■「みんなにはONE N’ ONLYがいるし僕らにはSWAGがいるから、これからもお互いを照らし合いたい」(ONE N’ ONLY・HAYATO)
YouTubeに公開された7本のMVは総再生回数1,450万回を突破。TikTokフォロワー数は日本人音楽アーティスト第1位の280万人超えと、全世界から注目を集める6人組ダンス&ボーカルユニット、ONE N’ ONLYが、525日ぶりとなる有観客ライブツアーの最終公演を7月10日に中野サンプラザで開催した。
当初は全国5都市のZeppを回るツアーとして企画されたものの(大阪公演は新型コロナ感染拡大の影響を受けて中止)、ラストの東京公演が即日完売したことに伴い“Special Edition”として追加され、再びソールドアウトした本公演は、奇しくも彼ら初のホールワンマンに。“Special”の名にふさわしく、華やかなレーザー光線に色鮮やかなLEDモニター等、舞台セットや演出も大幅にグレードアップし、終演後には秋ツアーの開催も発表して、さらなる進撃をSWAG(=ONE N’ ONLYファンの愛称)たちに誓った。
開演時刻になるとステージの暗がりにスポットライトが射し込み、メロウなダンストラックに乗せて登場した6人は、なんとひとりずつソロダンスを披露。ハードな黒の装いでペアから3人、さらに6人と数を増すごとに切れ味も増すフォーメーションダンスで惹きつけるや、舞台は深紅に染まり、重低音が床を揺らす「Shut Up! BREAKER」でツアーファイナルの幕は切って落とされた。
社会に対する怒りと煩悶を鋭いラップ&ボーカルで叩きつける彼らに、SWAGたちもONE N’ ONLYのイメージカラーである白のペンライトを振り上げて呼応。「今日は暴れていこうぜ!」「お前らぶちかまそうぜ!」等、6人それぞれに意気込みを叫びあげた最後に「ここを世界でいちばん熱い場所にしようぜ!」とKENSHINが煽ると、挑発的な「JUST LIKE ME」に雪崩れ込んで、青白いレーザーが激しく場内を飛び交う。
REIが「足りねーサンプラ!」と吠えた「Dark Knight」では、背後のLEDモニターに炎が燃え上がり、HAYATO&KENSHINのラップが率いる静と動のメリハリあるパフォーマンスと、客席に迫りくるバットダンスで圧倒。ハードに、セクシーに、そしてアグレッシブに。アッパーに攻めまくる灼熱のオープニングには、SWAGたちも「僕たちの熱に圧倒されてませんか?」というNAOYAの言葉に挙手して賛同を示すほかない。
ONE N’ ONLYの魅力といえば、歌・ラップ・ダンスのどれもがハイクオリティで手ぬかりなく、かつ、絶妙のバランスで共存していること。気怠い熱を誘うサマーチューン「L.O.C.A」ではメンバーが互いを操り重なってゆく間奏のダンス、「Breathe」ではド派手なレーザーとシンクロするアクロバティックなパフォーマンスで目を楽しませるが、それも曲の世界観を増幅させる艶めかしいボーカルや狂おしいラップがあってのことだ。
「Only One For Me」も、TETTAのファルセット&EIKUのウィスパーが美しいバラードでありながら、6人の力強い動きは一瞬も止まることなく、“SWAG”の4文字や唯一の存在となることへの決意を込めて畳みかけられるクライマックスのラップは圧巻。加えて、この日はLEDに終始リリックが映し出されていたため、彼らにとってSWAGの一人ひとりがOnly Oneな存在であるというメッセージも、よりダイレクトに伝わってきた。ONE N’ ONLYとSWAG、互いが互いの“Only One”なのである。
「以前、他のアーティストさんのライブを観に中野サンプラザに来たとき、“絶対ここでライブをしたい”という気持ちがあったから、今日は本当にうれしい」とNAOYAが初ホールの想いを語ってからは、HAYATOいわく「ずっとやりたかった」というメドレーブロックへ。今ツアーでは“POP”と“DARK”という2種類のメドレーメニューが用意されており、各地で交互にパフォーマンスされてきたが、笑顔のワンエンをキュートに見せた“POP”に対して、この日、贈られたのは “DARK”だ。
