ソロ活動10周年を迎えたEXILE TAKAHIROが、9月6日にアルバム『EXPLORE』をリリース。今作は新曲を含むオリジナル曲のほか、2020年よりスタートした“EXILE RESPECT”シリーズ、最新ライブ映像、ソロ活動10周年ドキュメント映像など、内容盛りだくさんだ。
探検、探求を意味する“EXPLORE”と名づけられた今作は、TAKAHIROが歩んだ10年間のソロ活動の集大成であり、さらに今後の活動への決意が伝わってくる一作である。
■ソロデビューから10年。今思うこと
──ソロ活動10周年を迎えた、今の思いを教えてください。
EXILE TAKAHIRO:実はスタッフに教えてもらうまで、今年がソロ10周年だということに気づいていませんでした(笑)。体感的には「もうそんなに経っていたんだ!」と驚きましたね。
というのも、元々ソロ活動をするにあたり、EXILEの活動を第一優先にしたいという強い思いがあったので、ソロとしての活動時間が限られることに加え、コロナ禍でライブ活動や音楽制作が思うようにできなくなってしまったという状況下も含んだ10年なので、自分の実感としてはまだ5~6年くらいの感覚でした。
ただ、コロナ禍当初に「皆さんの生活に必要なものなのだろうか?」と、自分の存在意義すら疑い、空しくて、歯がゆく、切なくて…それまで普通にできていたことができないという経験から、今までの“当たり前”は本当に幸せなことだったんだなと感じざるをえませんでした。そんな月日の中で、今もこうして応援してくださる方がいらっしゃるのが本当に心強く、皆さんに恩返ししたいという思いがより強くなりましたね。
──コロナ禍で言いますと、TAKAHIROさんは2020年からソロアーティストとしてEXILE楽曲のカバーを行う“EXILE RESPECT”シリーズを始動。定期的に楽曲配信を行ってきました。
TAKAHIRO:ネガティブになって、ただただ毎日が過ぎていくことだけは避けたかったんです。ファンの皆さんに喜んでいただけること、少しでも幸せを感じていただけることを日々模索していましたね。そのなかで、ライフワークとして今後もやっていきたいと考えている “EXILE RESPECT”や、新しい挑戦として『THE FIRST TAKE』への出演など、今だからできること、今しかできないことがあるはずだという思いで音楽と向き合っていました。
▼EXILE TAKAHIRO×ハラミちゃん – もっと強く / THE FIRST TAKE
▼EXILE TAKAHIRO – Lovers Again / THE FIRST TAKE
──コロナ禍においても、つねに前に進んでいた日々から生まれたであろう楽曲たちが最新アルバム『EXPLORE』には多く収録されていますが、TAKAHIROさんにとって今後の活動にも繋がる大きな糧になったのでは?
TAKAHIRO:気づきや学んだことがたくさんありました。その時々に思ったことや感じたことを、しっかりとそれぞれの楽曲に刻むことができたので、『EXPLORE』はオリジナルアルバムではあるけれど、今の自分を凝縮したベスト盤のような作品だと思います。一曲一曲、強い思いを持って、魂を込めて作ってきたので、それらをひとつの作品として集約できたのは、僕にとってもすごく意味深いものだなと。今の自分の思いを凝縮した作品なので、『EXPLORE』は人間らしさの詰まった質感と言いますか、血の通った体温を感じるアルバムになったような気がしています。
■今後の代表曲になると確信できた「Unconditional」
──今のお話を聞くと、新曲「THIS IS LOVE」に込められたメッセージがより深く響きますね。
TAKAHIRO:僕自身も宇宙の壮大さを浴びたような感覚になりましたね。壮大なのにピンポイントで響くというか。ラブソングではあるけれど、親子の絆を感じる方もいらっしゃるだろうし、亡くなった方が側で見守ってくれているような感覚にもなれるし、その逆にも感じられて…聴いた方それぞれにいろんな受け止め方ができる曲だと思います。
この曲を最初に聴いた時、80年代の匂いがするバラードで、メロディは王道だけど今歌うと新鮮に感じるのでは? と思ったんです。ただ、自分が歌詞を書いてしまうと、自分のイメージ通りにしかならないので、自分の描いた絵とは違う絵を表現したくて、ずっとお世話になっている小竹正人さんに作詞をお願いしました。小竹さんの言葉の紡ぎ方で、「THIS IS LOVE」に新しい風を吹き込んでいただけたことで、自分の歌唱表現も広がりました。
「THIS IS LOVE」歌詞
