■「一瞬一瞬にドラマがある。まさにプレミアムライブ。楽しく演らせてもらってます」(明希)
シドがファンミーティングツアー『SID 20th Anniversary Premium FANMEETING TOUR 2023』を8月26日、東京・Zepp Hanedaにて開催した。
バンド結成20周年を記念して、7月23日からファンミーティングツアー『SID 20th Anniversary Premium FANMEETING TOUR 2023』を行っているシドが、8月26日、東京・Zepp Hanedaでその5公演目となるイベントを開催。本ツアーは、2023年12月27日に東京・日本武道館にて20周年のフィナーレを飾る『SID 20th Anniversary GRAND FINAL「いちばん好きな場所」』に向けたスペシャルファンミーティングという位置付け。そもそも、シドがこのようなファンミーティングツアーを行うのは、今回が初。彼らの新しい挑戦を観たいというファンが殺到したため、チケットは早々にソールドアウトとなった。
公演は通常のライブとは異なり、2部構成となっていて、1部はこのツアーのためにあらたなアレンジを施した楽曲をアコースティック編成で演奏するライブ。2部は、シドの20周年の歴史を様々なゲームを交えながら振り返っていくトークショーという、まさに20周年という節目だからこそ観られる、プレミアムな内容のファンミーティングになっていた。
開演前のロビーには毎公演ごとにメンバーの衣装展示が行われており、この日は『SID TOUR 2017「NOMAD」』で4人が着用していた真っ白い衣装がファンをお出迎え。20周年ならではの特別展示に続き、場内もステージには赤いドレープカーテンや大きなシャンデリア、大小4機のミラーボール、キャンドルスタンドなどがセットされ、空間全体がいつものシドのライブとは違う、クラシカルで格調高い雰囲気に包まれていた。
定時、舞台にラグジュアリーな衣装に身を包んだ4人が静かに登場。フロントに上手からゆうや(Dr)、Shinji(Gu)、マオ(Vo)、明希(Ba)が並ぶというイレギュラーな立ち位置で、ライブは「live」で幕開け。ゆうやは小ぶりなドラムセットの横にあるコンガを叩き、Shinjiがアコースティックギターを奏でると、マオが柔らかなタッチの歌声を乗せ、明希のベースフレーズまで人肌の温もりを感じさせるような表現で「live」をアクト。今回、アコースティックアレンジを担当した葉山拓亮(Key)は、サポートメンバーとしてツアーにも帯同し、明希の横で、シドサウンドにエレガントな彩りを加えていく。
20年目にして、編成もサウンドも真新しい扉を開けたシド。4人は椅子に座り、これまでライブで聴き慣れた曲を大人びたムードで次々と演奏。集まったオーディエンスは、メンバーそれぞれのテクニカルで艶っぽい音像に集中して没入しながら、楽曲のあらたな魅力、新しいシドの表現を発見してはうっとりとした表情を浮かべる。本公演で5本目となったバンド初のアコースティックライブについて「毎回違うよね。みんな、アレンジを変えてくるから」とマオが感想を述べると「だから、一瞬一瞬にドラマがある。まさにプレミアムライブ。楽しく演らせてもらってます」と明希が付け加えた。
そして、後半はシドのライブならではの客席のシンガロングを即すようにマオが椅子から離れ、観客にマイクを預けると、アコースティックライブとは思えない様相で、どんどん盛り上がりを作っていく。ミラーボールが燦然と輝く空間に、シドのアニバーサリーのアンセム「ANNIVERSARY」が放たれると、この日最大の合唱が客席から響きわたり、場内にひたすら歓喜が広がっていくなかで1部は終了した。
休憩を挟んで、2部は司会進行役として、大阪でラジオDJを行っている下埜正太がMC役で登壇。メンバーを呼び込み、2部はシドとオーディエンス、みんなで飲み物を持ち、20周年を祝福する乾杯から幕開け。そうして、このあと彼らは楽器のない舞台で、本格的なトークショーを繰り広げていったのだ。
最初に始まった「推しライブ」コーナーは、これまで過去に約400本のライブをやってきたシドのライブの中から、スタッフが選んだ過去のライブ映像とMCを舞台上のスクリーンに映し出し、それを全員で鑑賞しながら当時の思い出などを語り合うというものだった。この日の「推しライブ」は『SID TOUR 2014 OUTSIDER』の「CANDY」。ライブ映像が流れると、誰もがすぐさまShinjiの奇抜なヘアスタイルに着目。「俺、化石だね。アンモナイトみたい」とShinji自ら自分につっこみ、場内の笑いを誘った。
