TEXT BY 森朋之
■覚悟と矜持が伝わってくる、LiSAのコメント
LiSA×梶浦由記×『鬼滅の刃』のコラボレーションが、シングル「明け星 / 白銀」で再び実現。“期待に応え、予想を裏切る”と称するにふさわしい、素晴らしい化学反応が生まれた。
まずはLiSAと『鬼滅の刃』の関係を改めて紹介しておきたい。
テレビアニメ『鬼滅の刃』のオープニングテーマ「紅蓮華」は、LiSAにとってもきわめて大きな意味を持った楽曲だ。10年代における最大のエンターテインメントと言っていい『鬼滅の刃』の世界観とダイレクトに繋がると同時に、彼女自身のキャリア──既存のジャンルの枠を超え、00年代のロック・ヒロインに駆け上がった軌跡──とも重なるこの曲は、社会現象と呼ぶべき大ヒットを記録。それ以前から音楽ファンの間では高い評価と支持を得ていたLiSAだが、「紅蓮華」によってさらに多くの人々がその存在を知るに至った。
「from the edge」(FictionJunction feat. LiSA名義によるテレビアニメ『鬼滅の刃』エンディングテーマ)で初めて実現したLiSA×梶浦由記のタッグは、映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の主題歌「炎」に引き継がれた。映画の劇伴も手がけた梶浦由記が作曲・編曲を担当、梶浦由記とLiSAが歌詞を共作したこの曲は、過酷な現実と向き合いながら、それでも自らの生を真っ当しようとする登場人物たちの姿を反映したバラードナンバー。日本国内の興行収入は400億、世界では5億ドルに達したこの映画とともに「炎」は世界中のリスナーを魅了。米ビルボード・グローバル・チャートでトップ10入りを果たした。
今や世代を超えて幅広く受け入れられるコンテンツとなった『鬼滅の刃』。その新作であるテレビアニメ『鬼滅の刃』無限列車編の楽曲は、再びLiSAと梶浦由記が担う。オープニングテーマ「明け星」、エンディングテーマ「白銀」を担当することが発表された際、LiSAは「『紅蓮華』『from the edge』から『炎』を繋ぐ新たな言葉と音を、大切なものを護るための刃を、梶浦由記さんに託していただきました。煉獄さんの想いと共に、テレビ放送、楽曲をお楽しみいただけますように。」とコメント。この言葉からは作品と寄り添うLiSAの、覚悟と矜持が伝わってきた。
■普遍性をたたえた歌へと昇華させるLiSAの表現力
「明け星」は、ダークにしてヘビィなサウンドを基調した、激しさと切なさを色濃く滲ませるロックテイストの楽曲だ。エキゾチックな匂いを振りまく平歌、そして、“昏い空には明け星が未来を/どうしても指して動かないから”というサビがもたらす圧倒的なカタルシス。ヘビィロック経由のバンドサウンドと荘厳なストリングスが融合したアレンジ。そして、ドラマティックな旋律を描く歌は、アニメの放送直後からきわめて大きな反響を呼んでいる。11/7には、「明け星」のミュージックビデオも公開。トンネルのなかで撮影された映像は、楽曲のコンセプトをさらに増幅させている。和装を取り入れた衣装、官能と情念、そして激しい闘争心を美しく表現するパフォーマンスも素晴らしい。
「白銀」は、勇壮なコーラスと鋭利なギターカッティングからはじまる。しなやかにドライブするビート、凛とした響きをたたえた弦楽器、爽快感と切実な思いを同時に感じさせるメロディライン、切れ味鋭いギターソロがぶつかり合うアッパーチューンだ。“僕等はきっと何度でも/優しさも悲しみも/白銀の刃に変える”に象徴される、作品世界に寄り添った歌詞にも心を奪われる。
「明け星」「白銀」の軸を担っているのはやはり、LiSAのボーカルだ。作品の音楽も担当する梶浦由記によるメロディ・歌詞に豊かな命を吹き込むことで、普遍性をたたえた歌へと昇華させる彼女の表現力は、ここにきてさらなる高みに達している。
クライマックスに差し掛かったテレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編、そして、シングル「明け星 / 白銀」のリリースによって、LiSA×梶浦由記×「鬼滅の刃」のコラボへの注目度はさらに強くなるはず。そのなかで生じる豊かな感動をぜひ体感してほしい。
リリース情報
2021.11.17 ON SALE
SINGLE「明け星 / 白銀」
ライブ情報
「LiVE is Smile Always~LADYBUG~」追加公演
2021/12/7(火)~8(水) 日本武道館
LiSA OFFICIAL SITE
https://www.lxixsxa.com/