TEXT BY 松浦靖恵
■麗奈の感情がより浮上してくるシンプルなアレンジ
チャンネル登録数500万人を超えるYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』の一発撮りオーディションプログラム『THE FIRST TAKE STAGE』で、5000組もの応募者の中から見事グランプリを獲得した麗奈が、11月15日(月)に「僕だけを」を配信リリース。
彼女はグランプリ受賞後、これまで多くのアーティストが出演している『THE FIRST TAKE』に挑み、オーディションのファイナル選考でもパフォーマンスした「僕だけを」を、原曲にピアノを加えたアレンジを施したバージョンで披露した。この“THE FIRST TAKEバージョン”(アレンジ/ピアノ・トオミヨウ)は今年7月に配信リリースされているが、今回配信リリースする「僕だけを」は、プロデューサー/アレンジャーに野村陽一郎氏を迎えた新たなオリジナルバージョンになる。
もともと「僕だけを」は麗奈が高校2年生のときに作った曲だ。この楽曲が生まれたきっかけは、「当時ネガティブな感情ばかりを抱えている自分の気持ちと向き合ったことで、“強くなりたい”という前向きな思いになれたこと」だという。もともと自分の思いを言葉にして上手に伝えることが苦手な麗奈だったが、歌にすることで自分の心に沈んでいる感情をすくい上げ、伝えたい思いを素直に届けることができた「僕だけを」は、彼女自身もインタビューの中で「感情の真っただ中にいるときに、その思いをちゃんと書けた初めての歌詞」「この曲は自分の原点」と言っていた。「僕だけを」が生まれたことで、麗奈は自分の気持ちにいちばん素直になれるのは歌だということを再確認でき、さらに、“自分にしか歌えない歌を歌いたい”“自分らしさを大事にしたアーティストになりたい”という夢を大きく膨らませたにちがいない。だからこそ彼女は「僕だけを」を、地元(鹿児島)を中心としたライブ活動のなかで歌い続け、自らが応募した『THE FIRST TAKE STAGE』でもパフォーマンスしたんだと思う。
「僕だけを」の新たなオリジナルバージョンは、麗奈の感情がより浮上してくるシンプルなアレンジが施されている。彼女の歌唱はもちろんのこと、麗奈が奏でるアコギの音色、繊細な息遣い、歌と歌の間に漂う空気感、歌詞のない“Umm~”の部分からも、歌の中にいる“僕”の揺れ動く感情や強くなりたいと願う思いが伝わってくる。さらに、7月に配信した「僕だけを」でも感じたことだったが、麗奈の歌声は第一声を発したその瞬間から、聴く者の心をつかんでしまう声、麗奈にしか出せない声なんだということを再確認できるはずだ。そして、もともとは彼女の思いを刻んだ「僕だけを」が、自分と同じような思いを抱えている人や一歩を踏み出せずにいる人に、そっと手を差し伸べているような「僕だけを」になった。
■歩んでいく道を大きく変えてくれた楽曲
「僕だけを」は麗奈自身の成長を刻んでいる楽曲であり、自分の人生やシンガーソングライターとして歩んでいく道を大きく変えてくれた楽曲だ。そんな歌がこの11月15日(月)に新たなオリジナルバージョンとして配信スタートするのは、なんだか偶然ではないような気がした。
だって、振り返ってみれば、『THE FIRST TAKE STAGE』の応募がスタートしたのは、ちょうど1年前の2020年11月15日なのだから。自分の意思で応募したとはいえ、ほんの1年前の麗奈は自分がグランプリを受賞することも、『THE FIRST TAKE』で歌唱している自分の姿も、きっとリアルに思い浮かべることができなかったんじゃないだろうか。しかも、自分の音楽活動の中でずっと大切に歌ってきた「僕だけを」がこうして配信リリースされ、多くの人たちの日常の中で聴かれているということも想像すらしていなかったと思う。
それに、もし麗奈が『THE FIRST TAKE STAGE』に応募していなかったら、多くの人たちはこの素晴らしい声と才能を持った“シンガーソングライター・麗奈”に出会えなかったのかもしれないのだ。そう思うと、麗奈にしか出せない歌声や彼女の人生を決めた「僕だけを」が、より愛おしくなってしまった──。
リリース情報
2021.11.15 ON SALE
DIGITAL SINGLE「僕だけを」
麗奈 OFFICIAL TWITTER
https://twitter.com/0172Reina