9/5000──清水翔太が審査委員長を務めた、Z世代のエンターテインメントグループの結成メンバーを探すオーディション『ONE in a Billion』(以下ワンビリ)で選ばれた9人、ルナ、タイラ、リオン、モカ、カオラ、ヒロキ、カシン、ケイジ、ワタルがZILLIONとして、12月22日に配信シングル「Timeless」でプレデビューした。一年以上に渡るオーディションを共に支え合い、切磋琢磨してきた大切な“仲間”として深い絆で結ばれている9人に、改めてワンビリというスペシャルなオーディションについて、さらにプレデビュー曲「Timeless」、そしてZILLIONとしてこれからの野望をインタビュー。
INTERVIEW & TEXT BY 田中久勝
PHOTO BY 大橋祐希
■ライバルではあるはずなんですが、なぜか家族みたいな愛を感じて
──一年以上という長いスパンの、しかもコロナ禍ということもあってオンラインでのトレーニングになったり、不安な気持ちのなかでのオーディションだったと思います。メンタルに影響をきたしたり、自信を失う人もいたと思いますが、最後まで心の強さをキープできた要因はなんでしたか?
リオン:オンライントレーニングの期間が長くて、本当にしんどくてメンタル的にもやられましたが、『SHOW2』からはグループ審査だったので、そこで他のメンバーとコミュニケーションが取れたことが救いになりました。最初はまだそんなに関係を築けていないメンバーに、自分のつらい気持ちを伝えるのも躊躇いがありました。でも徐々にみんなで高め合える時間になっていって、同じ気持ちでいられたことが自分的にはすごく心強かったです。
──家族に近い感じですね。
リオン:オーディションなのでみんなライバルではあるはずなんですが、なぜか家族みたいな愛を感じて…。不思議で、でもありがたい感覚でした。
ヒロキ:コレオグラファーのSota(Kawashima)さん、ボイストレーナーの(近藤)名奈さん、すべてのスタッフさんと候補メンバーもみんな含めて、ワンビリファミリーだったなって思います。
ワタル:学生も社会人もいて、それぞれの生活がある中で1~2ヵ月ワンビリから離れる期間もあって、そんな中でモチベーションを上げるために、グループLINEでお互いにダンス動画や歌っている動画、ときにはくだらない内容のことも含めて送り合って、常にコミュニケーションを取るようにしていました。
カオラ:直接会うことができない期間も長かったので、オンラインでのコミュニケーションはもちろん、会えたときには休憩時間にみんなでたくさん話をしたり、対面での時間も大切にしていく気持ちをずっと持ちながら、オーディションに臨んでいました。
カシン:僕はオーディション当初、すごくネガティブな精神状態に陥ってしまっていて、そのせいでたくさんの方に迷惑をかけてしまって。でもワンビリは、僕にずっとチャンスを与え続けてくれました。人に勇気を与える存在になりたかったはずなのに、それができない自分が不甲斐なくて自分のことがとことん嫌いになっていました。初めてのグループパフォーマンスのときに、チームのメンバーに自分は笑顔がコンプレックスだったことを打ち明けたんですよ。そうしたら、優しく温かく話を聞いてくれて、アドバイスもたくさんくれました。それでパフォーマンスのあと、みんなが「すごく素敵な笑顔だった」って褒めてくれて、そのひと言で、何年間も感じていた笑顔へのコンプレックスを壊してくれて、自然に笑えるようになりました。そこからは、見る景色や感じることも全然変わって今いる8人のメンバーはもちろん、一緒に戦ってきたメンバーも本当に家族のように助けてくれました。
──オーディションを通じて仲間の存在、言葉の大切さを糧にいちばん成長できたのはカシンさんかもしれませんね。
カシン:そうだと思います。同じ夢を追う仲間と必死になって一緒に何かを作っていくという経験も初めてだったので、なおさら自分でも変われるきっかけだったと思います。
──カシンさんは『SHOW3』のときは15位でギリギリで合格して、最終審査では1位合格という激動のオーディションだったと思います。「一人ひとりの未来を見てるんだ」という翔太さんの言葉をまさに映している結果になったと思いますが、15位になったときに心が折れなかったのも、やっぱり仲間の存在が大きかったですか?
