TEXT BY 満島エリオ
■ハッシュタグ視聴が700万回を突破
TikTokから新たなバズソングが生まれている。それが、足立佳奈がTani Yuukiとコラボした楽曲「ゆらりふたり」だ。
SNS累計フォロワーが130万人を超えるZ世代を代表するシンガーソングライター・足立と、「W/X/Y」が驚異のヒットとなり、チャートインし続けているTani Yuukiという大型コラボとなったこの楽曲。TikTokではなんとハッシュタグ視聴が700万回を突破している。
このコラボの発端となったのは、アトリエプロジェクトでの出会い。クリエイター同士のコラボをサポートすることを目的としたソニー・ミュージックとTikTokによるプロジェクトで、ふたりはともにオフィシャルサポーターに就任し、知り合ったことをきっかけに、今回の楽曲制作に至った。
■どちらの立場だったとしても、どこかのフレーズにはきっと共感
「ゆらりふたり」は、すれ違い始めたカップルの切なくも正直な心情を描いたラブソングだ。嫌いになったわけではない、まだ好きな気持ちもある、それなのにうまくいかない、どうすればいいのかわからない。そんな人間関係の難しさは、他人と深く関わろうとしたことのある人ほど経験があるはず。“なんか「もしもし」の距離が遠い/だんだん「もう切ろう」に懲り懲り”、“曖昧な 会いたいは/毎回は いらないわ/本当の会いたいが聞きたいの”など、噛み合わなくなってきたふたりの描写と温度感がリアルだ。曲は、Aメロとサビ、大サビのメロディーと歌詞を足立が、BメロをTaniが担当。女性目線で描いた足立の担当部分に対し、TaniがBメロでアンサーしていくようなつくりになっており、どちらの立場だったとしても、どこかのフレーズにはきっと共感できるはず。
また、「すれ違うふたりをモチーフにした切ないラブソング」と聞くとつい悲しいエンディングを想像してしまうが、この楽曲は、お互い歩み寄り、一緒にいようと決意する結末になっていることもポイント。インタビューで足立が“どっちかが悪者になるのはちょっとイヤだなっていう気持ちが私の中にあったんですよ。”と語っているのが象徴的で、どちらかを悪役にして簡単に白黒つけるのではなく、自分にも相手にも感情や立場があることを理解して、思いやろうとするコミュニケーションの繊細さが、同世代たちにはより感情移入しやすいものになっているのではないだろうか。
■「ゆらりふたり」というフレーズも強い
さらに、TikTok内で広がりを見せた理由について分析すると、1秒で視聴者の心を掴むキラーワードや求められるTikTokにおいて、タイトルでもありサビの歌い出しでもある「ゆらりふたり」というフレーズも強い。韻を踏んでいてシンプルに耳心地がよく、ゆったりしたメロディに乗せて歌われる歌詞は一度聴いただけで頭に残り、思わず口ずさみたくなる。
■TikTok内の多くのシンガーに火をつけカバー
「ゆらりふたり」は視聴者が楽曲に参加する余地が多いのもポイントだ。TikTokには、ユーザーがただ動画を視聴するだけではなく、自分でも歌ってみたり、振りを付けて踊ってみたりと作品を発展させ投稿することで、元の楽曲が広がってバズを生むという流れがある。
「ゆらりふたり」はTikTokフォロワー100万人目前のヤマーノート(yamaanote)、替え歌でYouTubeショートでも人気を博している打田だいご(だだだいご) 、すみはね(sumihane)、など、十万〜数十万フォロワーのアカウントがこぞってカバー動画を投稿。その中で、「ゆらりふたり」は足立佳奈、Tani Yuukiという有名シンガーがタッグを組んだ楽曲であることで、TikTok内の多くのシンガーに火をつけカバーが誘発した部分もあるだろう。
■ふたりと疑似的に一緒に歌うことができる
また、足立のアカウントでは、楽曲の一部分だけを歌ったデュエット用、足立パート、Taniパートのみが歌唱された動画を投稿。これによって、ユーザーはふたりと疑似的に一緒に歌うことができ、その動画をさらに投稿することもできる。もともとがデュエット曲だからこそ、ユーザーがこの楽曲を使って動画を撮るときの幅もおのずと広がってくる。
@adachikana1014 みんなとデュエットしたいなぁ。🦖歌ってみてねっ。💕#ゆらりふたり#TaniYuuki#足立佳奈ポップコーンデュエット@Tani Yuuki
@adachikana1014 Tani君パート歌えるようになってるよー!!ぜひだよー❤️❤️#ゆらりふたり#TaniYuuki足立佳奈@Tani Yuuki
■自ら踊った動画を投稿し、楽曲に振りがついた
さらに、足立が「ゆらふたダンス」として自ら踊った動画を投稿し、楽曲に振りがついたことでダンス動画としても参加しやすくなっている。インフルエンサー級のアカウントからライトユーザーまで、幅広く楽曲を楽しめるような間口の広さが、この曲が大きな反響を生んでいる要因になっているのではないか。
楽曲公開から1ヵ月以上が経過した今もなお、現役高校生シンガーとしてデビューを果たしたシンガーソングライターのれん(ren.0625)がカバー動画を投稿する。まだまだ広がりを見せそうな楽曲だ。
@ren.0625
リリース情報
2022.06.24 ON SALE
DIGITAL SINGLE「ゆらりふたり」
2022.08.30 ON SALE
DIGITAL SINGLE「4321」
足立佳奈 OFFICIAL SITE
https://www.adachikana.com