TEXT BY まいしろ
アイドルグループを見ていると、どうも人数が増えてきているような気がする。
ひとりでデビューするアイドルはほとんどいないし、差はあるものの大人数のグループも昔と比べればかなり多くなっている(ような気がする)。
実際のところはどうなのだろうか。80年代から2021年まで、いろんな男女アイドルグループの人数を調べてみた。
【調査対象について】
・1970~2021年にデビューし、グループもしくはソロで『NHK紅白歌合戦』に出場したことがある者が対象。
・1990~2021年デビュー者:Wikipedia上で“アイドル”と分類されている者を対象。
・1970~1989年デビュー者:(Wikipediaの記載が不十分なため)HMVアイドル特集にて取り上げられている者を対象。
・人数はグループのデビュー時(メジャー・インディーズのどちらでもデビューしている場合はメジャーデビュー時)の人数を参考。
■アイドルグループ、本当に人数が増えていた
今回調べたのは1970〜2021年にデビューした男女のアイドル。
彼らはデビューしたとき、果たして何人グループだったのだろうか? まずは年代ごとの平均人数を見てほしい。アイドルグループ、めちゃくちゃ人数が増えている。
「人数の多い一部グループが(全体の数値を)引き上げているのでは?」とも思えるが、一部のグループだけでなく、全体的にグループの人数が増えていた。
1970年代にはひとり、またはふたりでのデビューだったのが、2010年代以降は最低でも3人以上でデビューする傾向になっている。なお、2010年代以降にデビューした人気アイドルグループを見てみると、1~2人組でデビューしたグループはなんとゼロである。
さらに、それにあわせてグループの平均人数もぐんぐん伸びている。このままいくと2030年代には、平均35人でデビューするのがアイドルのスタンダードになりかねない(※あくまで計算上の数字)。
■“ひとりでデビュー”の80年代、“大人数でデビュー”の00年代
アイドル全体の数字を見たところで、次に「女性アイドルグループ」にしぼった数字を見てみよう。
1980年代にややその人数を減らしたものの、こちらもどんどん増えている。
1980年代はアイドルが特に流行した時期でもあり、松田聖子や中森明菜らがデビュー。“ひとりアイドル”がトレンドだった時期でもあり、それでやや平均の数が減っているものと思われる。
ただし、おニャン子クラブが一世を風靡したのも本時代で、ひとりアイドルが多い時代だったからこそ、目新しい大人数グループが歓迎されたのではないか? と推測できる。
そして、1990年代にはモーニング娘。らがデビューし、このあたりから5~6人でデビューするのがアイドルの常識になり始め、2000年代には大所帯グループの筆頭格・AKB48がデビュー。20人以上のアイドルグループが珍しくなくなり、女性アイドル業界(の平均人数)を引き上げた。
■女性アイドルは人数のばらつきがあるが、男性グループは一定
いっぽう、男性グループはどうだろうか?
こちらは2020年代にデビューした人気グループの数がまだ少なかったため、1970~2010年代までの数字を出している。
女性グループの急成長に比べると、男性グループは「やや増加傾向」ぐらいに落ち着いているのが実情のようだ。
調査した具体的なグループには、1980年代の光GENJIや2010年デビューのKing & Princeなどがいるが、3~6人組のグループだ。“女性グループが人数にばらつきがあるのに対し、男性グループはほとんど同じ人数でデビューしている”のが日本のアイドルの傾向のようだ。
■これからもアイドルグループの人数は増えるのか?
アイドルグループの人数が年々増えている理由は定かではないが、“メディアの発達”はひとつの理由として挙げられるだろう。
ひとりで活動するアイドルに比べると、大人数のアイドルグループはどうしてもそれぞれのメンバーの個性が伝わりにくくなってしまう。しかし、時代とともに雑誌やSNSなどのメディアが発達し、各メンバーの魅力をファンに伝える手段が増えたことが大人数グループのデビューを後押ししていったのではないかと考えられる。
また、アイドルに欠かせない“歌”の録音技術が発達したことも大きいだろう。昔に比べ、大人数での重ね録りや録音後の調整などが容易になった。こういった技術の発達も、現在の大人数グループの増加に繋がっていると言えそうだ。
人気も人数も急上昇のアイドルグループ。想像以上の伸びとも言えるが、今後とも急増していくのか、ぜひ動向を見守っていきたい。