想いを伝えられずに散ってしまった恋。交際していたのに、別れなければならなくなってしまった恋。誰もが一度は、切ない失恋を経験したことがあるのではないだろうか。
そんな時に、寄り添ってくれるのが“失恋ソング”。とことん泣きたい時にはじわっと胸に染みる楽曲を、明るく前を向きたい時には背中を押してくれる楽曲を聴くと良いだろう。
そこで今回はおすすめの失恋ソング10曲を紹介。あなたの胸に刺さる楽曲は見つかるだろうか。
■泣ける、歌詞が染みる、心に刺さる失恋ソング10選
01.「猫」DISH//
02.「コイワズライ」Aimer
03.「メトロノーム」米津玄師
04.「願い」sumika
05.「恋唄」清水翔太
06.「かくれんぼ」優里
07.「雪の華」中島美嘉
08.「サウダージ」ポルノグラフィティ
09.「瞳をとじて」平井 堅
10.「First Love」宇多田ヒカル
「猫」DISH//(ディッシュ)
あいみょんが作詞作曲したことでも知られるDISH//の「猫」。
あいみょんは後に、浜辺美波と北村匠海(DISH//のVo、Gu)がW主演をつとめた2017年公開の映画『君の膵臓をたべたい』にインスピレーションを受けて制作したと明かしている。ちなみに、同作で北村が演じたのは大切な人を亡くしてしまう高校生。
別れた恋人を“猫”にたとえることで、少し現実逃避をしようとする男性の歌だと思っていたが…。この制作エピソードを知ると、人間じゃなくていい“猫”でもいいからまた会いたいと願わずにはいられない大切な人を亡くした喪失と悲しみに感じられ、また違った解釈ができる。切ないなかにも温かみを感じられる一曲だ。
「コイワズライ」Aimer(エメ)
2019年4月10日にリリースされた「コイワズライ」。この楽曲は、Aimerが2019年にABEMAで放送された恋愛リアリティーショー『白雪とオオカミくんには騙されない❤』のために書き下ろしたもの。恋をしない“嘘つきオオカミ”(男性メンバー)が潜むなか、運命の恋を見つけようともがく女子高生たちの背中を押す主題歌になっていた。
苦しい恋こそ、いつか振り返った時に大事な思い出になる。10代の若者たちに、優しく語りかけるような歌詞が印象的な一曲だ。なお、Aimerは同シリーズの最新作『オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない』でも新曲「オアイコ」を書き下ろしており、あらたな恋愛ソングとして注目を集めそうだ。
「メトロノーム」米津玄師(ヨネヅケンシ)
2015年リリースの3rdアルバム『Bremen』に収録されている「メトロノーム」。筆者は、長年交際した恋人たちの“別れ”を描いた楽曲だと解釈している。
同じテンポで歩き始めたふたりの間に、いつしかズレが生じていく。しかし、お互いの存在が当たり前になっているため、別れを決断できずにいた。別れ方がわからない、という気持ちもあったのではないだろうか。
だが、見て見ぬふりをしてきたズレが、次第に取り戻せないほどの大きなズレになってしまう。仕方がない別れだったと心では思いながらも、未練を捨てきれない複雑な心情を丁寧に綴っている。
「願い」sumika(スミカ)
2019年に放送されたテレビ朝日系の大ヒットドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』の主題歌にも起用された「願い」。
好きな人の瞳に映る“あの子”になりたくても、なれない。自分だったら、もっと大事にしてあげられるのに…と悔しくなる片思いは多くの人が経験したことがあるのではないだろうか。
何気ないことでも、“あなた”と一緒なら、幸せな出来事に変わってしまう。切ない片思いを描いた楽曲ながら、どこか明るい気持ちになれるから不思議だ。
「恋唄」清水翔太(シミズ ショウタ)
2021年5月19日にリリースされた「恋唄」。この楽曲は、別れを選ばなければならなかった2人を描いた切ないラブソングだ。
おそらく交際はしていたのだろうが、なぜか片思いソングのような印象を受ける。“僕”にとって、“君”は、付き合っている間も、高嶺の花のような存在だったのかもしれない。
