■DAY1ではダンス対決、DAY2では腕相撲対決、そして最終日はラップバトルを実施!
22/7がこの夏、魔法学校に入学したメンバーたちが奮闘する青春ドラマを通して披露していくミュージカル形式のライブを開催。7月公演として7月22日から24日まで3日間にわたってヒューリックホール東京にて『Magic School Days ~月と地球のフィルハーモニー~』が行われた。
【ライブレポート】
リアルとファンタジーの間で魅せた一夜の夢。アイドルは“魔法”だ!
ファンタジックな音楽が流れるなか、客席後方や舞台袖から次々とメンバーが現れる。ここは、閉館した映画館。どうやら彼女たちは魔法学校からの案内状に記されていた「22/7に集まれ」という指示に従って、魔法学校の入口を探しているようだ。突如現れた大きな円。
そのなかに立った10人は声を揃えて叫ぶ。「22/7 Magic School Days!」。1曲目「謎の力」で幕が開けると、メンバーは笑顔いっぱいにこぶしをつきあげながら会場丸ごと物語の世界へといざなうのだった。優秀な魔法使いだった母に憧れている河瀬詩の「立派な魔法使いになってみせるから!」という誓いが響く。
入学式。一人ひとりの自己紹介とともに、どこからともなく聞こえてくる威厳ある校長の声によって、MOON組とEARTH組の組分けが行われる。だが、エリートの天城サリーを筆頭に高い魔法力を持つメンバーが揃ったEARTH組が、努力家の河瀬たちMOON組を嘲笑し、両組の間に深い溝が生まれてしまう。
実は名前に「月」が入るメンバーがMOON組に選ばれていることも見抜いていたロジカル思考の持ち主である椎名桜月は、いくら魔法でも空を飛べるわけがないと一蹴。「ほっほっほ。今年の新入生は成長が楽しみじゃな。切磋琢磨して、立派な魔法使いを目指すのじゃぞ」。そんな校長の言葉にそれぞれの思いを抱きながら、学園生活は騒々しく始まった。
組カラーのローブを翻し、魔法の杖を振りながら新しい振り付けで歌われる「君とどれくらい会わずにいられるか?」、そして涼花萌が「伝説の5文字を教えてしんぜよう!」と切り出した「タチツテトパワー」。楽曲を楽しみながらも、ときににらみ合うメンバーたちのライバル心が見え隠れする。
学園生活も1ヵ月が経ち、不安がりで臆病な西條和も「意外と楽しい」と日々を謳歌していた。だがその1ヵ月後、事件が起きる。「なんとかなるって~」とポジティブに構える望月りのに対し、月城咲舞は「俺たちの青春がなくなっちゃうかもなんだよ!?」とあせりを隠せない。なんと、試験の結果によって2組のうちどちらかが退学させられるというのだ。敵の戦力を折らんとばかりに行われた暴露大会では、せっかく演じている「役」の仮面を剥がされていくメンバーたちの日常風景が笑いを誘った。
いつしか教室は夕日色に染まり、「とんぼの気持ち」から「僕は存在していなかった」へと。親の期待に押しつぶされそうな月城、偉大な母親にどうしようもない劣等感を抱く河瀬。一人ひとりの秘めた思いがこぼれ落ちる。
力を合わせて頑張ろうというMOON組の表情は明るく、それを苦々しく見つめる天城はEARTH組の仲間すらも突っぱねる。「そんなの私は信じない。たとえ裏切られたとしても、前に進むの」。「何もしてあげられない」が、彼女が閉じこもる硬い殻をむなしく叩くように歌われた。ひとり佇み「絶対に負けない」と孤独な瞳に炎を燃やす天城。
ついに迎えた、期末試験当日。入学式のときはEARTH組に気圧されていたMOON組もすっかり自信を持ち、あの椎名が「その気になれば空だって飛べるかもしれない」と言うほどだった。思い思いに魔法を使うように繰り広げられる「空を飛んでみよう」。その戦いは、たしかに互角だった。
そして、DAY1のダンス対決、DAY2の腕相撲対決を経て、この日行われた日替わり試験は、昨年夏のツアーで好評を博したラップバトル。各組の代表を選出する流れを「ちょっとまったーー!」と遮った「ラップの神様」こと相川奈央が、昨年参加していない河瀬を指名する。もちろん対抗馬は、入学式から河瀬の犬猿の仲となった天城だ。
河瀬が、北海道の郷土愛とともに「回り道してもここにカムバック」と堂々復活宣言を果たし、頭の上に手のひらをかざしたウサギ耳で「ぴょん」と煽れば、天城もまた才気溢れるリリックで、夢に向かって一途に進んできた7年間の道のりを愛おしむとともに「連れて行く頂点!」と未来を約束し力強いキスを投げる。メンバーの生きるドラマが用意されたシナリオを突き破って立ち昇る感動に、勝敗を決める客席のペンライトの色も思わず半々となってしまう。とはいえ、河瀬贔屓なラップの神様の私情か、MOON組の勝利となった。
