■アガる歌とサウンド。TikTokユーザーが飛びつかないわけがない
Anlyが2月に、彼女の代表曲のひとつ「カラノココロ」(『NARUTO-ナルト-疾風伝』OPテーマ)をリミックスした「カラノココロ – Matt Cab & MATZ Remix」としてリリースしたところ、TikTokで1万5千本を超える関連動画が投稿され、#カラノココロの再生回数は約2億回と大きな注目を集めている。この作品は「VOLTAGE」(『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』EDテーマ)のカップリングとして収録されており、リミックスを手がけたのはBE:FIRSTやSKY-HIの楽曲でも共同プロデュースを手がけ、注目を集めているMatt CabとMATZの二人。オリジナルは2017年に発売され、テレビアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』のOPテーマに起用されている。どこか牧歌的で透明感を湛えたケルトミュージックの薫りを漂わせながら、ラップのノリ、オペラ調の合唱を感じさせるサビと、ドラマチックなメロディと展開で、多くのリスナーから支持を得た。現在までにストリーミングで4,000万再生を超えるロングヒットになっている。
■中毒性がある歌詞、フレーズが炸裂する
そんな曲をMatt CabとMATZが大胆にリミックス。頭からいきなり低音から高音に飛ぶ、高低差の激しいサビはあまりにキャッチ―で一度聴くと耳に残る、いい意味でクセのある=中毒性がある歌詞、フレーズが炸裂する。Anlyのアタックの強い、確かなボーカルが飛び込んでくる。このアガる歌とサウンドは、TikTokユーザーが飛びつかないわけがないというほどの、キャッチ―さとインパクトだ。まず7月にこの曲のTikTokにMatt Cabとのセッション動画を公開すると、すぐにユーザーがテキストモーション動画を作成。アニメの映像や音声をアレンジしたMADが拡散され、するとYouTuberの切り抜き動画のテーマソングとして大量投稿された。“Falling through the cracks 暗闇に落ちてく”という歌詞を使った、それにハマるシーンの日常系、ネタ系、ビューティー系動画が拡散され、再生回数が急増。現在もまだまだ数字を伸ばしている。
■J-POPと洋楽のメロディの良さ、強さとを交差
Anlyはブルースや60~70年代のロックがルーツになっているシンガー・ソングライターで、そこに新しい音楽をどんどん吸収、昇華させ、Anlyスタイルのミクスチャーミュージックを提示している。「カラノココロ」は当時、その新境地ともいえる存在の楽曲だった。J-POPと洋楽のメロディの良さ、強さとを交差させ、ケミストリーが生まれた。「カラノココロ – Matt Cab & MATZ Remix」はトロピカルハウステイストの、ビートがより強調されたアレンジで、打ち込みの中にホーンやピアノの生音もフィーチャーし、Anlyの歌をより“立たせて”いる。3月に公開されたこの楽曲のMVは、アニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』オープニング映像を再編集し、4年の時を超えての公開となった。このリミックスバージョンをキャッチしたリスナーは、当然オリジナルバージョンもチェック。こちらのMVの再生回数も約180万回と好調だ。
■圧倒的なギターテクニック。ループペダルを駆使
Anlyの楽曲は、どの曲にもポップネスを感じるキャッチーさが存在するが、それを力強く、凛とした、でも柔らかさを感じさせてくれる声で表現すると、さらに躍動感と瑞々しさを纏いながら“生き生き”と伝わってくる。それが先述したアタックの強いボーカルということだ。最短距離で聴き手の耳と心に“確実”に届けることができる。それは彼女のライヴスタイルも関係しているのかもしれない。Anly流のミクスチャーミュージックを、圧倒的なギターテクニックを基点にしたループペダルを駆使したソロライヴ、バンド編成のライヴ、そしてアコースティックギターの弾き語ライヴなど、イベントのカラーや会場にあわせパフォーマンススタイルを変えて、お客さんを楽しませている。どんな環境、状況でも自分の歌をまっすぐ、きちんと届けられる武器を持っている。
「カラノココロ – Matt Cab & MATZ Remix」がきっかけでAnlyの音楽の世界に初めて触れたリスナーは、2015年のデビュー以来Anlyが丁寧に紡いできた豊かな音楽の数々の引きつけられるはずだ。そして一度そのライヴを観ると、彼女の世界にますます引き込まれるはずだ。
10月12日には4枚目のフルアルバム『QUARTER』が発売される。「カラノココロ – Matt Cab & MATZ Remix」や「VOLTAGE」、『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』の主題歌「星瞬~Star Wink~」、さらに5月から8月にかけて配信シングルとして連続リリースされた「Homesick」「KOMOREBI」「Alive」「KAKKOII」を含む13曲が収録される。そして10月22日の石川を皮切りに、全国14か所を回るライヴツアー『Anly“Loop Around the World”〜Track4/QUARTER TOUR〜』を開催する。
TEXT BY 田中久勝
Anly OFFICIAL SITE
https://www.anly-singer.com