カシン:それもありますし、僕はすごく負けず嫌いなので…でも誰かに負けるのが悔しいのではなくて、100%のパフォーマンスができなかった自分に対しての悔しさなんです。
──自分への悔しい思いが、あの涙になってるんですね。
カシン:普段はあまり泣かないんですけど、ワンビリでは…。
リオン:ワンビリでは誰よりも泣いています。
カシン:それまで弱い部分を出してきたことがあまりなかったので、ワンビリではそれが曝け出せて、人生でいちばん涙を流した一年でした。
タイラ:私もオンライン中はやっぱりネガティブな考えに走ってしまうことが多くて、“本当にこの夢を目指していいのか”とか“でもここで辞めたら頑張ってるみんなに失礼だし、辞めた後絶対悔しいはず”とか、ずっと葛藤がありました。でもやっぱりなりたいものはアーティストなので、このチャンスを掴むしかないという強い気持ちが、最後は支えになりました。
■みんなに助けられながらここまで走り抜けることができた
ルナ:オーディションを受けるということ自体が自分にとって大きな挑戦で、でもオンラインでのレッスンが続いたり、いつ審査が始まるのかわからない状態で、始まると思ったらまた延期になって、不安になることが多かったです。悩んだり、何をしてもうまくいかない時期が続いたりすることもあって。でも、メンバーのみんなに支えられながらなんとか頑張ってきて、対面で練習ができることになった時期に、自分の夢を再確認することができて、みんなに助けられながらここまで走り抜けることができました。
モカ:オンラインレッスンが続いたり、みんなに会えない期間が延びてしまって、もちろん友達とも会えないし、旅行とかにも行けないし、リフレッシュも何もできない中でワンビリのことでも悩んで、ひとりで殻に閉じこもる時間が長かったです。でもそれはワンビリのメンバーもみんな同じで、そこでお互いに支え合ってきたからこそ、この絆もあると思うし、コロナ禍でのオーディションだったからこその絆の深みということをすごく感じています。
ヒロキ:このコロナ禍でのオーディションで経験することは、今までの時代にない新しい苦境の立たされ方というか、誰も経験したことがない苦しみ、つらさだと思いました。コロナ禍では誰もその対策のすべは知らないし、自分たちで開拓していって、なんとかやり抜くしかないという、本当に答えのない世界のなか戦ってきた一年でした。だからZILLIONのコンセプトにも通じるのですが、次世代のアイコン、先駆者になって、常に新しい概念、メッセージを音楽を通して届けていきたいという思いで戦ってきました。答えのわからない壁でさえも乗り越えなければいけないということが、ずっと心の中でありました。自分と本当の意味で向き合うということも、このコロナ禍のおかげだからこそできたと思えるし、より一人ひとりが人間として深みが出たというか、そんな気がします。
ケイジ:僕はもともと北海道で音楽活動をしていたのですが、やっぱりそこで受ける刺激と、ワンビリの候補メンバーに選ばれた23人からもらう刺激は質が違うというか、僕の想像を超える熱量を持った人たちが集まっていました。『SHOW3』のときに言ったことですが、自分の周りには持っていない武器を持っている人がたくさんいるので、その熱量をたくさんもらって自分を磨きたいというのが当時の正直な思いでした。僕とヒロキとルナはダンスが未経験で、そこからの挑戦だったので、下から這い上がる力というか、底力を見せ続けなければいけない環境でした。
ヒロキ:確かにハングリー精神という部分では、やっぱ未経験だからこそ、負けたくないっていう気持ちは人一倍この3人にはあったかもしれません。
ケイジ:普通のオーディションのイメージでいうと、圧倒的に不利な状況で、でもカメラには映っていないところでワタル君が「俺たち敵じゃないから!いこう!」って言ってくれて、その言葉にすごく突き動かされました。蹴落とすのではなく、一緒に頑張っていくんだと全員が思いながら参加している温かいオーディションでした。
──ケイジさんはメンバーに選ばれたときに翔太さんから「ポジションを見つけてね」って言われていました。
ケイジ:僕はその言葉をネガティブに捉えるというより、前向きに、まだ伸びしろがあるんだなという捉え方をしました。メンバーが支えてくれるので、どの方向に行っても安心して突き進めるなと思っています。
──翔太さんはオーディションを通じて、心に刺さる言葉をみなさんにかけてくれていました。その言葉でいちばん印象的だったものを教えてください。
リオン:私は「信頼している」という言葉です。活動していく上で信頼関係がいちばん大切だと思うので、そういう言葉をかけてくださったのがすごいうれしくて。ケイジくんも言っていましたが「グループでの立ち位置を見つけなさい」という言葉も響きました。誰かに信頼されたり、自分がグループにいることによって、安心感や安定感を感じてもらえるメンバーになりたいって、そのときから思うようになったので、その言葉をまたファイナルでも言っていただいて、今ZILLIONとして活動していくうえで、リーダーをやらせていただいている自分の力になっています。
ワタル:僕も『SHOW3』のときに言っていただいた「心配しなくていい」という言葉です。そのとき、自分ではパフォーマンスに自信があったのに順位が最下位で、でも「心配しなくていい」って言っていただけて、ファイナルに向けてより強くなって上に上がろうと思えました。
──ファイナルのときは「完璧だ」って言われていましたよね。人の心を奮い立たせる言葉のチカラって、すごいです。カオラさんはいかがですか?
