■「これからもいろんなことがあると思うけど、一緒に笑顔で、頑張っていこう」(北川悠仁)
ゆずが4月6・7日の2日間、神奈川・横浜に開業する「横浜BUNTAI」のこけら落とし公演『YUZU LIVE 2024 AGAIN AGAIN in 横浜BUNTAI』を開催した。
2023年秋に世界最大級の音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」のこけら落としをアンコール公演を含め全5公演、延べ10万人を動員するという前代未聞のスケールで開催したゆずが、デビュー時からの“聖地”とされてきた横浜文化体育館の敷地に新設された同会場で、これまでの歴史を紐解くかのようなメモリアルライブを刻んだ。ここでは初日、4月6日公演の模様をレポートする。
1962年に完成し、以降、国際的なスポーツ大会や国内外のミュージシャンが活用してきた“文体”こと横浜文化体育館が、老朽化のため閉館したのは2020年10月。クロージングイベントを務めたのは、これまで4度にわたり同所でコンサートを行ってきたゆずだった。
当初は有観客でのクロージングライブを予定していたが、新型コロナウイルスの影響でその計画が白紙に。代わりにゆずは、配信ライブを5週にわたって様々な場所から届けるオンラインツアー『YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN』を敢行。
初日公演(9月27日)となるDAY1『出発点』、最終日(10月25日)のDAY5『未来図』を横浜文化体育館で実施した。無観客ライブで会館の歴史を締めた4年後、“AGAIN AGAIN”という、オンラインツアーのコンセプトを踏襲したタイトルを冠して、あらたな会場「横浜BUNTAI」の門出を祝うこととなった。
ステージ後方にある400型×3面(26.4×4.9メートル)の大型LEDにオンラインツアーのハイライト映像が映し出されたあと、「アゲイン2」の叙情的なアレンジのバンド演奏に合わせて、北川悠仁、岩沢厚治それぞれが上手、下手のステージ袖から登場。センターに立ち幕開けした楽曲は「大バカ者」。
初めてゆずが横浜文化体育館でライブを行った1998年公演の1曲目として演奏されて以降、同会場ならではの曲目として歌い繋いできた楽曲を、本公演では『夏の野球場ツアー2000 満員音(楽)礼 ~熱闘!Bomb踊り~』以来、24年ぶりとなるバンド演奏でパフォーマンス。
続けて「センチメンタル」を披露し、北川悠仁が「2020年、最後に横浜文化体育館で行ったライブのタイトルは『未来図』でした。あのとき思い描いていた“未来図”に、こうして今立っています」と今日に至るまでのストーリーを話し、「横浜BUNTAIこけら落としをさせてもらいます!」と挨拶。
北川と岩沢厚治の息のあったかけ声でスタートした「始発列車」を皮切りに、オンラインツアーのセットリストに組まれていた「からっぽ」「心のままに」「傍観者」を続けて披露。ゆずの初期楽曲ナンバーながら、磯貝サイモン(Key/Bandmaster)、真壁陽平(Gu)、須藤優(Ba)、河村吉宏(Dr)らバンドメンバーによるアグレッシブかつ緻密なサウンドと、デビュー27年目を迎えたゆずのふたりの円熟された歌声によって、どの楽曲も新たな息吹を生み出していた。
過去5度(1998年、2012年、2017年、2018年、2020年)にわたりこの場所でライブを行ってきた、ゆずと横浜文化体育館のヒストリーを紹介したあと、「またここでいろんな伝説をつくっていきたい」(北川)と「贈る詩」を届けると、北川と岩沢はステージサイドへそれぞれ移動。続けて弾き語りで披露した「連呼」では、初の横浜文化体育館公演の演出をオマージュし、横長の会場客席を青/緑に色分けし、交互に歌い合う演出で観客と合唱。過去と現在がリンクした空間で、ゆずが歩みを止めずに27年音楽を届け続けてきた軌跡と希望を感じさせた。
「今日来られなかった人にも、BUNTAIを突き破って届くように」と、会場に集まった5,000人の観客とともに「栄光の架橋」の大合唱を経て、「横浜に来てくれたみんなに、そして横浜BUNTAIに」(北川)と、2009年にリリースされた横浜開港150周年イメージソング「みらい」を唯一無二のハーモニーで歌い上げ、前半を締め括った。
