽シーンで存在感を増すこの多国籍バンドに改めて迫ろう。
▼TVアニメ『呪術廻戦』ノンクレジットEDムービー/EDテーマ:ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」
■バンド名の由来は?多国籍バンド・ALIの歩み
ALI(アリ)
・結成日:2016年6月3日
・メンバー:LEO(Vo)/ LUTHFI(Ba)/ CÉSAR(Gu)
・OFFICIAL SITE https://alienlibertyinternational.com/
・Twitter @ALI_MUSIC_DANCE
・Instagram ali.love.music.and.dance
・TikTok ali_official_japan
・YouTube https://www.youtube.com/channel/UCnYvfe8YHnRRly5SCA8mP5A
メンバー全員が日本とヨーロッパ、あるいはアメリカ、アジア、アフリカといった国にルーツを持ったミックスで、東京・渋谷発の多国籍ファンク&ヒップホップバンドとして2016年に活動を始めたALI。
結成日は2016年6月3日、元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリが亡くなった日であり、バンド名の由来にもなっている。バンド名にはもうひとつ、“ALIEN LIBERTY INTERNATIONAL”という意味を込め、頭文字をとった“ALI”と名乗っている。
ファンク、ソウル、ジャズ、ラテンなどのルーツミュージックをベースに、ヒップホップ、スカ、ロックといったクロスオーバーかつ異端なサウンドで世界を目指すというビジョンは、そもそも結成時からあったわけだ。
2020年11月にメジャー1stシングルとしてリリースしたのが、TVアニメ『呪術廻戦』エンディングテーマの「LOST IN PARADISE feat.AKLO」。日本のみならず海外でもバイラルヒットをするが、元メンバーの不祥事により、無期限の活動休止に追い込まれてしまった。
▼ALI – LOST IN PARADISE feat. AKLO(Re-edit ver.)
しかし、2021年11月18日に活動再開を発表。2022年2月23日にミニアルバム『INGLOURIOUS EASTERN COWBOY』をリリース。
同作は、アニメ『すばらしきこのせかい The Animattion』のオープニングテーマとしてリリースするはずだった「TEENAGE CITY RIOT feat. R-指定」をはじめ、様々な角度からALIのエッセンスを凝縮したパワフルな作品となっており、完全復活を見せつけた。
以降、多くのフェスやイベントに出演を重ね、今のALIは好調の最中にいる。
■キーマンであり、音楽にとことん熱いLEO
LEO / 今村怜央(読み:レオ / いまむられお)
・担当:ボーカル
・生年月日:1987年1月27日
・出身地:東京都渋谷区
・Twitter @ALI_EN_LIBERTY
・Instagram https://www.instagram.com/guerrilla_works/
ALIの発起人であり、リーダー、そしてボーカルをつとめるLEO。
ルーツはスペイン×イギリス×日本。14歳の頃から「音楽でアメリカに行く」と公言し、高校を卒業してから週5日ピアノと発声を学ぶという生活を5年間続けていた。
特に影響を受けたのはボブ・マーリーとニーナ・シモン。ボブ・マーリーのことは、「何度も失敗しているのにまったく諦めない。その人間性と楽曲の生々しさ。そしてハーフというところに惹かれた」と。ニーナ・シモンのことは、「やはり音が生々しい。黒人公民権運動の先端に立って戦ったこともあるエネルギッシュな人で、かつ歌に対する誠実さがある」と語っている。
▼Bob Marley – Is This Love (Official Music Video)
▼Nina Simone – Feeling Good (Official Video)
ALIのエネルギッシュで生々しい楽曲は言わずもがな偉大な先人の影響が感じられるし、LEO自身もまた活動再開時のコメントに、「これからも歌に救われ、歌のように生きてまいります。久しぶりに言わせてください。音楽最高。音楽万歳」と記していたように、生き様を隠すことなく音楽活動のひとつのエンジンにしているミュージシャンだ。
それは、これまでのインタビューでの逃げも隠れもしない音楽愛に満ちた発言からも手に取るようにわかるだろう。
