“ミリオンヒット”が続出した、平成。すなわち、誰もが知る・歌える人気曲が多く生まれた時代とも言える。
令和になった今聴いても、当時と変わらぬ魅力に溢れた平成のヒット曲をラインナップ。ヒットした理由とともに振り返っていく。
平成に青春を過ごした人たちにとってはまさに感涙モノ! 当時を思い出しながら改めてヒットした数々の曲を聴いてみると、またあらたな発見があるはずだ。
■平成ヒット曲 – 前半15選
「未来予想図II」DREAMS COME TRUE
「ラブ・ストーリーは突然に」小田和正
「残酷な天使のテーゼ」高橋洋子
「Tomorrow never knows」Mr.Children
「チェリー」スピッツ
「I’m proud」華原朋美
「White Love」SPEED
「CAN YOU CELEBRATE?」安室奈美恵
「First Love」宇多田ヒカル
「M」浜崎あゆみ
「TSUNAMI」サザンオールスターズ
「天体観測」BUMP OF CHICKEN
「涙そうそう」夏川りみ
「世界に一つだけの花」SMAP
「さくらんぼ」大塚 愛
平成元年/1989年
「未来予想図II」DREAMS COME TRUE(ドリームズ・カム・トゥルー)
ボーカル吉田美和の伸びやかな歌声と幸せな未来を予想される歌詞が多くの人に支持されている、ドリカムの代表的な一曲。YouTube再生回数も1900万回を超えている。
結婚式でもよく歌われる人気曲。歌詞を真似てブレーキランプを5回点滅させた経験がある人もいるのでは? 実はこの曲、シングルカットされておらず、アルバムに収録されていた楽曲。にもかかわらず、ドリカムの代名詞ともなったのは、楽曲のクオリティの高さゆえだろう。この曲が収録されたアルバム『LOVE GOES ON…』は、1990年度オリコン年間ランキング第32位を記録した。
平成3年/1991年
「ラブ・ストーリーは突然に」小田和正(おだかずまさ)
1991年1月に放送されたフジテレビ系月9ドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌。社会現象を起こすほどの大ヒットとなったドラマと比例して、この曲も大ヒット。『1991年度オリコン年間ランキング』1位に輝く。
実はこの曲は「Oh!yeah!」のカップリング曲として、両A面で発売された。ドラマの印象的なシーンでも使われたこの曲。カッティングギターが鮮烈なイントロを鳴るだけで名場面が脳裏に浮かぶ人も多いはずだ。
平成7年/1995年
「残酷な天使のテーゼ」高橋洋子(たかはしようこ)
1995年放送のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』オープニング曲。 アニメと共にこの曲も大ヒットを飛ばし、国民的アニメソングとなった。
発売から20年以上経過した今でも、アニメソングの定番として、世代を超えて愛されている。アニメソングの枠を超えた素晴らしい楽曲で、数々の音楽賞も受賞している。
平成6年/1994年
「Tomorrow never knows」Mr.Children(ミスターチルドレン)
1994年放送のフジテレビ系ドラマ『若者のすべて』の主題歌として、初週売り上げ約67万枚とミリオンヒットを飛ばした楽曲 。
タイトルの元ネタはTHE BEATLESの同名曲。“人は悲しいぐらい 忘れてゆく生きもの”など、哀愁を感じさせる歌詞が壮大なメロディにぴったりマッチしている。ひときわ突き抜けるラストのサビは、カラオケで歌うと爽快感がたまらない。
平成8年/1996年
「チェリー」スピッツ
スピッツ13枚目のシングルで 、ミリオンセラーを記録した曲。『1996年度オリコン年間ランキング』第4位。
ポップでキャッチーなメロディと、かつて愛した人を思い出させるような歌詞。そして、ボーカルの草野マサムネの味のある声。この3つが一体となっている。愛する人を失ったのでは? と思わせるような歌詞でありながら、どこか希望が持てるエンディングも、多くの人に支持された理由だろう。
平成8年/1996年
「I’m proud」華原朋美(かはらともみ)
華原朋美最大のヒット曲。 プロデューサーは小室哲哉 。
