「新時代」が10位にランクダウンとAdo旋風もひと段落した10月のランキング(といってもトップ20には「わたしは最強」もまだ残っていますが)。強烈な嵐が去った後に現われたのは、夏頃とはだいぶ顔ぶれの異なるチャートでした。本稿では、あらたなフェーズに入った感のある10代トレンドランキングの上位陣についてお届けします。
■Official髭男dism、藤井風:あらたなJ-POPの中心地
なとり「Overdose」、Tani Yuuki「もう一度」といった先月の上位陣、およびアニメ『チェンソーマン』の主題歌としても話題の米津玄師「KICK BACK」をおさえて今回のチャートで1位に輝いたのがOfficial髭男dism「Subtitle」。今クールのテレビドラマでトップクラスの話題作となっている『silent』の主題歌です。
この「Subtitle」、聴いた時は正直驚きました。元々クオリティの高かった藤原 聡のボーカルは、冒頭からラストまで一分の隙もない歌い回しへとさらに進化。そんな歌声が最大限に映えるメロディの美しさも類を見ないもので、最後のサビの“思い返した時 不意に目をやる時に”の流れは鳥肌ものです。
ヒゲダンがこれまでも表現してきたゴスペル感がさらに神々しく伝わるサウンドも含めて、“J-POPはいよいよこの水準まできた”というような感慨を覚えました。
今年長らくこのチャートの上位を走り続けてきた「ミックスナッツ」もいまだ29位にランクインしており、ヒット曲としての大衆性と音楽的な質の高さを両立させ続ける今のヒゲダンはまさに“無敵”と言ってもいいのかもしれません。
このコンディションはまだまだ続く雰囲気もありますし、少し気が早いですが次のアルバムがどんな傑作になるのか非常に楽しみです。
ヒゲダンとともに今のJ-POPの品質をどんどん高めていっている存在が、9位に「grace」、13位に「死ぬのがいいわ」をランクインさせている藤井風。昨年の紅白歌合戦以降アーティストとしてのステージを着々と向上させていますが、「死ぬのがいいわ」がTikTokを介して海外でもヒットするなど、次なるフェーズに進もうとしています。
新曲の「grace」はシンプルなビートと少し懐かしい感じのメロディ、そしてまろやかな歌声という藤井風の黄金律とも言うべき出来栄え。モダンな音作りと歌謡曲的なセンスが高度に融合した一曲です。
“メインストリームが面白いかどうか”というのは音楽業界の健全性を測るうえでの重要な指標です。その点において、ヒゲダンや藤井風がシーンの中心になっている現状には心強さを覚えます。
■LE SSERAFIM:新体制で巻き返しなるか?
16位にランクインしたのがLE SSERAFIM「ANTIFRAGILE」。SAKURAこと元HKT48の宮脇咲良を擁するK-POPグループがリリースした2作目のEPからの楽曲です。
SAKURA、さらにはKIM CHAEWON(キム・チェウォン)と、2018年から2021年まで活動していた人気グループ・IZ*ONEのメンバーが所属するLE SSERAFIM。今年5月にBTSと同じ事務所のHYBEから注目の6人組としてデビューしたものの、早々に1名が脱退して5人編成に。
また、同じくIZ*ONEのメンバーふたりを含む6人組ガールズグループのIVEや、やはりHYBE傘下でデビューしたNewJeansなど、ライバルとなり得る存在の人気も着実に拡大しています。
ハードな競争環境の中で今回発表された「ANTIFRAGILE」は、前作とは少しテイストの異なるレゲトンを基調にしたナンバー。苦境に立ち向かっていく5人の力強さが押し出された仕上がりになっています。
次から次に新しいグループが登場するK-POPのシーンですが、LE SSERAFIMに関しては“48グループのメンバーがどんなキャリアを歩むか”という点においても注目すべきケースです。日本で活躍したアイドルが進むべき道のモデルケースとなるように頑張ってもらいたい、と強く願っています。
以上、10月のLINE MUSIC『10代トレンドランキング』についてお届けしました。来月のチャートもどんな動きがあるのか楽しみです!
TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)
■楽曲リンク
■2022年10月 LINE MUSIC 10代トレンドランキング
01.「Subtitle」Official髭男dism
02.「Overdose」なとり
03.「KICK BACK」米津玄師
04.「もう一度」Tani Yuuki
05.「本当はね、」ヤングスキニー
06.「紫苑」Saucy Dog
07.「W/X/Y」Tani Yuuki
08.「祝福」YOASOBI
09.「grace」藤井 風
10.「新時代」Ado
11.「CASE 143」Stray Kids
12.「XOXO」Repezen Foxx & SPRITE
13.「死ぬのがいいわ」藤井 風
14.「私は最強」Ado
15.「愛とか恋とか」Novelbright
16.「ANTIFRAGILE」LE SSERAFIM
17.「CHAINSAW BLOOD」Vaundy
18.「SOUVENIR」BUMP OF CHICKEN
19.「日常革命」ねぐせ。
20.「アイラブユー」back number
21.「Come Again」8LOOM
22.「色彩」yama
23.「ダンスホール」Mrs. GREEN APPLE
24.「すずめ (feat. 十明)」RADWIMPS
25.「最後の一本 (feat. J-REXXX)」ジャパニーズ マゲニーズ
26.「チグハグ」THE SUPER FRUIT
27.「残機」ずっと真夜中でいいのに。
28.「ウエディング」音田雅則
29.「ミックスナッツ」Official髭男dism
30.「ヒロイン」back number
31.「NIGHT DANCER」imase
32.「Soranji」Mrs. GREEN APPLE
33.「逆光」Ado
34.「ウタカタララバイ」Ado
35.「Talking Box (Dirty Pop Remix) 」WurtS
36.「クリスマスソング」back number
37.「可愛くてごめん (feat. かぴ)」HoneyWorks
38.「魔法にかけられて」Saucy Dog
39.「ブルーアンビエンス (feat. asmi)」Mrs. GREEN APPLE
40.「バニラ」きゃない
41.「結」Saucy Dog
42.「After LIKE」IVE
43.「愛言葉」Tani Yuuki
44.「シンデレラボーイ」Saucy Dog
45.「Talk that Talk」TWICE
46.「VERY NICE」Seventeen
47.「いつか」Saucy Dog
48.「スターマイン」Da-iCE
49.「風のゆくえ」Ado
50.「恋だろ」wacci
51.「花の塔」さユり
52.「Crayon」ZOT on the WAVE & Fuji Taito
53.「未来図」マルシィ
54.「Way Back Home (feat. Conor Maynard) [Sam Feldt Festival Mix]」SHAUN
55.「ベルベットの詩」back number
56.「HELLO」TREASURE
57.「花束」back number
58.「DICE」NMIXX
59.「napori」Vaundy
60.「今更だって僕は言うかな」Saucy Dog
61.「グッドな音楽を」ねぐせ。
62.「怪獣の花唄」Vaundy
63.「Tot Musica」Ado
64.「君の花になる」8LOOM
65.「Hype Boy」NewJeans
66.「damn」藤井 風
67.「DIE (feat. KZHI)」KOTA
68.「それを愛と呼ぶなら」Uru
69.「なんでもないよ、」マカロニえんぴつ
70.「Phone」HITOMIN
71.「Yessir (feat. Eric.B.Jr.)」¥ellow Bucks
72.「Start Over」THE BEAT GARDEN
73.「あぁ、もう。」 Saucy Dog
74.「ドライフラワー」優里
75.「Habit」SEKAI NO OWARI
76.「melt bitter」さとうもか
77.「水平線」back number
78.「おかえり」Tani Yuuki
79.「エジソン」水曜日のカンパネラ
80.「スウェット」ねぐせ。
81.「ベテルギウス」優里
82.「Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ)」Bar Yahman
83.「YOKAZE」変態紳士クラブ
84.「幸せの花束を」マルシィ
85.「Journey」DECO*27
86.「Run BTS」BTS
87.「tonight」平井 大
88.「君じゃない誰かの愛し方 (Ring)」TOMORROW X TOGETHER
89.「HAPPY BIRTHDAY」back number
90.「サウダージ」ポルノグラフィティ
91.「Hanabi」Louis Vision, Kaikun & 三浦ひな子
92.「SKETCH」秋山黄色
93.「reoccurring dream」Watson
94.「高嶺の花子さん」back number
95.「ただ声一つ」ロクデナシ
96.「Wherever you are」ONE OK ROCK
97.「レオ」優里
98.「恋」back number
99.「楓」スピッツ
100.「姿」あいみょん