幕間映像では、ゆずのマスコットキャラクター・ゆず太郎が、本公演で横浜市とコラボレーションするにあたって横浜市役所に出向き、現横浜市長・山中竹春氏に直談判するというVTRが上映。VTR中で日本三大同芸のひとつ、野毛大道芸が紹介されると、大道芸人3組によるパフォーマンスタイムへ。
4人組のパフォーマンスカンパニー・to R mansion、国内外で活躍するジャグラーコンビ・桔梗ブラザーズ、スティルトのウォーキングアクト・ガンジスインダスドーダスが、「イロトリドリ」「虹」「巨女」のバンド演奏によるインストとともに登場し、華やかなパフォーマンスを披露した。
衣装チェンジを行い再びステージに登場したゆずは、野毛大道芸、そして25名のAGAG(アゲアゲ)ダンサーズとともにダンスチューン「LOVE & PEACH」を披露。ライブ参加グッズのフラッグが会場中にたなびいた「Frontier」を届けると、北川はこの会場から程近い伊勢佐木町で、1996年より路上ライブを行っていたことを話し、当時数少ない持ち曲で演奏していたミディアムバラード「春風」を披露。
終始ソリッドなバンド演奏を鳴らす“AGAG(アゲアゲ)バンド”の紹介を挟み、近年のライブ定番曲「公私混同」から不動のライブ曲「夏色」へ。2番からは北川が客席を縦横無尽に動き回り、この日いちばんの盛り上がりを見せた。
北川は「2020年、俺たちはここで、オンラインでライブをやりました。本当はみんなとともに横浜文化体育館をクローズさせたかったけど、悔しかったね。本当に」と、コロナ禍に阻まれてきた数年を振り返りながら、「だけどこうやって、こけら落としという形で、またここに帰って来れたこと、本当にうれしく思っています。ありがとう」と感謝。
そして「音楽やエンターテイメントは、どんな気持ちのときも、曇り空のときも、晴らしてくれる、笑顔になれる、元気になれるパワーがあるんじゃないかなと信じてきた4年間でした。これからもいろんなことがあると思うけど、一緒に笑顔で、頑張っていこう」とメッセージした。
本編を締め括ったのは、オンラインツアーDAY1でもフィナーレを飾った楽曲「ユーモラス」。どんな困難や壁もユーモアとアイデアで乗り越えていくという、ゆずだからこそ届けられるエールソング。オンラインツアー時にはアバターコミュニケーションアプリ「ピグパーティ」とのコラボや現代美術家・村上隆のお花アートを用いたAR演出で披露されていたが、この日はステージ上にAGAGダンサーが並び、観客と共に肩を揺らしながら合唱。
LEDビジョンにはこれまでの文体ライブ映像が映し出され、終盤にはオンラインツアーの「ユーモラス」歌唱ライブ映像が流れ、実際のパフォーマンスとリンク。無観客では果たすことができなかった“未来図”の景色に、ゆず、観客がひとつとなって音楽に身を委ねた。
アンコールではライブのタイトルにもなったアップテンポナンバー「アゲイン2」で締めくくり。「本当にやれてうれしかった! 本当にありがとう!」(北川)と、約束の地での再会に何度も感謝し、生まれ変わった「横浜BUNTAI」にあらたな歴史を刻んだ。
なお、4月7日の2日目公演ではサプライズとして5月15日に新曲「Chururi」配信リリース、今夏に2年ぶりとなるニューアルバムの発売、そして年跨ぎで12ヵ所30公演を敢行する大規模アリーナツアーの開催を発表。この先もゆずは、決して歩みを止めず音楽を届け続けていく。
PHOTO BY 中島たくみ / Masanori Naruse
■YUZU LIVE 2024 AGAIN AGAIN in 横浜BUNTAI
<セットリスト>
01.大バカ者
02.センチメンタル
03.始発列車
04.からっぽ
05.心のままに
06.傍観者
07.贈る詩
08.連呼
09.栄光の架橋
10.みらい
11.LOVE & PEACH
12.Frontier
13.春風
14.公私混同
15.夏色
16.ユーモラス
EN.アゲイン2
Apple Music / Spotify セットリストプレイリスト
https://yuzuofficial.lnk.to/AGAINAGAININBUNTAI
ゆず OFFICIAL SITE
https://yuzu-official.com/