■火花の爆裂音が響き、シリアスな立ち上がりでライヴは進んでいく
「昨日も『ONAKAMA』で、音楽好きだなと…」と辻村勇太(Ba)はしみじみとライヴ中に呟いていた。そう、BLUE ENCOUNTは2月10、11日と2日連続で日本武道館公演を行った。10日はインディーズ時代からの盟友であるTHE ORAL CIGARETTES、04 Limited Sazabys、BLUE ENCOUNTによる合同主催イベント『ONAKAMA 2023』、今日11日は『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin’ on the new door~』ツアー・ファイナルの地として武道館を選んだ。既報の通り、今春に辻村がアメリカに活動拠点を移すため、渡米前のラストツアーとなった。
SEが流れると、田邊駿一(Vo/Gu)、江口雄也(Gu)、辻村、高村佳秀(Dr)のメンバー4人が登場。田邊による弾き語りからバンドインするアレンジにより、「アンコール」でショーは始まった。1曲目を終えた後、「BLUE ENCOUNT、日本武道館、始めます!」と宣言して「Survivor」に突入。火花の爆裂音が響き、シリアスな立ち上がりでライヴは進んでいく。その空気感をアッパーな「ポラリス」で突き破り、「DAY×DAY」、「ロストジンクス」と熱気は右肩上がりに上昇。「vendetta」をやり終えると、田邊は35歳で運転免許証を取ったことを報告。スクリーンにその免許書をアップする演出もあり、会場は笑いに包まれる。
■「絶対、俺たちとあなたたちの物語は終わらせないからね!」
派手な照明と共に「コンパス」に入ると、アッパーな曲調が続く。めくるめく展開で聴かせる「ルーキールーキー」、辻村による「武道館!」のコール&レスポンスを導入した「NEVER ENDING STORY」と繋げ、「絶対、俺たちとあなたたちの物語は終わらせないからね!」と田邊は力強く宣言。
そして、メンバー4人が一旦ステージから消えると、スクリーンには地元・熊本でお世話になったライヴハウスを含むコラージュ映像に加え、辻村作曲によるBGMが流れる演出も効果的であった。それからミラーボールが光る中、バンド・ヒストリーを綴った「city」を披露。その流れから8人のストリングス隊を迎え、「Z.E.R.O.」、「虹」をプレイ。楽曲の魅力を底上げする壮大かつドラマティックなアレンジに心を激しく揺さぶられてしまった。演奏後、「素敵でした。超気持ちいいー!」と子どものように叫ぶ田邊。その気持ちはこちらにも十分伝わってきたし、このストリングス・バージョンはハイライトのひとつと言えるものだった。
ショーは後半に差し掛かり、「もっと光を」をここで投下。スクリーンには涙を浮かべる女性ファンの姿が映され、本当に多くの人に愛されている楽曲であることを痛感した。それから「#YOLO」、「VS」、「バッドパラドックス」と連打し、場内は騒乱状態に陥る。そして、「今日ライヴをやって、完璧じゃなくて良かった。だから、いろんな人と出会えた。この歌があなたの新しい扉になりますように!」と田邊は告げ、「DOOR」を披露。メッセージ性の強い歌詞をまっすぐ届けた後、本編ラストはブルエンらしさを120%詰め込んだ「青」で盛大に締め括った。
■ひとつの季節を終えて、“これからのブルエン”に期待させる武道館公演になったのは間違いない
アンコールに応えると、再びストリングス隊を呼び込み、「それでも、君は走り続ける」を披露。銀テープが舞い踊る演出に観客も沸き、ラストスパートは「だいじょうぶ」、「HANDS」を畳み掛ける。特に後者はバンドとファンの絆を深めた楽曲だけに、田邊のエモーショナルな歌声がより一層胸に突き刺さった。また、「今年は新しいお知らせがいっぱいある」と田邊がMCで触れる場面もあり、ひとつの季節を終えて、“これからのブルエン”に期待させる武道館公演になったのは間違いない。今後のライヴに関してはサポート・メンバーを迎え、辻村は変わらずバンドの作曲に携わることになっている。今日はひとつの節目ではあるけれど、“大きな始まりの一歩”として受け止めた観客が多かったのではないだろうか。そう言えば、高村は「ツジ(辻村)がアメリカに行って、俺らの曲がどうなるのか、ワクワクしている」とコメントしていた。BLUE ENCOUNTはいい意味で変化を遂げ、我々の前に再び姿を現してくれることだろう。前例のないチャレンジではあるけれど、新しい扉を開く彼らの表情はこれまでになくキラキラと輝いていた。
TEXT BY 荒金良介
PHOTO BY ハマノカズシ(メインカット)/ヤマダマサヒロ
BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 〜knockin’ on the new door〜 THE FINAL
2023年2月11 日(土) 日本武道館
セットリスト
1.アンコール
2.Survivor
3.ポラリス
4.DAY×DAY
5.ロストジンクス
6.HEART
7.vendetta
8.コンパス
9.ルーキールーキー
10.NEVER ENDING STORY
11.city
12.Z.E.R.O.
13.虹
14.もっと光を
15.#YOLO
16.VS
17.バッドパラドックス
18.DOOR
19.青
EN-1.それでも、君は走り続ける
EN-2.だいじょうぶ
EN-3.HANDS
楽曲リンク
リリース情報
2023.2.8 ON SALE
MINI ALBUM『Journey through the new door』
BLUE ENCOUNT OFFICIAL SITE
https://blueencount.jp