カオラ:私も『SHOW3』のときに「あなたはカラフルな人で、そこに憧れる」って言ってくださって。「カラフルな」という意味は、どんな曲にでも合うコンセプトで踊れるという意味だったと思うんですけど、そのとき私は自分のパフォーマンスに不安を感じてネガティブな気持ちになっていたので、「それができるのが憧れる」って言ってくださったそのひと言で、ネガティブな感情がなくなりました。ずっとその言葉に支えられてきました。
■翔太さんの前でパフォーマンスするときは、絶対嘘をつけない
──ファイナルのときは「ムードメーカー」って言われていました。
リオン:カオラがいるだけで、本当に場の空気がよくなります。
カオラ:うれしいです。
カシン:僕は『SHOW3』のときに「カシン成長したね」って言っていただけて、もうそのひと言だけで、それまで頑張ってきたことに意味があったんだなって思えました。その前が本来であれば脱落するはずの順位だったので、目いっぱいポイントを取らないとファイナルには進めそうにはなくて。想像以上のものを出さなければという思いでステージに立って、そのとき出せるすべてのものを出したので、「成長したね」という言葉に本当に救われました。
タイラ:私も『SHOW3』で「タイラはすごくタイトなイメージがある」っていう言葉をいただいて。それは自分ができる範囲のことは一生懸命やれるけど、一方で表現の幅が狭いという意味だと思っていて。確かに自分でも、とりあえず元気にパワフルにということを一生懸命やって、でもそれ以上のことができていなかったのはわかっていました。そこをズバッと言われて、“あぁ確かに”って思って、ファイナルまでにいろいろ勉強しました。それでファイナルのパフォーマンスのあと「いろいろ考えてきてくれたのが分かったよ」って言っていただけたので、そこが私の転機だったと思います。
ヒロキ:翔太さんの前でパフォーマンスするときは、絶対嘘をつけないんです。自分の中でどこか不安要素があったりすると、全部見抜かれてしまいます。
ルナ:私は『SHOW1』のときに歌をすごく褒められて、でも「歌が100でもダンスが1だったらOKにはならないから」って言われて。その言葉をいただいてから意識が変わって、ダンスとより向き合うようになりました。でも『SHOW3』では、今度は「歌がダメだ」って言われてしまって。ダンスのほうに意識が行き過ぎていました。「これからも、強く強く努力し続けて」というコメントをいただいたのですが、歌っても踊ってもうまくいかなくて、負のスパイラルに陥ってしまった時期もありました。それを乗り越えられたのはファイナルまでみんなの支えがあったのと、自分の夢を叶えるためには、歌もダンスもそれ以外も全部努力し続ける必要があるということが、再確認ができたからだと思います。
モカ:私は初めて翔太さんに対面したときに言っていただけた「僕たちが見てるのはスキルより自分らしさ、個性だよ」という言葉でした。私はもともと人に合わせてしまう性格で。『SHOW2』の初めてのグループ審査では、みんなと何かを作るとなって、自分らしさを見失いそうになったことがあって。そういうこともあって『SHOW2』は悔しい結果になってしまいました。『SHOW3』では翔太さんの言葉を思い出して、自分らしさ全開でいこうと思って、やりたいようにパフォーマンスをしたら私の笑顔は「充分すぎるくらい素敵だから」って言っていただけて。同時に「スキルを上げないと」って言われて、ファイナルではそのふたつの言葉を胸に頑張って、納得がいくパフォーマンスができたと思います。
ヒロキ:僕もセミファイナル審査のあとに「君はもっと、心から“アイドル”にならないといけない」という言葉をいただいて、それがものすごく響きました。それまで良い評価をしていただいていたのですが、僕自身は自分のパフォーマンスや表現に全然満足をしていなくて、“本当に僕はこれでいいのだろうか?”という葛藤が常に付きまとっていました。でも翔太さんにはその葛藤が、パフォーマンスを通して見えてしまっているんだと思いました。これでいいのかな?という思いは、デビューしたあとも付きまとうと思いますが、評価されているところは自信をもって、もっと磨いて、堂々と表現者として心から“アイドル”にならなければという気づきを与えてくださったひと言でした。
