自身初のストリーミング総再生数2億回を突破した、緑黄色社会の代表曲「Mela!」。
リリースから2年半が経った現在も、世代を超えて支持されている同曲の人気の理由を多角的に解説。
そこから見えてくる緑黄色社会の魅力やメンバーのキャラ、さらにその他の人気曲を紹介していく。
■「Mela!」の意味とは?楽曲情報
・歌唱アーティスト:緑黄色社会
・発売日:2020年4月13日配信リリース
・作詞:長屋晴子・小林壱誓
・作曲:peppe・穴見真吾
・収録作品:アルバム『SINGALONG』(2020年4月22日配信、同年9月30日CDリリース)
・タイアップ情報:
①ダリヤ「パルティ カラーリングミルク」CMソング
②日本テレビ系『スッキリ』 “ひとつになろう! ダンスONEプロジェクト’20”課題曲
③「アリシアクリニック」CMソング
2020年4月13日に配信リリースされた「Mela!」は、アルバム『SINGALONG』のリード曲でもあり、ダリヤ「パルティ カラーリングミルク」CMソング、日本テレビ系『スッキリ』の“ひとつになろう! ダンスONEプロジェクト’20”課題曲、「アリシアクリニック」CMソングなどに起用され、幅広いリスナーの支持を獲得。緑黄色社会の代表曲として知られている。
「Mela!」の作詞はメンバーの長屋晴子(Vo、Gu)と小林壱誓(Gu)、作曲はpeppe(Key)と穴見真吾(Ba)が担当。
メンバー4人全員が楽曲制作に携わる、このバンドの特徴が明確に反映された楽曲と言えるだろう。
曲のアイデアを最初に提示したのは、peppe。穴見とスタジオでセッションしながら、曲の構成を作り上げたという。そのデモ音源を聴いた長屋が「peppeと真吾がふたりで作った曲だから、久しぶりにメンバー全員で作りたい」と思い立ち、小林に「一緒に作詞しよう」と持ちかけたのが、この楽曲の成り立ちだ。
歌詞の主人公は、ちょっと気弱なところもある“僕”。不安や葛藤を抱えながらも、それでも前を向いて未来に進もうとする姿を描いたポジティブソングだ。
“メラメラとたぎる”気持ちをそのまま表現した、“Mela!”という曲名も超キャッチ―。
アニメーションによるMVの再生回数が6000万回を突破しているほか、「緑黄色社会 『Mela!』Live Video」(SINGALONG tour 2020 -last piece-)や「緑黄色社会 – Mela! , LADYBUG / THE FIRST TAKE FES vol.2 supported by BRAVIA」などの動画も人気だ。
■「Mela!」が愛される理由
【POINT 1】歌詞
年齢、性別を超え、幅広いリスナーに訴求できた最大の理由は、やはり歌詞だろう。
前述した通り、楽曲の主人公はちょっと気弱なところもある“僕”。
“かっこいい君には 僕じゃ頼りないのかなんて”と不安を抱え、自問自答を繰り返しながらも、最後は“こんな僕も君のヒーローになりたいのさ”と自らに言い聞かせる。
小林が歌詞全体のプロットを書き、長屋の意見を反映させながら制作されたそうだが、ふたりの感情が込められたことで、多くの人に共感される主人公像に結びついたのだと思う。
楽曲がリリースされた2020年の春は、コロナ禍が始まったばかり。先がまったく見えない状況のなか、「Mela!」に元気や勇気を感じた人も多かったはず。
YouTubeのコメントに「ほんとにこの曲には何回も助けられた。悲しい時、テンション上げたい時、辛い時、どんな時にも聞ける」 といった言葉が数多く並んでいることからも、この曲のポジティブなパワーを実感してもらえるはずだ。
【POINT 2】キャッチーさ
ふたつめのポイントとして挙げられるのは、楽曲全体を貫くキャッチ―さ。
“今なんじゃない?/メラメラとたぎれ”という力強いサビから始まり、心地良いバンドサウンドへと移行。“ラララ/ラララ”というコーラスも加わって一気に解放感が広がっていく。
ソウル、ファンク、ディスコのテイストを取り入れたグルーヴには、思わず体を動かし、リズムを取りたくなる楽しさが溢れている。
途中で挿入されるハンドクラップも含め、誰もがすぐにノレる“導線”と“仕かけ”がしっかり作られているのだ。
間奏の派手なギターソロ、歌としっかり絡み合うピアノの旋律、楽曲のボトムを支えるベースラインなど、メンバー個々の演奏スキルが活かされているのも、この曲のチャームポイント。YouTubeにも「サビに入った時の満足感やばい」「まじで人生が変わりそうなくらいかっこいい曲だな」 というコメントが溢れている。
【POINT 3】楽曲のメッセージと合致したタイアップ
