■「(江戸時代でなりたい職業は)ジーンズを作りたいです。デニム職人」(草なぎ剛)
草なぎ剛(「なぎ」は、弓へんに前+刀が正式表記)と白石和彌監督がタッグを組んだ映画『碁盤斬り』が、5月17日、TOHOシネマズ 日比谷他にて全国公開。
本作の公開に先駆けて5月14日に東京・赤城神社で大ヒット祈願イベントが行われ、主演の草なぎ剛、清原果耶、そして白石和彌監督が出席した。
ご祈祷が始まるまでの待ち時間ではリラックムードで雑談する3人。本作がイタリアで開催された『第26回ウディネ・ファーイースト映画祭』で「ブラック・ドラゴン賞を」受賞し、白石監督がメディアでたくさん取り上げられていることに触れた草なぎは「監督の時代来てるんじゃないですか?来ちゃいましたよね」とニッコリ。草なぎの言葉に白石監督は「いやいや」と照れつつも、映画公開を前にいい流れができていると微笑み合っていた。
ご祈祷中は、真剣な表情で大ヒットを祈願。ご祈祷が終わると、ホッとした様子で柔らかな表情を見せた3人は、本殿前に移動。この日の天気は快晴。フォトセッションの準備中も、「天気も味方してくれている」「なんかうれしいよね」とマイペースで雑談をする3人。青空のもと、草なぎと清原は着物姿で、白石監督はご祈祷でいただいたお札を手にし、フォトセッションに応じた。
フォトセッション後は囲み取材が行われ、「天気が素晴らしくて、すごく爽やかな気持ちでご祈祷しました。天もこの作品を応援してくれているのかなと。みんなが応援してくれている感じがして、幸せな気持ちになりました」とご祈祷の感想を語った草なぎ。
清原も「草なぎさん、監督とみんなでご祈祷できて、純粋にうれしいなという気持ちと、もうすぐ映画が始まるんだなという緊張感がありました」とコメント。白石監督も「公開直前はやっぱりヒリヒリするんですけれど、赤城神社はすごくきれいで、なんか背筋が伸びる感じがしました。天気もよくて晴れ晴れとした気分になれたのがすごく良かったと思います」と笑顔を見せた。
映画のポスターが「草なぎとはわからない!」と話題になっていることについて、草なぎは「褒められているのかな?」とニヤリ。ポスターに写る自分の姿を見つめながら「確かに、役に入っている僕は違うんでね。これは、清原さん演じる“かよ”を…」と話したところで清原から「かよ? 誰のことですか? お絹です(笑)」とのツッコミが入る。
「あ、お絹ね。そうそう」と言い間違いに苦笑いの草なぎは「お絹を守ろうとしている父の顔です。監督も時代劇初メガホン。僕も初めての顔を皆さんにスクリーンでお見せできると思うので、楽しみにしていただきたいという“座長”の顔。僕は違う顔をしているよという代表的な顔です」と、表情に込めた想いを解説。
清原も「日本の映画ではあまり見られないポスター。すごく迫力があって素敵です」と父・草なぎの姿を絶賛。少し照れながらも「ありがとうございます」とお辞儀をした草なぎは「迫力・剛です」と、この日もキャッチーなコメントを連発し、取材陣を喜ばせていた。
そして、白石監督は「映画を観ていただけると、このカットがものすごく印象的だとわかると思います」と話し、「鋭い眼光のなかにも守るものがあるみたいなものを感じて。現場で惚れ惚れしながら草なぎ剛を撮影していた、その代表的なカットで大好きです」とご満悦だった。
ご祈祷では「あまりたくさん欲張ってお祈りすると、神様に怒られそうなので『よろしくお願いします』ということだけどご祈祷しました」と切り出した草なぎ。続けて「でも、どこかでたくさんの人が来てくれればいいなという、下心もちょっと出ていた気もします」と正直に告白して笑いを誘うなか、「エンターテインメントとして娯楽映画として楽しめる作品となっているので、本当にたくさんの人に伝わればいいなという気持ちでご祈祷しました」とも明かした。
草なぎと同様、たくさんの人に映画を観に来てほしいと願ったという清原は「よろしくお願いします、ということと、公開初日まで誰も体調を崩しませんように、とお願いしました」と柔らかな笑みを浮かべた。これを聞いた草なぎは清原の優しい言葉に「大人だね、僕の娘は」と胸を張り、自慢の娘の姿に目を細めていた。
着物での祈祷は「背筋が伸びます」と微笑んだ草なぎは、娘・清原のほうに視線を向け「やっぱり清らかなグルーヴが出ていますよね、いいですよね。お互いに褒め合っちゃってます」と笑顔。そして「なんで、監督だけ着物着てないの?」と質問を投げかけた。
これに対し、白石監督は「ちょっと失敗しました。着物で来るべきでしたよね。ちょっと持っていないんで、今度仕入れて来ます」と返答。清原も「今度はみんなで着られたら!」と期待を込めていた。
「映画のなかでは袴姿ですが、着流しの剛さんもかっこいいですよね」と草なぎの着物姿を見つめた白石監督。草なぎは「着流し、結構いいですよね。映画のなかではボロボロの着物だったので…」と振り返り、白石監督が「そもそもふたりとも長屋暮らしなので。きれいな着物を着ると全然雰囲気が違うので、いいですね」と褒めると草なぎは「ギャップ萌えってやつですね!」と反応し取材陣を笑わせた。
本作で初共演を果たした草なぎと清原。草なぎは清原について「素敵な方だと思っていたけれど、(実際に)会うと思っていたよりも素敵で。最初は僕の娘でいいのかなって思ってしまいました。会ってみないとわからないもの。優しさとかも会ってみないとわからないですから。会ってみて、優しい娘だなって思いました」とコメント。
