■「朝起きたときに今日も一日始まるな、生きているなと思う」(稲垣吾郎)
映画『あんのこと』の公開記念舞台挨拶が6月8日、東京・丸の内TOEIで行われ、主演の河合優実をはじめ、キャストの佐藤二朗、稲垣吾郎、そして入江悠監督が登壇した。
「少女の壮絶な人生を綴った新聞記事」をベースに描く、衝撃の人間ドラマ『あんのこと』。
苦難の人生にもがく主人公・杏を演じた河合は、ソールドアウトの会場を見渡しながら「この作品は自分にとって特別なもので、皆さんに観ていただくことに意味があると思っています」と挨拶。
SNSなどに寄せられた観客からの感想に目を通していると明かし「実話をもとにしたこの物語を映画にすることに恐れがあって、それは今もありますが、皆さんが語ってくれた感想の言葉を見て別の気持ちになりました。その感想から『あんのこと』を観てくださった方々が真剣に考えてくださったことが伝わってきてうれしいです。今日も満席だと伺い、心から良かったと思っています」と公開後の反響に胸をいっぱいにさせていた。
杏(河合)を救済しようとする刑事・多々羅を演じた佐藤は「ある種の矛盾を抱えた男」と役柄を説明しようとするも、本編上映前ということもあり「ネタバレになるか!?」と苦悩。
すると稲垣は「大丈夫ですよ。2時間後にはみんな映画を観てわかっていますから」とまさかの無責任発言で、佐藤から「ええ!? それなら何を言ってもいいだろうが!」と強烈にツッコまれていた。
杏や多々羅と交流する新聞記者・桐野役の稲垣は「台本を読んだときに、これが事実に基づいた話であるということに衝撃と動揺がありました。胸が張り裂けそうな思いで、その気持ちを大切に忘れないよう、撮影中は杏ちゃんの心の叫びをひとりでも多くの方々に伝えようという思いでした」と撮影時の心境を打ち明けた。
一方、実話から着想を得た物語を初めて手掛けた入江監督は、撮影前に主演の河合に手紙を渡したという話題になると、「でも佐藤さんと稲垣さんには書いていなくて…」とポツリ。佐藤は「なんでそれを言うのよ!?」と紛糾、稲垣は「まあ、主演ですから」と理解を示したのかと思いきや、「で、どういうことですか!?」と冗談めかしながら入江監督に詰め寄った。
入江監督いわく、河合に渡した手紙は「何度も推敲した」そうで、受け取った河合は「この映画をどのような心づもりで撮影しようと思っているのか、どんな態度で作ろうとしているのかなど、大切に触れなければいけない話だからこそ、しっかりと言葉を選んで書いてくれているのがわかる手紙でした。撮影で自分が迷ったときにお手紙の内容に立ち返るような指針を最初に頂きました」と感謝していた。
『あんのこと』は、杏の過ごした「瞬間」を切り取り、「生きる」ということに迫る映画。これにちなんで「生きている!」と感じる瞬間をそれぞれ発表した。
佐藤は「晩酌! 予想どおりだった?」と即答。一方、かなり早起きという稲垣は「朝起きたときに今日も一日始まるな、生きているなと思う。早寝早起きは健康の秘訣。朝起きてペットの世話をしたり散歩をしたり、植物に水をあげたり、部屋の掃除をしたり」と充実のモーニングルーティンを口にした。
これに佐藤が「掃除も自分でするの? 吾郎ちゃん、俺と結婚してくれ!」と急に求婚すると、稲垣は「いいですよ」と即答して笑いをとっていた。
「生きている!」と感じる瞬間について河合は「客席に座って、なんていい作品なんだろうと思っているとき。作品を観て涙して声を出したくなるときとか、感動の極致にいるときに生きているなあと自分の生命力を感じる」と実感を込めると、佐藤は「さっきの僕の晩酌コメントはカット! 僕も感動したときや朝起きたときですね」とふたりの返答を拝借して笑いを起こしていた。
最後に主演の河合は「皆さんの素直に感じるものを受け取ってもらって、皆さんの言葉で作品を語ってください。その言葉に私も勇気をいただくので、『あんのこと』で何かを感じられたらいろいろな人にそれを伝えてほしいです」と期待。
入江監督も「この映画がたくさんの方々に広まって、またこのメンバーで集まって舞台挨拶ができたらとてもれしいです」とさらなるヒットに期待を込めていた。
映画『あんのこと』は新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサ他、全国公開中。
映画情報
『あんのこと』
新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国公開中!
出演:河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、河井青葉、広岡由里子、早見あかり
監督・脚本:入江悠
配給:キノフィルムズ
(C) 2023『あんのこと』製作委員会
映画『あんのこと』作品サイト
annokoto.jp