そんな魂のぶつかり合いがさらにメンバーたちの闘志に火をつける。地下へ続く階段を降りると、そこは……。まさにバトル曲にふさわしい「地下鉄抵抗主義」のフォーメーションがクラス対抗のかたちにアップデートされ、我先にとゴールを目指してダンジョンを進んでいく死闘が浮かび上がる。
ひと足早かったのは、EARTH組だ。入学当初は「楽しい学園生活が送れればいい」とお気楽だった望月が「今じゃないとダメなの」「だって今は魔法に恋してるから!」と声をあげて始まった「Just here and now」。EARTH組でもある相川、そして麻丘真央のねだるセリフの威力がすさまじい。
個々の力では到底及ばず劣勢に陥ったMOON組だが、それでも河瀬は「みんなのために使うものなんだから」と魔法を、そして仲間を信じて、一人ひとり立ち上がらせていく。
その瞳はいっそうの輝きをたたえ「未来は私たちが決める!」と力強く叫んだ。「神様だって決められない」で、「誰かを当てにするのではなく 自分の力を信じることだ」と歌い崩れ落ちた天城のもとへMOON組の仲間たちが駆け寄る。「ずっとそばにいたし、ずっとそばにいる」と頼もしく告げたのは、西條だ。「続き、やろ」という河瀬の誘いに「あんたたちのこと徹底的につぶしてやる!」と奮い立つ天城。
最終審査の火蓋が切って落とされた。もはや勝敗など二の次に、互いの力をぶつけ合う「覚醒」。西條と望月が背中を合わせたときの陰陽が噛み合うかの爆発力に始まり、一人ひとりの個性を伴ったセリフがバトンのようにひとつの思いをつないでいく。最後の「それでもやらなきゃ負けだ」という河瀬のひと声がすべてを決めた。
だが、いつしか組を超える絆で結ばれていた10人に、校長は告げる「勝者は全員だ!」。10人のみならず見守るすべての人たちを巻き込んで幸せにした彼女たちの力は、校長の望む「魔法」そのものだったのだ。
「月と地球は離れられないんだよ、知ってた?」。河瀬から差し出された手を取る天城。両組が手を取り合って踊る「君はMoon」が大団円の光景を作り出す。さらに校長が「最後に、諸君を見守ってくれている人たちに特別な魔法をかけよう」と言うと、一人ひとりにペンライトが渡される。
魔法の呪文は「みんなで一緒に……Magic School Days!」。「歌っていれば誰もが笑顔で争うこともない」。すべては、このフレーズへ辿り着くための戦いであったのだろうか? 最新の12thシングルに収録された「世界中で歌おうぜ」を披露し、一列にスクラムを組んで揺れながらピースフルな光景がまぶしい。
アンコールでは、まるで魔法で変身したように最新衣装で登場し、TVアニメ『ATRI -My Dear Moments-』のエンディングテーマソングに採用されている最新曲「YESとNOの間に」を披露し、輝き溢れる今の22/7のパワーを届ける。涼花は「この曲をパフォーマンスするたびに、力が湧いてきます。みんなも同じだとうれしいです」と伝えた。また、現在配信中のこの楽曲を10月30日に13thシングルとしてリリースすることも発表した。
本作の脚本家から「アイドルが魔法なんだよ」と言われていたというメンバーたち。それぞれの個性を色濃く煮つめたような役を演じながら、その言葉の意味するものを求めて全身全霊でぶつかったのだ。役の心情とともに表現された楽曲はあらたな表情を持ち、詩情溢れるパフォーマンスをグループのカラーとしてきたナナニジの真髄ともいえる公演だった。
だが、22/7の夏は終わらない。立派な魔法使いを目指す彼女たちの物語は、8月の「ACT2」へ、そして、涼花萌の卒業ライブへと続く。それまで、しばしの幕間だ。
TEXT BY キツカワトモ
写真提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
■『Magic School Days ~月と地球のフィルハーモニー~』
<セットリスト>
01. 謎の力
02. 君とどれくらい会わずにいられるか?
03. タチツテトパワー
04. とんぼの気持ち
05. 僕は存在していなかった
06. 何もしてあげられない
07. 空を飛んでみよう
08. 地下鉄抵抗主義
09. Just here and now
10. 神様だって決められない
11. 覚醒
12. 君は Moon
13. 世界中で歌おうぜ
[ENCORE]
14. YESとNO の間に
22/7 OFFICIAL SITE
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