清原は「いつかご一緒できたらいいなと思っているなかで、父娘でご一緒させていただけることがすごくうれしくて。寡黙な方と勝手な想像を抱いていたけれど、実際にお会いしてみるとユーモアに溢れた優しいお父さんでした」と振り返り、草なぎと清原はお互いに顔を見合わせて「ありがとうございます」と深々とお辞儀。会場を和やかな空気で包み込み、「褒められると、照れて何も言えない!」と、照れながらもうれしそうにしている父・草なぎと、照れる父をうれしそうに見つめる娘・清原が並ぶだけで、素敵な父娘のムードが漂っていた。
「共演後に発見したことは?」との質問に「毎日が新鮮。毎日オーラが違う」とノリノリで答えた草なぎ。続けて「すごく瑞々しくて。何度も言うけれど、清原さんだけに本当に清らか。純粋というのかな。それでいて、大人の面も持ち合わせている。大人と等身大というのか、幼いというのか、そのバランスが絶妙で、父ながら毎日ドキドキさせてもらっていました(笑)」と語った。
清原も「私も毎日新鮮な印象を受け取っていました。草なぎさんはすごく健康に気をつかわれていて。こんなに健康に気をつかっているんだな、といろいろ勉強させてもらっていました」と感謝。
すると「僕の知識はだいたいYouTubeで得たものなので、誰かが言ってたことを言ってるだけ(笑)。腸活とかね。本当かどうかわからないけれど」と、茶目っ気たっぷりの草なぎは「まあ、僕のほうが年上だし、毎日朝から夜遅くまで撮影なので、やっぱり健康が第一。そういうところを意識しています。“元気で!”って乗り切ったという感じですかね」と話した。
さらに、「やっぱり体が資本って年々思います。撮影所だけではなく、京都から車で何時間も移動することもあったから、時間もかかって結構大変でした」と撮影ではかなりの体力が必要だったと説明。
「監督も同い年。やっぱり元気がいちばんなので、僕が率先して“みんな元気だよ!”と(声をかけて)やっていました」とハードな撮影を乗り越えた“コツ”にも触れていた。
同い年の草なぎとの映画作りは「めちゃめちゃやりやすかったです」と満面の笑みを浮かべた白石監督が「見て来たものが同じだし、なんか話も合うし。好きなものとかなんとなく似ている感じがしました」と話すと、草なぎも「監督のおっしゃるとおり。そのまま僕のコメントに代えさせていただきます(笑)」と乗っかり、さらなる笑いを誘っていた。
脚本を読んだとき、江戸時代に住みたいと語っていた草なぎ。その理由を問われると「すごく華やか。お祭りとかも現代とはちょっと違うのかな、行ってみたいなって。桜の下で囲碁を打つシーンとかすごく気持ちよくて。華やかで素敵な時代と感じたので行ってみたいと思いました」と回答。
江戸時代でなりたい職業は「ジーンズを作りたいです。デニム職人」と、草なぎらしい答えを披露。「生地をいろいろ持ち込んで、スマホも持って、Wi-Fiも持って行って…」と話す草なぎは、江戸時代にはYouTubeもない、電波もなくスマホも繋がらなそうとのツッコミにも、「大丈夫でしょ」とケロリ。江戸時代に行ったら「僕だけが知ってることがいっぱいある。ヒット曲も先に作っちゃってね。斉藤和義さんの『歌うたいのバラッド』とか、あいみょんの『マリーゴールド』とか。自分がその時代に行って先に作って。ギターも持っていきたい! まさしく、ギター侍か『残念!』ってね。古いかな(笑)」と大笑いする草なぎに、取材陣の笑いも止まらなかった。
また、日本だけでなく海外でも時代劇が改めて注目され、作品が作り続けられている状況を踏まえつつ、時代劇の思いを訊かれた草なぎは「光栄なことに、イタリアでは早くも賞をいただいて、海外の人にも評価していただいて。誠にうれしい次第です。(映画館への)足が遠のいているとか、若い子が時代劇離れしているとか、そういう話も耳にするけれど、やっぱり時代劇って日本の文化だから、それに出展することも本当にうれしいし、日本が作る時代劇を絶やしたくない。今回、この作品をやってみて、京都の職人さんとか東京のスタッフの方と、昔のよいものと今のいいものをきちんと融合させて、今でしか作れない時代劇を作れたと思っています。日本のみならず、海外の方にも観てもらいたいです。時代劇だからこそ伝わる楽しさもあると思います。清原さんみたいな若い世代もいますし、僕より先輩の名優の方々も出られているので、時代劇があまり得意じゃないという方も楽しめる作品です。(公開は)あと3日後ですけれど、観ていただきたいなという気持ちです」と幅広い層に楽しんでもらいたい映画だとしっかりアピール。
海外で作る時代劇について興味があるかという質問には「お声があれば、ぜひ。どんどん挑戦していきたいです!」と宣言し、笑い声いっぱいの囲み取材を締めくくった。
映画情報
『碁盤斬り』
5月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
出演:草なぎ剛
清原果耶 中川大志 奥野瑛太 音尾琢真 / 市村正親
立川談慶 中村優子
斎藤工 小泉今日子 / 國村隼
監督:白石和彌
脚本:加藤正人
音楽:阿部海太郎
配給:キノフィルムズ
(C)2024「碁盤斬り」製作委員会
映画『碁盤斬り』作品サイト
https://gobangiri-movie.com