Aimerの滋味溢れる歌声が耳に寄り添う「カタオモイ」。じんわり沁み入る『THE FIRST TAKE』

TEXT BY 森朋之

■彼女の歌の根源を──ほんの一瞬、ほんの一部ではあるが、体験できる

TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニングテーマ「残響散歌」、エンディングテーマ「朝が来る」が、1月24日付オリコン週間デジタルシングルランキングにて上位を独占。1月26日にはデビュー10周年を記念した初のB-SIDE COLLECTIONアルバム『星の消えた夜に』をリリースするなど、音楽シーンの話題を集め続けているAimerが、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に登場。ストリーミング累計1億回再生を突破している珠玉のラブソング「カタオモイ」を披露した。

美しさ、儚さ、強さを兼ね備えたハスキーボイス、聴く者の感情に寄り添い、浄化するパワーを持ったボーカリゼーションによって、現在の音楽シーンを代表するシンガーソングライターとして幅広い支持を得ているAimerは、2011年から本格的に活動をスタートさせ、同年9月にシングル「六等星の夜」でメジャーデビューを果たした。

その独創的な歌声は瞬く間に音楽ファンを魅了。同時代のアーティストからも高く評価され、菅野よう子、梶浦由記、澤野弘之、Taka（ONE OK ROCK）、野田洋次郎（RADWIMPS）、阿部真央、スキマスイッチ、TK from 凛として時雨、内澤崇仁（androp）らが楽曲を提供。

また、TVアニメ『炎炎ノ消防隊弐ノ章』オープニング主題歌「SPARK-AGAIN」、劇場版『Fate/stay night［Heaven’s Feel］』II .lostbutterfly（第二章）の主題歌「Ｉbeg you」、TVアニメ『Fate/stay night［Unlimited Blade Works］』2ndシーズンオープニングテーマ「Brave Shine」などアニメ作品の楽曲でも注目され、その歌声は海外のリスナーにも訴求している。

昨年12月には、“milet×Aimer×幾田りら”の3名で『THE FIRST TAKE』に初出演。そこで披露された「おもかげ（Produced by Vaundy）」は、1,700万回近い再生回数を叩き出し、大きな反響を呼び起こしもした。

今回パフォーマンスされた「カタオモイ」（アルバム『daydream』/2016年9月）は、内澤崇仁の楽曲提供・プロデュースによる、大切な人に向けられた一途な想いを描いたラブソングだ。ピアノ、ギターによるシンプルで奥深い演奏とともに、豊かなボーカルを響かせてくれた。

やや緊張した面持ちのAimerがマイクの前に立ち、ピアノの蔦谷好位置（音楽プロデューサー）がＡの音を鳴らし、アコギのアルペジオが聴こえてくる。一瞬のブレスの直後、“例えば君の顔に昔よりシワが増えても　それでもいいんだ”というフレーズを響かせる。

語るように歌われるのは、“君”に対する純粋でまっすぐな想い。特別なものは何もいらない。僕が望んでいるのはただ、君といつまでも一緒にいること──。特に、“僕の心は君にいつも片思い　好きだよ／分かってよ　分かってよ　分かってよ”というサビのラインから伝わる切実で温かいエモーションは、リスナーの心を大きく揺さぶる。

すべての歌詞を丁寧に紡ぎ出し、ビートとメロディを自然に発生させるようなボーカルは、きわめて個性的でありながら、誰もが共感できる間口の広さを同時に備えている。デビュー以来、幅広い音楽リスナーと凄腕のアーティストたちを惹きつけてきたAimer。一発撮り＆一発勝負の『THE FIRST TAKE』によって、彼女の歌の根源を──ほんの一瞬、ほんの一部ではあるが、体験できる、きわめて貴重なパフォーマンスだったと思う。ボーカルと適度な距離を保ちつつ、心地よいリズムとまるでハーモニーのような旋律を奏でるギター、ピアノの演奏にもぜひ注目してほしい。

「とても緊張しましたが、THE FIRST TAKEの「カタオモイ」もたくさん聴いていただけたらうれしいです」という彼女の出演後のコメントに呼応するかのように、プレミア公開直後から「唯一無二の声」「繊細ながら芯のある歌声」「歌ももちろん素敵だけど、ピアノがすごく綺麗で鳥肌立ちました」といった絶賛コメントが殺到。注目度の高さを改めて示した。

彼女は、2月から6月にかけて全国ツアー『Aimer Hall Tour 2022 “Walpurgisnacht”』を開催する。『THE FIRST TAKE』の「カタオモイ」を聴けば、“この歌声を生で感じてみたい”という想いを掻き立てられるはずだ。

■彼女の歌の根源を──ほんの一瞬、ほんの一部ではあるが、体験できる

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