■「いろいろなことに気をつけながら、楽しい時間を提供できたらなと」(スキマスイッチ・大橋卓弥)
スキマスイッチが2月10日、全国ツアー『スキマスイッチ TOUR 2022 “cafe au lait”』を栃木県・宇都宮市文化会館大ホールでスタートさせた。
今回のツアーは、2021年11月に2作同時リリースされたコンセプトオリジナルアルバム『Hot Milk』『Bitter Coffee』を引っ提げて開催。ツアータイトル『cafe au lait』は、ホッと安心するような“Hot Milk”、そして、少し苦みの効いたこだわりの“Bitter Coffee”をブレンドしたものだ。
この日、大橋卓弥(Vo、Gu)はステージで「初日とは思えないほどリラックスしてやれてます。みなさんのおかげです」と語った。全国ツアー『スキマスイッチ TOUR 2022 “cafe au lait”』の初日公演。この日スキマスイッチはまるで彼らがマスターをつとめるカフェにいるかのように楽しく、豊かな音楽空間を生み出した。
セットリストの軸はもちろん、ニューアルバム『Hot Milk』『Bitter Cofffee』の収録曲。“求められるもの”“作りたいもの”というテーマで7曲ずつをまとめた作品だが、ライブではそれぞれの楽曲のポテンシャルと魅力がさらに増幅され、音源とは一味違う表情を感じることができた。
たとえば「されど愛しき人生」。アコギからはじまるオーガニックなサウンドとともに描かれるのは、「一度きりの人生を 今日もトボトボ歩く」男性の姿。夢が叶わなくても、どんなにきつくても、それでも愛しい人生を歩んでいこうという思いがまっすぐに伝わり、会場を大きな感動で包み込んだ。
恋人がいなくなった部屋で、後悔と悲しみに沈む「どうしようもない僕」を主人公にした「いろは」も心に残った。ホーン、ストリングスを交えた質の高いサウンド、情けなくて切ない恋の終わりを映し出す歌が共鳴する、素晴らしいパフォーマンスだった。
代表曲「全力少年」では、“声出し禁止”“マスク着用”の観客のために、手拍子によるコール&レスポンスで会場を盛り上げる。何度もライブで聴いた曲だが、そのたびにあらたな感動を生み出す普遍性を改めて実感することができた。また、既存の楽曲をリアレンジし、原曲の新たな楽しみ方を提示してくれるのも、彼らのライブの魅力。おなじみのバンドメンバー(Dr・村石雅行、Ba・種子田健、Gu・石成正人、Key・浦清英、Per・松本智也、Sax・本間将人、Tp・田中充)のアンサンブルは、まさに日本最高峰と言っていいだろう。
そして言うまでもなく、すべての中心は大橋卓弥、常田真太郎のミュージシャンシップだ。アレンジ、演奏の軸を担い、ライブ全体を構成する常田。豊かな声量とAOR、ソウル、ロックからジャズまで、幅広いサウンドを血肉化し、スキマスイッチのポップスとして昇華させる大橋のボーカル。ふたりが生み出す化学反応は、今も変化と進化を続けている。その事実を体感できることが、今回のツアーの醍醐味かもしれない。
楽曲のテイスト、歌詞の内容とリンクした映像やライティング、ライブ中盤のトークコーナー(この日は、昨年、大橋が栃木で決行したスカイダイビングの話から)など見どころ満載の2時間半。「栃木からスタートできて本当によかったです。いろいろなことに気を付けながら、楽しい時間を提供できたらなと。ツアー、行ってきます!」と笑顔で語り掛けた大橋。今年のロングツアーのなかで、スキマスイッチはどんな音楽を届けてくれるのか期待値がさらに跳ね上がる、最高の初日公演だった。
TEXT BY 森朋之
PHOTO BY 岩佐篤樹
リリース情報
2021.11.24 ON SALE
ALBUM『Hot Milk』
2021.11.24 ON SALE
ALBUM『Bitter Coffee』
スキマスイッチ OFFICIAL SITE
https://www.office-augusta.com/sukimaswitch/