平成を語るうえで、やはり“TKサウンド”はなくてはならないだろう。華原朋美、globe、TRF、安室奈美恵など、彼が出す曲はすべてヒットする…と言っても過言ではないほど、名曲を世に多く残している。
華原のハイトーンボイスが心地よく響きわたる同曲では、冒頭しっとり歌い上げるシティガールな装いと、曲が進むにつれ、ふとした時にうかがえるあどけなさ・かわらしさという華原の二面性も印象深い。
平成9年/1997年
「White Love」SPEED(スピード)
SPEED5枚目のシングル。本人たちが出演する『資生堂 ティセラ』のCMソングに起用され、 彼女たちの最大のヒット曲となった。
今でも冬の定番ソングとして多くの人に親しまれている名バラード。まだ幼さの残るメンバーが少し背伸びをしたような大人っぽい歌詞は、当時の10代・20代の支持を集めた。
平成9年/1997年
「CAN YOU CELEBRATE?」安室奈美恵(あむろなみえ)
2018年9月に引退した歌姫、安室奈美恵の大ヒット曲。『1997年度オリコン年間ランキング』第1位。
1997年放送のフジテレビ系ドラマ『バージンロード』の主題歌として起用 され、今でも結婚式の定番ソングとなっている。奇しくも同年、彼女は結婚を発表。“彼女の将来を予言した曲”と話題になった。作詞・作曲は小室哲哉。安室本人だけでなく、小室がプロデュースしたシングルの中でも最大のヒット曲である。
平成11年/1999年
「First Love」宇多田ヒカル(うただひかる)
15歳で発表した、デビューシングル「Automatic/time will tell」はダブルミリオンセールスを記録。まさに平成の世に彗星のごとく現れたスター・宇多田ヒカルの3枚目のシングル。累 計売上枚数800万枚を超えるメガヒットアルバム『First Love』からシングルカットされた「First Love」。
この曲は1999年放送のTBS系ドラマ『魔女の条件』の主題歌 であり、ドラマの切ないストーリーと楽曲がリンクしていると話題に。オリコンカラオケチャートシングルで15週連続1位を記録するなど、誰もが歌ったことのあるバラードだ。
平成12年/2000年
「M」浜崎あゆみ(はまさきあゆみ)
平成の歌姫、浜崎あゆみの19枚目のシングル。『2001年度オリコン年間売り上げ』第2位を記録。
作詞は浜崎あゆみ。作曲はCREAとなっているが、実はこれも浜崎あゆみ本人である 。最初は落ち着いた雰囲気のメロディだが、後半になるにつれてドラマチックに盛り上がっていく。そして詩的で美しく、共感できる歌詞と彼女のエモーショナルな歌声が、感動を与える。
平成12年/2000年
「TSUNAMI」サザンオールスターズ
『2000年度オリコン年間売上ランキング』第1位の曲 。
失恋して感じる寂しさやわびしさを、押し寄せてくる波に例えた名バラードだ。イントロはなく、桑田佳祐の歌から始まる。この静かな歌い出しと感情を爆発させるかのようなサビ。この静と動の対比の美しさが、人々の琴線に触れ、大ヒットしたのだろう。サザンの真骨頂と言いたくなる一曲だ。
平成13年/2001年
「天体観測」BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)
BUMP OF CHICKENの名を世に知らしめた、大ヒットナンバー。2002年放送のフジテレビ系ドラマ『天体観測』主題歌。
この歌の魅力は何といっても哲学的な歌詞。今でも数々の考察がなされているくらい、聴き手によって数々の受け取り方ができる素晴らしい歌詞だ。また、疾走感のあるメロディと重厚感のあるサウンドも魅力となっている。当時カラオケでは、イントロを聴くだけで高揚し、サビでは大合唱! なんて場面も多く、今でも思わず歌いだしたくなる人も多いのではないだろうか。
平成13年/2001年
「涙そうそう」夏川りみ(なつかわりみ)
森山良子作詞、BEGIN作曲の歌を夏川りみがカバーしたナンバー。
“涙(なだ)そうそう”とは沖縄の方言で“涙がポロポロとこぼれる”という意味。BEGINが作曲した沖縄のメロディに森山良子が、若くして亡くなった兄のことを思い歌詞をつけた 。夏川りみの切ない歌声に歌詞とメロディがマッチして、ロングヒット。今でも様々なアーティストに歌い継がれる名曲だ。
平成15年/2003年
「世界に一つだけの花」SMAP(スマップ)
