TEXT BY 森朋之
■OKAMOTO’Sのターニングポイントを端的に象徴する曲
OKAMOTO’Sが『THE FIRST TAKE』に初登場。代表曲「90’S TOKYO BOYS」を『THE FIRST TAKE』オリジナルパフォーマンスで披露している。2020年に行われた『THE FIRST TAKE FES vol.1』に出演し、「Welcome My Friend」「NO MORE MUSIC」を生演奏したOKAMOTO’S。今回、満を持して出演した『THE FIRST TAKE』でも、「毎回が“THE FIRST TAKE”」「人生が“THE FIRST TAKE”」というメンバーのコメントにふさわしい、“この場所、この瞬間”にしか生まれない貴重なパフォーマンスを繰り広げた。
7thアルバム『NO MORE MUSIC』[2017年]の1曲目に収められた「90’S TOKYO BOYS」(作詞:オカモトショウ / 作曲:オカモトショウ、オカモトコウキ)は、音楽性、アレンジ、リリックを含め、OKAMOTO’Sのスタンスを象徴する楽曲だ。
アルバムの制作が終盤に差しかかり、曲が出揃った段階でハマ・オカモト(Ba)が「ショウとコウキで共作してみたら?」という提案をしたことが、この曲が生まれたきっかけ。鋭利なカッティングを活かしたコウキ(Gu)のギターリフ、日本的な叙情性とブラックミュージックの匂いが混ざり合うショウ(Vo)のボーカルが、この楽曲の背骨であることは間違いない。そして、それを支えるのがハマとオカモトレイジ(Dr)によるリズムセクション。濃密なファンクネスを含んだグルーヴとロック的なエッセンスを注入したアレンジは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのOKAMOTO’S的解釈と言ってもいいだろう(ちなみに彼らはアルバム『欲望』[2011年]でレッチリの代表曲「Give It Away」をカバーしている)。
歌詞のテーマは、「90’S TOKYO BOYS」というタイトルどおり、“90年生まれの東京の男の子”。つまり、OKAMOTO’Sのメンバー自身のことだ(ショウ、コウキは90年生まれ、ハマは91年3月、レイジは91年1月生まれ)。例えば、“新宿まで小田急line”、“代田公園眠いまま歩く”などのラインは、彼らの生活圏の風景そのもの。毎日を楽しみながらも、なぜかぼんやりとしたムードに包まれ、終わりなき日常を生きざるを得ないという気分は“全体的にスカッとしない 昨日の続きを終わらせたい”というフレーズに集約されている。リリース当時、メンバーは20代中盤。全員が10代のときにアルバム『10’S』[2010年]でデビューを果たした4人は、作品とライブを重ねるなかで徐々に大人になり、もう子供ではないという諦めにも似た感情を覚え始める。それは間違いなく彼らのターニングポイントであり、その時期を端的に象徴しているのが、「90’S TOKYO BOYS」という楽曲なのだと思う。
今年行われたホールツアーに『90’S TOKYO BOYS IN HALL 〜爆笑ストイックライヴ〜』というタイトルを冠するなど、OKAMOTO’Sのシンボル的な役割を果たしている「90’S TOKYO BOY」。初めての『THE FIRST TAKE』で彼らがこの曲をセレクトしたのは、当然の結実と言えるだろう。
『THE FIRST TAKE』では、ショウがヘッドホンを手に取るシーンからスタート。「やるっぽいよ」と声をかけると、ハマ、コウキ、レイジがそれぞれの楽器を鳴らして“OK”の合図を送る。そして「いける? カモン、コウキ!」というショウのシャウトに導かれ、シャープなギターリフが放たれる。さらにメンバー全員の音と声が合わさった瞬間、思わず身体を揺らしたくなるグルーヴが出現。文句なくカッコいい。
ご存知のとおり『THE FIRST TAKE』は、“やり直しナシの一発勝負”のパフォーマンスを魅せるコンテンツだが、これほどまでに完成度の高い演奏はちょっと記憶にない。ただうまいだけではなく(いや、もちろんうまいのだが)、すべての楽器が有機的に絡み合い、しなやかさと奥深さを共存させたアンサンブルが見事に体現されている。緊張感とリラックスがうまく混ざり合った雰囲気も魅力的。長めにアレンジされたアウトロでは、踊りまくるショウがカメラのフレームの外に出たり、ハマがカメラ目線でアピールする場面も。余裕だ。
中学からの同級生である4人は、高校時代からバンドを組んでライブ活動を展開。つまり彼らには15年近いステージ経験があり、“一発勝負”を続けてきたライブ猛者なのだ。今回の『THE FIRST TAKE』における最高のパフォーマンスも、メンバーにとっては“これくらい、いつもやってるよ”ということなのかもしれない。
OKAMOTO’Sは9月29日にニューアルバム『KNO WHERE』をリリースする。世界的ヒットを記録したTVアニメ『富豪刑事Balance:UNLIMITED』エンディング・テーマ「Welcome My Friend」、ドラマ25『直ちゃんは小学三年生』オープニングテーマ「Young Japanese」などの話題曲を収めた本作は、メンバーの生々しいプレイが存分に活かされた作品に仕上がっている。『THE FIRST TAKE』の「90’S TOKYO BOYS」のパフォーマンス、そしてニューアルバム『KNO WHERE』によってOKAMOTO’Sは、ロックバンドとしての魅力を改めて証明することになりそうだ。
リリース情報
2021.09.29 ON SALE
ALBUM『KNO WHERE』
YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
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『THE FIRST TAKE』OFFICIAL SITE
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