TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)
■動きがあるようでないような…という感じの7月のランキング
wacci「恋だろ」が1位を獲得した7月のLINE MUSIC 10代トレンドランキング。「別の人の彼女になったよ」で名を馳せた彼らですが、「恋だろ」の“性別も年齢も家柄も国籍も外見も年収も過去も何もかも全部 関係ないのが恋だろ”といった歌詞も昨今のストレートな恋愛感情の描写が受け入れられる空気をキャッチしています。
「恋だろ」はドラマ『やんごとなき一族』の挿入歌ですが、ドラマに出演した松下洸平とともにこの曲を歌う動画もYouTubeで大きな話題に。
楽曲とプロモーションの理想的な相乗効果で、顔ぶれが固定的になりがちなこのチャートに風穴を開けました。
という形で1位に目新しさのある今回のチャートではあるものの、いっぽうで常連は引き続き堅調。Tani Yuuki「W/X/Y」は再びランクアップし、SEKAI NO OWARI「Habit」とOfficial髭男dism「ミックスナッツ」は今年を代表する楽曲としてのポジションを着実に確保しつつあります。
なかなかガラッと変化しないチャート動向ではありますが、そんな中で丹念に目を凝らすとじわじわと支持を伸ばしている曲も確認できます。今回の原稿ではそういった動きに注目したいと思います。
■変わらないために変わっていく人たち
まず、先月の15位から3位にランクアップしたMrs. GREEN APPLE「ダンスホール」。ダンサブルなファンクテイストの楽曲は2010年代に日本で流行した東京のインディーバンドからの影響も感じられますが、そこにメンバーのダンスも絡めたポップな雰囲気をMVに流し込むことで大きなヒットを呼び込みました。
2015年にメジャーデビュー後、5人組のロックバンドとしてフェスシーンでも人気を博した彼らですが、2020年に“フェーズ1完結”という形で活動を休止したのち、2022年から3人で活動を再開。音楽性も狭義のバンドサウンドから拡張されて、また新しい姿を見せています。
おそらく前体制の濃いファンからすれば、今の状況にいろいろ思う部分もあるのかなと感じますが、方向性を変えることが結果として迷走になってしまうケースもたくさんある中、時代に合わせながらこれまでとは異なる地平を開拓しているミセスのあり方は様々なバンドの参考になるのではないでしょうか。
続いて、先月の29位から15位にランクアップし、トップ10入りが見えてきたのが水曜日のカンパネラ「エジソン」。TikTokでも話題になっているこの曲が、こちらのチャートでも存在感を発揮し始めています。
先ほど触れたミセスと同様、水曜日のカンパネラも新体制としての活動が始まったタイミングです。2021年にボーカルのコムアイが脱退し、2代目として詩羽が加入。元々、コムアイの強烈なカリスマ性がグループを引っ張っていた側面も強かったのでどうなることかと思いましたが、詩羽もコムアイとはまた違ったソフトな雰囲気とともに不思議な魅力を醸し出しています。ケンモチヒデフミによる楽曲の中毒性はもちろん健在ということで、従前のグループの魅力を引き継ぎながらも新しい見え方になるという理想的な立ち上がりを実現しました。「エジソン」が収録されたEP『ネオン』のクオリティもかなり高いです。
これだけ時代の流れが速くなってしまうと、単に同じことをやり続けるというのは明確にリスクになります。やりたいことをやり続けるためにも自分たちのあり方を能動的に変えていかないといけないし、それができる人たちこそ生き残っていける。ミセスと水曜日のカンパネラのあらたなステージでの活躍からは、今のシーンを生き抜く人たちのタフさを感じることができました。
以上、7月のLINE MUSIC『10代トレンドランキング』についてお届けしました。来月もどんな動きがあるか楽しみです!