次に用意されていたのは、正解をファンがジャッジメントする「ファンのあなたが正解です」コーナー。こちらは、出題されたクイズに対してメンバーが回答をフリップで表示。その中で“いいな”と思ったメンバーの名前を観客が叫び、そのデシベルを集音器で測定して1位になった人はポイントを獲得。最下位のメンバーには罰ゲームが課せられるというものだった。
「シドクイズ」として「シドの20年を漢字2文字で表すと?」というお題には、Shinjiが「20年でライブ通算400本、プロ生活20年で400本の本塁打を放った阿部慎之助の“阿部”」、マオが「最愛のみんな、最愛のメンバー、最愛のスタッフと歩んできた20年で“最愛”」、ゆうやが「それぞれのカラーを保ちながらいろいろ辿ってきた20年で“色彩”」、明希が「モノを作り続けた20年は、表現の連続。表現をやめなかったから“表現”」と回答。ここでは観客の声援でマオがポイントをゲット。しかし、最後の「お絵かき対決」で、会場にちなんだ「飛行機」のお題にマオが最下位となり、罰ゲームをやるはめに。ボックスから自ら選んだ罰ゲームテーマに従い、マオはこのあと、ステージ上を移動しながら90秒間モデルポーズを決めながらパフォーマンス。その間、SNSなどへのアップは禁止とした上でスマホでの撮影が許可されると、場内は大歓声に包まれた。
このあとは「質問コーナー」へ。こちらは事前に募集したファンの質問にメンバーが回答していくというもので、いくつかの質問の中から「ここは海です。何をしますか?」という質問で大盛り上がり。Shinjiは「マテ貝をチューペット感覚で食べたい」、マオは「ジェットスキー。誰もいないところで大声で叫ぶ」と答えたあと、ゆうやが「俺はナンパかな」と言うと、客席に一瞬冷ややかな空気が広がったため、リズム隊ならではのコンビプレイで明希が「俺もゆうやと一緒でナンパかな」と助け舟を出すと、「ウギャー」と観客はものすごい悲鳴を上げて狂喜。「なにそれ、ギャーってなんだよ! おかしいだろ!」と憤慨するゆうやの横で、「最高だね」と笑い合うマオとShinji。
こうして、普段は絶対に観られない4人の素顔満載の抱腹絶倒トークをたっぷり楽しんだあと、年末の日本武道館に向けてShinjiは「トークではふざけてましたけど、武道館に向けて、音楽は真面目に向き合って少しでもカッコいい姿になって。シドが20年積み上げてきたものをお届けできたら」と伝え、マオは「今回はアコースティックを初めてやって、ふざけたトークでは各々のキャラクターも出たイベントでしたけど。本来、シドのライブはみんなで盛り上がって、騒いで、みんなの声援で4人がキラキラしてる。そんな姿を武道館ではたっぷり見せたいと思います」と続けた。そして明希が「ナンパ師の明希です。12月27日は一人ひとりに声をかけにいくので楽しみに待っててください」といって客席を狂喜乱舞させると、ゆうやも「大好きな皆さん。ひとつだけ言いたいことがあります。愛してます」とナンパ師になりきった発言で客席を大いに笑わせ、4人はステージをあとにした。
このあと武道館に向けて『SID 日本武道館公演 2017「夜更けと雨と」「夜明けと君と」』のライブ映像「ANNIVERSARY」を観て、2部は終了した。
この公演当日、オフィシャルサイトを通じて12月27日、日本武道館で開催する『SID 20th Anniversary GRAND FINAL「いちばん好きな場所」』のチケット詳細について発表していた彼ら。
いろんな困難がありながらも、20周年を駆け抜けたシドの感動のフィナーレ。シドとファンの絆で、シドがメジャーデビュー記念ライブを行ったあの「いちばん好きな場所」をみんなの笑顔で埋め尽くし、あらたな歴史を生み出すこの瞬間を見逃すな。
TEXT BY 東條祥恵
PHOTO BY 今元秀明
<セットリスト>
1.live
2.嘘
3.声色
4.涙雨
5.その未来へ
6. ANNIVERSARY
リリース情報
2023.06.14 ON SALE
DIGITAL SINGLE「Prologue~海辺~」
シド 20th Anniversary Special Site
https://www.sid20th.jp/
シド OFFICIAL SITE
http://sid-web.info/