「Don’t worry」で切ない空気を醸したのを手始めに、ダウナーな「Black Hole」からシーンに殴り込みをかけた鮮烈なデビュー曲「I’M SWAG」、REIの低音を皮切りにラップ&ボーカルが不穏に畳みかけられる未発表曲「GuRu GuRu」と、闇の似合うアグレッシブなナンバーを繰り出してゆく。ここでペア、3人、6人と目まぐるしくフォーメーションを変えるダンスブリッジを挟み、「LA DI DA」から再び「Black Hole」へ急降下すると、メンバー全員シャツを大胆にまくり上げてSWAGたちを悩殺。最後は全員がステージに頽れるという退廃的なエンディングも息を呑むほどで、LEDやレーザーを駆使したスペクタクルな演出と共にONE N’ ONLYのブラックホールに観る者すべてを呑み込んでいった。
また、「中野サンプラザに謙信ソルト電子工学院が来ちゃったぜ!」というKENSHINの煽りからは、メンバー全員が出演したテレビドラマ『FAKE MOTION』で、NAOYA以外の5人が所属していた謙信ソルト電子工学院のテーマ曲「SMASH」も披露。サイバーなLED映像を背に、蛍光色のレーザーと攻撃的なラップが飛び交うナンバーは実にスリリングで、劇中で唯一別チームだったNAOYAがラスボス然と現れてセンターを陣取るのも、ONE N’ ONLYのステージならではのスペシャルな展開だ。
その勢いのまま「中野サンプラザ、まだまだ行くぞ!」と雪崩れ込んだ「Category」は、YouTube上のMV再生回数300万超えの人気曲だけあり、冒頭のサイレンから凄まじい熱気を放出。眩いLEDにレーザー、そして最後はHAYATOのすさまじい叫びが炸裂し、その堂々たる様には世界から支持される者の自信が満ち溢れていた。
しかし、人を寄せつけないような危険なオーラから一転、本編ラストの「HOLIDAY」では「まだまだ楽しんでいきましょう!」と楽しそうにステージ上を駆け回り、SWAGたちと一緒にジャンプしたりと、先ほどまでとは別人のような親しみやすさが全開に。普段コール&レスポンスをするパートでは、声を出せない客席をウェーブさせたり、チーム分けして競わせたり、その様子をNAOYAが手持ちカメラでモニターに映し出したりと、徹底してSWAGたちを楽しませ、熱い一体感を生み出してゆく。
こんな思わず情緒が迷子になってしまいそうなギャップもまたONE N’ ONLYの醍醐味で、MCでは“会場でひとりだけが手を挙げる質問”を競い、後日REIとHAYATOが罰ゲームを受けることになるひと幕も。ダークとポップ、そのどちらも作り物ではなく、嘘のない彼ら自身なのだ。
止まない手拍手に応えてのアンコールでは、なんと階段に腰かけてギターを弾き語るEIKUにTETTA、REIが加わって、昨年4月に発売された1stアルバム収録のバラード「Destiny」を待望の初披露。アコースティックな音色と待ち焦がれたボーカル3人の美しいハーモニーに、SWAGたちも息を詰めてステージを見つめ、TETTAは「緊張したね!」と漏らしつつ、「ファイナルにふさわしいアンコールになった」と満足げ。他の3人も「メチャメチャ良かった」「袖で聴いて感動した」と、仲間の奮闘を称えた。
さらに、今ツアーでお披露目された新曲「STARLIGHT」では、ミラーボールの美しい白光が客席に投げかけられ、LED上の星空をバックに“明けない夜なんてない”と希望を歌い上げる。最後にHAYATOが指し示す方向を全員で見上げるという、グループの決意を感じさせる温かなバラードは、彼いわく「会えない期間を支えてくれたSWAGのみんなに、何か恩返しできないかなと作った曲」で、作詞には彼ら自身も参加したとのこと。「こんな世の中で不安なこともあるけどひとりじゃないんで。みんなにはONE N’ ONLYがいるし僕らにはSWAGがいるから、これからもお互いを照らし合いたい」と続いた言葉どおり、彼らを照らすペンライトの光に「星がたくさん」「これぞスターライト」とメンバーも感慨深げに呟いた。
続いて、TETTAが携帯電話のボタンを押す仕草から始まった6月配信の最新曲「Video Chat」も、EIKUの作った振り付けがすでにTikTokで公開されているだけに、ペンライトを置いて踊るSWAGたちの振りも完璧。“こんな時代だからこそ画面越しでもハッピーに踊って歌おう!”という願いのこもったナンバーは実に愛らしく、YouTubeに公開したMVが早くも100万回再生を突破したのも納得だ。
