■MCでは、テレビ収録を行ったことなどを報告。自分の面白さが伝わっていないとシャヲル(KEYファン)にアピールをお願いする一幕も!
SHINeeのKEYが、2023年3月以来となる日本でのソロライブ『2024 KEYLAND ON : AND ON in Japan』を、7月6日・7日の2日間、東京・国立代々木競技場第一体育館にて行った。本稿ではそのオフィシャルレポートを掲載する。
1月に韓国・ソウルで開催された『2024 KEYLAND ON : AND ON』の日本公演となるが、8月7日リリースの約6年ぶりとなる日本オリジナル作品「Tongue Tied」「Fresh」を初お披露目し、集まった約1万人(2日間で2万856人)の観客を楽しませた。
メインステージ背面のビジョンに投影されていたシャッターが上がると、KEYの公式キャラクターであるBOK-SILLee(ボクシリ)や、KEYのフィギュアが並んだ自動販売機が現れる。「20240706」という日付も点灯し、まさに“KEYLAND開店!”といった様相だ。すると、自動販売機の一枠からKEYが登場。
「東京! Welcome to the KEYLAND. Are you ready?」と声を上げ、ライブは軽やかなダンスナンバー「Good & Great」からスタートする。ピンクのパーカーにパステルカラーのカラフルなパンツというキュートな装いのKEYは、にこやかな表情で歌い、踊り、観客は曲に合わせて大きなコールを入れていく。1曲目からKEYとシャヲル(ファンの愛称)の息はぴったり。
ディスコジャンルの「Saturday Night」は、生バンドの演奏により、原曲以上にズシリと重く響くドラムとベースの音がライブ感を高める。イントロのフィンガースナップから大きな歓声が上がった「I Wanna Be」は、シャヲルのコールもばっちりハマって、最後にKEYはピースをしながらニコニコの笑顔。KEYが作詞を手掛けた「Easy To love」「The Duty of Love」の2曲は、歌詞の“HARD”“LOVE”というフレーズを歌声に合わせて表示させたり、BOK-SILLeeを並べた映像をリズミカルに表示させたり、ビジョンも相まった演出も。オープニングブロックは、楽曲、衣装、演出も含め、ハッピーな空気に包まれた。
「皆さん、元気ですか?」と呼びかけ、大歓声が返ってくると「元気そうですね」と笑うKEY。MCでのこのゆるりとした自然体の感じもKEYのライブの特徴だ。本公演が自身初のソロ・アジアツアーの海外公演初日となり、場所がSHINeeの日本で初の単独公演を行った代々木競技場第一体育館であることの感慨を語りつつ、今までのコンサートにはなかった明るい雰囲気でのオープニングブロックや、生バンドによる演奏などのこだわりも伝える。特に、このあとのブロックではバンドメンバーの派手な動きが続くと述べ、生バンドだからこそできる表現への注目を促して、その言葉通りのステージを披露する。
力強いドラムとギターサウンドを際立たせた「Heartless」、ダンスナンバーではあるが、ロックの雰囲気を纏わせた日本語オリジナル曲の「Hologram」と、バンドサウンドのアレンジによってあらたな側面を見せる。さらに、衣装をライダースーツに着替えると、そのクールなビジュアルともマッチしたパワフルさも伴う。
追加されたギターの印象的なイントロから始まり、ファイヤーボールの演出の中、スタンドマイクを手に持って情熱的に歌われた「BAD LOVE」。カッティングのギターサウンドに乗せ、時に囁くような歌声も織り交ぜながら大人な雰囲気も漂わせた「CoolAs」。原曲以上に疾走感とたくましさが増した「Killer」など、どの曲もライブならではの臨場感がたまらない。前半のキュートな印象とのギャップも功を奏し、精悍なKEYに釘付けとなった。