日本テレビ系『スッキリ』の「ひとつになろう! ダンスONEプロジェクト’20」課題曲に選ばれたことも、「Mela!」が拡散した大きな要因だ。
これは『スッキリ』と“バブリーダンス”振付師のakaneがタッグを組み、コロナによって活動や発表の場を失ってしまった全国の高校ダンス部を応援するために立ち上がったプロジェクト。
「Mela!」をテーマ曲にakaneが考案した振り付けでダンス動画を募集し、全153チーム、3959人の高校生が参加。
“バブリーダンス”をきっかけに全国に広まったダンスへの注目度と「Mela!」のチアフル&ポジティブなパワーが共鳴し、大きな関心を集めた。
ここから派生し、TikTokにも「Mela!」の踊ってみた動画が数多く投稿され、10代を中心にSNSでの拡散にも繋がったと思われる。
@ryokushaka 高校生3959人、全153チームのみなさんありがとう!#スッキリ#ダンスoneプロジェクト #緑黄色社会 #mela #ダンス #リョクシャカメラメラ #感動
■緑黄色社会の由来からもうかがえる、良好な関係性
緑黄色社会(リョクオウショクシャカイ)
・略称:リョクシャカ
・結成:2012年
・メンバー:長屋晴子/ 小林壱誓/ peppe/ 穴見真吾
・出身地:愛知県
・OFFICIAL SITE https://www.ryokushaka.com
・Twitter @ryokushaka
・Instagram ryokushaka_official
・YouTube https://www.youtube.com/channel/UC_1GPhYlXI2ka2ji5gnqWFQ
・TikTok @ryokushaka
緑黄色社会は愛知県出身の長屋晴子、小林壱誓、peppe、穴見真吾により2012年に結成。翌年に10代限定フェス『閃光ライオット』で準グランプリを獲得したことで注目を集め、2018年にアルバム『緑黄色社会』、ミニアルバム『溢れた水の行方』を発表した。
▼「大人ごっこ」(『緑黄色社会』収録)
▼「リトルシンガー」(『溢れた水の行方』収録)
リョクシャカの音楽的な特徴は、メンバー全員が楽曲制作に関わることで生まれる、多彩な楽曲。凛とした強さと繊細な感情表現を備えた長屋のボーカル、メンバーそれぞれのセンスが共鳴し合うカラフルなサウンドも魅力だ。
4人とも音楽のルーツは異なるが、バンドとしての個性とポップな音楽性の絶妙なバランスが、このバンドの軸なのだ。
「Mela!」をはじめ、「キャラクター」「LITMUS」「陽はまた昇るから」「Shout Baby」などを次々とヒットさせ、音楽番組、大型フェスなどで存在感をアピールしてきた4人。
結成10周年を迎えた今年、9月には初の日本武道館公演を成功させるなど、ライブバンドとしても成長しながら、活動のスケールを広げ続けている。
バンド名は、長屋が飲んでいた野菜ジュースを見た小林が「緑黄色野菜」と言ったところ、他のメンバーが「緑黄色社会?」と聞き間違えたことに由来。こういうお茶目な関係性もまた、4人が幅広い人気を得ている理由だろう。
■音楽ルーツの違うメンバー4人
長屋晴子(ながや はるこ)
・担当:ボーカル&ギター
・影響を受けたアーティスト:いきものがかり、大塚愛、aikoなど
・OFFICIAL Twitter @haruyama_555
・OFFICIAL Instagram haruyama_555
幼少期からJ-POPに親しみ、中学校では吹奏楽部に所属していた長屋。
思春期の頃にバンドに興味を持ち、高校に入ったら絶対バンドを組むと決めていたという。
力強さと繊細さを併せ持ったボーカリゼーション、華やかで生々しいステージングは間違いなく、緑黄色社会の核。
フロントマンとしての鮮烈な存在感を放ついっぽう、自身が作詞した曲では葛藤や不安、弱さを描くこともあり、その率直さ、飾り気のなさもファンの共感を集めている。
小林壱誓(こばやし いっせい)
・担当:ギター
・影響を受けたアーティスト: BUMP OF CHICKEN、Mr.Childrenなど
・OFFICIAL Twitter @isseyman
・OFFICIAL Instagram isseyman
幼少期にダンスの経験があり、ボーカリストとしても活動していた小林。
個性的なソングライティング、表情豊かなギタープレイ、的確なコーラスワークは、バンドの音楽性の豊かさに繋がっている。
リョクシャカを組んでからは、長屋の歌を引き立てることをつねに意識しているという。そのいっぽうで“つねに驚きを与えられるバンドでいたい”という思いも。
彼の独特のバランス感覚は、このバンドに欠かせないファクターと言えそうだ。