そして笑顔のまま「最後の曲です! 僕たちから愛を込めて」とライブを締めくくったのは、幸せ度120%のロマンチックなラブソング「My Love」。3ボーカルの歌声が甘く響くなか、LEDにはファンタジックなイメージが浮かび、場内が明るくなると全員で合唱しながら客席のSWAGたちにくまなく手を振る感動的なフィナーレで、“君を感じているよ”という歌詞が真実であることを証明してみせた。
曲の最後に6人で大きなハートマークを作ると、無事にツアーを完走したということで、6人それぞれが素直な想いを吐露。2019年12月以来となった有観客ライブに、REIは「みんなの顔を見ると、僕たちは勇気をもらえるし、音楽がもっともっと素敵なものになる。これからも“大切なことはいつも当たり前の中にある”という言葉を大事にしたい」と口にし、TETTAは「オンラインでできる表現もあるけど、やっぱり生でやることにライブとしての意味がある。これからもっと大きくなって、大きなステージに立てるように頑張っていく」と約束してくれた。
2日前に誕生日を迎えたKENSHINは、22歳初ライブが中野サンプラザになったことを喜び、「昔、この会場の2階からメチャメチャ煽ってるアーティストを見たとき“今度は俺がココに立って煽るんだ”って決意して、それが今日かなえられて良かったです。明けない夜はないから、辛いことがあったら僕らのことを思い出して。みんなにとって必要な存在に僕はなりたい」と客席に語りかける。続いてEIKUは「ドームツアー、ワールドツアーを目指してこれからも全力で突っ走っていきます」と高らかに宣言し、NAOYAは「ワンエンが大好きなんですよ、僕。活動をどんどん重ねていくうちに好きが増して、去年オンラインライブが始まったとき、“僕たちはSWAGなしじゃ成り立たない”って気づいたんです。いつかは声をあげて、もっと大きなステージでやれるように、ついてきてくれると嬉しいです」と晴れやかに伝えた。
最後にHAYATOは、コロナ禍でネガティブになってしまったときもあったと話し、「夢に向かって突っ走っても上手くいかないとき、みんなが助けてくれて。みんなのおかげで乗り越えてツアーができて、楽しい時間が過ごせてる今の状況に感謝してるし、SWAGのみんなに感謝してます。SWAGのみんなが好きなので、みんなにも好きでいてもらえるように頑張りたい」と涙ながらに告白。しかし、そこから「秋にツアーやります!」と10月23日に今回中止になってしまった大阪Zepp Osaka Baysideで、11月6日に再び中野サンプラザで『ONE N’ LIVE 〜Supreme One 2021〜』を行うことを発表すると涙は吹き飛び、声なき歓喜が客席に満ちた。
「ひとつ決めてるのが、みんなの隣にいたいってこと。距離感近くいたいので、これからもいろんな景色を観に行きましょう」
そんなNAOYAの言葉どおり、この日も終演直後の楽屋から、さらに帰宅してからもライブ配信をし続けた彼ら。「Shut Up! BREAKER」で葛藤の中に始まり、「My Love」で愛いっぱいに終わったこの日のステージは、どんな表現を見せようともすべての根源にSWAGへの愛を持つ、彼ら自身のポリシーを表しているかのようだった。初ホール公演に向けて全員が髪色を変え、気合を見せた6人の次の大舞台は4ヵ月後。ホールならではの大がかりな演出にもしっくりと見合うスケールを備えつつある彼らが、シーンの“ONE N’ ONLY(=唯一無二)”になる日も近い。
TEXT BY 清水素子
【セットリスト】
M1. Shut Up! BREAKER
M2. JUST LIKE ME
M3. Dark Knight
M4. L.O.C.A
M5. Breathe
M6. Only One For Me
M7. Zepp Tour 2021Dark Medley
M8. SMASH
M9. Category
M10. HOLIDAY
En1. Destiny
En3. Video Chat
En4. My Love
ライブ情報
『ONE N’ LIVE 〜Supreme One 2021〜』
10/23(土)大阪・Zepp Osaka Bayside
11/06(土)東京・中野サンプラザ
ONE N’ ONLY OFFICIAL SITE
https://one-n-only.jp/