EXILE TAKAHIRO夜に 貼り付いたような 月から降る 光が 君を照らし出し
Your eyes 広がる 小宇宙 綺麗すぎて 泣きたくなった
カタチのない 幸せをいつだって 僕は君に もらってる
ほんとうの 愛など今まで 見たことのなかった僕 たちだから
流れ星 二人で掴んだ その瞬間に同時に 知ってしまった This is love夢に 出逢った頃の 僕の決心 なんてまだ ちっぽけで弱くて
Time flies 重ねた 悲しみは 強さになり 笑顔になった
終わりのない 永遠を抱きしめて 僕は君と 生きていたい
愛してる 言葉にしたって 伝わりきらないいとしさが 降り止まない
離れても すぐ隣にある 君の匂い優しさ 温もりさえ未来の君へと 書いた曲を いつか聴いてほしいんだ
ほんとうの 愛など今まで 見たことのなかった僕 たちだから
流れ星 二人で掴んだ その瞬間に同時に 知ってしまった This is love作詞:小竹正人
作曲:Ryan Kim・Chris Lee・Joris Daniel・Daan Jansen・BrownBoyz
──そして、今作でのTAKAHIROさんの推し曲のひとつが「Unconditional」だとうかがっています。パーソナルかつ壮大な世界観で歌われるポップス曲、とアルバム収録楽曲発表時に紹介がありました。
TAKAHIRO:僕の今後の代表曲になると確信できた楽曲なので、いちばん良いタイミングで皆さんにお届けしたくて。「Unconditional」は、このアルバムの代表曲といっても過言ではないかもしれません。日本語の表現の中で感じる深み、さらにそこに英語詞が良い塩梅で入ってくる。耳馴染みも良いし、聴きやすくてノリの良い楽曲なので、とても気に入っています。自分が今までやったことのないタイプの楽曲でもあったので、ファンの皆さんにも新鮮に感じていただけると思います。
■アルバムのタイトルを『EXPLORE』にした理由
──アルバムタイトルの“EXPLORE”には、探求や探検という意味がありますが、まさに今の“TAKAHIRO”という人間を言い当てた言葉だと思いました。
TAKAHIRO:ありがとうございます。
──10代20代の頃だと 後先考えずに未知の場所にどんどん突き進んでいく“adventure(アドベンチャー/冒険)”という言葉がしっくりくるのかもしれませんが。
TAKAHIRO:たしかにそうかもしれないですね。
──どのような思いでこのタイトルをアルバムにつけたのですか?
TAKAHIRO:元々“EX”から始まる言葉が好きで、“EX~”という言葉をいろいろ探していたなかで、“EXPLORE”という言葉と出会った時に、この言葉から曲を作ってみたんです。ちょうどコロナ禍が始まって間もなくの頃なので、2年半~3年前くらい? あの時は状況がわからず、漠然とした不安が世の中に蔓延していたのですが、僕はそこに対してなんとなく違和感のようなものがあって。
──違和感のようなもの、というのは?
TAKAHIRO:漠然とした不安に恐れ、立ち止まり続けることですね。「いつかはこの状況も終わるだろう」「また当たり前の日常に戻るだろう」と、期待や希望を持って(沈んだ)気分を落ちつかせることもありましたが、それを現状から目を背ける材料にしてはいけないなって。「いつかはこの状況も終わるだろう」「また当たり前の日常に戻るだろう」と他人事にせず、そうなるように自分はどうすればいいのかちゃんと考えて、動いていかないとダメだなと気づいたんです。物事をどう捉え、どう未来へ繋げていくのか、結局は全部自分次第だなと。特に、大人である自分たちが今動かないことには、これからを生きる子供たちに明るい未来を見せてあげられないんじゃないか? と。そう思った時に、「よし、気を強く持とう」と覚悟ができ、そんな思いを胸に「EXPLORE」を制作しました。
「EXPLORE」という曲が出来上がったことで、自分の中でいろんなイメージがわき、今回のアルバムを作ることにも繋がりました。新しいアルバムに向けて自分は何をすればいいのか、どんな動きをすればいいのか、今やるべきことの道標となってくれたのが「EXPLORE」なんです。そこからの行動は早くて。アルバムの発売時期もまだ何も決まっていない時期でしたが…今の自分の思いをすぐに伝えたくて、“EXPLORE Tシャツ”を先に作っちゃったり(笑)。
「EXPLORE」歌詞
EXILE TAKAHIRO右向け右に従って生きて
左向けばどうなるかなんて
頭でいくら考えたって
何も変わらず卑屈になるだけさもっと熱く魂滾らせ
(Explore the new world)
突き上げたその拳震わせ
