デビュー20周年を迎えたFLOW。『THE FIRST TAKE』初出演で披露した「GO!!!」が話題を集めているが、「Sign」「COLORS」「DAYS」など、これまで数多くの人気アニメソングを手がけている。
今回はそんなFLOWのキャリアを紐解くとともに、特に人気の高いFLOWのアニソンを厳選! 経験を重ねるごとに熱を帯びる、彼らを探っていきたい。
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■国内外で活躍!ミクスチャーロックバンド
FLOW(フロウ)
・結成:1998年
・メジャーデビュー:2003年7月2日(シングル「ブラスター」)
・メンバー:KOHSHI(Vo) / KEIGO(Vo)/ TAKE(Gu)/ GOT’S(Ba)/ IWASAKI(Dr)
・OFFICIAL SITE https://www.flow-official.jp/
・Twitter @FLOW_official
・Instagram @FLOW_OFFICIAL_JAPAN
・TikTok @flow_official_japan
・Weibo FLOW_JP
・YouTube FLOW Official YouTube Channel
1993年から音楽活動を行っていた、実の兄弟であるKOHSHIとTAKEが1998年にFLOWを結成。1999年にKEIGOとGOT’S、2000年にIWASAKIが加入し、現在のメンバー編成となる。
バンド名の由来は、ヒップホップ用語のflow(フロウ/発声、言葉の抑揚。ラップのメロディ)という言葉の語感に惹かれたKOHSHIが、“流れる、浮遊する”という意味もあることを知り、FLOWと命名。
2003年、海援隊「贈る言葉」のカバーをリリースし、インディーズながら30万枚の売り上げを記録。同年7月にシングル「ブラスター」でメジャーデビュー。
なお、「贈る言葉」はリリースから20年が経った2023年、最新アルバム『Voy☆☆☆』のボーナストラックに「贈る言葉(20周年アニバーサリーバージョン)」として再収録。海援隊のボーカルである、俳優・武田鉄矢と共演したMVとドラマ映像も公開され、再び話題を集めている。
▼FLOW「贈る言葉(20周年アニバーサリーバージョン)」Music Video
▼FLOW「贈る言葉(20周年アニバーサリーバージョン)」Drama Video
2004年、アニメ『NARUTO -ナルト-』のオープニングテーマとして、自身初のアニメタイアップとなるシングル「GO!!!」をリリース。2005年、アニメ『交響詩篇エウレカセブン』のオープニングテーマである「DAYS」をリリース。どちらもオリコンチャート上位を記録。
ツインボーカルが織りなすメロディの強さや強靭なバンドサウンド、多彩な音楽要素を内包したミクスチャーロックで、圧倒的なオリジナリティを放つFLOWの音楽性はアニメ作品との相性も良く、その後も『コードギアス 反逆のルルーシュ』オープニングテーマとして「COLORS」(前期)と『コードギアス 反逆のルルーシュR2』「WORLD END」(後期)を、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』第6期オープニングテーマおよび『NARUTO -ナルト- 少年篇』第5期エンディングテーマを飾った「Sign」など、多数のアニメ作品とタッグを組み、FLOWの名を広く知らしめると同時に、アニメとの親和性の高さを証明した。
さらに、FLOWは心に突き刺さる歌力とたしかな演奏力、そしてアグレッシブなパフォーマンスも相まってライブの定評も高いバンドだ。
その評判は国内だけにとどまらず、2006年、アメリカ・テキサス州で行われたアニメのコンベンションに招聘されたことをきっかけに、現在も海外でのライブ活動を精力的に行い、これまで19ヶ国62公演を敢行。また、5thアルバム『MICROCOSM』は欧米44カ国でリリース。特に北米と南米での人気が高く、2022年12月に行われたメキシコでのワンマンライブでは、日本人アーティストとしては異例の3,000人を動員。
アニメとの親和性とライブ力、このふたつの要素をもったFLOWならではの取り組みとして、2017年12月には、アニメ提供曲のみを披露する『FLOW THE CARNIVAL 2017~アニメ縛り~』を開催。その反響の大きさに、18年に『FLOW THE BEST ~アニメ縛り~』と名づけたアニメ提供曲のみを収録したベスト盤をリリース。同コンセプトを掲げたツアーでは、歴代のアニソンヒット曲で世界各地のファンを魅了した。
