FUKA/BORI
【DIG / 02】TAKUYA∞(UVERworld)
SIDE A「EN」
スカパラ谷中敦がホストを務める、曲やアーティスト自身について深く掘って語る最深音楽トークコンテンツ『FUKA/BORI』(フカボリ)。
第2回にTAKUYA∞ (UVERworld)が登場。
自身の楽曲について語るSIDE Aでは、思うような活動ができなくなってしまった時代に、ライブを通じて意思表明するために制作したという「EN」を深掘り。
作詞におけるこだわり、特徴的なポエトリーリーディングのレコーディング秘話など、TAKUYA∞自身の想像を超える楽曲となった「EN」に迫る。
■0:00 ようこそ、最深の音楽へ
※『FUKA/BORI』ホストをつとめる、東京スカパラダイスオーケストラ・谷中 敦が登場し、本日のゲスト・TAKUYA∞(UVERworld)を招き入れる。
谷中:どうぞ! 楽しみにしてました。
TAKUYA∞:よろしくお願いします。
谷中:よろしくお願いします。
※谷中とTAKUYA∞が固い握手を交わす。
■0:44 TAKUYA∞のターニングポイントになった曲「EN」
谷中:今回あげていただいた曲は「EN」という曲で。なんか感動しちゃって。
TAKUYA∞:ありがとうございます。
谷中:ポエトリーリーディングがすごい大胆にフィーチャーされてて。(UVERworldには)いろんな曲があるわけですけど、今までたくさんの曲がある中で、今回は「EN」を選んでもらったということなんですけど。これは「EN」ていう曲は、ずいぶん前から演奏されてた曲なんですか?
TAKUYA∞:いや、去年(2021年)ですね。
谷中:去年から 。
TAKUYA∞:去年1年間演奏した曲ですね。ずっとライブだけでやってたんですけど、なかなかああいう曲ってCDに落とし込むのが難しくて。
谷中:そうですね。確かに。
TAKUYA∞:1年かけてやっと去年の年末にリリースできました。
谷中:なんかお話聞いたらライブでやってる間にどんどんと変わっていった部分がっていうのが…。
TAKUYA∞:歌詞はライブをやるごとに…やっぱなんか変わっていくじゃないですか。テンポも変えたくなるじゃないですか、曲を作った後ライブでやると。それと一緒で歌詞のニュアンスとかもどんどん変えたくなっていって。ライブごとに変わっていきましたね。それの完成形が今のこれです。
谷中:なんかやっぱり伝わり方を工夫しようと思うとどんどん変わっていくんですかね。やっぱそういうのって。
TAKUYA∞:そうですね。ファンの人たちの顔を見ながら歌っていて自分にどっちがしっくりくるかっていうか。
谷中:そうかそうか。
TAKUYA∞:強く言いたいところもあれば、なんか「同じだよね」っていうちょっと優しさを言葉に入れたりとかする…ちょっとしたニュアンスの違いとかもあったんですけど。どんどん変わっていって。でも今はすごく理想の形です。
■3:34 「EN」が生まれたきっかけ
TAKUYA∞:アーティストに限らずいろんな人たちが思うように活動ができなくなってって…それでも、なんか割と僕たちはポジティブに前向きに歩みを止めることなくリリースもし続けて。ライブもおそらく一番始めにしたんですよ、僕たち。いわゆる配信ライブ。事務所の社長とかすげえ嫌がったんですけど。配信ライブさえも怒られるんじゃないかという空気あったじゃないですか。
谷中:それさえも。
TAKUYA∞:事務所の社長的には「もうちょっといろんな人がやってから、ちょっと様子見ない?」みたいな相談もされたんですけど、僕ら6月6日が結成記念日でして。「いやその日に絶対やるんだ」ていうのを決めて。自分たちの中ではそういうふうに歩みを止めずにほふく前進の中で進んでいく中、ライブというものがやっぱり軸にあったんですね。そこで言葉で伝える時にMCではなくて曲で伝えたいというのがやっぱりあったので、ライブに向けて楽曲を作ろうとなった時にこの楽曲「EN」を作ろうと思って作り始めましたね。
谷中:MCではなくて、楽曲で意思表明をしたいということで作り始めたということですね。
TAKUYA∞:歌詞書くの好きなんですよ。歌詞を書くっていうか、昔からポエム書くのが好きで。