作詞作曲を槇原敬之が手がけたSMAPの大ヒットナンバー。『2003年度オリコン年間売上ランキング』第1位。
草彅 剛主演のドラマ、フジテレビ系列で2003年に放送された『僕の生きる道』の主題歌でもある同曲。“NO.1にならなくてもいい/もともと特別なOnly one”と、誰しもが違った魅力があると訴える歌詞は、シンプルに元気と勇気をもらえるだけでなく、今私たちに求められている多様性のある社会に通じるメッセージでもある。
平成15年/2003年
「さくらんぼ」大塚 愛(おおつかあい)
『2004年度オリコン年間売上ランキング』第12位となった、大塚 愛2枚目のシングル。
恋する女の子の幸せを、明るくポップなメロディに乗せてキュートに歌い上げている「さくらんぼ」。
“もう1回!”のかけ声が盛り上がるとして、カラオケの定番ソングとしても支持された。ピンクのギターを持って楽しそうに歌う姿がとてもかわいいと、若い世代を中心に話題に。平成を代表するポップソングのひとつである。
■平成ヒットソング – 後半10選
「ハナミズキ」一青窈
「純恋歌」湘南乃風
「キセキ」GReeeeN
「女々しくて」ゴールデンボンバー
「恋するフォーチュンクッキー」AKB48
「レット・イット・ゴー~ありのままで~」松たか子
「R.Y.U.S.E.I.」三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE
「前前前世」RADWIMPS
「U.S.A.」DA PUMP
「Lemon」米津玄師
平成16年/2004年
「ハナミズキ」一青窈(ひととよう)
『2004年度オリコン年間売上ランキング』第30位を記録した、一青窈の代表曲 。“平成に最もカラオケで歌われていた曲 ”とも言われている。
“君と好きな人が百年続きますように”という歌詞から、結婚式の友人代表ソングとしても人気が高い。説得力のある彼女の歌声とシンフォニックなメロディ、希望の持てる歌詞が胸に響く。優しく癒される曲として、多くの歌手がカバーするのもうなずける。
平成18年/2006年
「純恋歌」湘南乃風(しょうなんのかぜ)
湘南乃風の5枚目のシングルで、『2006年度オリコン年間売上ランキング』第8位を記録したド直球のラブソング。
普段なら少々照れくさくなるくらいの愛する気持ちを存分にぶつけた歌詞が共感を呼んで、大ヒットとなった。さらに、“大親友の彼女の連れ/おいしいパスタ作ったお前”という言葉自体のパンチと画の浮かびやすさも話題に。夜の浜辺や満天の星空など、美しい景色が脳裏に浮かぶ、ロマンチックなラブソングだ。
平成20年/2008年
「キセキ」GReeeeN(グリーン)
2008年放送の、高校野球を題材にしたTBS系の大ヒットドラマ『ROOKIES』の主題歌。グループ初となるオリコン週間ランキング首位を獲得した曲でもある 。『2008年度オリコン年間売上ランキング』第4位。
さわやかでまっすぐな歌詞と、彼らのハイトーンな歌声が存分に味わえる名曲だ。ドラマの影響もあって青春ソングの印象が強い同曲だが、ストレートな愛を綴ったラブソングでもあり、恋人、家族、友人や大切な仲間へを思い浮かべて聴くと、いっそう元気になれる曲だ。
平成21年/2009年
「女々しくて」ゴールデンボンバー
『2013年レコチョク年間配信シングル』第1位を獲得したゴールデンボンバー最大のヒット曲。
キャッチーなメロディと、コミカルな歌詞、そして“ビジュアル系エアーバンド”のコンセプト などが相まって、一躍お茶の間の人気者に。毎回、何が起こるかわからないドキドキ・ハラハラのラスサビ前の間奏(シャンプー、熱湯風呂等)も特筆すべき点だろう。
平成25年/2013年
「恋するフォーチュンクッキー」AKB48(エーケービーフォーティーエイト)
『2013年度年間オリコンランキング』第2位を獲得したAKB48を代表する楽曲のひとつ。総選挙で1位を獲得した、指原莉乃が初センターをつとめたことでも話題になった。
ポジティブに恋をする明るい歌詞と、親しみやすいメロディももちろんだが、人気の秘密は何と言っても“恋チュンダンス”だろう。誰もが真似したくなる振りけは、パパイヤ鈴木によるもの。当時、様々な企業や自治体がこのダンスを踊った こともヒットに繋がった。 YouTube再生回数は2億回を突破。
平成26年/2014年
