TEXT BY 森朋之
■個性とテクニックをバランスよく共存させた3人のボーカル/コーラス
『THE FIRST TAKE』第185回は、16人組ダンス&ボーカルグループTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEからボーカリストのRIKU、川村壱馬、吉野北人が初登場。2020年12月にリリースされたシングル曲「MY PRAYER」をオリジナルアレンジで披露した。
2014年に行われたボーカリスト&パフォーマーのオーディションを経て、2017年にシングル「Lightning」でメジャーデビューを果たしたTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE。デビュー前後から積極的なライブ活動を繰り広げ、EXILEを起源とするダンス&ボーカルの高いスキル、そして、現在進行形のヒップホップ、R&B、EDMなどを取り入れた音楽性によって幅広い支持を得ているが、その音楽的な支柱とも言えるのが、RIKU、川村、吉野だ。
正確なピッチ、豊富な声量、厚みとしなやかさを同時に感じさせるボーカリゼーションによってハーモニーの軸を支えるRIKU。はっきりとした輪郭の声質を活かし、メロウな旋律から強度の高いラップまで幅広い表現力を持った川村。そして、繊細な表情、シャープな手触りを兼ね備えた歌声によって、楽曲に彩りを与える吉野。個性とテクニックをバランスよく共存させた3人のボーカル/コーラスは、デビューから5年目を迎え、さらに深みを増している。
『THE FIRST TAKE』の出演に際して3人は、「めちゃくちゃ嬉しかったですが、『ホンモノ』を届けなければと気が引き締まる想いでした」「緊張感も同時に感じながら僕達スリボの音楽に浸っていただけたらと思います」(RIKU)、「この機会だからこそLIVEとはまた違ったアプローチで届けられる歌があると思っていましたので、楽しみでしたし、とても素敵な経験をさせていただきました」(川村)、「「MY PRAYER」という楽曲はバラードになっていて、ボーカル3人の歌をしっかりと聴いていただける曲になっています!」「普段の僕らのイメージとは、少し違う所も今回はお見せ出来ればなと思っています」(吉野)とコメント。
この言葉が示すとおり、“この3人でしか生まれないボーカル表現”を通し、THE RAMPAGEの音楽性をダイレクトに見せつけた。
「いつも通り三人なんでね。たくさん歌ってきた曲だから」──RIKUがそう話しかけると、川村、吉野が「そうですね」と笑顔で頷く。やや緊張した様子も感じられたが、ピアノの音色とともに“流れゆく時は君と僕を/無情にも追い越してゆく”というフレーズを響かせた瞬間、集中力が一気に高まり、楽曲の世界観を生々しく描き出していく。
「MY PRAYER」は、ストレートな愛を伝える、王道のラブソング。R&Bテイストのセクシーな楽曲のイメージもあるTHE RAMPAGEにとっては、ある意味、異色の楽曲と言えるかもしれない。
切なさ、温かさ、愛おしさがたっぷり込められた楽曲を3人は、リアルな想いを込めながら──物語を紡ぐように歌い上げる。RIKU、川村、吉野がひとりずつ順番にメインボーカルを取り、ふたりがコーラス/ハーモニーを担う構成だが、3人のシンガーとしての魅力、そして、声が重なったときの豊かな響きが連なり、曲が進むにつれて感動の度合いが徐々に上がっていく。
圧巻だったのは、転調とともに訪れる最後のサビ。“ただ君を愛していると/それだけを君に伝えたい”というピュアなフレーズをまっすぐに表現する、素直でストレートなボーカルに強く心を打たれた。まるで目の前に愛する人が存在しているかのような歌声は、THE RAMAPGEのファン以外のリスナーにもしっかりと届いたはずだ。歌い終わったあと、安心したような表情を浮かべ、3人で笑顔を交わす姿も印象的だった。
ダイナミックなダンスパフォーマンスで知られるTHE RAMPAGEだが、今回の『THE FIRST TAKE』の出演によって、彼らの“歌”にさらなる注目が集まるだろう。1月25日にはニューアルバム『RAY OF LIGHT』がリリースされたばかり。シングル「HEATWAVE」「LIVING IN THE DREAM」を含む本作でも、RIKU、川村壱馬、吉野北人、“スリボ”の魅力をたっぷりと堪能してほしいと思う。
リリース情報
2022.01.25 ON SALE
ALBUM『RAY OF LIGHT』
作品詳細はこちら
YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE OFFICIAL SITE
https://m.tribe-m.jp/artist/index/43