(Explore the new world)
生き抜くための恥なら晒せ
(Explore the new world)
新たな世界を今切り拓け
Explore the new world!!懲りずに同じ橋を叩いて
怖気付いてまた引き下がって
先を征く勇者に舌を巻いて
いつまで指をくわえて嘆くのかさぁ真実の目研ぎ澄ませ
(Explore the new world)
歪んだ正義感なんて蹴散らせ
(Explore the new world)
奪われた自由を取り戻せ
(Explore the new world)
悔やまない人生を貫け
Explore the new world!!作詞:TAKAHIRO
作曲:TAKAHIRO・Yasuo Kijima
編曲:Yasuo Kijima
──(笑)。「EXPLORE」は今回のアルバムに向かっていく“始まり”の曲であり、その後のソロ活動に繋がっていく大切なキーワードになったのですね。
TAKAHIRO:幼い頃から追い込まれないと宿題をしないタイプだったので、「とにかく作るんだ! やるんだ!」と決めることで、自分を追い込みました。初ライブツアー『EXILE TAKAHIRO LIVE TOUR “TAKAHIRO 道の駅 2023”~Road to EXPLORE~』のタイトルに“Road to EXPLORE”と名づけたことで、少しずつ“EXPLOREってなんだ?”という謎が解けていく流れを作って、ニューアルバムの情報が解禁されて、ようやくTシャツの謎も解けたんじゃないかと思います(笑)。「EXPLORE」という楽曲は、ライブで歌う場面もすぐに浮かびましたし、今後のライブの要になっていくんじゃないかと思っています。僕の中で決意表明のような曲になったので、アルバムのタイトルは“EXPLORE”しかないなと、早い段階から決めていました。
■ライフワークと豪語する、“EXILE RESPECT”シリーズ
──2020年より始めた“EXILE RESPECT”シリーズですが、本アルバムではこれまで配信した楽曲に加え、未発表だった「Everything」「羽1/2」「Ti Amo」が収録されました。この3曲を選んだ理由は?
TAKAHIRO:「Everything」は、EXILE第二章の始まりにリリースした楽曲だったので、“EXILE TAKAHIRO”としてのデビュー曲という思いが自分の中にあるので選曲しました。
▼EXILE / Everything
「羽1/2」は、自分がEXILEのいちファンの頃から大好きな曲なので、独断で選ばせてもらいました。そして、「Ti Amo」に関しては、実は自分が“EXILE RESPECT”シリーズを始めるきっかけになった一曲なんです。
僕には、歌うたびにボーカリストとしての壁にぶち当たり、悩み、苦しんだEXILE楽曲がいくつかあって。でも、僕自身が心からその楽曲を愛せていないのはEXILEに対して、ファンの方に対して、とても失礼なことだとずっと思っていたんです。いつか、必ずボーカリストとして自信を持って、自分らしく(苦手意識のある楽曲を)お届けできるよう、自分にたぐり寄せていこうという思いが“EXILE RESPECT”へと繋がりました。その思いのど真ん中にあるのが「Ti Amo」だったんです。心から愛せるようになった今だからこそ、自信を持って皆さんに「Ti Amo」をお届けすることで、自分がもがいていたあの日々が報われるのかなと。
今回の初ツアーで歌った時に、改めて素晴らしい曲だなと再確認できましたし、自分らしい「Ti Amo」の伝え方がお届けできたと思っています。
▼EXILE / Ti Amo
──“EXILE RESPECT”は、ボーカリスト・TAKAHIROに大切な気づきをくれた場所だったんですね。
TAKAHIRO:本当にそう思います。歌い続けてきて強く感じるのは、先程のコロナ禍での話にも近いのですが、時を超えて改めて楽曲を輝かすのは自分の行動次第なんだということ。ソロ活動の中で自分が見つけたものや感じたこと、出会った方たちが、必ずEXILEの活動や新しいEXILEへと繋がっていくと信じているので、自分のライフワークである“EXILE RESPECT”は今後も定期的に続けていきたいです。“継続は力なり”、続けることで根づいていくものだと思っています。
■ATSUSHI&清木場俊介から受け取ったプレゼント
──さらに、今作ではATSUSHIさんが作曲、清木場俊介さんが作詞を手がけた「Spotlight~光の先へ~」が収録されているのも大きなトピックスです。