なお、THE FIRST TIMESでは小林がレコメンドしたい音楽を紹介する『誰だってNeed music』のノーカット版を随時公開している。
peppe(ぺっぺ)
・担当:キーボード
・影響を受けたアーティスト:SMAP、DREAMS COME TRUE、テイラー・スウィフトなど
・OFFICIAL Twitter @peppe126
・OFFICIAL Instagram peppe1206
2歳の頃からピアノを習い始め、クラシックのコンクールなどにも出演。
また、母親の影響でSMAPやドリカムを聴きながら育つなど、子どもの頃から幅広い音楽に触れてきたpeppe。
クラシックの理論に裏打ちされたコードワーク、ポップなメロディセンスなど、長屋の歌声を引き立てる作曲センスでバンドに貢献している。
柔らかく、穏やかな雰囲気も彼女の魅力だ。
穴見真吾(あなみ しんご)
・担当:ベース
・影響を受けたアーティスト:Red Hot Chili Peppers、OASIS、亀田誠治など
・OFFICIAL Twitter @basShin_Goro
・OFFICIAL Instagram shingoanami
最後にバンドに加入した穴見はメンバー最年少。
“末っ子キャラ”でありながら、レッチリのフリーに影響を受けたというファンキーで骨太のベースプレイ、そして、アレンジに対するセンスの良さによってバンドの根底を支えている。
彼の演奏がリョクシャカのグルーヴを担っていると言っても過言ではないだろう。全身でノリまくるライブパフォーマンスも注目だ。
■名曲ぞろい!リョクシャカ人気曲
「キャラクター」
アルバム『Actor』のリード曲として2022年1月21日に先行配信された楽曲。森永製菓「受験にinゼリー 2022」CMソングとしても話題を集めた。
「Mela!」と同じく、作詞を長屋と小林、作曲をpeppeと穴見が担当。オーソドックスなファンク、ソウル、ディスコを現代的なダンスミュージックに昇華したアレンジ、長屋の開放的な歌声など、リョクシャカのポップ&ポジティブな魅力が全面に溢れている。
“すべての人が必要とされている”“人と比べなくていい”というメッセージも絶品。閉塞感を突き破るようなリョクシャカ流の応援歌だ。
「LITMUS」
ドラマ『緊急取調室』主題歌として制作された4thシングル(2021年8月25日リリース)。作詞は小林、作曲は小林と穴見の共作。
憂いと力強さを同時に感じさせるメロディ、あえて音数を減らし、長屋のボーカルを際立たせたミディアムチューンだ。
歌詞のテーマは“秘密”。大切な人にも伝えることができない秘密を抱えながら生きる人の姿を描いた歌、エモーショナルな手触りのサウンドからは、バンドとしての表現の深まりがはっきりと伝わってくる。すべての言葉に濃密な感情を与える長屋の歌も素晴らしい。
「陽はまた昇るから」
映画『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』主題歌として書き下ろされ、2022年4月20日に5thシングルとしてリリース。
作詞は小林、作曲は穴見。爽やかな手触りのバンドグルーヴとストリングスが響き合い、リスナーの気持ちをしっかりと引き上げてくれる。
“大人になれる/それはイイことなんだよ”など、まるで“しんちゃん”に話しかけているような歌詞も印象的。
解放的なポップネスを感じさせる旋律、躍動感に溢れたサウンド、誰もが共感できるメッセージを含め、リョクシャカの存在をさらに幅広い層に伝えることに繋がった。
「Shout Baby」
“ヒロアカ”の愛称で親しまれる TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』(4期「文化祭編」)エンディングテーマに起用された2ndシングル。YouTubeでのMV再生回数は2200万回を突破している。
歌詞のキーワードは、“変わりたい”。大変なことが待ち受けているとわかっていても、変わりたい、強くなりたいという思いは、“ヒロアカ”の世界観と重なると同時に、困難にぶち当たっているすべての人の励ましてくれるはず。
力強く、生々しいボーカルにも胸を打たれる。
■新曲がドラマ主題歌に決定!最新情報をチェック
新曲「ミチヲユケ」が10月5日スタートの日本テレビ系 水曜ドラマ『ファーストペンギン!』主題歌に決定するなど、精力的な活動を継続している緑黄色社会。
結成10周年を経て、4人はさらなる飛躍を果たすはず。結成時に目標にしていた“国民的バンド”を座を手に入れるのも、そう遠い未来ではなさそうだ。
TEXT BY 森 朋之