■瞳を潤ませながら「娘は命の恩人。Awichを創ったのはToyomiです」と愛娘・Toyomiを紹介する場面も
Awich(エーウィッチ)が、全国7都市を回った自身史上最大規模のツアー『THE UNION TOUR 2024』の最終公演を、5月24日に東京・Zepp Hanedaにて開催。アナウンスされていた豪華ゲストの他、彼女が所属するクルー・YENTOWNのサプライズ登場など、大盛況となった。
大勢の歓声で迎え入れられたAwich。噛み締めるように「THE UNION」をラップし、オーディエンスを一気に引き込んでいく。名刺代わりとも言える「Queendom」のあとは、ひときわ派手なサウンドが印象的な「NWO」「Guerrilla」と続いた。
MC で「心から自由になりましょう!」と呼びかけたあとは、「どれにしようかな」「Call On Me」「口に出して」と、スムーズに繋いでいく。「Call On Me」では、娘のYomi Jahもダンサーとして参加し、堂々と笑顔でパフォーマンスを披露した。
続いて「紙飛行機」、「Remember」、「洗脳」と息つぐ間もないほどに、これまでの代表曲をメドレーで披露していく。興奮とともに、改めて彼女のリリックが紡ぐ世界観の豊かさや、表現力の巧みさをしみじみと堪能した場面でもあった。
「悔しかったら全国ツアーのチケットをソールドアウトしてから言え! お前はやることやってんのかよ!」とシャウトし、「WHORU?」「LINK UP」へ。エモーショナルな表情を見せながら「ヒップホップに感謝」と深く礼をする場面もあり、2パックやジェイ・Z、ローリン・ヒル、プア・ライチャス・ティーチャーズといった先人のラッパーたちの名前を並べながら、「沖縄の先輩たちもたくさんいる。ヒップホップを聴くと、世界で何が起こっているのか知ることができる。リスペクトを持ってこの音楽を大事にしていきましょう」と呼びかけた。
感極まった表情で「“絶対できない”って言われることもいっぱいある。でも、絶対できる。自分が無我夢中になれればそれでいいから。それが最高のリベンジです」と語り、そのまま「Revenge」へ。続く「TSUBASA」では再びYomi Jahが参加。ラップに加え、しなやかなコンテンポラリーダンスでオーディエンスを魅了した。瞳を潤ませながら「娘は命の恩人。Awichを創ったのはToyomiです」と切り出して「Wait For Me」「かくれんぼ」と続け、さらに胸を震わす感動的な空気が会場を包む。
その空気を一変させるように流れたのは、「GILA GILA」のイントロ。鋭く切り込むラップで会場を沸かせると、間髪入れずに「ALI BABA REMIX」へ。MFS、ralphのふたりが参加し、ステージ上からクールな迫力で観客を沸かせる。ライブ後半へ差し掛かると同時に、次々とゲストたちがステージを煌びやかに彩っていく。
「イケメンタル」とともに現れたのは、NENE。続いて、十分な期待感を煽りながらスタートしたのは「Bad Bitch 美学 Remix」だ。この日は、初めてNENE、LANA、MaRI、AI、そしてゆりやんレトリィバァの6名が揃って集結。それぞれのヴァースと共にステージ脇から一人ずつステージに加わり、熱狂的な歓声で迎え入れられた。個々、異なる魅力と強さを放つ女性たちが集い、己のパンチラインをラップし、観客が呼応する。まさに圧巻のパフォーマンスで、ステージからも客席からも、とてつもないエネルギーが放たれた瞬間でもあった。
DJ U-Leeのスキルでオーディエンスを踊らせたあとは、「RASEN in OKINAWA」へ。「俺にもマイクを渡してくれよ!」と CHICO CARLITO が登場。安定感のあるアツいラップを聴かせ、同じ沖縄を拠点とするシンガー、柊人も加わって彼らのコラボ曲「Let Go」を特別に披露する一場面も。そのまま柊人の代表曲「好きなこと」にAwichが加わったエクスクルーシヴなリミックスバージョンも披露したあと、SugLawd FamiliarからOHZKEYが登場し、「LONGINESS Remix」へ。Awich のホームである沖縄の温かな熱気が伝わってくるようなパフォーマンスだった。
いよいよ本当の終盤、「学びがあったし成長できた」とツアーを振り返り、「最後の最後だぜ!」と呼びかけ「BAD BAD」へ。ダンサーたちの紹介を含め、Awichも笑顔を見せながら振りを交えて歌い、ピースな雰囲気でライブ本編の幕が閉じた…。と思ったら、そこに現れたのはYENTOWNの面々。サプライズで登場し、kZm、PETZ、JNKMN、MonyHorseらとともに「不幸中の幸い」をキック。ツアーのファイナルを締めくくるとともに、YENTOWN結成10周年となる祝祭の一曲で大団円を飾った。
ツアーの合間を縫って、ニューヨークでの海外公演も経験したAwich。彼女の言葉どおり、多くの経験を学んだであろう充実のツアーが幕を閉じた。驚異的なスピードとバイタリティで次々と新しい景色を見せてくれるAwichだが、有言実行たる彼女の姿から、さらに勇気をもらった一夜となった。
TEXT BY 渡辺志保
Awich OFFICIAL SITE
https://awich098.com/