いつもALIを応援してくださり、誠にありがとうございます。
弊社所属バンドALIは元メンバーが起訴されて以来、半年間活動を休止しておりましたが、
本日、2021年11月18日より活動を再開させることをご報告いたします。2021年11月18日
Alien Liberty International株式会社 pic.twitter.com/KdiL1FEuvY— ALI_Official (@ALI_MUSIC_DANCE) November 18, 2021
■アーティスト、アニメファン、音楽リスナー…心惹かれるALIの音楽
ありのままをさらけ出し、血肉にして、音楽を鳴り響かせるALI。ここからはALIの魅力について語っていきたい。
◎生き様を映し出すライブ
ALIのライブは、LEOを中心にメンバーの生き様がそのまま表出したような生々しさがある。メンバー3人に加え、ドラム、キーボード、ホーンセクションが参加するという大所帯だ。複数のラッパーやボーカリスト、ストリングスセクションが参加することも珍しくはない。
▼ALI – LOST IN PARADISE feat. AKLO / INSIDE THE FIRST TAKE supported by ahamo
▼”ALI -LOVE, MUSIC AND DANCE 2022-『Funky Nassau [The Beginning Of The End]』” BLUE NOTE TOKYO Live
▼サボタージュ (VS. ALI) [from VIVA LA ROCK 2022] / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
圧倒的なカリスマ性を放つLEOを中心に、音楽で結ばれたユニティ感を放ちながら、一曲一曲手加減なしの熱量をオーディエンスにダイレクトにぶつける。全身を激しく動かし、アグレッシヴに踊り歌うLEOは、ライブの最後まで体力が持つのかとたまに心配になるほどだ。
その極上のグルーヴにオーディエンスもたまらず気持ちよさそうに踊り始め、会場はダンスフロアのような様相を呈する。多国籍バンド故に、海外での人気も高い。
2022年6月にはサウジアラビアで初めてライブを行い、11月には台湾のインディー音楽アワード『金音創作獎』授賞式にも登場し、パフォーマンスを行ったことも記憶に新しい。
#金音13 #ALI 和 #Karencici 的演出真的太帥了!帥慘!!!怎麼可以那麼好看!!!而且主唱LEO也太感人,竟然還說了那麼長一段中文!@ALI_MUSIC_DANCE
詳細報導&更多圖:https://t.co/8aSZ85FCsm pic.twitter.com/odaYijqDMJ— 迷迷音MeMeOn (@memeonmusic) November 5, 2022
◎生々しい言葉、世界観とマッチした音像
ALIの名を一躍知らしめた「LOST IN PARADISE feat.AKLO」をはじめ、不屈の闘志で高みを目指すメッセージとクロスオーバーな音楽性を宿した楽曲はアニメとの親和性があり、アニメファンからの支持も高い。
その最新版が、TVアニメ『ゴールデンカムイ』第四期オープニングテーマ「NEVER SAY GOODBYE feat. Mummy-D」だ。
▼ALI – NEVER SAY GOODBYE feat. Mummy-D
LEOが敬愛するRHYMESTERのMummy-Dをフィーチャリングしたこの曲は、ドラマチックなストリングスが施されたゴシックな香りのするハードなロックチューン。
道なき道を歩み続ける『ゴールデンカムイ』の闘争史と、音楽愛を原動力に終わりの見えない旅を続けるALIの姿が重なる。Mummy-Dのラップには“俺たちは皆Aliens”というALIのバンド名を思わせるラインがあり、その共闘ぶりにニヤリとさせられる。
◎フィーチャリング
ALIは多くの楽曲でフィーチャリングアーティストを招き入れている。それは、メンバーがあらゆる音楽を好むミュージックラバーであるということと、ALIが多くのアーティストに支えられているというところが大きいだろう。
特に象徴的だったのが、活動再開後初の作品となったEP『INGLOURIOUS EASTERN COWBOY』だ。収録曲は「TEENAGE CITY RIOT feat. R-指定」「Whole Lotta Love feat.木村昴」「FOUND BLUE feat. 黒田卓也」「Dance You, Matilda」で、4曲中4曲がフィーチャリング曲。