【2022年7月 LINE MUSIC 10代トレンドランキング】
01.「恋だろ」wacci
02.「W/X/Y」Tani Yuuki
03.「ダンスホール」Mrs. GREEN APPLE
04.「Habit」SEKAI NO OWARI
05.「ミックスナッツ」Official髭男dism
06.「POP!」NAYEON
07.「愛とか恋とか」Novelbright
08.「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
09.「魔法にかけられて」Saucy Dog
10.「Crayon」ZOT on the WAVE & Fuji Taito
11.「栄光の扉」平井 大
12.「melt bitter」さとうもか
13.「青と夏」Mrs. GREEN APPLE
14.「ねぇ」YOAKE
15.「エジソン」水曜日のカンパネラ
16.「結」Saucy Dog
17.「Celebrate」TWICE
18.「韻波句徒」CHEHON
19.「愛言葉」Tani Yuuki
20.「Talking Box (Dirty Pop Remix)」WurtS
21.「I Need You」Nissy(西島隆弘)
22.「シンデレラボーイ」Saucy Dog
23.「バニラ」きゃない
24.「MASCARA」XG
25.「それを愛と呼ぶなら」Uru
26.「優しさに溢れた世界で」Saucy Dog
27.「Yet To Come」BTS
28.「いつか」Saucy Dog
29.「おかえり」Tani Yuuki
30.「あぁ、もう。」Saucy Dog
31.「雨燦々」King Gnu
32.「ブルーアンビエンス (feat. asmi)」Mrs. GREEN APPLE
33.「左右盲」ヨルシカ
34.「Be yourself」Saucy Dog
35.「ベテルギウス」優里
36.「Partner」有華
37.「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
38.「I’m a mess」MY FIRST STORY
39.「なんでもないよ、」マカロニえんぴつ
40.「喜劇」星野 源
41.「Left and Right (Feat. Jung Kook of BTS)」Charlie Puth, Jung Kook, BTS
42.「Girls」aespa
43.「未来図」マルシィ
44.「ただ声一つ」ロクデナシ
45.「君の隣で。」りりあ。
46.「スパークル」幾田りら
47.「FEARLESS」LE SSERAFIM
48.「今更だって僕は言うかな」Saucy Dog
49.「堕天」Creepy Nuts
50.「World’s Smallest Violin」AJR
51.「りんどう」WANIMA
52.「Life’s Too Short (English Ver.)」aespa
53.「ブレーメン」ヨルシカ
54.「_WORLD」SEVENTEEN
55.「Rollah Coaster」LIL LEAGUE
56.「Up!」Kep1er
57.「CLAP CLAP」NiziU
58.「怪獣の花唄」Vaundy
59.「どうして (feat. 野田愛実)」高瀬統也
60.「タイムマシン」優里
61.「ロミエット」フォーエイト48
62.「YOKAZE」変態紳士クラブ
63.「初恋が泣いている」あいみょん
64.「Cinema (feat. Memento Mori & 武蔵)」O.A.KLAY
65.「水平線」back number
66.「ドライフラワー」優里
67.「愛を伝えたいだとか」あいみょん
68.「花火」aiko
69.「SNEAKERS」ITZY
70.「LOVE COUNTDOWN (feat. Wonstein)」NAYEON
71.「レオ」優里
72.「バグ」かいりきベア
73.「足りない」DUSTCELL
74.「Save Yourself」ONE OK ROCK
75.「FAKE LAND」FAKE TYPE.
76.「Tie Me Down」Gryffin, Elley Duhé
77.「Future Perfect (Pass the MIC)」ENHYPEN
78.「シーグラス」Saucy Dog
79.「残響散歌」Aimer
80.「でもね、たまには」imase
81.「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
82.「PAKU」asmi
83.「常緑」大橋ちっぽけ
84.「I Ain’t Worried」OneRepublic
85.「しわくちゃな雲を抱いて」DISH//
86.「LOVE DIVE」Ive
87.「CHODAI (feat. VILLSHANA & $HOR1 WINBOY)」Billy Laurent
88.「Wherever you are」ONE OK ROCK
89.「コンタクトケース」Saucy Dog
90.「ブルーベリー・ナイツ」マカロニえんぴつ
91.「You」多部大
92.「嘘つきの君が好き」音田 雅則
93.「点描の唄 (feat. 井上苑子)」Mrs. GREEN APPLE
94.「たましいの居場所」マカロニえんぴつ
95.「M八七」米津玄師
96.「Stand by me, Stand by you.」平井 大
97.「FOREVER (feat. Minami)」MC TYSON
98.「レンズ」幾田りら
99.「Don’t Wake Me Up」Jonas Blue, BE:FIRST
100.「夜撫でるメノウ」Ayase