「『誰だってNeed Music』の由来にもなっている、“誰だってNeed you”という『キャラクター』の言葉のリフレインが、多くの人の支えになったらいいな」(緑黄色社会・小林壱誓)
緑黄色社会の小林壱誓(Gu)が、レコメンドしたい音楽を紹介する『誰だってNeed music』。第51回となる3月26日放送で紹介した楽曲は、緑黄色社会「キャラクター」。
「今回で僕、小林壱誓は『誰だってNeed Music』を卒業いたします! ということで、やはりラストは、自分たちの曲で行かせていただきたいなと思って。ちょっと無理を言って、やらせていただいてます」という挨拶で始まったこの日の放送。「『キャラクター』は、2022年1月26日にリリースされたアルバム『Actor』に収録されている曲なんですけど。今の時代に生楽器でディスコ&ファンクを演じようとしたってのが、僕らのサウンドのこだわりですね」と、まずは楽曲とサウンドについて説明。
続いて、「いろんなキャラクターがいて、いろんな人生があるように、この曲の構成もあっちに行ったりこっちに行ったり。頭サビ~Aメロ~Bメロ~サビ~Bメロ~Bメロ~サビ~迷路サビみたいな、目まぐるしい展開になってます」と、楽曲の構成について話すと、「この曲の解説をするに当たって、まず話しておかないといけないのが、緑黄色社会というバンドの理念ですね。僕ら緑黄色社会は、“ずっとリスナーと一緒に横並びで生きていきたい、頑張っていきたい、同じように成長していきたい”って気持ちで音楽をやってきたんですけど。この『キャラクター』という曲の制作時は、メンバーが20代の後半に突入したぐらいだったんで。『俺たち私たちも、そろそろリスナーの手を取って、引っ張っていけるような曲も書いていこうよ』と。『そういうアーティストになっていこうぜ』という総意から、制作を始めていきました」と、楽曲制作時の心境を語る。
さらに、「僕はこの曲の作詞に関わってるので、ちょっと言葉の部分を広げさせていただきたいんですけど。この曲は、“誰だって必要とされているよ”ってことを歌った曲です」と語り、「ここまで率直にポップに、その内容を歌にするっていうのが、初めは抵抗がありました。あなたの人生を知らない僕たちが、綺麗事にも聞こえてしまうような言葉を届けるってことに抵抗があったんですね。でも、ボーカルの長屋(晴子)と話していくにつれて、いま生きてるこの時代、逆に綺麗ごとが全然、歌われてないように思えてきたんですよ」と、自身の考えを話した小林。
「影に寄り添うのも、音楽で人を導く素敵なあり方だと思うんですけど。同じように光へ呼び込むのも、音楽の美しい在り方だなと思ってます。だから、僕は希望に満ちた光を無責任に放ちたいと思ったんです。聴いてくれてる人みんなの人生はもちろん知りえないけれど。それぞれの解釈で、それぞれのタイミングで聴いてもらった時に、誰か1人でもなにか救えたらなと思いました」と、この曲に込めた思いを真摯に語ると、「それを前提に、今からこの曲のメッセージを伝えたいと思います。すいません、これが前提です。長いですね、ごめんなさい(笑)」と、本題に入る。
「まず、『みんな、どうやって自分を形作ってきたか?』っていう話なんですけど。みんな誰かの真似をして、生きる術を学んでいって。少なからず周りと比べてみたりして、自分の在り方を定めてきたと思うんです。で、そうやって、人と関わって、影響を与え合って、成長していくっていう。その複雑で素晴らしい現象の裏で、『自分はいったい何者なのか?』 っていう、哲学的な悩みが生まれてくると思うんです。これはいろんな歌で歌われてることだと思うんですけど、僕らはそれに対して、“僕らなりのひとつの解”というのを提示したかったんです」と、この曲のテーマを説明した小林。
「話が少し飛ぶんですけど、高校生のときに“倫理”って授業があって。それで習った、社会学者のジェームズ・コールマンの言葉を僕はずっと覚えてて。彼は『人は関わりのある人の数だけ、社会的事項を持つ』というのを提唱してて。それを初めて教科書で読んだ時、妙に腑に落ちたんですよね、『あ、本当にその通りだな』と。どんな自分も自分だし、自分のキャラクターってのは、自分がその環境に応じて使い分けてる、たくさんの顔であるから。ひとつにまとめることなんて出来ないよなっていうのをすごい思って」と、歌詞が生まれたたキッカケについて話すと、「『あの人と喋ってるときは気を遣うし、本当の自分じゃない気がする』って思えてるとしたら、そう思えてる心の声は、間違いなく自分のものだし。『でもあの人から見えてる僕は、きっと違うキャラクターなんだろうな』みたいな。そういう数多の環境にもまれて、数多の自分が生まれていくと、どれが本当の自分なんだろう? となるのは当たり前だと思うんですよ。僕は『もう、どれも自分であって、どれも必要とされている、愛すべきキャラクターなんだな』と思うようにしています」と、自身の根底にある考えを説明。
最後に、「極論、みんな生まれてきただけで、誰かに関わっていて。その存在自体に、間違いなく何らかの意味がある。『自分1人くらい、この世界からいなくなっても、何も変わらんよな』って思えるときもあるんだけども。あなたが今、そこに存在しているってことは、あなたがどれだけ嫌だろうと、あなたはこの世界にまだ必要ってことだと思うんですよ。こんな風に、ああだこうだ考えてると、正解不正解ってのを探してしまうんですけど。これはあくまで哲学だから、間違ってないし、合ってないっていう。緑黄色社会として提示できる、“ひとつの解”っていうのは、『もう、訳が分からなくてもいいから、とにかく、あなたはあなたをまだまだ存分に愛すべきだ』っていうことです」と、熱いメッセージをリスナーに届けた小林。 「『誰だってNeed Music』の由来にもなっている、“誰だってNeed you”という『キャラクター』の言葉のリフレインが、少しでも多くの人の支えになったらいいなと思っています」と、楽曲や番組タイトルに込めた思いを語り、「1年間本当にありがとうございました」と挨拶して、番組を締めくくった。
『誰だってNeed music』は、J-WAVE(81.3FM)で毎週日曜午後に放送中の『SAISON CARD TOKIO HOT 100』内で、13時30分~、15時25分~(※)放送。毎回1曲ずつ、小林壱誓が自らセレクトしたおすすめ楽曲を紹介。熱量の高いレコメンドで、楽曲の新たな魅力を伝えていく。
『THE FIRST TIMES』では、放送しきれなかった小林の言葉もノーカットで紹介。radikoでは、放送後から1週間、視聴可能となっている。
『誰だってNeed music』プレイリスト
『誰だってNeed music』概要
3月26日(日)放送
毎週日曜13:30~、15:25~放送
※放送時間は毎週入替
※J-WAVE『SAISON CARD TOKIO HOT 100』内で毎週放送される120秒の長尺CM企画。
緑黄色社会 OFFICIAL SITE
https://www.ryokushaka.com/