近年も、アニメ『15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ』オープニングテーマである「DICE」や、アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』オープニングテーマである「GOLD」を発表。ライブバンドとして、多数のアニソンヒット曲を持つロックバンドとして。世界に名を轟かせながら、独自のスタンスを突き進んでいる。
▼FLOW「DICE」
▼FLOW「GOLD」
■支え合う、5人の仲間
KOHSHI(コウシ)
・担当:ボーカル
・生年月日:1977年4月22日
・血液型:O型
・出身地:埼玉県
・Instagram @KOHSHI_FLOW
FLOWのツインボーカルのひとりであり、ほとんどの楽曲の作詞を手がける。TAKE(Gu)の実兄で、学生時代に兄弟でX JAPANのコピーバンドをやるなか、オリジナル曲を作り始めたのがFLOW結成のきっかけとなる。イラストやデザインも得意とし、アパレルブランド『ROCK THE FELLOWS」を立ち上げたり、自身の個展も開催。最新アルバム『Voy☆☆☆』のジャケットもKOHSHI描き下ろしだ。また、大のお酒好きでも知られ、テキーラ好きが高じて“テキーラマエストロ”の資格を習得。
KEIGO(ケイゴ)
・担当:ボーカル
・生年月日:1977年7月1日
・血液型:O型
・出身地:東京都
・Instagram @keigo_flow
・Twitter @KEIGO_official
FLOWの前身バンドとなる、KOHSHI&TAKEのバンドのライブをよく観に行っており、ライブに飛び入り参加したこともあったため、FLOW結成時にボーカルとして勧誘される。人柄を表す温かみのある歌声でツインボーカルの片翼を担い、トークにも定評があるため、ライブやイベントなどではMCを担当。「BELIEVER」「蒼き惑星」などでは作詞も行っている。ミニアルバム『Fighting Dreamers』収録のバラード曲「旅の途中」では、初めての作詞作曲に挑戦。サッカー好きで、柏レイソルの熱狂的なサポーターである。
TAKE(タケ)
・担当:ギター、コーラス、プログラミング
・生年月日:1978年8月31日
・血液型:A型
・出身地:埼玉県
・Instagram @takeflow26
・Twitter @TAKE_FLOW
ギター、コーラス、プログラミングを担当。ほとんどの楽曲の作曲を行っており、アーティストへの楽曲提供や、舞台やドラマへの劇伴提供も手がけている。ギターを始めたのは“5万円事件”がきっかけ。学生時代、一緒にツインギターをやりたかった兄のKOHSHIがTAKEの貯金から無断で5万円を下ろし、勝手にギターを購入していたという出来事だ。ここからギターにのめり込み、結果としてギタリスト、ミュージシャンとしての道を歩むことに。登山、キャンプ、ジョギング、ロードバイクなど、多彩かつ本格的なアウトドア趣味を持つ。
GOT’S(ゴッツ)
・担当:ベース
・生年月日:1977年1月26日
・血液型:A型
・出身地:新潟県
・Instagram @gots_flow
・Twitter @GOTS_FLOW
1999年、結成初期にKEIGOに続き加入。“ごっちゃん”の愛称で親しまれる癒し系の愛されキャラだが、ベースプレイは技巧派で職人肌。黙々と奏でるテクニカルかつ重厚なサウンドでFLOWを支える。全員が作詞作曲をつとめたミニアルバム『Fighting Dreamers』では、圧巻のベースソロで始まる「秘密の作戦」を発表。2022年、ラーメン屋「ごっつ」とコラボラーメンを販売し、5月2日(“ごっつ”の日)に秋葉原店で一日店長もつとめた。
IWASAKI(イワサキ)
・担当:ドラム
・生年月日:1969年11月21日
・血液型:A型
・出身地:大阪府
・Twitter @hainepp
FLOWのドラムを担当。最後にFLOWに加入した、IWASAKIによって、バンド活動が本格化していく。頼れる最年長メンバーであり、衰えを知らないパワフルかつ正確なドラミングと、多彩なFLOW楽曲に対応する引き出しの多さで、バンドの屋台骨を担う。2016年に行われた年越しライブでは、円形ステージで回転しながらのドラムプレイに挑戦。料理が得意でなかなかの腕前とのこと。
■FLOW × アニソンの親和性
メジャーデビュー翌年の2004年、「GO!!!」が『NARUTO』オープニングテーマに抜擢。以降、『NARUTO』シリーズや『交響詩篇エウレカセブン』『コードギアス 反逆のルルーシュ』といった人気アニメ作品とタッグを組み、多くのヒット曲を生み出している。