谷中:はいはい。なんかそれもかなり中学校の頃…
TAKUYA∞:中学校ぐらいですね。ここは書く日というのを決めたりとかしてて、その日に友だちに誘われても「あ、今日ちょっとポエム書く日だわ」って言って断るぐらいちゃんとポエム書く時間を作って書いてたのが中学校ですね。15年ぐらい前は歌詞を書くのが一瞬苦手になった時期もあって。でも、自分はポエム書くのが好きなんですけど、それを1行2行を4分5分に薄めるのが苦手で。なんかちょっと手こずってたんですけど。最近は自分がポエム書くのが好きというのを歌詞を書くというものがリンクしていって。特にこの「EN」とかは 本当に自分の好きな形でもうポエムを書いていくみたいな。2行で自分に刺さる言葉みたいなものを作っていくみたいな。だからすごくサクッと書けましたね。
谷中:そうですね。サクッと書いたとおっしゃいますけど、でもやっぱり1行1行しっかりと完成された文章の集合体というか、濃密な文章だなっていう印象を受けたんですけど。今おっしゃってた話すごい印象的だったのは1行2行書いてそれを4分に伸ばすのが嫌だって。
TAKUYA∞:セオリーでやっぱり4分、5分にしなきゃいけないという意識があるじゃないですか。でも、それが例えば2分半でおさまったんであれば、もう2分半でいいって終わらせてる曲が最近できてきたりとか。いわゆる柔軟さみたいな、自分たちなりのスタイルみたいのができてからはすごい楽ですね。
谷中:あまりとらわれすぎないってことでもやっぱり注意してるポイントですか?
TAKUYA∞:やっぱりいろんな人に聴いてもらいたいというのもあるので、そのAメロ/Bメロ/サビ/Aメロ/Bメロ/サビ、インターバルがあってまたサビがいいのかなっていう。それがみんな聴きやすいのかなって思っても。
谷中:聴きやすいフォーマットというのはあるわけですもんね。
TAKUYA∞:でもそれじゃなくて、なんか本当最近の人たちというのはもう手軽に音楽…
いろんな音楽、海外の音楽も聴けるので、だいぶ耳が肥えてる感じがするんですよ 。
谷中:確かに。
TAKUYA∞:だからなんかその分自由度が高まったなと思って。曲作るのが楽しくなったんですね。余計なこと考えずに済むようになりました。
■7:15 ポエトリーリーディングの理由
谷中:「EN」を演奏して、ファンの方々の反応はどうですか?
TAKUYA∞:めちゃくちゃいいですね。
谷中:本当ですか。
TAKUYA∞:想像以上に良いですね。
谷中:結構その想像以上にっていう部分は、曲の中にポエトリーリーディングが入ってるというある意味実験的と言っていいんですか。
TAKUYA∞:僕的にはこの手法ってそんな新しく感じてないんですよ。むしろ曲を作ってメンバーに聴かせる時にいくつか言い訳をしてからじゃないと聴かせられなかったっていうか…ポエトリーじゃないほうがいいのかもしれないし、これをもっと「魂の叫びのようにしっかりと歌えれば伝わると思うんだよね」っていう言い訳をしてから僕聴いてもらったんですよ。だから、僕の中で少しこの曲に対して恐れがあった…みんなに聴かせるのに恐れがあったというか。あまりにもありのまますぎて。自分の。僕の中ではこの手法しかなかったんですよ。メロディーに合わせて言葉を少しずつ変えていくんではなくて、この言葉をそのまま伝えるためにポエトリーリーディングでやっていくという。でも、それが新しいかどうかで言われると僕は新しくは感じなかったと。でも、意外とそれも1周回ってなのか、もしくは良いものは良いと。古いとか新しいとかそういうものの壁越えちゃって良いものは良いっていうのも信じてたんで、それをライブでやった時の評価というのが想像以上に良かったです。僕はひょっとしたら僕が一番始めに懸念したようなことで「うーん」というお客さんもいるのかなと思ったんですけど、そんな声は一つも聞こえなかったです。大絶賛でした。
谷中:嬉しいですね。直接届いてるという感覚あるんですね、きっとだからね。冒頭の歌の部分もねほんとに僕すごいなと思って。ポエトリーリーディングみたいなことってむちゃくちゃ生だし、危ないって言ったら危ないじゃないですか。なんかただMCでしゃべってるみたいに思われがちというか…でもやっぱその危険度もともなう分、熱量は直接伝わりやすいという部分もありますよね。