エモパンクなサウンドを踏まえ、「今このサウンドでラップができるのはこの人だけ」という想いのもと招かれたR-指定。10年来の友人であり、苦楽を共にした仲の木村昴。LEOがずっとファンで何年もコラボをする機会を探っていたという日本を代表するトランペット奏者・黒田卓也。フィーチャリングの理由は様々だが、どの楽曲も各々のクリエイティブが自由にぶつかり合っている。
■ALIにハマるならコレ!人気5曲
「TEENAGE CITY RIOT feat. R-指定」
活動再開後初のEP『INGLOURIOUS EASTERN COWBOY』の一曲目に収録。アッパーなホーンが効いたかなり攻撃力が高いロックチューン。ラップモンスター・R-指定ならではのスピーディーな日本語ラップとLEOのワイルドな英語のボーカリゼーションのコントラストの中毒性が高い。追い詰められ困難がある状況でも、「人生を無駄にするな」というメッセージが轟き、結果的に復活を経たALIが鳴らしたからこその説得力が宿った。生き様がそのまま音楽になるというALIの業の深さを感じる楽曲。
「FEELIN’GOOD feat. 梅田サイファー/KOPERU, peko, KZ, R-指定」
2021年1月にリリースしたメジャー1stミニアルバム『LOVE, MUSIC AND DANCE』リード曲。KOPERU、peko、KZ、R-指定という梅田サイファーの面々とホーンセクションを迎え、超ご機嫌なファンクミュージックを奏でた。LEOの艶やかなボーカルからパーティーの幕が開き、4者4様の巧みなラップリレーがスタート。“いかれた奴らのニューノーマル”をはじめ、時事ネタも満載。ALIのコンセプトである、「LOVE, MUSIC AND DANCE」を体現したような音楽愛に溢れたダンスチューンである。
「SHOW TIME feat. AKLO」
活動再開後第二弾シングルとして配信された「SHOW TIME feat. AKLO」。半年間の活動休止中、エンゼルスの大谷翔平選手が「LOST IN PARADISE feat.AKLO」を登場曲として使い続けてくれたことへの感謝の気持ちをきっかけに制作された。
「LOVE, MUSIC AND DANCE」の“DANCE”の部分に特化し、LEOが愛するプリンスばりのどファンクで熱気ムンムン。今は絶望の底にいるかもしれないが、音楽を武器にまだまだ進んでいこうという切実な想いと大谷選手へのエールが交錯する。
「FIGHT DUB CLUB feat. J-REXXX, RUEED」
メジャー1stミニアルバム『LOVE, MUSIC AND DANCE』の2曲目に収録された楽曲。『スラムダンク』を愛読していたLEOが“戦い続ける人間の美しさ”をテーマに制作したB.LEAGUE 2020-21 SEASON 公式テーマソング。ラテンの旋律と熱烈なアジテート、そして“この気持ちがもう抑えきれない 野生の本能は止められない”という前のめりなフレーズから始まる。抜き差しならない勝負ごとにおけるスリルと熱狂がラテンのフレーバーと共に押し寄せ、サビの“Fly Away oba oba”というフレーズが会場でのシンガロングを想起させる。
「Wild Side」
2019年11月にリリースされた自主制作による1stシングルのタイトル曲。テレビアニメ『BEASTARTS』のオープニングテーマとなった。スリリングなイントロから、日本語、英語、フランス語が混ざり合った性急なラップパートに突入。艶やかなホーンにラップがなまめかしく絡み、LEOのワイルドな英語のアジテートが轟くというALIの猥雑でボーダーレスな多国籍バンドとしての魅力が序盤から詰まった楽曲。2番のLEOのフランス語風のイントネーションによる英語ボーカルもスパイスとして効いている。混沌としながらも、高らかに音楽愛が叫ばれ、ライブで演奏されることも多い人気曲だ。
■生き様=音楽のALIから目が離せない
活動休止中も音楽を辞めることは一切考えなかったというALI。
東京スカパラダイスオーケストラの新プロジェクト“VS.シリーズ”の第1弾として「サボタージュ (VS. ALI)」を発表したり、数多くのフェスや対バンイベントからも声がかかるなど、活動休止前と比べても、その勢いは増している。
その不屈さで、これからもあらたな景色を見せてくれるだろう。
TEXT BY 小松香里
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