2018年にアニメソング縛りのベスト盤『FLOW THE BEST ~アニメ縛り~』をリリースした際、「これ(アニソン)がFLOWの歴史そのもの」(KEIGO)と断言するほど、アニソンと深い結びつきを持つ、彼ら。
では、なぜここまでアニメとの親和性が高いのか? そこにはFLOWのアニソンへの真摯な向き合い方が、ひとつ理由としてあると思う。
例えば、『NARUTO』。スピンオフにあたる『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』も含め、FLOWは幾度となく主題歌を任されている。それは、彼らの聴衆を鼓舞する音楽性が作品とマッチしていることもあるが、いちばんは『NARUTO』という作品の世界を理解し、愛しているのがリスナー側にも伝わるからだろう。それでいてちゃんとFLOWの物語にも重ね合わせ、自身の音楽としても成立させている。
また、前述の『アニメ縛り』のインタビューにおいて「(アニソンに)いろんな挑戦をさせてもらったし、逆に自由度が高かったんじゃないかと思うくらいの曲もある」(TAKE)と語るように、そもそもが幅広い音楽を取り入れることに長けたミクスチャーバンドであるという強みを活かし、作品や楽曲ごとにスタイルや音楽性を柔軟に進化変化させてきたことも、アニメとの親和性の高さの理由のひとつ。
それは時にバンドの形態までも変化させ、アニメ『7つの大罪』ではGRANRODEOとコラボした「7-seven-」「Howling」を発表し、アニメ『15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ R2』ではORANGE RANGEとコラボした「デイドリーム ビリーヴァー」を発表。
▼FLOW×GRANRODEO「7 -seven-」
▼FLOW×GRANRODEO「Howling」
▼FLOW×ORANGE RANGE「デイドリーム ビリーヴァー」
アニソンが生んだ奇跡のコラボはアニメファンのみならず、音楽ファンも歓喜させた。個々の魅力を発揮しながら作品にしっかり寄り添った楽曲は、話題性だけでないコラボの意味と意義を感じさせるものとなっている。
FLOWは一発撮りのパフォーマンスを鮮明に切り取るYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に出演。「GO!!!」の深みと説得力は、これまでのキャリアを感じさせる。
▼FLOW – GO!!! / THE FIRST TAKE
■熱くてエモい!FLOW×アニソン人気10曲
「GO!!!」
2004年リリース、アニメ『NARUTO』第4期オープニングテーマであり、現在に繋がるFLOWのアニソンキャリアの起点となる初タイアップ曲。“音を立てず忍び寄る影が”など、忍者を想起させる歌詞を盛り込みながら、躍動感のある楽曲に仕上げており、ライブバンドならではの“節”が滲んでいる。作品に寄り添いながら、高みを目指す自身の物語へと置き換えることができ、今改めて聴くとすでにアニソンの親和性の高さの片鱗を見せていると実感。
「Sign」
2010年リリース、アニメ『NARUTO』と4度目のタッグとなったオープニングテーマ曲。エッジーなロックサウンドとエモーショナルなボーカルに乗せた、“「傷付かない強さよりも 傷つけない優しさを」”といった熱いメッセージが胸に響くこの曲。「『Sign』を聴くと、名シーンを思い出して泣きそうになる」というファンが多く、海外のファンから言葉の壁も乗り越えて厚い支持を受けている楽曲のひとつだ。
「COLORS」
2006年リリース、アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』前期オープニングテーマ曲。発売時の“UPPERな泣きディスコ!”のキャッチ通り、軽快な曲調に切なさを帯びたメロディの良さが映える、男泣き必至の楽曲。きっかけや葛藤をテーマとした歌詞は、“自分を 世界を 変えてしまえそうな”と始まる導入部分から作品世界へ没入させつつ、自身と重ね合わせて聴くこともでき、聴き終えた後は心に光が射すような爽快さと前向きさを与えてくれる。
「DAYS」
2005年リリース、アニメ『交響詩篇エウレカセブン』オープニングテーマ曲。ストリングスを全面に出したイントロから哀愁あるボーカルで始まり、4つ打ちのダンスビートに乗せて“あの日交わした約束はくだけて散った”と色褪せた景色を描く楽曲表現は「それまで無かった挑戦だった」とメンバーが後に語っている。『交響詩篇エウレカセブン』の世界観にあらたな表現方法を重ねることで、バンドの新境地を切り拓いたこの曲は、アニソンとの関係性もより深く強固にしている。