TAKUYA∞:なんかこの時代だからこそ、ハマったものもあると思うんですよ。歌の冒頭が“あの日から”で始まるんですけど、僕デビュー当時にレコード会社の人に「あの日って どの日?」みたいな、「あの日って弱いよね」みたいな。15年前に書いた曲に「あの日」って。
谷中:そういう人! そういうこと言う人いますね。
TAKUYA∞:そう! そうなんですよ。それ結構心に残ってて、別にそんなことどうでもいいんですけど今回の歌詞で“あの日”って出てきた瞬間に“あの日から突然 何もかもが変わってしまった”と言われると、それぞれの“あの日”だったんですよ、今までは。もう今となってはもう“あの日”ってみんな大体ひとつなんですよね。
谷中:まさに。それ全員が一瞬で共有できるっていうことはすごいですね。
TAKUYA∞:そうなんですよ。そういった意味でもなんかこうよりパワーを持つ楽曲になったなとも思いますし、なんかそれのおかげでいろんな人に響いてくれてるのかなと思うと。
谷中:そうか。
TAKUYA∞:自分の名前とか検索したりします?
谷中:しますよ、僕。
TAKUYA∞:そうですよね。
谷中:めっちゃしますよ。
TAKUYA∞:僕もあんまり気にはしないんですけど、ちゃんとみんなの意見知りたいのでそういうのは知るようにしてるんですけど。この曲の評価がすごく良くて…そのおかげか今制作意欲がまたさらに湧いてるので。
谷中:いいですね。最高ですね。
TAKUYA∞:自分にとってはすごくターニングポイントになった楽曲ですね。
■10:58 「EN」のボーカル構築
TAKUYA∞:「EN」のサウンド面はレコーディングする時に僕喉がめちゃくちゃ強いっぽいんですよ。今だったら、昼夜と公演してそれを2daysやったりとかするんですけど、それもフルで20曲ぐらい出来てそれでも全然枯れないんですよ、喉が。
谷中:えっ! ちょっと待ってください。昼夜もライブ?
TAKUYA∞:2公演やるんですよ。半分しか人が入れないじゃないですか。
谷中:昼夜を2days…4回2日で。すごいですね。
TAKUYA∞:そうすると今までどおりのなんかみんなが見れるみたいな。
谷中:普通枯れちゃいますよね。
TAKUYA∞:枯れるんですけど、でも全然平気なんですよ。
谷中:歌も歌ってMCの部分もものすごいシャウトされるじゃないですか。あんなことやってたら普通は枯れちゃう。
TAKUYA∞:MCが枯れるんですよね、僕。MCで叫んじゃうので。
谷中:そうですよね。逆にそういうところありますよね。
TAKUYA∞:でもまあ喉は強いほうらしいんですけど。
谷中:すごいですね。
TAKUYA∞:でも、この曲を歌う時にうまく歌ってレコーディングすると、メンバーに聴かせた時みたいな言い訳が必要になってくるんですよ。「これはもっと魂を込めて歌うと良くなるよ」「ライブだと良くなると思うよ」っていう言い訳が必要だったんで、その言い訳なしにちゃんとCDで響かせようと思うと、これを歌った3日間ぐらい声出なくなりましたね。
谷中:そうなんですか。
TAKUYA∞:もう何テイクも録ったし、喉を使わずに歌うことってまあそっちのほうが良いんですよ。技術的には難しいし、きれいに聴こえるんですけど。ほんとに身を削ってというか自分にダメージを食らいながら出す声って音的には良いとは言えないんですけど響いてないので。ただなんか刺さってくる部分はあるんですよね、やっぱり。だから全行にそれが欲しかったんで、ほんとに喉を酷使して、もう歌いきりましたね。ブースに2枚防音ブースに扉があるにも関わらず、「外でお前の声聴こえてたぞ」っていうぐらいもう本気で「アーッ」って叫んで。それも喉で歪まさずに叫ぶ方法もあるはあるんですけど、もうそれは完全にそういうの無しで、いつもだったら力まずにっていうのも無しで、もう力んで思いっきり声出すっていうことをやって、それによってなんかこう生々しい肉弾戦感が出て。なんか納得できる…言い訳なしに聴いてもらいたい1枚になりましたね。
谷中:すごいですね。なんかやっぱギリギリまでやるってことが繋がっていくっていうの?