合わないのはわかっていても、“君”のことが好きだったから、精一杯背伸びをしていた…そんな“僕”の苦しいほどの恋心が、繊細に表現されている。
「かくれんぼ」優里(ユウリ)
インディーズ1作目の配信限定シングルとして、2019年12月1日にリリースされた「かくれんぼ」。突然去ってしまった彼女を探し続ける男性の様を“かくれんぼ”にたとえて表現している。
「もういいかい?」と聞いても「もういいよ」と返ってこない切なさ。これが本当のかくれんぼだったら良かったのに…と悔やんでもどうにもならない現実を突きつけられ、本当に自分の前に愛した人がいないのだと痛感する。2020年リリースの大ヒット曲「ドライフラワー」は女性目線で描かれたアンサーソングであり対になっているため、合わせて聴くとより優里の描いた恋人たちの世界に没入できるだろう。
なお、2022年9月12日には「かくれんぼ」のアフターストーリーであり、「ドライフラワー」のあらたなプロローグである「おにごっこ」がリリースされている。
「雪の華」中島美嘉(ナカシマ ミカ)
2003年10月1日にリリースされた中島美嘉の10thシングル。2019年には、登坂広臣と中条あやみのW主演で、同曲をモチーフとした実写映画も公開された。
まっすぐに“キミ”を想う“僕”の気持ちを描いた「雪の華」は、言わずと知れた冬の名曲。自分の幸せだけでなく、相手のために何かしたいと思えるほどの深い愛を知り、何気ない一瞬一瞬に幸せを噛み締める主人公。ストレートな“失恋ソング”ではないものの、失恋時にはいつだって「雪の華」で描かれているような美しい記憶ばかりが蘇るので、そういった意味で傷心には刺さるものがある。
▼失恋時に染みる曲として「ORION」も名高い
「サウダージ」ポルノグラフィティ
2000年9月にリリースされたポルノグラフィティの4枚目のシングルであり、数々の名曲を生み出すポルノ史上もっとも売り上げたシングルでもある。
タイトルの“サウダージ”とは、郷愁・思慕・切なさなどの意味を持つポルトガル語。自分自身を見失うほどの大恋愛から、卒業しなければならない苦しさ。しかし、“私”は前に進み続けなければならない。女性の精一杯の強がりを描いている。
切ない楽曲ながら、聴くと勇気をもらえるのはなぜだろう。
「瞳をとじて」平井堅(ヒライ ケン)
2004年4月28日にリリースした平井堅の20枚目のシングル。白血病に侵された少女と、彼女を支えた少年の儚い日々を描いた片山恭一原作小説をもとにした映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌として大ヒット。発売当時、“セカチュー”ブームの真っ只中ということもあり、主題歌である「瞳をとじて」も世間に広まっていった。
“瞳をとじなければ出会えない=この世にはいない相手”への切ない恋心、せめて瞳をとじている間だけでも“君”と会っていたい…という残された者の心情を紡いだ歌詞、そしてその心情がダイレクトに伝わる振り絞るように歌う平井の歌声がいっそう響く名曲だ。
「First Love」宇多田ヒカル(ウタダ ヒカル)
宇多田ヒカルが16歳で作詞作曲をしたという「First Love」。“初恋”と言いながら、“タバコ”や“最後のキス”が登場する大人びた歌詞に、衝撃を受けた人も多いのではないだろうか。
過去の恋愛を思い出すきっかけにもなる“香り”。最後のキスのシチュエーションではなく、“あなた”の香りを想起しているところに、まだ残る未練を感じさせる。
初恋ということは、初めての失恋でもあったはずだ。いつか、ほかの誰かと恋をする自分の姿を、想像できずにいたのかもしれない。だからこそ、より切実に私たちの胸に届いてくるのだろうか。
■今回紹介した楽曲やアーティストのインタビュー記事も
失恋の苦しさを支えてくれる楽曲たち。思い切り泣きたい時に聴くのもいいだろう。この10曲のなかに、あなたの推し曲は見つかっただろうか。
今まさに恋に悩む人も、恋愛から遠ざかっている人も、失恋ソングを聴きながら自分の心と向き合ってみてほしい。
TEXT BY 菜本かな