MCを挟み、ここからは敢えて生バンドを使わない、オリジナルサウンドでのパフォーマンスに切り替える。「ステージでは初めて歌ってみる」と紹介された8月7日リリースの新曲「Fresh」は、水しぶきが弾けるような映像をバックに、まさに“フレッシュ”な爽快感のある歌声で歌唱。サビではリズムに合わせて細かいステップを踏み、恋する相手へのときめく気持ちを表す歌詞の雰囲気とリンクする。KEYは表題曲の「Tongue Tied」と対比的になるようにという想いもあって選んだ曲と話していたが、夏の熱い季節のライブにもぴったりな爽やかな1曲となった。
ライブもいよいよ後半戦へ突入。ここからは衣装を赤と黒をベースとしたヒーロー風のものにし、セクシーな魅力でさらにシャヲルたちを夢中にさせていく。低音からファルセットまで1曲の中でさまざまな声色を見せたり、クロップ丈のトップスからちらりと見える腹筋をウエイブさせながら誘うような目つきでパフォーマンスをしたり、曲ごとに自身の表現力の幅を提示する。それと合わせて、広い会場に向かってリズムに合わせて放たれるレーザー光線や投影されるさまざまな映像など、演出も効果的に使い、曲ごとの世界観を深めていく。前半のキュート、中盤のクール、そして後半のセクシーと、KEY自身も話していたが、まさにボタンを押すごとに違う商品が出てくる自動販売機の中の商品のように、ブロックごとに全く違うエンターテイメントを届けた。
そんな本編の最後は、ここまでとはまた違った柔らかく優しい空気が会場を満たす。スモークが立ち込めるステージで、スポットライトの光を浴びながら優しく語り掛けるように歌ったミディアムバラードの「Mirror, Mirror」から、夢の世界のエンディングテーマのような雰囲気も漂わせる「G.O.A.T (Greatest Of All Time) 」へ。KEYは笑顔でシャヲルに手を振りながら歌い、ステージを後にした。
アンコールでは新曲「Tongue Tied」を初披露。MVでも着用していたラメがあしらわれたキラキラのジャケットスタイルで、ダンサーたちを従えてステージに現れたKEY。重厚感のあるキックドラムが特徴のミディアムナンバーは、バンドアレンジによってさらに重みが増す。指を使った繊細な振付や、髪をかき上げるようなセクシーな動きもあり、ダンサーとのフォーメーションも含め、パフォーマンスによってより華やぐ1曲となっていた。歌い終えると、KEYも観客からの好反応ににっこり。振付のこだわりなども説明し、新曲をアピールした。
「僕も頑張って歌って、踊ったんですが、僕より頑張って踊って、歌ってくれてありがとうございます」と観客にお礼を伝えるKEY。ラストは「すごい派手なエンディング(笑)」と言うように、「Gasoline」で飾り、会場がひとつになった多幸感が溢れる中で、ツアーの初日の幕は閉じた。
ちなみに途中のMCでは、今回、少し早めに来日し、「Tongue Tied」のリリースタイミングで出演予定のテレビ収録を行ったことや、人生初のディズニーランドを訪れたこと、思わぬ場所でファンと遭遇したエピソードなども報告。友達に近況を話すようなトーンで、テレビ収録の話題では、まだ日本では自分の面白さが伝わっていないと、ファンにアピールをお願いする一幕も(笑)。シャヲルも笑いながら聞いていたが、このフランクさと、一転してパフォーマンスで見せるプロフェッショナルな姿のギャップは、KEYの魅力の大きなひとつだと思う。
ここからKEYはアジアツアーをスタートさせつつ、8月10日・11日・12日には、兵庫・神戸ワールド記念ホールでも『2024 KEYLAND ON : AND ON in Japan』を開催。またMCでも予告していたように、日本でのテレビ出演も控えているとのことで、この夏はまだまだKEYとの楽しい時間を過ごせそうだ。
PHOTO BY 田中聖太郎写真事務所
リリース情報
2024.08.07 ON SALE
SINGLE「Tongue Tied」
SHINee OFFICIAL SITE
https://shinee.jp/
https://www.universal-music.co.jp/shinee/