──ファイナルのときは「スーパースターになってください」と言われていました。
ヒロキ:そうなんですよ。その言葉に自分の時系列的にも感じるものもあったし、また評価していただけたので、次はまた違うステージに立てているんだという気づきの言葉でもありました。
ケイジ:僕はいちばん最初に「君はずば抜けているよ」って言っていただけたことが、大きな力になりました。今までひとりで音楽をやって来た自分の時間って無駄じゃなかったんだなって報われて、そのおかげで勢いのあるスタートダッシュを切ることができました。
──ワンビリファミリーとして共に支え合ってきた仲間が、オーディションの宿命とはいえ、離れていって、改めてこの9人でデビューすることになったときの率直な思いを教えてください。
ケイジ:オーディションに限らず、いろいろな夢を追いかける人がみんな味わう経験だと思っていて。僕たちもかけがえのない仲間が落ちてしまったという現実よりも、その人たちの分も頑張らなければいけないという決意と覚悟が大きいです。
リオン:私たちも負けないように、ワンビリの中でもライバルだったけど、ワンビリが終わってからも良きライバルとして、応援し合えるように自分たちも頑張らなければいけないと思いました。
──プレデビュー曲「Timeless」は最終審査の課題曲でした。リアレンジして新たにレコーディングして、改めてこの9人で歌う「Timeless」は、どう響きましたか?
リオン:ファイナルのとき「Timeless」は一年の集大成を見せるという気持ちが大きくて、でも新しくなった「Timeless」はここから始まるんだという気持ちで歌っています。アレンジも振付けもガラッと変わって、一年間ずっと指導してくださった恩人で、私たちのことを理解してくださっているSotaさんだからこその振り付けだと思っています。
──MVを観ていると、仲間との絆と未来への希望を歌った歌詞を、一語一語きちんと伝えるように作った振り付けということが伝わってきて、グッときます。
ヒロキ:うれしいです!“全て愛しい”という歌詞があるのですが、僕らもその“愛しさ”という部分をすごく表現したかったので、そう言っていただけるとうれしいです。
リオン:Sotaさんも名奈さんもすごく愛情を注いでくださって。厳しいお言葉もいただきましたが、すべては愛情だと思うので、この“愛しい”という歌詞のように、私たちもその愛情を受け継いで、「Timeless」でそれを披露できるということが、いちばん大きかったです。
■全員が主役でそれぞれの個性を大切にする
──ZILLIONはこれから、様々な才能がひしめく音楽シーンに打って出るわけですが、そこを勝ち抜くためには必要なもの、最大の武器は何だと思いますか?
リオン:私たちは全員が主役でそれぞれの個性を大切にするというのをコンセプトにしてるので、歌やダンスはもちろん、作詞・作曲ができる人もいるし、そういう自分の得意なことに特化して、例えば3人組ユニットやソロでやってみるとか、グループだからひとつの決まったことを目指すのではなくもっとフレキシブルに、Z世代として新しい道を作っていきたいと思っています。
カシン:パフォーマンスの完成度を高めるのは絶対ですが、やっぱり男女混成というのがキーポイントになると思っていて。得意分野の違うメンバーで構成を変化させていきながら、でもそこにはオーディションで築いた深い絆が存在するので、それを武器に、信頼しながらクリエイティブに楽しんでいる姿を見てほしいです。
ヒロキ:いろいろと変容していく表現者を目指したいです。
プロフィール
ZILLION
ジリオン/ソニーミュージック主催オーディション”ONE in a Billion”発、 応募総数5,000人以上の中から、約1年にわたる審査・トレーニングを経て勝ち抜いて結成された、 平均年齢19歳・男女混成の9人組次世代型ダンスボーカル集団。2021年12月22日、Digital Single「Timeless」でプレデビュー。
リリース情報
2021.12.22 ON SALE
DIGITAL SINGLE「Timeless」