TAKUYA∞:そういう部分ってありますよね。
谷中:ありますよね。もちろんあります。
TAKUYA∞:やっぱCDで聴いてもレコーディング最中、マイクの前ですごい大きい声で歌ったんだなって分かる声の表情ってあると思うんですよ。でもそれがないと、なんか入ってこないものもあるなと思ってて。
谷中:そうですね。
TAKUYA∞:今ってそのピッチ補正だったりとかすごく上手にできるじゃないですか。
谷中:はい、できますね。
TAKUYA∞:だからもう軒並み、どのアーティストも歌がピッチが合ってたりするじゃないですか。
谷中:そうですね。
TAKUYA∞:そこで例えばなんかこう、“届かない”って歌詞があるんであればピッチもちょっと届いてないほうが刺さったりとかするっていう…そういう面ではしっかりと吟味して何テイクも録って、今回は構築しましたね。
■14:16 「EN」の持つ可能性
谷中:この「EN」という楽曲が持つ可能性をもうかなり感じてる自分なんですけど、これからこの「EN」という曲がきっかけで何か変わっていくということもあったりするんですか?
TAKUYA∞:人生において自分の想像をはるかに超える楽曲って何曲書けるんだろうなと思ってて。今までも、すみません、多分ご存じないと思うんですけど曲名言っちゃいますけど、「7日目の決意」とか。
谷中:見ました。
TAKUYA∞:ありがとうございます。
TAKUYA∞:「THE OVER」とか。
谷中:夢の中で書いた曲ですね。
TAKUYA∞:そうです! そうです! そうです! そうです!
谷中:夢の中で全部できるってすごくないですか?
TAKUYA∞:そんな奇跡的なことがあって。「PRAYING RUN」とか「ALL ALONE」とか
自分の中で想像を超えてできあがった瞬間に「これほんとに自分が作った曲か?」って疑うぐらい自分に響いてくる楽曲があって。
こういうものって人生であと何回書けるのかなと思ってたものが、もう書けないのかなと思うんですよ、書いた瞬間は 。もうこれが最後かなと。でもまた「EN」を書いた時にそういう気持ちになれて。俺今後もまたそういう気持ちになれるって信じてて。今までは、できるたびに「これが最後かな」と思ってたのが「EN」ができた時に、今後もこういう形で違う角度で自分を感動させる曲っていうのが生まれると思わせてくれた楽曲ですね。それを信じて頑張ろうと思えました。だからきっとこれを作ったことによって俺はもっとポジティブに自分への刺激を求めながら曲を作れるんじゃないかなと思ってます。
谷中:そういうタイミングですごいものができたんですね。僕本当に大好きになりました。
TAKUYA∞:ミュージシャンの方に言われると本当に嬉しいです。ありがとうございます。
『FUKA/BORI』
第2回 TAKUYA∞(UVERworld)
SIDE A:「EN」を深掘り
1/25 公開予定
SIDE B:TAKUYA∞(UVERworld)が影響を受けた楽曲を深掘り
『FUKA/BORI』
https://www.youtube.com/playlist?list=PLi1F8vriz0_WL3yKBwFfP68Mkx7f8Y4KV
『THE FIRST TIMES』OFFICIAL YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCmm95wqa5BDKdpiXHUL1W6Q
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谷中 敦 OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/a_yanaka