シャイトープ「ランデヴー」が2ヶ月連続で1位を記録した9月の10代トレンドランキング。先日の『CDTVライブ!ライブ!』でもランキングコーナーでこの楽曲およびバンドについて紹介されていました。このまま今年のヒット曲に名を連ねるようになるのか注目ですが、彼らの人気は今の音楽シーンのあり方を象徴しているものかもしれません。今月はそんな話題からどうぞ。
■舟津真翔、Leina:シーンのトレンドを体現
先月の当連載で「ランデヴー」について“シンプルなアンサンブルに切ないメロディが絡み、終わりゆく恋愛が情感のこもったボーカルで表現される美しい楽曲”“恋愛にまつわる心の機微をストレートに音楽にするタイプのアーティストは改めて増加している印象”と書きましたが、そんな動きがまさに進行しているのが9月のランキングです。
14位にランクインした舟津真翔「君は運命の人」、22位にランクインしたLeina「どうでもいい話がしたい」。どちらもシンガーソングライターによるラブソングで、具体的な恋愛のシーンが思い浮かぶ情景描写とストレートなサウンドおよび歌声に共通項があります。そしてそれはまさに今月1位のシャイトープ「ランデヴー」とも通ずるものです。
おそらくこの先もこういった楽曲は多数チャートにランクインするのではないかと思います。かつてラブソングの表現を突き詰めた先に自身のオリジナリティを確立した西野カナのような存在がいましたが、数多現れるシンガーソングライターの中から突き抜けて幅広い支持を獲得するに至るアーティストはこの先出てくるのでしょうか。
■BE:FIRST:新しいメインストリームへ
ここまで触れた話とは全く異なる文脈で一気に支持を拡大すべく勢いを増しているのが10位に「Mainstream」をランクインさせたBE:FIRST。
2021年のオーディション企画『THE FIRST』を起点に人気を着実に高めてきた彼ら。
これまでの楽曲やパフォーマンスですでにその実力は証明されていますが(『THE FIRST TAKE』の2曲でもモノの違いをアピールしています)、今回の「Mainstream」ではこれまと地続きにありながらも本気度の違うクールさを前面に打ち出してきました。
硬質なムードが表現されたMVにおけるシャープなダンスからも、7人の努力と才能を感じ取ることができます。ラップとダンスどちらもデビュー時までほぼ経験のなかったJUNONも他のメンバーからまったく見劣りのしない佇まいを見せ、RYOKIが曲中で繰り出す高音域のラップから感じられる狂気のような迫力も唯一無二。各メンバーがそれぞれの魅力をどんどん尖らせていっています。
真似してもらうための振り付けといったギミックもほぼない楽曲構成ながらラップのリリックとフロウの組み合わせで絶妙な中毒性を醸し出す「Mainstream」は、メロディの善し悪しこそが楽曲の価値を決める大きな流れが数十年存在するJ-POPのシーン(そういうルールだからこそ前半で触れたような楽曲がヒットします)において、新しい基準を打ち立てそうな予感を振りまいています。ボーイズグループを取り巻く環境が大きく変わろうとしているタイミングで、非常に大きなタイトルの通りまさに時代のムードにバチっとはまった楽曲になりそうです。
昨年の紅白歌合戦に出場するなどすでに多くの人に知られる存在だったBE:FIRSTですが、いっぽうでどこまで人気になってもボーイズグループの支持層は特定ファンダムの外に出ていきづらい構造があるのもまた事実です。今回の「Mainstream」を経て、彼らの存在感がもともとの射程の外でどれだけ大きくなるのか注目していきたいと思います。
以上、9月のランキングでした。来月もどんな動きがあるのか楽しみです!
TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)
■楽曲リンク
■2023年9月 LINE MUSIC 10代トレンドランキング
01.「ランデヴー」シャイトープ
02.「SPECIALZ」King Gnu
03.「唱」Ado
04.「紡ぐ」とた
05.「Seven (Clean Ver.) (feat. Latto)」Jung Kook
06.「青のすみか」キタニタツヤ
07.「I’m a mess」MY FIRST STORY
08.「向日葵」Ado
09.「君のまま」百足 & 韻マン
10.「Mainstream」BE:FIRST
11.「最高到達点」SEKAI NO OWARI
12.「サマータイムシンデレラ」緑黄色社会
13.「Fast」Sugar Goose
14.「君は運命の人」舟津真翔
15.「アイドル」YOASOBI
16.「ガーデン」藤井 風
17.「オオカミ」百足 & 韻マン
18.「ケセラセラ」Mrs. GREEN APPLE
19.「What’s Poppin (feat. LANA)」JP THE WAVY & JIGG
20.「怪獣の花唄」Vaundy
21.「you are my curse」nyamura
22.「どうでもいい話がしたい」Leina
23.「リカ」SIX LOUNGE
24.「Magic」Mrs. GREEN APPLE
25.「fake face dance music」音田雅則
26.「Super Shy」NewJeans
27.「Night Dream」炒炒
28.「Love Lee」AKMU
29.「ANTENNA」Mrs. GREEN APPLE
30.「ファジーネーブル」Conton Candy
31.「Social Path (feat.LiSA)」Stray Kids
32.「Fallin」清水翔太
33.「W/X/Y」Tani Yuuki
34.「点描の唄 (feat. 井上苑子)」Mrs. GREEN APPLE
35.「今 -明日 世界が終わっても-」SEVENTEEN
36.「花束」back number
37.「Soranji」Mrs. GREEN APPLE
38.「紫陽花のような恋 (Hydrangea Love)」TOMORROW X TOGETHER
39.「Slow Dancing」V
40.「カイホウエクササイズ」あめんぼぷらす
41.「燈」崎山蒼志
42.「青と夏」Mrs. GREEN APPLE
43.「美少女無罪♡パイレーツ」宝鐘マリン
44.「命日」ちゃんみな
45.「ビリミリオン」優里
46.「すれ違い」Soala
47.「マジックアワー」緑黄色社会
48.「Make It Out Alive」ONE OK ROCK
49.「ADVISE -最悪ノ事態 Riddim-」ARARE
50.「ETA」NewJeans
51.「硝子窓」King Gnu
52.「Wherever you are」ONE OK ROCK
53.「セプテンバーさん」RADWIMPS
54.「Late Night Drive」Louis Vision, リルジャップ & 三浦ひな子
55.「GANGSTA LOVE」MC TYSON
56.「Selfish girl」Icekun
57.「ブルーアンビエンス (feat. asmi)」Mrs. GREEN APPLE
58.「Never Grow Up」ちゃんみな
59.「pink」シャイトープ
60.「晩餐歌」tuki.
61.「ミックス」マルシィ
62.「日常」Official髭男dism
63.「もう恋なんてしない」槇原敬之
64.「美しい鰭」スピッツ
65.「高嶺の花子さん」back number
66.「貴方の恋人になりたい」チョーキューメイ
67.「Overdose」なとり
68.「Gradation」JO1
69.「不可幸力」Vaundy
70.「spiral」LONGMAN
71.「キケンナアソビ」クリープハイプ
72.「アイラブユー」back number
73.「more than words」羊文学
74.「Subtitle」Official髭男dism
75.「この恋はスクープされない」コレサワ
76.「そんなbitterな話」Vaundy
77.「NIGHT DANCER」imase
78.「ダブルベッド」茉ひる & RINZO
79.「第ゼロ感」10-FEET
80.「Shape of You」Ed Sheeran
81.「napori」Vaundy
82.「恋」back number
83.「ユアーズ」菅田将暉
84.「B級」ちゃんみな
85.「BLOSSOM」ENHYPEN
86.「なんでもないよ、」マカロニえんぴつ
87.「君がいない世界」Aine
88.「ドライフラワー」優里
89.「水平線」back number
90.「How Many Boogie」SKRYU, WAZGOGG & Fuma no KTR
91.「ダンスホール」Mrs. GREEN APPLE
92.「OMG」NewJeans
93.「ハッピーエンド」back number
94.「シンデレラボーイ」Saucy Dog
95.「クリスマスソング」back number
96.「椿」TORAUMA
97.「Side Dish」清水翔太
98.「それを愛と呼ぶなら」Uru
99.「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」LE SSERAFIM
100.「愛とか恋とか」Novelbright