INTERVIEW & TEXT BY 柚月裕実
■シングル「A」で、INIデビュー
ファン投票によって選ばれた「Rocketeer」と「Brighter」のダブルタイトルとなったシングル「A」でデビューした、INI(アイエヌアイ)。
彼らの勢いをそのまま表したような「Rocketeer」は、練習生からデビューへと歩んできた軌跡、まっすぐに上へ上へと突き進むロケットに、彼らの姿がリンクする。
「最初だからこそ、僕たちを選んで良かったと思ってもらうためにしっかりしたところを見せたいって気持ちがメンバーみんな強かったので、初めて曲をもらった時は緊張しながらもじっくり聴きました」(田島将吾)
「それぞれにすごく特徴のある歌声なんですけど、その個性を生かせたシングルになったと思います。初めてのレコーディングは緊張しながら、それ以上に気持ちを乗せてパフォーマンスできました」(尾崎匠海)
■ラップ組とダンス組の強みが生かされた「Rocketeer」
日本最大級のオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』SEASON2で国民プロデューサーによって選ばれた、彼ら11名。国民プロデューサー、ともに切磋琢磨した90人の練習生…自分自身の夢の実現だけでなく、様々な思いを背負ってのデビューだからこそ、最高の一歩にしたい。そんな思いを抱えつつ、自然体で音楽を楽しむことを忘れないのがINIの魅力だろう。
「『Rocketeer』は耳に残るフレーズがたくさんあって、なかでも全員で声を重ねた“アジトアジト”はポイントですね。まだ先かもしれませんが、一緒に歌えるようになったらライブで盛り上がれるんじゃないかと思います」(松田 迅)
「それにラップ組とダンス組の強みが生かされていて。INIのラップはすごく自信があります。それにダンスが特に上手なキム(木村)と西くん、たじ(田島)が、サビやダンスブレイクで前に出ることが多くて、やっぱりこの3人が前に出るとパワフルで、エネルギッシュになりますね」(後藤威尊)
■曲の雰囲気と歌声がマッチして相乗効果を生んだ「Brighter」
「A」の面白さは、「Rocketeer」でパワフルなパフォーマンスを披露しながらも、「Brighter」では柔らかで繊細な歌声を重ねる、対照的な点だろう。静と動、コントラストを強くしたことでどちらにも振り切ることのできる、INIのレンジの広さを一作目から体現している。
「『Brighter』はボーカル組の強みがすごく生かされていて、京ちゃん(藤牧)は『Rocketeer』でももちろんうまいんですけど、『Brighter』の曲の雰囲気と歌声がマッチして相乗効果で僕は好きです」(後藤威尊)
また、アーティスト写真等のビジュアル撮影に臨むあたり、意識したことを訊いた。
「曲の持つ雰囲気を大事にしました。例えば、『Rocketeer』だったらちょっと強めな感じというか、男らしい悪童っぽさを出そうと表情を考えたり、正反対のテイストである『Brighter』だったら爽やかさや切なさを表現するためにどこか一点を見つめているような表情にしました」(西 洸人)
「コンディションを整えるために撮影の2日前ぐらいから、みんなでサラダ生活をしました。夕飯はなしで、夜は極力水を控えて、寝る時はうつ伏せにならないように仰向けで寝たり、そういった日々の積み重ねは意識しました」(佐野雄大)
「僕は、以前メンバーから『むくんでるんじゃない?』って指摘されてしまったのがきっかけで、プロ中のプロくらい意識するようになったんですけど…今度は頬がこけて見えるようになってしまったので、良いバランスを探ってます(笑)」(尾崎匠海)
「元々、僕は太りづらい体質なのもあってみんなのように毎日意識した生活ではありませんが(笑)、 『KCON:TACT HI 5』でデビュー曲を披露することが決まった時は本気出して、一週間サラダ生活みたいなことはしました。ガチでしたね、はい。頑張りました、その時は!(笑)」(松田 迅)