「レット・イット・ゴー~ありのままで~」松たか子(まつたかこ)
2014年に日本で公開されたディズニーの大ヒット映画『アナと雪の女王』の主題歌。映画公開と共に空前のアナ雪ブームが巻き起こり、それと同時に松たか子が歌うこの曲もメガヒットとなった。
葛藤の末、自分をさらけ出すことを決意したエルサの強い意志と、強くありたいと願う健気げさがうかがえる歌詞が、まさに老若男女に支持されたのだろう。映画と主題歌の大ヒットのおかげで、エルサは子供たちが憧れるプリンセスのひとりに仲間入り。
この曲が収録されたサウンドトラックアルバムは、週間約16万枚の売り上げを記録。アニメ映画サントラ売上枚数歴代1位を獲得した。
平成26年/2014年
「R.Y.U.S.E.I.」三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE(さんだいめジェイソウルブラザーズフロムエグザイルトライブ)
三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの13枚目のシングルで、『2014年度 年間オリコンランキング』第30位。100万ダウンロードを記録し、三代目JSB初のミリオンヒットナンバーであり、夏をテーマにした疾走感溢れるダンスチューンだ。
注目を集めたのが、“ R.Y.U.S.E.I.ダンス”と呼ばれた、その場で走っているような動きをするヒップホップダンスの動作・ランニングマンを取り入れた振りつけ。 メンバーが横一列でカッコ良く踊る“R.Y.U.S.E.I.ダンス”が大流行。彼らの知名度を一気に上げたのだ。YouTube再生回数は約1億6,000万回を突破。
平成28年/2016年
「前前前世」RADWIMPS(ラッドウィンプス)
2016年に公開された新海誠監督のアニメ映画『君の名は』の劇中歌。映画の大ヒット共にこの曲も人気を上げ、『Billboard JAPAN Hot 100』へ通算73週チャートインとロングヒットを記録 した。
詩的ながら誰もが共感を覚える歌詞とスピード感のあるメロディで、社会現象を巻き起こすほどの人気に。また、映画の世界観がしっかりと反映されており、映画ファンからも高い支持を集めた。 YouTube再生回数は約2億8,000万回を突破した。
平成30年/2018年
「U.S.A.」DA PUMP(ダパンプ)
『2018年 オリコン年間ランキング』第61位、『Billboard JAPAN Hot 100』では年間2位。 YouTube再生回数は約2億5000万回以上と、まさに国民的な人気曲となった「U.S.A.」。
昔懐かしいユーロビートに乗せ、超絶スキル集団・DA PUMPによる、完全に振り切った歌詞・衣装・ダンス・MVが“ダサかっこいい”と注目を集めた。
サビの“いいねダンス”や間奏の“インベーダーダンス”は子供たちにも大ウケ! また、忘年会ソングとして街に鳴り響いていた。実は、イタリア人歌手のジョー・イエローの楽曲のカバーであり、ぜひ原曲も聴いてみてほしい。
平成30年/2018年
「Lemon」米津玄師(よねづけんし)
2018年に放送されたTBS系ドラマ『アンナチュラル』の主題歌。 リリース直後から反響を呼び、ロングヒットに。
ドラマも数々の賞を受賞した話題作となったことから、必然的に主題歌に注目が集まったのも、ヒットの鍵のひとつだと言える。ドラマの内容とぴったり一致した世界観やボーダレスな雰囲気のMV、曲中に挿入された効果音など…人の数だけ自由な捉え方ができる(それだけ考察できる奥行きのある)、米津玄師の世界観に魅了された人も少なくないだろう。
『2019年 オリコン年間ランキング』第18位 、『Billboard JAPAN Hot 100』では2018・2019年度連続で第1位を獲得。YouTube再生回数はなんと約7億7,000回以上だ。
■懐かしいあの頃を名曲とともに振り返ろう
平成を彩った名曲の数々。今聴いても当時のことが鮮明に思い出さたり、Z世代にとってはファッション同様、新鮮に聴こえるかもしれない。それぞれの楽しみ方、感じ方で平成ソングを聴いてみてほしい。
TEXT BY peekaboo
■楽曲リンク
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