「HERO ~希望の歌~」
2013年リリース、国民的アニメの新作映画『ドラゴンボールZ 神と神』劇中歌。作品への愛とリスペクトをたっぷり感じる、キャッチーで痛快なナンバー。アニソンの原体験が蘇るような歌詞や曲調で、世界のファンに愛されるこの曲。ロックバンドのこだわりが見える、間奏や後半の展開も注目。同シングルには「贈る言葉」時代からカバー曲に定評の高いFLOWが渾身の歌と演奏でカバーする、影山ヒロノブ「CHA-LA HEAD-CHA-LA」も収録。
「Re:member」
2006年リリース、アニメ『NARUTO』第8期OPテーマ。2005年に交通事故に遭ったKEIGOの復帰作。タイトルからも連想できるように、メンバーがひとり欠けた時、そして再び出会えた時に感じた“僕ら一人じゃない”という想いと、“新たな旅が今始まる”という改めての決意表明を力強い歌声と演奏、たくましいかけ声で表現したエネルギッシュな楽曲。アニメのワンシーンを思い出すと同時に、観客が拳を突き上げて合唱する光景も想像できる。
「ブレイブルー」
2012年リリース、アニメ『エウレカセブンAO』後期オープニングテーマ。「DAYS」のセルフアンサーソングであることを公表し、あえて同じリズムパターンを入れたりと、作品に歴史を重ねているからこその演出でファンを魅了。タイトルはbrave(勇敢)とblue(青)を合わせた造語、歌詞は主人公のフカイ・アオの“青”をイメージして制作。サビの“行かなくちゃ もう泣かないよ シャングリラ”と、覚悟を決めるフレーズが、ギュッと胸を締めつける。
「WORLD END」
2008年リリース、アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュR2』後期OPテーマ。作品が最終章に突入するタイミングで、「COLORS」の続編という視点で制作。きっかけや葛藤を歌った前作に対し、この曲で歌うのは強い意志と前向きな気持ち。“聞こえてきたのは何だ? 色彩の歌”といった「COLORS」を連想させるフレーズもありながら、“あの日見た空を 願いの先へ”と希望を歌う楽曲から、作品と共に成長したFLOWの姿が見える。
「Howling」FLOW×GRANRODEO
アニメ『七つの大罪』EDテーマとして、14年にリリースされた「7-seven-」に続き、18年にリリースされた、アニメ『七つの大罪 戒めの復活』のOPテーマとしてリリースされた、夢のコラボ第2弾。「7-seven-」を経て、両組のより濃厚なDNAを注入すべく、作詞も作曲も完全共作。分厚いサウンドと個性豊かなトリプルボーカルによる、ヘビーで深みのある歌とサウンドは聴き応え抜群。TAKEとe-ZUKAのツインギターも聴きどころ。
「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」
2014年リリース、アニメ『サムライフラメンコ』の第2クールオープニングテーマ。同作品のアニメ音楽を手がける玉井健二(agehasprings)をプロデューサーに迎えた、アップテンポでどキャッチーな楽曲。“愛”を合言葉に自分を信じ愛し、奮起させてくれるこの曲のテーマは“大人の男の応援歌”。軽快な曲調と気づきを与えてくれる歌詞、そしてインパクト最強なサビの盛り上がりが暗い気分もブチアゲて、元気と勇気を与えてくれる。
■デビュー20周年も爆走するFLOW
現在、デビュー20周年イヤーを爆走中のFLOWは、2月22日にニューアルバム『Voy☆☆☆』のリリースが決定。『Voy☆☆☆』を提げた20都市20公演を回る、全国ツアー『FLOW 20th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2023「Voy☆☆☆」』も開催される。
さらに、7月1日には自身最大キャパでの幕張メッセ 国際展示場にて、デビュー満20周年を記念した特別ライブ『FLOW 20th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE 2023 ~アニメ縛りフェスティバル~』の開催も控えている。
デビュー20周年イヤーを迎えて、なお意欲的な活動を見せるFLOWから目が離せない。
TEXT BY フジジュン
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