TEXT BY 柚月裕実
■“6つの音色”という意味が込められたグループ名に違わぬ歌唱力
2022年1月1日22時、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に登場したSixTONES。
白いスタジオに用意されたのは6本のマイク。一発撮りというチャンネル特有の緊張が漂うなか、メンバーの準備が整ったところで「お願いします」と合図を送るジェシー。後にも先にもないたったひとつの大切なデビュー曲「Imitation Rain」を披露した。
続く、1月12日には2ndアルバム『CITY』に収録の「Everlasting」を披露。前回よりも少し緊張が解けた様子で、笑顔をみせたり「楽しもう」と声を掛け合ったり。準備ができた人からサムズアップでサインを送るメンバー、最後に松村北斗がポンと弾くように親指をみせたように余裕も感じられた。
歌唱力、表現力という技術の高さはもちろん、音を浴びるように感じながら心を込めた歌唱、それも楽しそうに楽曲の世界へと入り込む。歌い終わりには口をキュッと結びながら微笑み、手ごたえを感じた晴れやかな表情。“6つの音色”という意味が込められたグループ名に違わぬ歌唱力で、またひとつ新しい扉を開いた。
1月5日には2ndアルバム『CITY』をリリース。新曲をひっさげて行われるライブツアー『Feel da CITY』の真っ最中だ。お知らせは留まることを知らず、昨年12月には次なる新曲「共鳴」の発表と、彼らの活動には暇がない。それは乱発しているわけではなく、また新感覚の音楽に出会わせてくれた。
通常盤のジャケット写真には、6人が集結し下から上を見上げるようにして映る6人。MVでは「-今こそ、“共鳴”しよう-」とメッセージを掲げた。“Now it’s time to unite, let’s shout!”京本大我の歌声から始まると、ここからスピーディーに展開する。脚を突き上げる松村北斗に、拳を高く掲げる森本慎太郎、背を向けて立ち去る6人…2ndアルバム『CITY』収録の「Rosy」にも似た世界観を感じ、後ろ姿はまるで戦いを終えたヒーローチームのよう。
大人ならではのジャズに、SixTONESの定番ともいえる疾走感溢れるロックとHIPHOPを融合したリッチなサウンド。ジェシーが合図するように歌い、力強い田中樹の歌唱から始まるAメロ。大きく書かれたリリックと共に、目まぐるしく変わる映像に振り落とされそうになるが、時折みせるジェスチャーに目を奪われる。真剣な眼差しとわずかにみせる笑み、普段スマイルが印象的な高地優吾もクールな表情。シーンの展開とは対照的に、指先から腕へとしなやかな動き。身体的特徴を活かしてゆらゆらと泳ぐように舞うように、白鳥が羽ばたくようなバレエにも似た繊細でダイナミックな動きも。
■視聴を重ねるごとに沼にハマっていくような感覚に陥る
彼らがこだわる音楽は、すぐに覚えられてみんなで歌おうというタイプの楽曲は少ないし、複雑に重ねられた音や歌詞を理解するには少々の時間が必要だ。それが2回、3回…と視聴を重ねるごとに沼にハマっていくような感覚に陥る。子どもの頃はわからなかったビターチョコレートの旨さを覚え、次第に求めるようになるような病みつき感と似ている。分からないから知りたい、知ったら最後。もう知らなかった頃の自分には戻れないのだ。
“謹言。”で締めくくられる歌詞は、彼らの軌跡と捉えることもできる。耳が慣れてくると気づくのは、ソロ、ハーモニー、ユニゾンと歌詞とリンクした歌割の妙だ。例えば、“静寂を切り裂く矢のごとく”を、ジェシーと京本大我の歌声で聴かせるパートには、SixTONESが音楽にこだわり、音楽で一矢を報いるようなスタンスを感じる。続く、““今”を生きるだけ”と歌うは、どこか冷静で現実的な松村北斗。悲喜こもごもを包み込むようにジェシーの温かみのある歌声が響く。
特に後半、田中によるSixTONESを象徴するRAPパートに込めたメッセージ、それを受けて高地の熱い歌唱、言葉にならない思いを叫ぶように声を張る森本慎太郎と終盤に向けての高まりは胸を打たれる。
歌割とパーソナリティを重ねるとさらに胸を打たれる。
映像で特に印象に残ったのは口に指を当てたり、顔を触ったりと指先やしぐさから放たれる色気、そして“謹言。”とともに、ゆっくりと一礼をするように体を倒したラストのシーン。相手に対する敬意を込めた結びの言葉、謹言で締めくくられる歌詞も相まって、「礼に始まり、礼に終わる。」という武士道にも通ずる精神を感じた。
「SixTONESは最強です。だってこの6人だから」松村の強くて温かくて、心震える言葉と共に、次なるステージへと進んだSixTONES。グループ結成も、様々な音楽ジャンルへの挑戦も、個々の活動もときにはメンバーがフォローしあって…この6人で切り拓いてきた。
■心を動かすのは、彼らの心が宿った歌唱があるから
SixTONESの絆ソングといえば「NEW WORLD」もその一つ。彼らが集まった軌跡と奇跡、置かれている環境、隣にいる仲間…あの頃の若さは戻らないけれど、弓を引き絞るような時間があったからこそ放てるものがある。「共鳴」はSixTONESの6人と6つの音色とでしか世に出なかったと思えるほど、歌詞に込められたメッセージとの深い結びつき、楽曲に対するこだわりと挑戦を本作でも感じた。『THE FIRST TAKE』で証明してみせたように、どんなジャンルの楽曲でも心を動かすのは、彼らの心が宿った歌唱があるから。
さて、本楽曲は『ザ少年倶楽部』(BSプレミアム)で初披露済みだが、2月23日には『テレ東音楽祭』(テレビ東京系)に出演し、生パフォーマンスを行う。音源、MV、そしてステージパフォーマンスも彼らの武器であり魅力。ダンスや衣装も含め、一曲を様々な角度から堪能できるのもSixTONESならでは。それも回を重ねるごとに深みを増していくのだから見逃せない。
*高地優吾の「高」は「はしごだか」が正式表記。
リリース情報
2022.03.02
SINGLE「共鳴」
SixTONES OFFICIAL SITE
https://www.sixtones.jp