TAKAHIRO:本当にありがたい話です。ATSUSHIさんと俊さんのなかで「いつかTAKAHIROに楽曲をプレゼントできたらいいよね」というお話をされていたそうなんです。自分が歌手になるきっかけになったおふたりで、いちばんの憧れのおふたりから曲をプレゼントしていただける日が来るなんて…感動です。高校1年生の時、おふたりが歌われているEXILEのMVを擦り切れるまで見ていた長崎在住の敬浩少年に教えてあげたいです。きっと「そんなことあるわけないじゃん!」って、絶対に信じてもらえないだろうけど(笑)。
──この楽曲をピアノと歌のみで届けたことに、TAKAHIROさんの覚悟を感じました。
TAKAHIRO:裸一貫で歌いたかったので、おふたりに「ピアノと歌だけで届けたいです」とお伝えしたところ、おふたりもそう思っていたとおっしゃってくださって。おふたりがプレゼントしてくださった「Spotlight ~光の先へ~」を歌うことで、自分はもうひとつ成長しなければいけないという責任を感じましたし、ここでまた殻を一枚破って成長した姿をお見せすることが恩返しになると思いました。自分はそうしなければいけないんだという使命、これからに繋がる想いを強く持って表現した一曲です。
「Spotlight ~光の先へ~」歌詞
EXILE TAKAHIRO光が差すこの場所で
「僕らしさ」を探していた
何処となくぎこちない
心の儘 時が過ぎて…このまま溺れた夜に
押し潰されてしまいそうで…人は誰でも孤独の中で彷徨って
戸惑いながら生きて逝くから
乗り越えた先に満たされる笑顔が…。人の夢の中で生き
僕は僕を押し殺したんだ
目指す高みへ真っ直ぐに
突き進んで此処まで来たそれでも時折見せる
溢れた涙と共に…人は誰でも弱さと戦い傷付いて
打ちのめされても強く成るから
立ち向かう先に輝いた光が…今叫ぶからどんなに離れても
力強く願いを込めて
光が差すこの場所でいつも君の為…
唄ってる…から。作詞:清木場俊介
作曲:ATSUSHI
編曲:SION
■アルバム『EXPLORE』完成で見えた、この先
──アルバム『EXPLORE』が出来たことで、見えたこと、感じたことを教えてください。
TAKAHIRO:これまで通りEXILEの活動が最優先であることは変わらないですが、このアルバムが出来たことで、ソロ活動における土台のようなものができたと思いました。コロナ禍もあってなかなか定期的にソロ活動をすることはできなかったですが、この10年という土台が、自分にとってあらたなスタートになったと思っています。“EXPLORE”という言葉通り、これからも探求心を忘れず、もっと自由に自分らしく活動していきたいです。
──アルバムが出来たことで、ソロライブでやってみたいことも生まれたのでは?
TAKAHIRO:今回、初のライブツアーをまわって改めて感じたのは、皆さんの地元に自分が足を運ぶことは大事だなと。やっぱり自分の地元でライブを観ることは、一生残る思い出になると思う。客席を見ると、親子で来てくださっている方もたくさんいらっしゃりましたし、男性の方もたくさんいて。幼稚園の頃からファンです! と言ってくださる方がいて、まだまだですけど、そんなに長く歌ってきたんだな~としみじみと実感したり。こんなにたくさんの方が自分を待っていてくださっているんだと、景色の一つひとつが活動の糧になっています。皆さんが求めてくださるなら、僕はできるかぎり多くの街に足を運びたい。ソロで47都道府県をまわるツアーも、またやりたいですね。
INTERVIEW & TEXT BY 松浦靖恵
PHOTO BY 橋本憲和
HAIR & MAKE UP BY CHIE(H.M.C)
STYLING BY WATANABE YASUHIRO(7B)
■楽曲リンク
2023.09.06 ON SALE
ALBUM『EXPLORE』
ライブ情報
『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”』
9/21(木)東京・日本武道館
詳細はこちら
https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/22697/
プロフィール
エグザイル・タカヒロ/1984年12月8日生まれ、長崎県出身。EXILEのヴォーカル。’13年、「一千一秒」でソロデビュー。2023年春に初のソロツアー全20公演を完走し、同年9月21日に日本武道館で一夜限りのソロライブ「EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”」を開催予定。
EXILE OFFICIAL SITE
https://www.exile.jp/