■マスターテープの発見から15年の月日を経て、2022年に『コンプリート武道館』のプロジェクトが始動!
ついに歴史が解き明かされる。
ボブ・ディランが1978年2月28日、3月1日に東京・日本武道館で開催した初来日公演の模様を完全収録した『コンプリート武道館』が11月15日にリリースされる。本作のマスターテープは約45年間にもわたって封印されていた。
1978年11月に当初日本のみで2枚組LPでリリースされた『武道館』は2日間の録音からの抜粋で、翌1979年に全世界発売されて。そのためマスターテープは日本からアメリカへ渡ったと考えられていたが、そこから約30年後日本に存在していたことがわかった。
2007年に『ボブ・ディラン・ライブ』というタイトルの何らかのテープが静岡工場の倉庫にあることがわかり、取り寄せてみたところ、ボブ・ディラン初来日公演の2日分の24チャンネルアナログマルチテープが20本。まさに奇跡の発見となった。
30年近く倉庫に眠っていたままだった20本のマスターテープは、当時の『武道館』の編集以来、一度も開けられた形跡はなく、いずれも30年前のものとは思えないほど、極上で最高のコンディションで残されていた。
1978年版オリジナル『武道館』には収録されなかった未発表曲、収録されなかった日のバージョン、すべてが素晴らしく、ざわめき、息遣いまで聴こえてくるような会場の緊張感とともに、瑞々しく生々しい歌と演奏、完璧な2日間のコンプリート音源だった。
日本で発掘された“秘宝”をなんとかリリースできないかと、何度も何度もボブ・ディラン側に繰り返し交渉するものの、非常にハードルは高く、なかなか進展しなかった。しかし、長年の交渉が実り、発見から15年の月日を経て、2022年に突如『コンプリート武道館』のプロジェクトが動き出す。
1978年『武道館』のライブ盤を企画した当時の担当である菅野ヘッケル氏を総合監修に、1978年武道館の現場で録音し、『武道館』のミックスを行った鈴木智雄氏をチーフエンジニアに迎え、あらたなるマスターテープの制作が日本でスタートした。
「歴史的ツアーの2日間の完全なコンプリート音源であり、何ひとつ取り除いたり、あとから手を加えていない。完成したアルバムには、歴史に刻まれた伝説の武道館コンサートが素晴らしい音で記録されている。僕らは、あの日の会場で日本のファンが聴いたであろう音を忠実に再現しようと試みた」(菅野ヘッケル)
「“武道館における熱い思いを永遠の記録としてレコードで再現したい”というハッキリした意向があったので、キーワード“熱”に沿ったミックスを行った。その結果、1978年のオリジナル盤を越えるミックスが完成し、各楽器とボブ・ディランの声が明瞭に聞こえ、より鮮明でクリアなサウンドを届けられるようになった」(鈴木智雄)
45年前の24チャンネルアナログマルチテープから、最新テクノロジーでリミックスとリマスターが施され、アナログは最高解像度のピュアなマスターからのカッティング(Mixer’s Labの北村勝敏氏がカッティングを担当)。
ボーカルや演奏の生々しさ、まさにボブ・ディランがそこで歌ってるかのような臨場感を感じることができる、こだわりにこだわり抜いた、すべてが日本で制作された最高クォリティのマスターが完成した。
今回のマスターについて、リマスターを担当した吉川昭仁氏(Studio Dede)はこう語る。
「2インチのアナログマルチテープからマルチトラックでデジタルに取り込んだのち、鈴木智雄氏がアナログコンソールに立ち上げトラックダウン。そのトラックダウン時にトラックダウンのスタジオにマスタリング機材を持ち込み卓アウトから直にDSD11.2のフォーマットにて取り込みを行う。この11.2Mhzの容量はCDの256倍であり、SACDの4倍となる、解像度的には2023年現在考えうる最大のサイズフォーマット。今回のアナログのマスターは、その11.2Mからダイレクトにカッティングされているので、過去には実現できなかったルーティーンであり、発売されていたものとは比べ物にならないクォリティである。マスタリングから、カッティングまで一貫してマスタークロックに“abendrot The Everest 701”を採用。これもまた10年前には実現できなかったことで、デジタルが普及して長い年月が経つが、今のテクノロジーでこそできる最良のアプローチにより最高のマスターに仕上がった」
完成したマスターを聴いた菅野ヘッケル氏はこう語った。
「これこそあの日のステージで、ボブが日本のファンに聞かせたかった音だ」
『コンプリート武道館』のアナログは、最高音質を確保するため各面20分以内に収め、8枚組LPとしてリリースされる。こういった関係者の証言や貴重な秘話は、5万字を超える日本版ブックレットにも収録されている。
ボブ・ディランの初来日公演は1978年。その約30年後の2007年に、眠っていた24チャンネルアナログマルチ・テープ20本を発見。そこから約15年後の2022年に動き出した「夢のプロジェクト」は、初来日から45周年となる2023年11月、日本主導の日本独自企画『コンプリート武道館』として商品化がついに実現する。
2日間のライブ録音を完全収録し、約270分、全58トラック中36トラックが未発表のLPは8枚組、CD4枚組。初来日公演チケット、パンフ、ポスター、チラシなどのメモラビリアや、空港、記者会見、日本公演のライブ写真、オフショット、ライナーなどをまとめた60ページに及ぶカラーブックレット、これらをLPサイズのボックスに収納した豪華仕様で完全生産限定盤として発売される。
日本で録音され、マスターテープ、アートワーク、すべて日本人の手によって制作された、ノーベル文学賞受賞、ロック界最重要アーティスト、ボブ・ディランが認めた画期的全世界リリース。日本で企画したものとしては、過去例がないほどの壮大なプロジェクト、日本洋楽史上最高峰の復刻事業ともいえる“日本が世界へ誇る音楽遺産”だ。
すでに海外メディアでも大きく取り上げられ、世界中のファンの間でも話題となっている。米音楽評論家のエドナ・ガンダーセンは新しく復元され、リマスターされた今作をこう称賛する。
「武道館での元気よく全力でプレイするディランが捉えられている。生き生きと切迫感をもって歌い、その声は澄み切って旋律をたどり、いつもどおりの完璧なフレージングだ…バンドは勢いよく進み、あらたな解釈によるエネルギーに溢れ……(ディランは)ライブパフォーマンスを、曲に命を与える試みと見ていたのだろう」
同時発売となる『アナザー武道館』は『コンプリート武道館』のスピンオフ企画で、1978年発売アルバム『武道館』に収録されずに未発表となっていたパフォーマンスをまとめたLP2枚組。
LP1には1978年2月28日、LP2には3月1日と開催日別に収録し、未発表の11曲とオリジナルに収録された日とは別の日に演奏された未発表バージョンの5曲を収録。いずれも世界初リリースとなる16曲。オリジナル『武道館』とは異なるコンセプトで選ばれた歌の数々からも、当時のボブ・ディランの多面的な音楽展開が生き生きと蘇る、”もうひとつの武道館”だ。
なお、こだわり抜いた最高クォリティのマスター、日本制作の美しいアートワーク、これまでのいきさつなど含めて、特設サイトでその詳細を確認することができる。
リリース情報
2023.11.15 ON SALE
ANALOG BOX『コンプリート武道館』
2023.11.15 ON SALE
ANALOG『アナザー武道館』
『コンプリート武道館』特設サイト
https://www.110107.com/Dylan_budokan/
ボブ・ディラン ソニーミュージックオフィシャルサイト
https://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/