TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)
すでに2022年が始まって早2週間。
正月気分も抜けて、2021年のいろいろも遠くの出来事になりつつあるような気もしますが、本稿ではLINE MUSICにおける2021年の年間ランキングをもとに昨年の音楽シーンを振り返ってみたいと思います。
■BTSとYOASOBIの時代
ランキング1位はBTSの「Butter」、2位はYOASOBIの「怪物」。
2021年はこの2組が主役だった、と言って異論を挟む向きは少ないのではないでしょうか。昨年の音楽シーンの中心には出自のまったく違うこのふたつのグループがつねに存在していたように思います。
2020年の「Dynamite」(こちらも5位にランクイン)に引き続いて英語のアッパーなディスコチューン「Butter」で世界中を席巻したBTS。
数年前まで“日本の音楽シーンはガラパゴス化している”と言われていたことを思うと、グローバルのトップスターが日本のストリーミングサービスの年間トップにいるという状況は国内の音楽シーンの変化を物語っているように思います(と言っても、BTS以外にランキング圏内で海外の動きと同期しているのはThe Kid LAROI & Justin Bieber「STAY」くらいなので、“BTSが特別”ということなのかもしれませんが)。
いっぽう、YOASOBIがトップ100位圏内に送り込んだのは実に10曲。
2020年にグループとして名を上げたと思ったら、あっという間に日本一のヒットメイカーとなってしまいました。
楽曲のクオリティと各種メディアを活用したビジネスサイドの効果的な打ち手がかけ合わさるとここまでの“勝者総どり”といった感じの状況が生まれるんだな…と驚嘆せずにはいられません。
まだまだこの人たちの天下は続きそうな雰囲気があります。
■年末のお祭りを振り返る
さて、この年間ランキング自体は2021年12月頭には発表されていたわけですが、2022年に入ってから改めて見直すとランキング発表後の年末の音楽番組とのリンクも確認できて面白いです。
前述したYOASOBIは第63回『輝く!日本レコード大賞』で「怪物」を含む3曲をフルサイズで披露するという破格の待遇を受けていましたが、そんな中で大賞を獲得したのが19位にランクインしているDa-iCE「CITRUS」。結成10周年のメモリアルイヤーにふさわしい結果となりました。
LINE MUSIC上では11月にINIとBE:FIRSTのチャートバトルも話題となりましたが、非ジャニーズのボーイズグループが一気に注目を集めることとなった2021年の状況が反映された選考だったようにも思います。
レコード大賞の翌日、大晦日に放送された『第72回NHK紅白歌合戦』にはAwesome City Clubが初登場。年間4位の「勿忘」をエモーショナルに披露し、番組に華を添えました。
また、37位に「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」をランクインさせたDISH//の力強い歌声も印象的でした。
そして、この期間に最大の話題を提供してくれたのは、12位の「きらり」を「燃えよ」とともに歌い上げた藤井 風でしょう。
岡山の実家から紅白に登場、という演出を経て司会者すらも知らなかった東京国際フォーラムでのピアノ一本でのパフォーマンスはまさに衝撃としか言いようがありませんでした。
まろやかでセクシーなボーカルに耳だけでなく目も釘付けになるピアノの演奏、さらにはカリスマ性のあるルックスとは大きなギャップのある岡山なまりの口調…と、どこを切ってもキャッチーなキャラクター。
日本で最も注目される音楽番組において、本物のスターが誕生した瞬間だったのではないかと思います。2022年の活躍にも期待です。
ちなみに、Awesome City Club「勿忘」と藤井 風「きらり」はそれぞれのパフォーマンス後、LINE MUSICのリアルタイムチャート(1時間ごとに更新)にて1位を獲得していました。このチャートが世の中で起こっていることをまさにリアルタイムで示しているということがよくわかります。
以上、LINE MUSICの年間ランキングを起点に2021年の音楽シーンで輝いた面々をダイジェストしてみました。2022年の年末にどんな顔ぶれが並ぶのか、そしてそこにどんな時代の空気がパッケージされるのか、今から楽しみです。
【2021年LINE MUSIC 年間ランキング】