■ライバルから仲間へ。変わりゆく、メンバーの関係性
大変そうなエピソードもさらっと明るい表情で語ったメンバー。
大変な日々ではあるものの、それもすべては最高のパフォーマンスをしたい! という自らのためであり、INIへ懸ける思いの大きさからくることのようだ。
そして、オーディション終了から約5カ月が経過し、少しずつメンバー間での変化があったという。
「許は、最初クールな印象だったんですけど…今は語尾にハートが付いてるんじゃないか?ってぐらい、メンバーに甘えてくる、甘えたさんです(笑)」(尾崎匠海)
「(照)。オーディション期間中は、ハードな環境で、自分らしくないっていうか。あんまり心を開いてなかったように思います。オーディションですし、今振り返ってみるとライバルに負けないように強がりの表情で自分を隠していたんです。でも、この5ヵ月で仲間になったメンバーのことを信頼できるようになったので…(笑)」(許 豊凡)
「INIになってからは、ずっと11人でいるので、自然と自分の心の扉も開いちゃいますよね。素でいられるメンバーなので、それがどんどん出てきて毎日にぎやかです」(藤牧京介)
「僕たち11人、年齢も出身地もバラバラですが、だからこそ毎日新鮮に過ごせていると思います。そして、これからライブができるようになったら、メンバーの地元をめぐるツアーっていうのもやってみたいですね。メンバーの実家に泊まったり(笑)」(髙塚大夢)
ここまででも、十分に人生を賭けた勝負だった。しかし、今後はさらに大きなフィールドでの戦いが待っている。あらたなスタートラインに立った彼らに、グループの強みは? という質問を投げかけてみた。
「ダンス、歌、ラップが強みです。どんな楽曲がきてもINIとしてのパフォーマンス…カッコ良いラップだったり、澄んだ歌声で聴かせたり、言葉を強く投げかけたり、全部においてつねに新鮮さを見せらるようなグループでありたいですね」(池﨑理人)
■たしかな実力と人を惹きつける、INIの人間力
彼らは日本のみならず、最初から世界水準で活躍することを念頭においたグループのため、そういった意味でもライバルは多い。ただ、INIは着実に一歩を踏みしめ、この11人で大きな夢を描いていくに違いない。それは彼らの前向きな姿勢を目の当たりにし、筆者がより強く思ったことである。
「毎朝集まって練習する時に、自分の目標とグループの目標を決めて、付箋に書いて。で、練習の終わりにできたと思ったら剥がしていくっていうやり方で毎日できることを増やしていってたんですけど、このやり方がすごく僕たちには良かったみたいでこれからも続けていこうと思います」(木村柾哉)
また、つねに気をつけていることとして“挨拶をしっかりする”“5分前行動”“整理整頓”の3つを挙げ、大所帯なグループだからこそ音楽活動に専念できるよう自分たちなりのルールを設けているとのこと。
当たり前なことをしっかり行い、日々成長しようとするINI。インタビュー中も、一人ひとりはっきりと自分の意見を述べながらも、メンバーの発言に耳を傾けて頷いたり、笑ったり、許の発言をさりげなくサポートするなど、絆の深さが感じられた。たくさんのファンを惹きつける彼らには、こうした人間力が土台にあるのだと思う。
そのうえで、力強さと繊細さを自在に操る歌唱力、エネルギッシュでなダンスパフォーマンスで魅了するINI。今後、一人ひとりの個性に加えて、ペアやトリオ、カルテット…と何通りもの組み合わせから見えてくるメンバーの関係性もパフォーマンスに重なり、INIならではのステージが醸成されていくに違いない。
11月3日、無限の可能性を秘めた彼らが旅立った。これから国境や言葉の壁を越えてどんな軌道を描くのか楽しみだ。
リリース情報
2021.11.03 ON SALE
SINGLE「A」
INI OFFICIAL SITE
https://ini-official.com/