01「Butter」BTS
02「怪物」YOASOBI
03「ドライフラワー」優里
04「勿忘」Awesome City Club
05「Dynamite」BTS
06「Cry Baby」Official髭男dism
07「踊」Ado
08「Permission to Dance」BTS
09「夜に駆ける」YOASOBI
10「うっせぇわ」Ado
11「Bluma to Lunch」BLOOM VASE
12「きらり」藤井 風
13「Rocketeer」INI
14「ツキミソウ」Novelbright
15「Film out」BTS
16「アンコール」YOASOBI
17「群青」YOASOBI
18「水平線」back number
19「CITRUS」Da-iCE
20「ギラギラ」Ado
21「題名のない今日」平井 大
22「廻廻奇譚」Eve
23「シャッター」優里
24「Poppin’ Shakin’」NiziU
25「YOKAZE」変態紳士クラブ
26「怪盗」back number
27「Take a picture」NiziU
28「10月無口な君を忘れる」あたらよ
29「Stand by me, Stand by you.」平井 大
30「napori」Vaundy
31「炎」LiSA
32「桜が降る夜は」あいみょん
33「ピーターパン」優里
34「虹」菅田 将暉
35「もう少しだけ」YOASOBI
36「Buddy」平井 大
37「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」DISH//
38「ハルカ」YOASOBI
39「星を仰ぐ」菅田 将暉
40「三原色」YOASOBI
41「優しい彗星」YOASOBI
42「寄り酔い」和ぬか
43「春泥棒」ヨルシカ
44「CARNAVAL」超特急
45「魔法の絨毯」川崎鷹也
46「같이 가자」超特急
47「イヤフォン・ライオット」私立恵比寿中学
48「ヨワネハキ( feat.和ぬか & asmi)」MAISONdes
49「ミライチズ」夜のひと笑い
50「インフィニティ」優里
51「MIRROR MIRROR」平井 大
52「ハルジオン」YOASOBI
53「怪獣の花唄」Vaundy
54「かくれんぼ」優里
55「Shining One」BE:FIRST
56「A10TION」Kis-My-Ft2
57「STAY」The Kid LAROI & Justin Bieber
58「Pale Blue」米津玄師
59「Pretender」Official髭男dism
60「Gifted.」BE:FIRST
61「不可幸力」Vaundy
62「Добрый день」超特急
63「裸の心」あいみょん
64「グッバイ宣言」Chinozo
65「恋人ごっこ」マカロニえんぴつ
66「シル・ヴ・プレジデント」P丸様。
67「One Last Kiss」宇多田ヒカル
68「Renegades」ONE OK ROCK
69「Curtain Call(feat.Taka)清水翔太
70「I LOVE…」Official髭男dism
71「Romeo+Juliet -Love goes on-」平井 大
72「春を告げる」yama
73「恋唄」清水翔太
74「ブルーベリー・ナイツ」マカロニえんぴつ
75「点描の唄 (feat. 井上苑子)」Mrs. GREEN APPLE
76「不思議」星野 源
77「115万キロのフィルム」Official髭男dism
78「分かってないよ」WurtS
79「夜撫でるメノウ」Ayase
80「SO BLUE」Kis-My-Ft2
81「海のリビング」鈴木鈴木
82「Make you happy」NiziU
83「Kura Kura」TWICE
84「Stay Gold」BTS
85「才能」UPSTART
86「世界の秘密」Vaundy
87「Answer」幾田りら
88「Mela!」緑黄色社会
89「花占い」Vaundy
90「紅蓮華」LiSA
91「snow jam」Rin音
92「Day by day」チャン・グンソク
93「Super Summer」NiziU
94「感電」米津玄師
95「Universe」Official髭男dism
96「imagine if」gnash
97「あの夢をなぞって」YOASOBI
98「Walking with you」Novelbright
99「WAVEBODY (feat. OZworld & LEX)」JP THE WAVY
100「白日」King Gnu